丸山正樹のレビュー一覧
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コンビニ店長の柳田克己は「万引犯は許さない」という信念を持っており、ある日、パンを万引きした男を捕まえようと揉み合っているうちに、その男を死なせてしまう…。
いつも社会的弱者に寄り添ったお話を書かれる丸山正樹さん。今作では、新型コロナウィルスの影響で失業し困窮する女性たち「シーセッション(女性不況)」や、児童養護施設などから自立を求められ就労や生活面で困難を抱える若者たち「ケアリーバー」などの実情が描かれていました。
意に反して犯罪者となってしまった柳田とその家族たちや、万引きで捕まったために高校を退学することになった女子高生など、それぞれの境遇がとてもリアルで苦しくて、読んでいて辛かった -
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この小説には、「聴こえない人」や「手話」を理解する入り口になってほしいという筆者の願いが込められている。
ろう者と聴者のコミュニケーションの困難さや、手話の種類(日本手話、日本語対応手話)、「コーダ」の意味などについて分かりやすく書いてあるので、まさに筆者の願いがそのまま小説にのって読者に届けられているような1冊でした。
この作品のいいなと思ったところは、「障害」がマイナスなものではなく、同情を誘うものでもなく、障壁のない人にもあり得るような、ごく日常的な葛藤として描かれているところ。
是非、単行本・文庫本どちらも「あとがき」を読んで丸山さんの小説に乗せた「想い」を感じてもらいたいです。 -
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ネタバレあまり事前情報を入れずによんでいただきたい作品。
ワンダフルライフこのタイトルは作中のあそこからきているのね!
後半、つまりあそことあそこが繋がっているのか…?やっぱりそうなっているのかーーーー!!!スッキリ!!!!!という感情になる素晴らしい構成ではあるが、内容が内容なだけに爽やかさはないですね。あとがきでなんとか救われました。
障害者とそばに生きる人の話。「それでも君は僕と恋ができますか?」差別ってこういうことだよなあと思いつつ、自分ならどうなのか、自信がない。もはや普通に接しようと思うことすら差別になるんだなと。偏見ゼロで関わるのは難しいし、できないと思う。
障害のことは全然知らな -
Posted by ブクログ
外国人研修生の問題。その中でも、女性の。
といえば、坊やの私でも容易に想像がつくようになったのは、皮肉にも小説のおかげかもしれない。作中にもあるように、現代の日本がこんな国だったなんてというショックは、デフ・ヴォイスシリーズを通して何度も体験してきましたがいまだ慣れません。慣れないのは諦められないんだと思います。
ぶっきらぼうの刑事がどう怒るのかも手に取るように分かりました。かといって、オーロラのようなひだで守られた女性同士のコミュニティには何度も跳ね返され、不器用な自分まで涙目になってきます。
少しエキセントリックな考えですが、仮に中国人富裕層がさらに国を買い取った行く先には、誰が待つこ -
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何やら物騒なタイトル…この4月からドラマ化されると知り、一気読み。
以前に読んだ桐野夏生の『OUT』のように、家庭の主婦が夫を殺す話かなあ…と思ったが、ちょっと違う展開でした(^^;;まあ、これはこれで。
物話の中心は30代女性3人組。学生時代からの友情を育んできたこの3人がそれぞれ結婚して、三人三様のいろいろなケースがそこにはある。仕事を続けてヘッドハンティングを受ける人、結婚していて娘が一人いる人、離婚を経験している人…共通しているのは,夫に死んでほしいと思っていることだ…(テレビドラマの相関図を見るとちょっと設定が違うみたい)
主人公の麻矢の母親が言う。
「そのうちどうでもよくなる -
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すっかりファンとなったシリーズ3作目です。
手話を取り巻く差別的な現状が伝わってきます。ミステリーなのでぐいぐい読んでしまい、考える間もなくあとがきまで行き着いてしまうところが悩みなくらい。
それでも4話目の法廷のさざめきのラストは鳥肌が立ちました。
私は恥ずかしながら難聴者の方と関わりをもったことがありません。一度、就労支援施設を見学した際に、発話に困っていらっしゃる若い方を見かけたくらいです。面接トレーニングをされていましたが、高度な内容を披露されていたので逆に驚きました。
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この逆に驚いた、というのがまさに差別の温床なのでしょう。作品内でも登場人物が同じように自問する場面が多々あ