丸山正樹のレビュー一覧
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ネタバレコーダを初めて知った。
ろう者の親をもつ聴者の子どものことを指すんですね。
恥ずかしながら、「ろう者」「聴者」の言葉もなじみが薄く、耳の聞こえない方々をとりまく様々な問題について、今回の小説を読んで初めて知ったことも多かった。
コーダの存在なんて考えもしなかった。
転んで泣いても親に気づかれない。我慢するしかない。
両親とは、聴者の世界を分かち合えない。
コーダの孤独に気づかされる。
本当に理解や寄り添いが必要なのは障がいをもつ人だけではないのだ。
手話ができる。
仲間だと思われる。
でも聴者だとわかると「仲間ではない」と落胆に近い表情をされる。
ここでも孤独を感じる。
「損なわれ -
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「デフ・ヴォイス」4冊目。コロナ禍の下での荒井と家族の物語。
今朝の朝日新聞「天声人語」に、1880年にミラノで行われた聴覚障害教育国際会議での決議(ろう者教育では口話法が手話より優先されるとされた)のことが載っている。
2010年のバンクーバーでの会議でその決議が完全撤回されるまで日本も含めて多くの国々の教育現場で手話が禁止されてきたこと、50年ほど前から手話を独自の言語として認める動きが出始めたこと、今のニュージーランドでは手話が英語・マオリ語に次ぐ公用語になっていることなどが紹介されており、日本で初めてとなるデフリンピックの開幕を契機に、ろう者のコミュニケーションについても考えたいと結 -
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手話は独立した言語である。そう考えるととてもすっきり腑に落ちる。日本語の便宜上の代替品だと考えるから扱いにくくなってしまうと言うことだ。
日本語を使うろう者の手話に、言語として別体系の日本手話と日本語対応手話があることを、私は知らなかった。手話で話せないことが、コミュニケーションの欠落となり、日本語読解の妨げとなりうることも、考えたことがなかった。
ろう者の、そしてコーダの問題を描きつつ、しっかりミステリーでもある。自ら望んだわけではなく、渋々始めた手話通訳の仕事に、初めはやむなくだった尚人が、いつか前向きに取り組むようになり、自身の存在意義を見出す過程もきちんと描かれる。
続くシリーズ作も読 -
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オーディブルで聴きました。
デフ・ヴォイスシリーズの作家の作品。面白かった。染みた。。
万引き犯の素性ら動機やらを見て警察に引き渡す渡さない⋯とやっていたら、それはそれでおかしなことになるとは思いつつ、人の人生がそれきっかけにすっかり狂ってしまうこともあると思うと、難しい。万引きができないシステムを開発できないかね。
SNSでの誹謗中傷する人たちの描写も、私が言ってほしいことを的確に表現してくれていて、やはり言葉のプロは違う。
そんなめぐり合わせないでしょ、とは思いつつ、最後まで一気聴き。最後はあっけなかったけれど、読後感も悪くなく、選んで良かった。
それにしても、ホストへ貢ぐためのお -
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Mは時間潰しのため万引きを繰り返し行ってきた。
もし捕まってしまったら「園」の先生にも迷惑をかける。
分かっていても止められない。
ある日、コンビニの店長、柳田がMの犯行を目撃。
そのまま警察に突き出されてしまった。
柳田は万引き犯の男を捕まえる際
引き倒し死なせてしまう。
SNSで動画が拡散され、彼の人生は黒く塗りつぶされていく。
登場する人たちの決して楽ではない生活は
読んでいても苦しくて辛い。
しかし、救いの手を差し伸べる者もいる。
柳田もMも、もがいてもがいて這い上がる。
諦めない気持ちだけで生きていけるほど甘くはない。
苦しみもがいている人たちが
すこしでも報われる社会であってほ -
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涙なくしては読めない 極上の社会派ミステリー
警察事務官を辞めた主人公は
手話の特技を活かし手話通訳士となる
少しずつ明らかになる主人公の過去…
過去の殺人事件と現在の殺人事件が
交錯するとき…
全ての真実が明らかになる
ミステリーの内容も素晴らしいが
生まれながらに聴こえない人が使う手話と
事故や病気などで難聴になった方が
習得する手話との違いがあること…
そしておのおのが抱える心の悩みがあること…
私たちのすぐそばにいる方であるはずなのに
私たちが知らない世界がそこにあり…
恥ずかしいながら…
知ろうとしてこなかった世界だったと痛感した
相手の想いや言葉を知 -
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「『ディナーテーブル症候群』という名がついたことで、こうして大勢が『同じようなことを経験した』『私も』と声を上げ始めた」
このような現象は、例えば「ヤングケアラー」や「LGBTQ+」などにも当てはまるのではないかと思います。
自分の中でもやもやしていたことに名前がつくということは、そのような問題を解決する第一歩になるのだと感じました。
「手話を覚えたらバカになると思っていた」という母親。どういう根拠があってのことかわからず理解に苦しみました。
親の無理解で、ろう者の子どもの第一言語になるはずの手話を取り上げられるのは虐待に当たるのではないかとさえ思いました。
本書の記述がどこまで現実 -
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ネタバレ【ネタバレなし感想】
大学からの友人の麻矢、璃子、友梨香。璃子。
三人は会う度に夫の悪口を言い、死んで欲しいと愚痴をこぼす。
ある日璃子が夫との言い合いの末夫が怪我をして記憶喪失に。麻矢は夫が突然の失踪。
それぞれの真相と結末とは?
展開が多く、先が気になってどんどん読んでしまう。
【ネタバレあり感想】
麻矢の夫は部下のカナと不倫をしていた。カナは麻矢に憧れ、麻矢になりたいと考えた末?の行い。
夫のモラハラやDVもだいぶ激しいが妻も「死んでほしい」と愚痴を言うあたり、お互い様というか…
夫婦生活ってなかなか難しいのは分かるが、そこまでか!?と思ったりもする。でもそういう境遇の人もいるの -
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久しぶりに好みのミステリーに出会いました。
社会問題を提起しながらもミステリーとしてのレベルも高く、読みごたえがあります。
主人公は荒井という40代男性。
離婚歴あり、無職。聴者だが手話がかなりできる。
冒頭ではこれしか情報がないので、どこか屈折した態度を取る荒井への好感度はどうしても低くなります。
ハローワークで職を探す中で手話通訳士なる資格を得て派遣通訳士となるが、1件の法廷通訳を務めたことからとある殺人事件に関わっていくこととなるー。
荒井が事件に興味を持つ理由は彼の過去にあり、作中少しずつそれが明らかになっていきます。と同時に読み手は彼がコーダであり、家族に複雑な感情を抱いているこ