あらすじ
今度は私があなたたちの“言葉”をおぼえる
荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。感動の社会派ミステリー。
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ろう者と聴者では世界が違うとお互いに思ってしまっている。その狭間で生きているコーダ。
コーダであることでの苦労がたくさんあった主人公だが、最後母に名前を呼ばれること、母の手の動きが好きだったと。コーダとして理解できることもたくさんあるんだなと思った。
日本手話、日本語対応手話は恥ずかしながら自分は知らなかった。
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数年前に読んだ時、デフやコーダといった言葉も知らなかった…。どれだけ自分が無知で、健常者で生きている世界しかみえていなかったのかと痛感した。そこにミステリーも絡みあい読後の感動が忘れられない。
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ろう者であったために、誰にも打ち明けられなかった、両親にも打ち明けるための手話がわからなかったというのが悲しすぎる。年少者に対する、逆らえないものからの暴力は本当に許せないが、相手が誰にも言えないとふんでの暴力は本当に腹が立つし、許せない。あの親子は自業自得。
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身内にろう者がいる訳ではないけど、でもSNSメディアや、昨今の映画で、私の身近になってきた、「Deaf」「Coda」という存在。
ろう者の取り巻く現状、ろうの中でも一筋縄ではいかない世界を垣間見つつ、終盤は人間ドラマに魅了され、一気に読んだ1冊でした。
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興味があったけど、ドラマは途中で離脱してしまった。時間をおいて読んだ小説は、興味深くおもしろく、一気に読み進んだ。
10年前に旅行したニュージーランドで、添乗員が普通に、英語とマオリ語と手話が公用語だと話すのを聞いて、ニュージーランドがもっと好きになった。
この世に生を受けた人全てに、幸せであってほしい。
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ろう者と関わるミステリー。
ろう者といっても十把一絡げではなく、どの手話を使うのか、どんな環境で生きてきたのかによって異なる。
ろう者と聴者には異なる世界があり、世界をブリッジする人が必要である。ブリッジするのが、通訳者の主人公だ。
ブリッジはろう者に限らない。わかりやすいのが今回の設定だが、聴者だろうと言葉をうまく使えない人もいる。そうした人が、不公平な形で扱われてはならない。言葉が使える私は、わかろうとする努力、それを伝える努力が必要だ。
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この作品は、「コーダ」(両親ともに、もしくは一方がろう者・難聴者でも、聞こえる子ども)が主人公である。これまで、障害を持った方を中心に描いた作品は多かったが、コーダという視点はあまり無かったのでは無いか。私自身、コーダという言葉を初めて聞いたということもあり、学べることも多かったが、あくまでも推理小説であるので、あまり同情を買うような話でも無く、非常に読みやすかった。
また、徐々に事件や主人公についてのことが分かっていくため、読み進めていく面白さもあり、最後は少し心がざらっとするような感覚があった。
是非多くの人に読んで頂きたい作品であった。また、他にもシリーズがあるようなので読んでみようと思う。
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展開が早いけど置いていかれることはなかった
次々と繋がっていくストーリーに引き込まれた
手話が2つあるのも初めて知りました
勉強になった
いろんな家族と接すると
我が家族と比べちゃう
思い出しちゃうんだな
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ろう者の両親を持った健聴者、コーダが主人公。
ろう者と健聴者どちら側の人間なのかという葛藤、ろう者が抱える課題など、普段あまり日常で触れることのない内容がテーマで興味深く勉強になった。
また、そのテーマを主軸としながらミステリーとしても楽しむことができた。
心を繋ぐ手
年末にドラマを観て原作を読みたくなった。荒井という人物のバックボーン、人間関係などがよくわかった。そして、手話について、新たな認識を得た。読後はやりきれないものを感じた。姉妹の葛藤、家族の繋がり、心の繋がりを強く感じる作品であった、
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コーダを初めて知った。
ろう者の親をもつ聴者の子どものことを指すんですね。
恥ずかしながら、「ろう者」「聴者」の言葉もなじみが薄く、耳の聞こえない方々をとりまく様々な問題について、今回の小説を読んで初めて知ったことも多かった。
コーダの存在なんて考えもしなかった。
転んで泣いても親に気づかれない。我慢するしかない。
両親とは、聴者の世界を分かち合えない。
コーダの孤独に気づかされる。
本当に理解や寄り添いが必要なのは障がいをもつ人だけではないのだ。
手話ができる。
仲間だと思われる。
でも聴者だとわかると「仲間ではない」と落胆に近い表情をされる。
ここでも孤独を感じる。
「損なわれた子」
こんなふうに思う人が一人でも減るよう、理解が進むと良い。
また、もう一つ。
声を出せない、コミュニケーションがうまくとれない人たちに対して、それを利用する悪い大人がいる。
悪い人間に利用されないよう、搾取されないよう、傷つけられないよう、人生を壊されないよう、私たちはこれから何をどうするべきなのか考えるきっかけにもなった。
ミステリーに関してはそれほど凝ったものではなく、すぐにピンとくるとは思うが、それ以上に読み応えがあった。少し考えてみたら、わかることなのに、自分はただ「聴覚障がい」を持つ人がいるという情報だけを頭に入れて生きてきたんだなあ・・とこの小説を読んで思わずにはいられない。
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涙なくしては読めない 極上の社会派ミステリー
警察事務官を辞めた主人公は
手話の特技を活かし手話通訳士となる
少しずつ明らかになる主人公の過去…
過去の殺人事件と現在の殺人事件が
交錯するとき…
全ての真実が明らかになる
ミステリーの内容も素晴らしいが
生まれながらに聴こえない人が使う手話と
事故や病気などで難聴になった方が
習得する手話との違いがあること…
そしておのおのが抱える心の悩みがあること…
私たちのすぐそばにいる方であるはずなのに
私たちが知らない世界がそこにあり…
恥ずかしいながら…
知ろうとしてこなかった世界だったと痛感した
相手の想いや言葉を知ろうとすることは
私は相手を深く愛することと同じように感じた
………まずは“知る”ことから始めようと思う!!
人は生きていく中で 様々な経験をして
他の人が想像できないような想いをしている
まずは“相手を知ろう_”と思いやりを持って
接することができたなら…
世界はもう少し
やさしくなっていくように感じた
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友達からの勧めで読んだ。
日本手話、日本語対応手話‥ 今まで知らずに来たことが恥ずかしくなる。
ストーリーが面白いので自然に読める。続編も楽しみ。
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久しぶりに好みのミステリーに出会いました。
社会問題を提起しながらもミステリーとしてのレベルも高く、読みごたえがあります。
主人公は荒井という40代男性。
離婚歴あり、無職。聴者だが手話がかなりできる。
冒頭ではこれしか情報がないので、どこか屈折した態度を取る荒井への好感度はどうしても低くなります。
ハローワークで職を探す中で手話通訳士なる資格を得て派遣通訳士となるが、1件の法廷通訳を務めたことからとある殺人事件に関わっていくこととなるー。
荒井が事件に興味を持つ理由は彼の過去にあり、作中少しずつそれが明らかになっていきます。と同時に読み手は彼がコーダであり、家族に複雑な感情を抱いていることも知ることとなります。
この辺りの描写を通して、実社会におけるろう者やコーダが抱える問題や心情、手話をめぐる現状など多くの学びがありました。
著者あとがきにあるように、私にとっても「この本が『ろう者』や『手話』を理解する入口にな」りました。
「音のない理髪店」の内容が記憶に新しいこともあり、社会の一員として私にできることは何であろうかと考えています。
以前に何かの本でマイノリティをマジョリティが「認めてあげる」という立場を取っていることに疑問を呈するという内容に触れたことがあります。
それがずっと心に残っているため、迂闊に言葉を発するのはかえって迷惑になるのではとも考えたりするのですが、解説を書かれたエッセイストの三宮さん(全盲)によると、当事者の発言より、当事者に近い健常者が語ることも時に効果的であるそうです。
荒井は健常者ですが、当事者に限りなく近い。
そういう人が架け橋になり得るそう。
荒井が妙にろう者に感情移入しすぎないからこそ、本作において架け橋の役割を果たし、ミステリーとしての面白さも高まったのかなと思います。
本作でおきた痛ましい事件はフィクションですが、ろう者に限らず何かしらのハンディキャップを負う方々がそれを理由に悲しい事件に関わってしまうことのない社会であってほしいと切に願います。
文庫版あとがきでは丸山さんが全日本ろうあ連盟の方に「この本が入口になれば」と話した際、「では出口も探してください」と言われたと書かれています。
ハッとしました。
最後まで読んでも荒井のことは好きになれませんでしたが、このシリーズは早く全部読みたいです。面白かった!
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ろう者と呼ばれる耳の聞こえない人たちの話。
なんとなく不便そうだな、としか考えたことがなかったが、役所の手続きや裁判などの場面で苦労している様が描かれて確かにと感じた。
最後の方の謎が絡まっていくところはストーリーに引き込まれたし、最後にスッキリするのも良かった。
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手話通訳士の話。
手話にも昔ながらの言葉と現代に作られた言葉があるというのは知らなった。
耳が聞こえないというだけで世間から遠ざけられたり、虐待を受けたり、表に出ていない差別的なことがたくさんあるのかもしれない。
けど、同じ命ある人間であるし、うまく共存できる世の中にしていかなければならないし、色々考えさせられる本だった。
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この小説には、「聴こえない人」や「手話」を理解する入り口になってほしいという筆者の願いが込められている。
ろう者と聴者のコミュニケーションの困難さや、手話の種類(日本手話、日本語対応手話)、「コーダ」の意味などについて分かりやすく書いてあるので、まさに筆者の願いがそのまま小説にのって読者に届けられているような1冊でした。
この作品のいいなと思ったところは、「障害」がマイナスなものではなく、同情を誘うものでもなく、障壁のない人にもあり得るような、ごく日常的な葛藤として描かれているところ。
是非、単行本・文庫本どちらも「あとがき」を読んで丸山さんの小説に乗せた「想い」を感じてもらいたいです。
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ろう者の法廷通訳の社会はミステリ。 主人公の荒井尚人は手話通訳士でありコーダー。 本作を知るにあたって手話にも種類があることを知った 独自の手法を持つ日本手話と日本語の語順に沿った日本語対応手話。 よんでいて健常者の観点から分からない視点があったり、感慨深いものであった。社会的観点の視野を広げることができた。 生々しい描写、胸糞あり
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小説として話が面白く、知らなかったろう者の方のことや手話のことを知ることができる。説明くささもなく、障害を美化したり感動話にしたりすることもなく、さらっと自然に入ってくるところが良かったです。
コーダなりの屈折した思いとか、経験してるわけないのにすごくよく分かる気がした。
続きも読みたい。
☆4.5
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結末は想像しやすいというか、半ばからは推理しやすかったです。
ただ、ろう者の話よりも、ろう者の家族の中に聞こえる子として生まれた子の苦労や葛藤などは考えたことがなかったので私には新しい視点でした。
しかも、そういったところに同情したりする内容ではなかったのもよかったです。
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本作品は社会派ミステリーとして王道をいくものであり、加えて真実を知りたいと思う主人公が危うい行動に出るサスペンスとしての側面もあり、ぐいぐいとストーリーに引き込まれていった。そして何よりも登場人物たち、とりわけ主人公の心の救済に着地していく過程が良かった。手話、とりわけ日本手話がひとつの言語として確立していることを知ることができた。ろう者とその周囲の人達が築いてきたコミュニティと文化をリスペクトすべきであり、その点でラストにみゆきが荒井に信念を込めて語る言葉がとても良かった。
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作者の小説デビュー作。耳が聞こえない両親から生まれた、耳が聞こえる男性。タイトルからは、この男性が手話通訳士として法廷で活躍する話かと思ったのだが、法廷での記述はほとんどなし。それでもその法廷での一瞬のやり取りがきっかけで話は展開していく。
生まれつき聞こえない人、後天的に聞こえなくなった人、自分以外の家族全員が聞こえない家庭で育った人(コーダと言う)、それぞれの境遇でどのようなやり取りが交わされているのか、手話の難しさ、意思疎通についての内容が多く、勉強になる作品。重要なことではあるが、なかなかこうした視点で見てこなかったなと突きつけられる作品でもある。
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【あらすじ】
コーダとしての苦悩を抱えながら20年間警察の事務員として働き、警察の闇を暴露して失職した43歳の荒井尚人。手話通訳の仕事を始めたなかで、尚人が17年前に関わった事件(ろう児施設の理事長・能美隆明が殺害される)の被害者の息子(能美和彦34歳)が殺される事件が起こる。
日本のNPO代表で障害者支援を続けていた手塚瑠美27歳は本名を門奈輝子という。17年前、ろう児施設にいた姉の門奈幸子が理事長から性的虐待を受けていると知った輝子は理事長を殺害した。それを知った父親の門奈哲郎は罪をかぶり、コーダの輝子を守るため戸籍から外し養女に出していた。幸子と輝子はその後も会っていて、幸子に性的虐待をしていた理事長の息子の和彦が輝子の存在を知り脅しをかける。輝子を守るため幸子が和彦を殺害する。
17年前に家族との面会をセッティングした尚人がその時会っていた少女が瑠美だった。真相に迫った尚人は瑠美に手紙を出す。瑠美は自分の結婚式で、手話で過去の殺害を自供したが、瑠美が裁かれることはなかった。
【感想】
身の回りにろう者やコーダがいないのでとても勉強になったし、それを題材にしたミステリー小説は初めて読んだので面白かった(内容は重く悲しい話だが)。
相変わらず弱いものが虐げられる世の中、どうにかならないのだろうか。
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ジャンル不明だったけどミステリー?かな。
コーダ Children of Deaf Adults
アイデンティティーの葛藤。聞こえない両親の通訳。日本語対応手話と日本手話
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ろう者やCODAという言葉どころか、手話に種類があることすら知らず、聴覚障害について考えるきっかけになった。発話が困難な障害者を家族に持つ私としては周りの人には聞き取れないが、家族には聞き取れる声があるという件には共感しました。手話という音のない言語を使った主人公と容疑者、その家族とのやり取り、聴覚障害を取り巻く様々な社会問題と直面しながら殺人事件の全貌に迫る物語は新鮮でとても面白かったです。
Posted by ブクログ
日本語対応手話や日本手話、コーダについて初めて知った。特にコーダにしかわからない苦悩のようなものに胸が痛んだ。仲間意識とそれによって生まれる差別など、区別することによって生まれ続ける課題にどのように対応すべきかとても考えさせられた。本題の事件についても、個人的にはすっきりとした終わり方でよかった。
Posted by ブクログ
差別を深く考えさせられる作品だった。
手話といえばアーティストの楽曲や、保育園の発表会でも目にするようになって、てっきり身近になったと勝手に勘違いしていた。
手話が2種類あると知らなかったし、聾唖と聾の切り分けにも心を打たれた。当事者の方々の思いが結実し、音声言語と同じように手話も言語だと国際法で認められたのは2006年とのこと。自分の不勉強さに恥じいる。
手話を取りまく世界をグッと深掘りしてくれて、かつストーリーもしっかりとミステリー。文句なしに面白い。
今、世間は障害者エンタメという辟易するようなニュースワードで騒がしい。そんな逆風に押し戻されることなく、ありのままの事実を捉えなきゃなと再認識させてくれる。
知らない世界観
本を読み進めるのが、面白みを感じ角度には、いくつか種類がある。
その中でも、この本のように、【なるほど】の角度、【知らない世界観を感じる】角度は好きだ。
Posted by ブクログ
例えハンディがあるからと言って、何でもかんでも手伝ったり過保護になったりすることが正しいことではない。ただ同じ視点に立って一人の人間として向き合うという当たり前のことが、この世の中には欠けているなとこれを読んで思った。
Posted by ブクログ
手話を少しだけ教わったことがある。ろう者のこともコーダのこともよく知らなかった。
ドラマも見たかった。読んでよかった。ノンフィクションだが、丁寧に書かれていてよくわかった。