あらすじ
今度は私があなたたちの“言葉”をおぼえる
荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。感動の社会派ミステリー。
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Posted by ブクログ
聾者と聴者を結ぶ存在"コーダ"の主人公が、事件を通して聾者とコーダのリアルを伝えてくれる話。
以前NHKで草彅剛さん主演の同名のドラマがやっていたので、興味があって読んでみました。
手話にも種類があったり、聾者の方が"聾者"という名称に誇りを持っていたり、コーダの方の孤独感だったり、知らないことだらけだったので読んでいて学ぶことばかりです。
自分だけが聞こえる孤独感、同じ言語を使えても聾者同士だけの結束感を幼きながらに知ってしまった主人公の寂しさに寄り添える人がいてくれたらな、と勝手に思ってしまいました。
転んでも気付いてもらえないから泣いてはいけない、なんて子供にはあんまりじゃないですか。
また、聾者の支援施設で起こった性的虐待の事件。
被害者である幸子が被害を受けながらも「外部との関わりを持ちたかったが故に受け入れていた」という心境を裁判で話していて、あまりにもやるせないというか…
ひっそり生きていかなければいけない境遇であったとしても可哀想過ぎる。
過去の事件での悔恨をようやく晴らせた荒井のこれからの人生が温かいものでありますように。
また門奈一家のこれからが穏やかなものでありますように。
幸子さんが罪を償って、また新しい人生を歩み直せますように。
Posted by ブクログ
ろう者であったために、誰にも打ち明けられなかった、両親にも打ち明けるための手話がわからなかったというのが悲しすぎる。年少者に対する、逆らえないものからの暴力は本当に許せないが、相手が誰にも言えないとふんでの暴力は本当に腹が立つし、許せない。あの親子は自業自得。
Posted by ブクログ
コーダを初めて知った。
ろう者の親をもつ聴者の子どものことを指すんですね。
恥ずかしながら、「ろう者」「聴者」の言葉もなじみが薄く、耳の聞こえない方々をとりまく様々な問題について、今回の小説を読んで初めて知ったことも多かった。
コーダの存在なんて考えもしなかった。
転んで泣いても親に気づかれない。我慢するしかない。
両親とは、聴者の世界を分かち合えない。
コーダの孤独に気づかされる。
本当に理解や寄り添いが必要なのは障がいをもつ人だけではないのだ。
手話ができる。
仲間だと思われる。
でも聴者だとわかると「仲間ではない」と落胆に近い表情をされる。
ここでも孤独を感じる。
「損なわれた子」
こんなふうに思う人が一人でも減るよう、理解が進むと良い。
また、もう一つ。
声を出せない、コミュニケーションがうまくとれない人たちに対して、それを利用する悪い大人がいる。
悪い人間に利用されないよう、搾取されないよう、傷つけられないよう、人生を壊されないよう、私たちはこれから何をどうするべきなのか考えるきっかけにもなった。
ミステリーに関してはそれほど凝ったものではなく、すぐにピンとくるとは思うが、それ以上に読み応えがあった。少し考えてみたら、わかることなのに、自分はただ「聴覚障がい」を持つ人がいるという情報だけを頭に入れて生きてきたんだなあ・・とこの小説を読んで思わずにはいられない。