丸山正樹のレビュー一覧
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Mは時間潰しのため万引きを繰り返し行ってきた。
もし捕まってしまったら「園」の先生にも迷惑をかける。
分かっていても止められない。
ある日、コンビニの店長、柳田がMの犯行を目撃。
そのまま警察に突き出されてしまった。
柳田は万引き犯の男を捕まえる際
引き倒し死なせてしまう。
SNSで動画が拡散され、彼の人生は黒く塗りつぶされていく。
登場する人たちの決して楽ではない生活は
読んでいても苦しくて辛い。
しかし、救いの手を差し伸べる者もいる。
柳田もMも、もがいてもがいて這い上がる。
諦めない気持ちだけで生きていけるほど甘くはない。
苦しみもがいている人たちが
すこしでも報われる社会であってほ -
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涙なくしては読めない 極上の社会派ミステリー
警察事務官を辞めた主人公は
手話の特技を活かし手話通訳士となる
少しずつ明らかになる主人公の過去…
過去の殺人事件と現在の殺人事件が
交錯するとき…
全ての真実が明らかになる
ミステリーの内容も素晴らしいが
生まれながらに聴こえない人が使う手話と
事故や病気などで難聴になった方が
習得する手話との違いがあること…
そしておのおのが抱える心の悩みがあること…
私たちのすぐそばにいる方であるはずなのに
私たちが知らない世界がそこにあり…
恥ずかしいながら…
知ろうとしてこなかった世界だったと痛感した
相手の想いや言葉を知 -
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コンビニのオーナーである柳田は正義感が強く、万引犯を捕まえては斟酌せずに警察に引き渡している。ある日、いつものように捕まえた犯人を死なせてしまう。その場を動画に撮られ、SNSに上げられたことから生活が一変して行く。家庭もコンビニも破綻して行く。一方、高校時代に万引で柳田に捕まったミチルも施設をだされ転落して行く。風俗で金を貯めるミチルもSNSの被害に遭う。ここに柳田により父親を失った息子の復讐が絡む。ここまでは救いようが無い話しが続き、暗くなってくる。
因果応報とも呼ぶべきか、3者が濃厚に絡んでくる。柳田の娘も風俗に沈んでしまったが、この結末も無く、唐突に良い話しで終わってしまった。ミチルが万 -
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「『ディナーテーブル症候群』という名がついたことで、こうして大勢が『同じようなことを経験した』『私も』と声を上げ始めた」
このような現象は、例えば「ヤングケアラー」や「LGBTQ+」などにも当てはまるのではないかと思います。
自分の中でもやもやしていたことに名前がつくということは、そのような問題を解決する第一歩になるのだと感じました。
「手話を覚えたらバカになると思っていた」という母親。どういう根拠があってのことかわからず理解に苦しみました。
親の無理解で、ろう者の子どもの第一言語になるはずの手話を取り上げられるのは虐待に当たるのではないかとさえ思いました。
本書の記述がどこまで現実 -
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ネタバレ【ネタバレなし感想】
大学からの友人の麻矢、璃子、友梨香。璃子。
三人は会う度に夫の悪口を言い、死んで欲しいと愚痴をこぼす。
ある日璃子が夫との言い合いの末夫が怪我をして記憶喪失に。麻矢は夫が突然の失踪。
それぞれの真相と結末とは?
展開が多く、先が気になってどんどん読んでしまう。
【ネタバレあり感想】
麻矢の夫は部下のカナと不倫をしていた。カナは麻矢に憧れ、麻矢になりたいと考えた末?の行い。
夫のモラハラやDVもだいぶ激しいが妻も「死んでほしい」と愚痴を言うあたり、お互い様というか…
夫婦生活ってなかなか難しいのは分かるが、そこまでか!?と思ったりもする。でもそういう境遇の人もいるの -
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久しぶりに好みのミステリーに出会いました。
社会問題を提起しながらもミステリーとしてのレベルも高く、読みごたえがあります。
主人公は荒井という40代男性。
離婚歴あり、無職。聴者だが手話がかなりできる。
冒頭ではこれしか情報がないので、どこか屈折した態度を取る荒井への好感度はどうしても低くなります。
ハローワークで職を探す中で手話通訳士なる資格を得て派遣通訳士となるが、1件の法廷通訳を務めたことからとある殺人事件に関わっていくこととなるー。
荒井が事件に興味を持つ理由は彼の過去にあり、作中少しずつそれが明らかになっていきます。と同時に読み手は彼がコーダであり、家族に複雑な感情を抱いているこ