丸山正樹のレビュー一覧

  • 慟哭は聴こえない

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    手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く『デフ・ヴォイス』シリーズの第3弾。短編集だがストーリーは個々に独立していて連作にはなっていない。もちろん登場人物は被るし、尚人がその卓越した手話通訳技術で聾者を救済していくスタイルは変わらない。尚人の家族関係が少しずつ進化していくのも読みどころだ。どれも読み応えがあるが特に第三話の『静かな男』がしっとりと味わい深い。解説で触れているが、何森刑事シリーズが始まる布石となった作品のようだ。『デフ・ヴォイス』シリーズの方は第4弾が出ていて、まだまだ続きそうなので今後の展開が楽しみだ。

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    2024年09月21日
  • 慟哭は聴こえない

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    日本手話と日本語対応手話があるのもはじめて知った。サイレントは見てなかったから私の中ではトヨエツで止まってた。親の立場だったらとても余裕がないだろうけど、手話の喃語とか手話を習得していく子どもたちが手でたくさん話す様子は見てみたい。

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    2024年09月15日
  • キッズ・アー・オールライト The Kids Are Alright

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    ヤングケアラーと残留外国人の話。
    私は丸山さんの小説は、問題定義や話のまとまり方が、とてもいいと思っている。

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    2024年09月14日
  • 刑事何森 逃走の行先

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    ネタバレ


    刑事何森シリーズ第2弾

    実際に起きた社会問題が
    基盤となっているので
    とても考えさせられる

    昔気質の何森刑事だけど
    凝り固まってしまってる訳じゃなく
    毎回
    理解しようと
    アップデートしようと
    している姿勢がとてもいい

    残念ながら
    刑事としての何森は最後らしい…
    でも
    「間宮の当て」
    が気になるので

    今後また
    彼のストーリーが読めるのを期待したい

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    2024年09月13日
  • 慟哭は聴こえない

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    シリーズ第3作。

    手話通訳士荒井尚人はみゆきと結婚し、耳の聴こえない子、瞳美を授かる。
    人工内耳を入れるかで悩む夫妻。

    尚人と美和に囲まれ日本手話の世界ですくすく育つ瞳美。
    家庭内でただ一人手話ができないみゆきは習得に焦る。
    ろう者の中で健聴者は少数派となり、立場が逆転する。
    指摘されてみれば当然と気付く。

    電話が使えない、コミュニケーションが取れないがために起こる悲劇。
    健聴者主体の社会でろう者に配慮するとはどういうことなのか。

    それぞれの立場に寄り添う尚人の生き方に、何森刑事も感化されていく。

    みゆきとの結婚でろう者である兄家族との交流が始まる。

    社会に出て行こうとする甥司と、

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    2024年08月28日
  • ウェルカム・ホーム!

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    特別養護老人ホーム「まほろば園」、そこで働き始めた大森康介は慣れない介護士の仕事に振り回されている。そんな康介の心の支えは風俗嬢のこのみちゃんと職場の先輩鈴子さん。
    ホームでの入居者さん達のお世話は辛い事も多いが学ぶ事もある。そんな康介の毎日を描いた作品。
    老人介護の問題を柔らかく、丁寧に描いていてとても面白かった。決して綺麗事ではなく、かと言って過酷な面ばかりを強調するでもなく、これがら現実なんだなと思わせる作品だった。

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    2024年08月22日
  • 慟哭は聴こえない

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    コーダである手話通訳士、荒井を通して、聴覚障害をもつ人たちの想いや苦悩がひしひしと伝わってきます。
    心を開ける相手がいることの大切さも身にしみました。

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    2024年08月11日
  • ウェルカム・ホーム!

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    介護の仕事は大変なのに、何故か見下される。そして、離職率も多い。
    それは責められない。
    なかなか出きることではない仕事だから。
    私は介護士でもないが、身近にこの現場があるので、独特の空間やその匂いが解るだけにこの本は一気に読めてしまった。
    あらためて、介護を生業としている人に頭が下がる物語。
    仕事としての介護、家族を介護すると言うことの違いも、凄くよく解る
    この物語の主人公は優しい。だから、いろんな気づきがある。
    そして、いろんな事件はあるが、大抵は皆優しいのだ。根本。
    ガンバレコースケ

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    2024年07月23日
  • 水まきジイサンと図書館の王女さま

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    場面緘黙の男の子と、クラスメイトの女の子。2人はコミュニケーションをとるために手話を使う。認知症のおじいさんが出てきたり、親が再婚していたり、いろんな今どきの要素を背景にしつつ、よくある児童ミステリー。

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    2024年07月18日
  • ウェルカム・ホーム!

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    丸山正樹『ウェルカム・ホーム!』幻冬舎文庫。

    7話から成る連作短編集。

    派遣切りに遭い、やむなく特養老人ホーム『まほろば園』で働く大森康介が介護士として少しずつ成長していく姿を描く。

    今や正社員になれるのは介護業界くらいなものかも知れない。但し、毎日の業務はきつく、それでいて給与は低いのだから、なかなか介護士のなり手は少ないのだろう。そんな介護の現場で大森康介は迷いながらも進むべき道を見付け、歩み続ける様子がリアルに描かれている。

    少子超高齢化社会が到来し、老人が介護施設に入所するのが難しくなっている。金さえあれば、有料の老人ホームに入所出来るのだろうが、それはほんの僅かの老人たちであ

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    2024年07月16日
  • 龍の耳を君に

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    「デフ・ヴォイス 法定の手話通訳士」続編。

    作者のあと書きによれば、続編の構想は何森刑事にはあったが手話通訳士にはなかったそうだが、本書のあと既に2作発表されている。

    ろう者の両親、兄弟の元に聴者(Coda)として生まれた手話通訳士荒井尚人が、日本のろう者の母語である日本手話によって、聴者とろう者の橋渡しをする。

    弱者に向けた温かい眼差しが全編に漂い、やや波乱が起きそうだった荒井の私生活にも明るい兆しを見せて結末を迎える。

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    2024年07月16日
  • 慟哭は聴こえない

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    本が大好きなこから教えてもらいました。
    私はサスペンスやホラー系ばかり読んでいたので、人気だったり教えてもらったりしないと、この手の感動本はあまり手を出さないのですが、面白かったです。
    というか涙が出ました。

    あと、ろう者という、耳が聞こえない人達がどのように感じてどのような悩みを持っているか、我々には想像つかない感情を少し知ることができたような気がして、今後の人生に役に立つような気がします。

    1話から4話までありそれぞれ、耳が聞こえな人の人生に通訳者が関わっていき物語が展開するという、構成です。

    私は、地方から東京にでてきたろう者の話が、その人物の気持ちを思うと苦しくて涙がこぼれました

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    2024年07月15日
  • ワンダフル・ライフ

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    「『デフ・ヴォイス』の著者が問う”人間の尊厳”とは何か」という文庫の惹句に惹かれて、手に取る。
    目次に「無力の王」「真昼の月」「不肖の子」「仮面の恋」が(1)から(3)まで表示される。
    「無力の王」は「わたし」と妻が。「真昼の月」には、一志と摂。「不肖の子」では、洋次と不倫する岩田と名乗る「私」。そして「仮面の恋」では、<テルテル>というハンドルネームを持つ障害者の俊治と<GANCO>を名乗る女性。
    それぞれ一見関係なさそうな登場人物たちの話が繰り返される。
    それが、「エンドロール」で一気に結びつく。
    「It's a Wonderful Life」が決まっている。そう来たかと、著者の

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    2024年07月12日
  • 慟哭は聴こえない

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    ずっと読んでいる人にとってご褒美のように
    これまで荒井が出会ってきた人のその後が描かれる。
    荒井自身もまたライフステージの変化があり、この世界のどこかでみんなが本当に生活しているような気がしてくる。

    この作品がろう者、聴覚障害者の大変な現状を世に伝える意義はかなり大きい。
    24時間テレビよりも意義深いのでは?と思う。
    血反吐を吐くような努力をして口話を体得したとてそのスキルを使うかどうか決める権利は本人にある。
    読語ができるからといって大人数の場や会食はストレスでしかない。
    そんな当たり前のことを私たちはなぜ慮れないのだろう。

    アメリカに住んだ時、アジア人で女性で、英語が母語ではないという

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    2024年07月01日
  • 慟哭は聴こえない

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    シリーズ第3弾。
    私は第2弾よりこちらの方が好みかな。
    四つの短編で、いろいろな問題を定義していると思った。
    通信制の大学で知り合った女性は生まれながらの失聴者だった。
    その彼女に、自分の名前と簡単な手話を教えてもらったことがある。
    今考えると、あれは日本手話だったな。

    これからの荒井ファミリーの姿も見続けたいと思った。

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    2024年06月30日
  • 龍の耳を君に

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    デフ・ヴォイスの続編。
    今回も私の頭の中では草彅剛さんが走り回る。。

    今回は、聾者だけではなく、緘黙症の子供も手話で言葉を得る。
    手話が、聾者のためのものではないということを知った。
    英知くん、これからも身につけた言葉で未来を歩いていってほしい。

    しかし、「正育学」は、ものすごく差別的で、怖い思考だと思った。

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    2024年06月16日
  • デフ・ヴォイス

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    登場人物が多すぎて

    私の頭脳では混乱しがちでした。

    ですが⭐︎3つから始まり最後は⭐︎4つて感じです。

    主人公は中年です。

    後で調べたらNHKでドラマ化されており

    草彅剛さんが演じられたのだとか。

    情報なしで読んでたところ

    脳内再生では草彅剛さんではなかった。

    文体から脳内再生させたところ

    もう少し年老いてる感じがしました。

    主人公はコーダ。

    コーダとは、家族の中で1人だけ聴覚に障害がない人。

    家族は全員ろう者だけど

    1人だけ耳は聞こえる。

    それはそれで孤独に苛まれ疎外感を感じてるんですね。

    そして

    社会間での手続きに手話通訳トラブルシュレッダーなど

    健常者

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    2024年06月10日
  • 慟哭は聴こえない

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    3作目。ますますいい話と云うか、問題のある話が続く。身近な経験はないが、理解できる。本当に難しい問題だわ

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    2024年06月01日
  • 刑事何森 逃走の行先

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    ベトナム人の技能実習生が上司を刺して逃亡した。刑事の何森はその行方を追ううちにその奥にある問題に直面する。
    「デフヴォイス」シリーズの何森が主人公の話。入管やホームレスなどの問題が描かれていて、重たい内容だけど、ぐいぐい読ませる。

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    2024年05月18日
  • 龍の耳を君に

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    シリーズ2作目。
    今回も凄く良かった。
    知ることって大切。ろう者や手話、障害のある方が現代で生きていく上で感じる生きづらさ。
    今回は場面緘黙症、発達障害を持つ少年も出てきた。
    場面緘黙症について、実は小学校1年生の頃にクラスメイトの女の子がそうだった。
    当時は無知で子供だった私は、その子に「なんでお母さんとは話せるのに、学校では話さないの?」「声出せないの?」と質問責めにして困らせてしまったことを思い出した。

    ミステリー仕立てだけど、聴覚障害をもつ方や発達障害、支援学校のことなどを学ぶことが出来、また自分の認識不足を思い知らされる。

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    2024年05月14日