丸山正樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
作者の小説デビュー作。耳が聞こえない両親から生まれた、耳が聞こえる男性。タイトルからは、この男性が手話通訳士として法廷で活躍する話かと思ったのだが、法廷での記述はほとんどなし。それでもその法廷での一瞬のやり取りがきっかけで話は展開していく。
生まれつき聞こえない人、後天的に聞こえなくなった人、自分以外の家族全員が聞こえない家庭で育った人(コーダと言う)、それぞれの境遇でどのようなやり取りが交わされているのか、手話の難しさ、意思疎通についての内容が多く、勉強になる作品。重要なことではあるが、なかなかこうした視点で見てこなかったなと突きつけられる作品でもある。 -
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。
時々新井家の様子がチラと見えるが、瞳ちゃんは元気に幸せに育っているか。みゆきが元気がないと気になってしまう。
今回の話も、実際に起こったあのニュースが出てきて、興味深かった。
外国人を見下したり、偏見の目で見てしまう日本人が、大勢いるのは悲しい。日本人である自分が、外国に行って外人として差別され、不当な扱いを受けたらどういう気持ちか想像してほしい。かといって、普通に悪い外国人もいるから、取り締まる側は難しいと思う。
とにかく、人権が尊重され、不公平な法律が改正されることを祈る。
クーバンについても、フオンについても、ちょっとミステリアス過ぎ、映画の世界過ぎて少 -
Posted by ブクログ
『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』シリーズ第2弾とのことだが、第1弾を読んだのが6年も前で、人間関係などを把握するため第1弾を読んでから本書を。
おかげですっきりと「デフ・ヴォイス」世界へ入って行け、主人公新井尚人と彼の恋人安西みゆきとその娘美和、それにNPO法人のメンバーたちの位置づけがよく理解できた。
本書は3話からなる連作短編とのことだが、第1話は、『逆転の切り札』というアンソロジーにて既読で、次の展開を予感させる終わり方だったが、2話、3話と続けて読むことで、納得。
荒井や他の人物たちの手話が丁寧に綴られており、読みながら思わず手を動かしていた。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第3作。
手話通訳士荒井尚人はみゆきと結婚し、耳の聴こえない子、瞳美を授かる。
人工内耳を入れるかで悩む夫妻。
尚人と美和に囲まれ日本手話の世界ですくすく育つ瞳美。
家庭内でただ一人手話ができないみゆきは習得に焦る。
ろう者の中で健聴者は少数派となり、立場が逆転する。
指摘されてみれば当然と気付く。
電話が使えない、コミュニケーションが取れないがために起こる悲劇。
健聴者主体の社会でろう者に配慮するとはどういうことなのか。
それぞれの立場に寄り添う尚人の生き方に、何森刑事も感化されていく。
みゆきとの結婚でろう者である兄家族との交流が始まる。
社会に出て行こうとする甥司と、 -
Posted by ブクログ
丸山正樹『ウェルカム・ホーム!』幻冬舎文庫。
7話から成る連作短編集。
派遣切りに遭い、やむなく特養老人ホーム『まほろば園』で働く大森康介が介護士として少しずつ成長していく姿を描く。
今や正社員になれるのは介護業界くらいなものかも知れない。但し、毎日の業務はきつく、それでいて給与は低いのだから、なかなか介護士のなり手は少ないのだろう。そんな介護の現場で大森康介は迷いながらも進むべき道を見付け、歩み続ける様子がリアルに描かれている。
少子超高齢化社会が到来し、老人が介護施設に入所するのが難しくなっている。金さえあれば、有料の老人ホームに入所出来るのだろうが、それはほんの僅かの老人たちであ