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「デフ・ヴォイス」シリーズ3作目。
1 慟哭は聴こえない
新開のことから手話通訳を休んでいた荒井だったが、徐々に復帰。みゆきとも籍を入れ、兄の悟志家族とも顔合わせをする。そんな中、ろうの夫婦の妊婦検診の通訳を頼まれる。妊娠という女性のほうがいいのでは?という通訳に困惑する荒井だったが、医療通訳をしてろうの人々の正確な情報取得の困難さを痛感する。そんな中、甥の司が万引きで補導され、何森のいる署に迎えに来るよう電話が入る…
非常に傷ましい話。ろう夫婦の困惑とぶつけようのない嘆きと哀しみ。慟哭は聴こえない、はここから来たのか。自分の慟哭すら聴こえなくとも、あげずにはいられない嘆きが辛い。それを知る荒井の子ども 瞳美の誕生。不安が現実になったと思うのだろうか。
2 クール・サイレント
荒井の仕事ではろうのモデルHALの通訳。HALがモデルから俳優、しかも準主役級の役を得た。HALは口話が正確で荒井も驚く。私生活では瞳美に人工内耳を入れるかどうかの悩みを夫婦で話し合う。瞳美から音のある世界を奪うのか、それとも静かな世界を奪うのか、瞳美の意志を確認することが出来ない中、親がそれを決めることへの葛藤が描かれる。
HALのドラマが想起させた昔のドラマ、私も見ていた(多分、あのドラマだろう)。当時の私は手話に何の関心もなかったので、手話自体をしっかり見たことはなかった。でも確かにゆったりした動きだったような気もする。ろうの手話を見たことがあるので、確かにあの動きは生の言語としては不自然かもしれない。情動が感じられない。HALがろうの人々を背負ってしまうという気持ちも分かる気がする。「あなたは、あなたのままでいい」という言葉、本来、私はあまり好きな言葉ではないのだけれど、このシーンのこの言葉はとても良かった。
3 静かな男
何森視点の話。元簡易宿泊所の一室で潜り込んだホームレスが死んだ。身元を照会できるものはなく、自然死ではあるが、聞き込みをした何森は彼がろう者であったのではないか、と考える。ローカルテレビ局の番組の映像の後ろ側に映り込むことを繰り返していた、死んだ男は映り込んでいたときに何か、手を動かしていることに何森は気づき、荒井と共に調査を開始する…
何森の半生も、ほんの少し描かれる。でもここで、格好いいのはテレビ局の日吉さんだろう。やってくれましたよ。タカシがどういう経緯で故郷を出て行ったのかは、よく分からないが、お母さんを大切に大切に思っていたことを考えると(手話だけでなく、一張羅の存在など)泣けてくる。
水久保手話(実際は宮窪手話らしい)の存在も初めて知った。荒井が言う、手話はろう者の言語である、ということを痛感する。
4 法廷のさざめき
荒井は民事訴訟の法廷通訳を依頼される。原告がろう者の女性。会社で当初説明を受けていた支援を受けられず、昇進の機会も得られなかったと会社を訴えることに。そして私生活では瞳美をろう児として育てることを夫婦で決断。人工内耳を入れず、恵泉学園という日本手話を使う私立の学校に入学させることになる…
国からの指示による障害者雇用は支援金目的であったり、数字だけを守るために障害者を雇用する、という話を聞く。会社は営利目的なので、きれい事だけではやってられないかもしれない。荒井も自分の警察事務の仕事をしていたときのことを思い出す。また甥の司が大学進学を諦めることになり、自暴自棄になって悪の道に引き込まれる一歩手前。そこで新開、深見登場!よかった、よかった。司くん。でもろうコミュニティ、濃いよなあ。そして民事の法廷。傍聴人からの後押しをうけた原告は心強かったろう。静かな応援が心に沁みいる。
エピローグ
あらすじを書く必要はないけれど、漆原英知くん登場。ちょっと思春期反抗期入っていた、美和ちゃん。英知くんとスマホでやり取り。よかった、よかった。そして2で登場したHALくんも自分の道を選べた。
裏表紙の絵も良かったなあ。美和ちゃんが瞳美ちゃんを抱っこしている。
創元社の 高杉千明さんの表紙の手話は
「友達」「分かる」「お父さん」「お母さん」となっているのでしょうか。
絵なので、動きがあるわけではないし、他にも取れる意味はあるのだろうけど。
「わたしのいないテーブルで」を読んでいるので、分かってはいるのだけれど、今後の荒井家族が幸せでありますように。
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ちょっといろんなひとの気持ちが切なくて。
切なさてんこ盛りの連作短編集。
「静かな男」からの「法廷のさざめき」、切なさの威力が半端じゃなくて、電車で読んだの後悔しました。
聞こえない家族のなかで聞こえるただ1人の荒井から、聞こえる家族のなかでただ1人、聞こえないサトミちゃんという対比に繋がるところがもう。。
お姉ちゃんの気持ちもお母さんの気持ちもみんな切ないです。涙腺ゆるみまくり。
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主人公の荒井尚人が手話通訳者として、そして過去に警察事務官をしていたことから法廷の通訳もこなす。
そんな中で、荒井も家族を持ち、悩んで子どもを持つことを選択する。
そして生まれてきた瞳美はろう者だった…
母親のみゆきは、聴者に近づけるよう人工内耳を手術で埋め込みたい、と悩み、最後にろう者として育てる決断をする。
荒井家に産まれた瞳美は、かなり恵まれた環境だと思う。でもここでコーダとして育ち当たり前に日本手話を使いこなせる荒井と、小さい頃から面白がってアラチャンの手話を覚え使いこなせる美和の間で、以前、万一子どもが、ろう者だとしてもわたしが覚える!と言ったことが自分の枷になり、みゆきは別の意味で孤立していく。
聴者とろう者、という単純な分類でなく、聴者の中でのさらに分類があるという事実に打ちのめされる。
そしてろう者同士のカップルが初めての出産を無事に終えることができなかったこと。
ろう者は電話をかけられない。
そして単純な通訳では医療用語も含め理解できない。しかもろう者自身、聴者の会話に詳しくない、聴者の事情に詳しくない、そんなさまざまなことから、荒井のように、ろう者に寄り添った通訳をできる、心がける人は、今後ますます重宝されるのだろう。
静かなる男も悲しい話で、郷里にいた時はにぎやかな男だったというのが、その後の大変だと思われる人生を思い起こさせ、辛い気持ちになる。
でもその男のとった行動により、認知症で理解が難しい母親に伝えられたのなら、せめてもの幸いだったのか。
最後の法廷のさざめきは、なんとなく先は読めるが、悲しい話で現実だと思った。まだまだ日本の現実はここまでなのだ、と。、
法廷で誰もろう者の手話の、言葉にならない叫びを止められないというくだりは、皮肉なものだと思った。
最後にHAL がちらっと出てくる。
クールサイレントと騒ぎ立てられ。自分がどうすればいいのか繰り人形になってしまい、わからなくなってしまったHAL が新たな活動を始めたのなら、本当に嬉しい。
今回の本は短編がいくつもあるので、前2作を読んでいなくても大丈夫だと思う。
全く今まで興味もなかったろう者のことを、考えるきっかけを与えてくれた作者に感謝してます。
ありがとうございます。
この本の続編も、他の本も読んでみようと思います。
手話を始めるかどうかはわからないけど、少なくとも考えなきゃいけない問題に気づいた。
3作目のこれが一番いいかもしれない。
書くテーマとして難しくデリケートな問題だと思うが、ライフワークとして是非続けて、日本のろう者文化を変えていくくらいのパワーになることを祈ってます。
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デフヴォイスシリーズ第三弾!
今回も初めて知ることもたくさん。また新たな世界を見せて頂きました。
丸山さんの社会派小説は、毎回心に訴えかけられるものがあって勉強になる。
広く読まれて欲しい作品です。
*「慟哭は聴こえない」
産婦人科での通訳。
読後、胸を抉られる思いでした。
医療通訳をめぐる問題や聴覚障がい者の緊急通報に関する問題の深刻さを改めて感じた。
*「法廷のさざめき」
勤め先を雇用裁判で訴えた民事裁判の通訳。
悲しいけどリアルな現実なんだろうな…と。障がい者雇用は進んでも人への理解が同じように進んでいるわけではない。
原告の悲痛な言葉が胸に刺さりました。
『医療関係者は、しばしば意思の疎通ができていないことを「受け手側」の問題とする。しかし、これは本来双方の問題のはずだ。コミュニケーションが十分にとれていないと、患者が医師の言うことを理解していないだけでなく、医師の方も患者の状態を正確に把握できていないことになる』
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一気に読み終わってしまった
勿体なくて
ゆっくりゆっくり
読もう
と思ったけど
止まらないよね
前2冊で
ろう者の環境が
少しでも知った気でいたけど
最初の話から
衝撃を受けてしまう…
私達が
普通だと思う日常が
とても大変で不便な事なんだと
改めて知る
そして
命の危険を知らせる事すら
出来ないなんて…
今作では
新井家の時の流れと
子ども達の成長に驚き
今までの
登場人物達の
再登場が嬉しかった
どうか
皆が平穏に過ごせますように
と
心から思ってしまう
心に沁みます
デフ・ヴォイスシリーズで初めて読んだ作家さんです。文章も場面転換も分かりやすく読みやすいです。でもサクサク読んでしまう軽い内容ではなく、本当に心に沁みる良い小説でした。
手話の種類や『聴こえ』の度合いなどについても勉強になることが多く、もっと理解していきたいと思いました。
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シリーズで 繋いでいくお話っていいなぁ... と しみじみ そして どっぷり 作品の世界観に浸る
時と共に成長もする 変化もする
でも どれだけ時間をかけても変えられないものもある
色々なコトを知り 感じ 考える機会をくれる このシリーズ
ぜひ続いて欲しい
また 彼らに会えるのを楽しみにして待ちたい
Posted by ブクログ
手話通訳士の荒井を通して語られる聴者の世界の中での聾者の苦しみ、そして互いの世界への歩み寄りの難しさが丁寧に描かれる4つの短編。産婦人科受診や救急通報でのシステム上の問題に対する問いかけや会社からの不当な扱いに立ち上がる話、世間とのイメージの乖離の苦しみ等今回も聴者として持つある意味での傲慢さにも気付かされぐさぐさくる。今回は荒井とみゆきが結婚し娘が産まれ、皆が成長していく中で起きる様々な問題にもじっくり視点が当たっていて読み応えあった。そうだよなー。美幸ちゃんもいい子のままではいられないよな。最終話の色々なあの人は今!が豪華で嬉しい。皆頑張って欲しい。
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「デフ・ヴォイス」シリーズ第3弾。手話通訳士・荒井の仕事を横軸に、みゆき・美和との家族としての成長、甥っ子(兄の息子)司の悩みを縦軸に6年間が描かれています。
第1話「慟哭は聴こえない」
男性通訳者は歓迎されない産婦人科での通訳。初めての出産を控えたろうの夫婦と出会う。
美和は小学3年生。
冒頭の居酒屋でのトラブルには、蛇の目寿司事件が思い出されます。
第2話「クール・サイレント」
ろうの人気モデルHALの通訳を引き受ける。テレビ業界が求める「かっこいい手話」とは?
美和は小学5年生。2016年の設定。
第3話「静かな男」
廃業した安宿で変死体が発見される。この事件を何森が担当。亡くなった男がろう者だった可能性が出てくる。
あとがきにある通り、愛媛県の「宮窪手話」をモデルにした話。
第2話の1年後くらい?
第4話「法定のさざめき」
「フェロウシップ」から民事裁判の手話通訳依頼。ろうの女性が雇用差別で会社を訴えるという。
第2話の終わりから2年半後。障害者の法定雇用率が民間で「昨年の四月から二・二%に引き上げられました」とあるので、2019年の設定。
各話メインテーマ以外にも、今回もさまざまな課題がてんこ盛りです。人工内耳、インテグレーション、きょうだい児の気持ち、などなど。こんなに書いちゃったら、もう続編はないのでは?と心配になりましたが、そういえば前の2作のときも同じことを思ったのでした。杞憂杞憂。
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3作目なのでだいぶん手話やろう者のことなど理解できるようになった。各章ごとに話が纏まっているので読みやすいが、問題点が最終章で全て解決しているのでとても読後感が良い。聴こえる者も聴こえない者も障害者もそうでないものも互いに歩み寄り支え合う、という言葉が胸に響いた。
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今回も安定した面白さ
最初の慟哭は聴こえないで、うっかり泣き、ろう者との大きな壁を改めて感じます
聴こえない、というハンデはあまりにも大きい
それは見た目にはわからないものだし
見た目でわからないと、理解しにくい
でも見た目でそれとわかると、近寄りにくい
世の中って不合理で不条理
たとえ障害があってもなくても
互いに歩みより、思いを伝えることはとても大切
わかるだろう、じゃわからない
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デフ・ヴォイス第三作。今回は聴覚障害者の生活面での困難を描いていました。
ろう者は119番を呼べない。日常生活はなんとかなっても、緊急時にはなすすべもなくなってしまう。今まで気づかなかった世界を教えてくれました。
誰しも色んな特性を持って生まれてきて、それらによって幸福を感じることもあれば苦悩を抱くこともある。ネット119など、困った人を支える仕組みがもっと増えるといいな、と思いました。また、そういうことに気づける人間になりたい。
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今回は荒井とまゆみの間に生まれた「聴こえない子」瞳美ちゃんを加えた家族の成長というか変化を中心とした短編集
美和ちゃんが子どもなりのいろいろな葛藤を抱えつつ優しくまっすぐに成長していってるのがなんかもう嬉しかった
たぶん荒井と同じ気持ちになってるよ
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シリーズ3作目と知らず、装丁が可愛くて手に取った。
とても良かった。
これは1から読まないと!
昔は耳の聞こえない人をろうあ者と呼んでいたけど、
今はそうじゃないことを知る。
とにかく作中でいろんな「知らない」を知った。
読みながら、知らないということに無頓着過ぎる…と反省。
どうしても今の時代、自分から遠いものに対しては
近寄らない、歩み寄らない、
気にはなるけど知らんぷり、ということが増えがちだけど、もう少し心に余裕を持って
一歩踏み込むことも必要だと感じた。
悲しい思いをする人が少しでも減ってほしい。
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いつしか随分と歳月を経た我が人生において、公私いずれの場でもろう者と交わることがなかった。よって、このデフ・ヴォイスシリーズを読むたびに、学ぶこと多いなぁ、毎回面白いシチュエーションだなぁと感心しつつ楽しんでいる。考えようでは、この楽しむとは不適切な感想表現なのかもしれないが、正直ハマっている。聴覚ではないが障害を持つ家族がいる中、苛立つことが多い。冷静でいるときはいいものの、自分のわがままをよそに相手のわがままにたびたび腹が立つ。歩み寄れていない未熟さを思う。そういえば、難聴が進んだ母への思いやりも…。慟哭、聴こえないでなく、聴いてないか。
Posted by ブクログ
デフ・ヴォイスから始まる「ろう者」を
題材にした小説の第3弾。
回を重ねるにつれ登場人物のその後が
描かれてるので「実際この世に存在するのでは?」
と錯覚してしまうほど、思い入れの強いシリーズに
なってます。
今回は主人公の荒井とみゆきとの間に子どもが
生まれたことで起こる話も。
他の3編のサイドストーリーもこれまでの
作品同様、「ろう者」が抱える問題を提起してて
読み応えありました。
続編もあるみたいなので楽しみにしてます!
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
前作までの間に、みゆきと結婚し、刑事課で働くみゆきの代わりに主夫をしながら、細々と手話通訳を続けていた荒井。
1章目は耳の聴こえない妊婦さんの話。
耳が聴こえないことが、救急車を呼ぶことへの障害もあるとは考えたこともなかった。
2章目以降では、みゆきとの間に生まれた娘・瞳美の話が描かれる。
子供を授かることに消極的だった荒井の心配は当たってしまい、生まれた瞳美は耳の聴こえない子だった。
ショックを受ける荒井だったが、みゆきも、みゆきの連れ子である美和もその現実を受け止める姿がとても印象的。
これまではミステリーの要素も絡めていたが、今作はミステリーの要素は少な目で、聴覚障害を様々な視点から描いている印象を受ける。
先日最終回を迎えた視覚障碍者のドラマもそうだが、普通に暮らしているだけでは分からない世界を、こうして表現してくれることで少しだけど理解出来るのは有難い。
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デフ・ボイス第三弾。
短編集っぽい感じがするけどいいのかな。
手話通訳の仕事や通訳が不確かな人がいる事実。
聴覚障害者の暮らしの不便さ差別などがよく伝わった。
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デフ・ヴォイス3。
前作の後、妻の連れ子の美和は小学二年生に、妻のみゆきは刑事課勤務になっていた。
そして荒井は「手話通訳」の仕事を続けていた。
その仕事で出会ったろう者たちとの出来事が四話、描かれているのだが、生きにくい社会が読んでいて苦しい。
特に、タイトルにもなっている一話目は、救急車を呼びたくてもそれが出来なかった今岡しのぶの、声にならない慟哭が聴こえてくるような気がした。
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手話通訳士を主人公としたこのシリーズも三冊目。聴こえない人たちの世界とその物語を丁寧に的確に伝えてくれる姿勢はそのままに、シリーズキャラクターの変化や成長も描かれているので、この作品世界そのものもいとしく感じられるようになってきました。
表題作での看護師の一言と女性の慟哭の絶望的なすれ違い、「クール・サイレント」でのドラマや某24時間テレビの取り扱われ方の問題点、「静かな男」で男が取ったとある手段の切実さ、どれもがリアリティを持って描かれています。綿密な取材を経て、実際の聴こえない方々の想いが込められているのかとも思いました。
「法廷のさざめき」で扱われているエピソードで、思わされたのが、たとえば街中で困っている人に咄嗟に声を掛けたり少し助けたりすることはできるかもしれなくても、日常の中で聴こえない、歩けない、見えない、そんな方々と常に接することになったとしたら、この会社の人々と同じような対応を取ってしまうかもしれない、ということでした。うまく手を差し伸べることが、日々できるだろうか。
そういう不安を持ったのですが、また、この思いを忘れずにいれば、少しはまだ悪くない方法が取れるかもしれない、とも思ったのです。
こういう思いを持たせてくれた意味でも、この物語に出会えてよかったと思います。
もちろん、シンプルに、人々をまっすぐに描写した物語としてとても楽しめましたので、たくさんの方におすすめしたいです。
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まだまだ続いてほしい。
瞳美ちゃんと美和の成長も気になる。
健常者と障がい者の共存というか、皆にやさしい社会であってほしいけど、気付かないうちに、自分にとって便利な、困らない世の中に満足して、実は困ってる人もたくさんいることに気付かされる本。
欲を言えば、荒井とみゆき、もう少し仲の良いシーンが欲しいなぁ❗️
Posted by ブクログ
今月の一冊めはこちら。
シリーズ第3弾。
今回は中編集。
荒井が家族を持つことになり、物語自体も「家族」にフィーチャーした印象。
最大の変化は、みゆきと荒井の間に新しい生命が誕生したことだ。
そして、その赤ちゃん=瞳は聴覚に障害があった。
瞳の人生をどうするか。みゆきと荒井は話し合う。
みゆきが下した決断を、私は潔いと思ったし、この先も彼らファミリーを応援したくなった。
そんな魅力のある家族だ。
嬉しかったのは、第二弾で登場したHALや英知くんも少しだけ出てきたこと。
それも、家族をつなぐ重要な存在として。
思春期で口数の減ってしまった美和も、この先また明るさを取り戻して欲しいな、と思う。
デフファミリーでもある甥っ子の司もこの先の人生の選択を見届けていきたい。
珍しく荒井だけではなく、1つの章は、何森刑事の視点で綴られる。
彼は口は悪いが筋の通った男だ。結構好きだな。
彼らの物語を今後も読んでいきたい。
次作も楽しみ!
Posted by ブクログ
デフ・ヴォイス3作目
耳の聴こえない人たちの苦悩が日常生活の多岐にわたることに気付かされる
産婦人科受診、119番で救急車を呼ぶこと、雇用差別、手話を使う人への特別視
荒井家に生まれた子ども、瞳は生まれつき聴覚障害を持っていた
そのことによって家庭内外で起こる出来事に心が痛む
ただ、瞳は家族みんなに愛されて健やかに成長している
やっぱり家族との関りが大事だなと思う
Posted by ブクログ
なーんかまだまだ分かったようで全然分かってなかった。
今までずっと「全盲か全ろうだったら、視覚情報ある全ろうの方がまだ生活しやすいんじゃないか」って思ってたけど、コミュニケーションの部分で「聞こえない・話せない・伝わらない」っていうのはめちゃくちゃネックなんだって気づいた。
見ることしかできないのに、マスクで見えない、暗くて見えないのは全部無くなったのと一緒やんって。
幸村に五感奪われたときみたいな。
孤独だよなー。みんなの輪に入れないから。
私は10代の頃の日記に書いてた『常に少数派・弱者側の味方でありたい』っていうの、今もそうでありたいと思ってるし、なるべくそのようにしてるから、これからもどんな立場が少数派で社会的弱者なのか知って、寄り添いたい。
Posted by ブクログ
もし生まれた子供が聴こえない子だったら。
自分なら迷わず人工内耳の手術を受けさせるだろうな。
少しでも聴こえるようになる可能性があるのなら、
多少のリスクを負ってでも、と思う。
今回もまた、とても興味深く読んだ。
人工内耳の事はもちろん、手話にも喃語や方言のようなものが存在するというのも新しく知った。