はらだみずきのレビュー一覧
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長時間通勤とシングルファーザーとして長年苦労した仕事人であった父親が、知らぬ間に人生をやり直して、素敵な人間関係を構築していたことが判明する。そして、父親は人生で大切なことを形にして、大人になって人生に迷っていた二人の子供たちに教えるという結果になった。残念ながら生きている間に直接伝えることはできなかったが、父親の築き上げた環境(家、土地、ビジネス)や豊かな人間関係を通して伝えることができたわけである。
父親の友人である和海さんは、現地で生きる術を教えながら、主人公(息子)に対して押し付けずにゆっくりと伝えたのだろうか。相手の人柄を確かめながら、相手が少しずつ心を開くのを待つという余裕が感じられた。
続編も近いうちに読みたい。 -
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ネタバレタイトルと表紙の雰囲気に惹かれて読んでみたが、ゆったりとした空気や風を感じて心地よかった。あのようなほったらかしのような野菜の育て方あるんだなと感心した。その農法で作ったサトイモを食べたハルさんの反応が良かった。今の野菜は味がないなと感じる時かある。特に、安い値段で買ったキュウリとトマト。昔のトマトは味が濃厚だった!
「自分の目でよく見ることって、とても大切なんだよね!何かを見てすぐに反応するんじゃなくて、よく観察してみること。ぱっと見て、すぐに行動に移してしまうと、見えるものも見えなくなってしまうから」という真芽の言葉が心に残った!自分の目で観察し、考え、試してみること。改めて日々実践したいと思う。
真芽と遠藤くんがお互いに想い合っていたことがわかった場面が良かった!時間はかかったけど通じたことが、読んでて私まで幸せな思いとなった。この前作があるそうなので、是非読んでみたい! -
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理想は、過酷な現実に。それでも人は山と生きる。
前作の希望に満ちたラストから一転、自給自足の「厳しさ」を真正面から描いた第6弾。獣の気配や過酷な気候など、都会生活では想像もつかない自然の猛威に翻弄され、文哉と凪子の関係までぎくしゃくする展開には胸が締め付けられました。
便利さに慣れた現代人には「無理だ」と思わせる厳しさがある一方で、それが本来の「生きる」姿なのかもしれないと考えさせられます。もがきながらも着実に成長していく文哉の姿には、やはり心打たれるものがありました。苦しみの先に少しだけ光が見える幕切れに、次巻への期待がさらに高まります。 -
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最後まで読むとタイトルの真意はこうだったのかな?と、思わず読んでいる時に「そういうこと?!」と小声で発してしまったのが個人的ハイライト
花に限らず、草花の種類がたくさん出てきます。
知っている花でも種類によっては全く想像出来ないものもあったし、調べると「へー」といった具合で、ちょっぴり詳しくなれた気分に。それが、主人公と心なしかリンクしているようで良かったです。
認知症患者との向き合い方について、考えさせられるものがあります。当人も相手側も、許容範囲があり、時に犠牲を払わざるをえない場面もあるのだと思います。
ページ数は約300。比較的読みやすい印象でした。 -
Posted by ブクログ
亡き父が遺した海辺の家を引き継いだ青年が、地方の小さな町で過ごす時間を通して、自分の挫折や過去と向き合い、「自分にとっての幸せは何か」を少しずつ掘り下げていく物語です。
主人公は特別強いヒーローではなく、むしろ不器用で、自信を無くしている普通の若者。その等身大さが、かつて同じように悩んでいた自分の20代前半と重なって、ところどころ胸がチクリとするような共感を覚えました。俯瞰して読める距離感もありつつ、「あの頃の自分」にそっと寄り添い直すような読書体験でした。
印象的だったのは、都市と地方の暮らしのコントラストです。東京ではお金を払って手に入れていたような体験が、この町では海に歩いて行くだけで、何でもない日常の一部としてそこにある。人との距離感や、街との関わり方が変わることで、「豊かさ」や「贅沢」の定義も少しずつ揺さぶられていきます。コロナ禍で移住や二拠点生活が注目される前に、ささやかな田舎暮らしへの憧れとリアルを描いていた作品としても興味深く読みました。
※ここから少しだけ作品の核心に触れます。
物語の中で、「どんなに他人に評価されても、自分が納得していない人生には意味がない。最後に自分を評価できるのは自分だけだ」という趣旨の一文が出てきます。ここがまさにテーマの核であり、主人公が抱えていた「挫折」や「諦め」と、そこから一歩を踏み出すきっかけが、静かなミステリーのように結びついていきます。
海外の旅先で読みながら、周りで働く人たちの姿や、それぞれの「仕事」と「生きがい」に触れつつ、「じゃあ自分は、何に満足できるのか」「どんな生き方なら幸せだと感じられるのか」を自然と考えさせられました。
二十代で迷いの渦中にいる人にはもちろん、三十代以降で「昔の自分」と「今の自分」を照らし合わせたい人にもおすすめしたい一冊です。静かで優しい物語なのに、読み終わったあと、じわっと人生の向かう先の確認を促されるような余韻が残ります。