はらだみずきのレビュー一覧
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理想は、過酷な現実に。それでも人は山と生きる。
前作の希望に満ちたラストから一転、自給自足の「厳しさ」を真正面から描いた第6弾。獣の気配や過酷な気候など、都会生活では想像もつかない自然の猛威に翻弄され、文哉と凪子の関係までぎくしゃくする展開には胸が締め付けられました。
便利さに慣れた現代人には「無理だ」と思わせる厳しさがある一方で、それが本来の「生きる」姿なのかもしれないと考えさせられます。もがきながらも着実に成長していく文哉の姿には、やはり心打たれるものがありました。苦しみの先に少しだけ光が見える幕切れに、次巻への期待がさらに高まります。 -
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最後まで読むとタイトルの真意はこうだったのかな?と、思わず読んでいる時に「そういうこと?!」と小声で発してしまったのが個人的ハイライト
花に限らず、草花の種類がたくさん出てきます。
知っている花でも種類によっては全く想像出来ないものもあったし、調べると「へー」といった具合で、ちょっぴり詳しくなれた気分に。それが、主人公と心なしかリンクしているようで良かったです。
認知症患者との向き合い方について、考えさせられるものがあります。当人も相手側も、許容範囲があり、時に犠牲を払わざるをえない場面もあるのだと思います。
ページ数は約300。比較的読みやすい印象でした。 -
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亡き父が遺した海辺の家を引き継いだ青年が、地方の小さな町で過ごす時間を通して、自分の挫折や過去と向き合い、「自分にとっての幸せは何か」を少しずつ掘り下げていく物語です。
主人公は特別強いヒーローではなく、むしろ不器用で、自信を無くしている普通の若者。その等身大さが、かつて同じように悩んでいた自分の20代前半と重なって、ところどころ胸がチクリとするような共感を覚えました。俯瞰して読める距離感もありつつ、「あの頃の自分」にそっと寄り添い直すような読書体験でした。
印象的だったのは、都市と地方の暮らしのコントラストです。東京ではお金を払って手に入れていたような体験が、この町では海に歩いて行くだけで、何でもない日常の一部としてそこにある。人との距離感や、街との関わり方が変わることで、「豊かさ」や「贅沢」の定義も少しずつ揺さぶられていきます。コロナ禍で移住や二拠点生活が注目される前に、ささやかな田舎暮らしへの憧れとリアルを描いていた作品としても興味深く読みました。
※ここから少しだけ作品の核心に触れます。
物語の中で、「どんなに他人に評価されても、自分が納得していない人生には意味がない。最後に自分を評価できるのは自分だけだ」という趣旨の一文が出てきます。ここがまさにテーマの核であり、主人公が抱えていた「挫折」や「諦め」と、そこから一歩を踏み出すきっかけが、静かなミステリーのように結びついていきます。
海外の旅先で読みながら、周りで働く人たちの姿や、それぞれの「仕事」と「生きがい」に触れつつ、「じゃあ自分は、何に満足できるのか」「どんな生き方なら幸せだと感じられるのか」を自然と考えさせられました。
二十代で迷いの渦中にいる人にはもちろん、三十代以降で「昔の自分」と「今の自分」を照らし合わせたい人にもおすすめしたい一冊です。静かで優しい物語なのに、読み終わったあと、じわっと人生の向かう先の確認を促されるような余韻が残ります。 -
Posted by ブクログ
『やがて訪れる春のために』の続編です。祖母の優しさに満ちた庭を受け継いでカフェを開いた真芽のその後が書かれていました。
小説のなかで、花の香り、葉の瑞々しさ、虫達の気配などの自然と、おいしそうなマフィンや料理の香りが感じられました。
そんななかで、野菜を育てることへの理想に挑戦する姿や、時の流れによる大切な人の老いという変化を感じながらも、新たな目的を見つけて頑張る真芽達の様子に好感がもてました。
畑で農薬を使わず、自然に任せて野菜を作ることが、大変だけれどとても楽しそうでした。そして、形がよくなくても自然の土からできた野菜達が輝いているように思えました。
読み進めていくと、庭も畑もカフェも、太陽の光をたくさん浴びてこれから大きく育っていく感じがしました。登場人物達の関係も、これからが、より楽しみになる予感がしました。
未来への不安がよぎる昨今、何もできないのかもしれないけれど、「されどめぐる季節のなかで」日々を生きていく楽しさを見つけることはできるような気がしてきました。
最後は、みんなの笑顔が思わず浮かんでくる素敵な小説でした。
〈目次〉
秋
冬
春
夏
めぐる季節