はらだみずきのレビュー一覧
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ネタバレ「自分の土地を持て」という師の言葉を胸に、自分自身を見つめる旅に出る主人公。牧歌的な描写だが、軽トラで下道を何時間もかけて、新たな師を求めて、深い山岳地帯に分け入っていく、アドベンチャー感のある展開だった。
確かに、村落からも隔離された場所からは、房総の別荘地も「都会」であることは納得。「スーパーマーケットては季節を感じることが出来ない」という言葉も印象的だった。自分で食糧を調達するときは、当然季節のモノしか手に入らない。自然の摂理に従って生きるという選択をした覚悟の力強さを感じた。
そして、主人公が人生のパートナーとして選んだ相手は、、、そりゃそうなるよね(笑)
亡き親の意思が結びつけたご縁に感謝ですね。「親のおかげで生きている」という感覚は、解釈の幅はあるものの、感謝すべき素晴らしいことです。 -
Posted by ブクログ
全4部作なので、起承転結のうち「転」だろうか。田舎暮らしが順調に進んでいた前作「それから」と打って変わって、事業の中断や撤退などを余儀なくされる出来事が起こる。実際に、コロナ前に房総半島を襲った台風を思い出した。自然災害の被害は現地に居なければ理解できないもの。生活の一部を諦めたり、住民間の断絶もあったりして、本当の意味での復興はとても長い道のりであることを知らされた。
これまで「海」視点の生活だった主人公が、「陸」視点の人生に切り替わっていくことを示唆する転換点でもあり、農業や狩猟を通して「生命を大事に頂く」ことを学んでいく様子は興味深かった。また、陸を視点に生きていくヒントを得たのも束の間、衝撃の結末が描かれ、直ぐに続編(最終回)を手に取ってしまった。
「非常時にどういうことが役に立ち、何が役に立たないのか見ておけ」という言葉が重かった。結局、経済力ではなく、自信の知識•体力と人間性、積み上げてきた人的ネットワークと信用なのだろう。 -
Posted by ブクログ
『海の見える家』の続編。田舎暮らしのメリット・デメリットが紹介されている。食料調達や生活費を得るために、日々アイディアを出して苦労したエピソードが描かれている。
生きていくために必要な「収入」を給料という手段だけでなく、食料調達・物々交換・直接サービスといった幅広い観点で捉え、さらに自由に使える時間がどれだけあるかという要素を加えると、都会のサラリーマンより田舎暮らし(自営業)の方に軍配が上がるケースも考えられる。
どちらが良いかというより、全く違う世界価値観であり、田舎暮らしが合う人/合わない人が分かれるのだろう。ただし、それぞれの立場の人間が時々交わって、生き方を見つめ直す機会は必要であり、2つの世界の接点となっているのが、主人公の重要な役割であることを痛感した。
田舎は決して「逃げ場所」ではなく、それなりに創意工夫や対人関係力が必要である。主人公は自分の気持ちに素直であるため、現地での人付き合いは絶妙なバランス感覚で維持拡大できていることに関心させられる。 -
Posted by ブクログ
最初はタイトルと素敵なカバー絵(大好きな大野八生さん)に惹かれて読み始めたが、すぐに話に引き込まれた。
途中までは失恋、失業、介護など誰もがうまく行かない人生を送っていて、先の見えない展開が続く。
ところが後半になって話が少しずつ良い方向に動いていき、最後には皆が希望の持てる描写で終わる。
特に最後のページ、そしてラスト一行では思わず涙ぐんでしまった。
私もガーデニングや古民家カフェも好きなので、自分でもやってみたいと思ったことがある。
実際は、こんなに人と人との縁が繋がってうまくいくことはないかもしれないけど、行き止まりかと思えた人生でも、一生懸命やれば道は開けるのかもしれないとあたたかい気持ちになれる物語だった。
様々な花の名前も出てくるし、季節の移り変わりも感じられる心に優しい一冊。