福田和也のレビュー一覧
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文芸評論家として活躍する著者が、読書法と文章の書き方を読者に教授する。まず、どの本を読むにしても共通するが、本を読む目的を初めに定めなければならない。たとえ小説であったとしても、目的以外の内容は軽く読み飛ばすことを推奨する。また、本には、内容が難しくて読みづらいものもある。その場合、基本的に読まない。ただし、必要に迫られて読むときは、先に入門書で概要をつかんでから取り組むべきだという。これ以外にも、選書方法や古本屋との付き合い方などが載っているが、いずれにせよ、何のために、その本を読むのかを念頭に進めることが重要である。
次に、文章の書き方であるが、ここでは、自分が好きな作家の文章をまねる -
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戦前と戦後で人材教育の何が違うのか。筆者は江戸時代をも評価し、明治維新、列強入りは人物がいたからだと、大隈重信、西郷隆盛らを例に挙げながら説明を試みる。薩摩藩士が島津公と狩に出かけた話。ある藩士が号令前に銃声を上げてしまい、獲物が一斉に逃げた。切腹ものだと島津公。それを聞いた薩摩藩士は一斉に銃声を上げる。切腹を怖がると思われるのは屈辱と。
命を賭す覚悟、そうした幼少教育の有無。いつからか、戦後の我々の在り方は、人との横並びに安心し、踏み固められたレールや、その逆張りのパターンを見ながら、自らの大成や利益を上げることが成功であるかのような価値観にシフトしてしまったようだ。そうではなく、どうせ死 -
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非常に上質な、芳醇たる日本酒を飲んだ気分。
渋江抽斎のごとく、一人の人間から、彼を取り巻く人間模様が、鮮やかに描写される。渋江抽斎と違うのは、それが昭和天皇であり、周囲の人間は、乃木希典であり、山縣有朋であり、ヒットラーであるということ。
本著は天皇の客観的分析ではなく、天皇の生きた時代と人を緻密に再現することで、我々に天皇の目を与えてくれる。彼は、こうした世界で、物事を見ていたのだ、と。
そしてすでに1巻で見えてくるのは、明るい明治、暗い昭和。
元勲たちを失い、カリスマ明治天皇が崩御し、新たな政治の代表・原敬も斃れたのちの、意思決定機関なき世界。。。
福田和也の博覧強記ぶりが存分に味わえ -
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本の紹介にあるが、戦後、日本人は勉強のできる人、平和を愛する人は育てようとしてきたが、人格を陶治し、心魂を鍛える事を怠ってきた。
なぜ日本人はかくも小粒になったのか――。
その理由と本質に迫ることこそが、日本人が忘れたものを再認識させ、人生を豊かにしてくれるのである。
ということで、内容であるが、
序章 器量を問う事
人物観の平板さは、自らを縛りかねない
人を見る事は、自分の器を図る事
器は何歳になっても大きくできる
第1章 なぜ日本人はかくも小粒になったのか
戦後、わが国は人物を育てようとしてきたか
戦死に対する覚悟がいらなくなった
貧困と病苦に対する怯えがなくなった
第2章 先 -
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【本の内容】
年長の友人を死の床に見舞った時、僕は厄介なことを頼まれた。
彼の息子N君の面倒を見てくれ、「男の生き方」を教えてやってくれ、と頼まれたのである。
こうして始まったN君への折々の手紙。
「死者の視線とともに生きることぐらい大事なことはない」
「就職をするのは簡単だ、でも仕事を見つけるのは難しい」
「君が内定を得られなかったのは君自身の『存在』『価値』とはまったく関係ない……」
就職、転職、独立、結婚など人生の岐路で悩む若者への真摯な言葉は、読む人に力と励ましを与えずにおかない。
「人生」をほんのちょっとだけ真剣に考えてみよう。
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原敬が青年期に東京で苦学生になり、金策尽きて学校を辞め、教会の仏語学校に通い、再起して東京に来るも、開成学校、海軍兵学校を落第し、司法省学校に入るという経緯は面白い。仏語が堪能なお陰で、清仏戦争後の情報収集役、パリ大使館勤務を経て明治維新の偉人たちと知り合い、堂々と持論をぶつけるまでになっていくのがすごい、この時わずか30代半ば。天津領事館勤務時代にもわずか29歳で李鴻章に対して毅然とした挨拶をしていることも立派。外務省勤務後の新聞社時代も一貫性、話の筋を大事にし、それが後の立憲政友会時代の求心力になっていくのだろう。政友会でも、総裁である西園寺公望、政敵である山県有朋にも堂々の弁を打ち、へこ
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タイトルに悪女とあるが特に悪女は出てこない。電車の中で読んでいると悪女になりたくて読んでいるように見える一冊。
蘊蓄と著者の食べることに対する意識の強さが前面に押し出されたエッセイ。(フランス料理のサービス方法がロシアから来ているなんて初めて知りましたわよ。)
「一人で食事をしていて迫害されない方法」など、章のタイトルは秀逸。(でもこの章を信じて読み始めると少し違うと思うかも)
食べることが好きな私にとっては読んで楽しめた本だが、価値観の違う人が読んだらあまり良い印象はしないかもしれない。
食べることが好きでかつ、一人で店に突撃できるハートを持つ、ダイエット中の方は、ダイエットが終わるまで読ま