福田和也のレビュー一覧
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私たちは、学校時代、歴史の授業で感動したことがあるだろうか。
魂が揺さぶられるという経験をしたことがあるだろうか。
私は残念ながら、ない。
社会人になって、自ら学ぶことで、初めて歴史を学ぶことが自分が今を生きることと深く切り結んでいることが分かった。
この本をもっと若いうちに読みたかった、としみじみ思う。
しかし、ひょっとすると、若いうちに読んでいたら、今ほど心揺さぶられる体験にはならなかったのかもしれない。
これは、単に歴史の知識を得るための本ではなく、歴史を学ぶということがどういうことなのか、も教えてくれる本だ。
これからしばらく、この、腹の据わった真の知識人のひとりと言えるだろう福田和也を追いかけてみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
要約
▽筆者の主張
–人を測る物差しが乏しくなっている世間
–複眼で見なければ分からないのが人間なのに
–でも器は大きくできるモノだから学ぼう
▽器量とは何か?
–人の微妙さを測る為に古の人が生み出した言葉
–全てを包み込む風呂敷のような言葉
–厳しい体験から己の良し悪しを探し続けるモノ
▽どのように器量を問うか?
–人を見る事は自分の器を測る事。即ち人を見る事
–仕事の経験。小さい仕事は小さい人間を作る
–仕事の捉え方。世間の専門化が進めば小粒になる
本編では、
▽why?戦後なぜ日本人は小粒になったのか
▽what?戦前先達の器量に学ぶ
▽how?器量を大きくする五つの道
という事が様々な歴史上の人物を例に書かれています。自分ならどうするか?と考えながら読み進められる。
器量を大きくする五つの道を私なりの再解釈をするのであれば以下の通り。
–修行をする→逆境を見据え備える
–山っ気を持つ→楽観的にとりあえずやってみる
–ゆっくり進む→孤独に耐える
–何ももたない→自分の頭で考える
–身を捧げる→志高く
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山本周五郎があらゆる文学賞を辞退し続けたという話は有名である。
周五郎は、「文学は賞のためにあるのではない」というのが持論だった。
筆者は、なぜ、そのような考え方に至ったかを周五郎の生まれ育ってきた環境を丁寧に分析している。
世間の片隅で、肩を寄せ合って極貧の身で、運にも恵まれず必死に正直に生きようとする人物を周五郎は描いた。
また、愚直なまでに正直なゆえに、罪を犯してしまうというような人間の弱さを描き、あまた、周りの人間の愚直なまでの親切心で、人々が救われる。
庶民であろうが、武士階級であろうが、人間が本来持っているであろうという心性を周五郎は信じ、自分がこうだと信じたテーマを長年温め、小説に書ききる。
そんな周五郎が取ってきた態度を筆者はフランス文学者としての立場からも解き明かす。
まさしく、「山本周五郎で生きる悦び」を改めて教えてくれた本でした。 -
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対談の形で進行するが、整理されているのと、注釈が細かくつけられているため、非常に読みやすくわかりやすい。
本書の最後に、各人が書いた文章があり、その主題で、それぞれがどこに主眼を置いているのかがわかる。それを前提としてもう一度読み直すのも興味深いと思う。
「永遠の0」で、本当にこんな戦争だったのだろうかという疑問がわいた。小説は史実ではない。
そしてこの本を読んだのだが、戦争というものがはじまり、継続していくということが、こういう形で行われていたのか、という再確認でもあった。国を存続させるために、やむなく開戦に至ったのだという認識を改めざるを得なかった。
日本人とはどういう民族なんだろう、という混乱も起きる。 -
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6名のそうそうたる面々が大東亜戦争を討議。討議のかたちだが文章がうまく補足されてるので、戦史全体像と事件経緯もよく分かる。注釈も見開きごとにあるし。
日本の戦略性ゼロというか「エイ、ヤー」の勢いってのはこんなにもヒドかったのか。かなりコキ下ろす一方で、昭和天皇の評価は高い。天皇と大元帥の二役で苦しいなか最大限の情報発信をしてきたと。
それにしても「バスに乗り遅れるな」の勢いって、いまのTPPで騒いでんのといっしょだろ。日本人ってホントに歴史から学ばない民族なんだなあとつくづく思った。逆に外国からみればそれが不思議以上に得体の知れない恐怖を感じるのかもしれない。
あの戦争で日本人は「攻勢の限界点」を軽々超えてしまった。ちょっとずつ目標上げてくうちに、いよいよ収拾つかなくなるというのは日本人の癖らしい。ユニクロもヤマダ電機も身のほどを知らんといかん。 -
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「情報と文章は違う」と福田氏。文章の行間から情景がありありと浮かび、読み手の感情がゆさぶられる。そんな文章力を高める参考例として、これでもか、というくらい多様な作品と特定の文に込められた著者の意図を解説していく。小説というものの魅力。その読み方。あらためて日本語の奥深さを教えていただいたような書籍。
【メモ】言葉に対して意識的にならねば、自分の伝えたいことは他人には伝わらないと思っていただきたい / 文章のカギは「虚構(うそ)のつき方」にある / 雑多な現実のなかから、どこを取り、どこを捨てるのか。編集という作業自体が、ひとつの物語=虚構を作るということ / 真実は虚実皮膜にあり(近松門左衛門):どんな真実も嘘=虚構の助けを借りなければ、真実として輝くことはない / 注意深く読むには、書き写すのが一番いい / 小説の技術:人称と時制 / 語尾ひとつにもいかに気を遣っているか、その区分が効果をあげるか / 理想は月並みなり(子規):理想、つまり頭の中で想像することは大概どれも似てしまう。平凡なものになってしまう。先入観や固定観念で組み立ててしまうから / 写生は多様なり(子規):これまでのイデア=観念を捨て、とりあえず目の前にある現実をありのままに写生してみる / 固有名詞は歴史の基本 / 一見なにごとも起きていないかに思える日常に、敏感な感応力を働かせ、あなただけにしか捉えられないものを切り取る / 「自分の考え、感性」といったものでも、それがいかに「自分以外」のものに左右されているかを意識する。学ぶとは、そのようにして自らの存在を、歴史的な視点で考えることでもある / 他人の正義より、自分のなかにある「深く癒しがたい悲しみ」を語ること。人を動かし感動させるのは、その私情しかない、そしてそれが文学だと江藤は語る / 評論(文章を書く)とは、自分がいいと思ったものの価値を、読者に納得できる形で語ること / 「自分の信じるものの価値」を説得する、その手腕 / 文章とは、いくつかの文で、まとまった思想や感情を表したものであり、それを書くこと自体が、考えることであるような、自分自身のものでしかありえない、思惟が運動しているものです。精神の運動神経を鍛えることのできるもの、私はそれを「文章」と定義しています / 構成力:自分の書きたいこと=テーマを読み手に納得させるための工夫 / 文章とは、細部の積み重ねです。その細部が確固としたものであればあるほど、書き手はその事実から大きく飛躍し、自分なりの、自分だけの論を導き出し、作品をつくることができるのです。「真実は虚構でしか伝えられない」と、最初に申し上げました。真実を伝えるための虚構とは、しかし細部の事実に支えられたものでなければなりません。事実の堅牢さがあってはじめて、文章という構築物は、大胆な飛躍や虚構に耐え得ることができるのです