福田和也のレビュー一覧
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要約
▽筆者の主張
–人を測る物差しが乏しくなっている世間
–複眼で見なければ分からないのが人間なのに
–でも器は大きくできるモノだから学ぼう
▽器量とは何か?
–人の微妙さを測る為に古の人が生み出した言葉
–全てを包み込む風呂敷のような言葉
–厳しい体験から己の良し悪しを探し続けるモノ
▽どのように器量を問うか?
–人を見る事は自分の器を測る事。即ち人を見る事
–仕事の経験。小さい仕事は小さい人間を作る
–仕事の捉え方。世間の専門化が進めば小粒になる
本編では、
▽why?戦後なぜ日本人は小粒になったのか
▽what?戦前先達の器量に学ぶ
▽how?器量を大きくする五つの道
という事が -
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山本周五郎があらゆる文学賞を辞退し続けたという話は有名である。
周五郎は、「文学は賞のためにあるのではない」というのが持論だった。
筆者は、なぜ、そのような考え方に至ったかを周五郎の生まれ育ってきた環境を丁寧に分析している。
世間の片隅で、肩を寄せ合って極貧の身で、運にも恵まれず必死に正直に生きようとする人物を周五郎は描いた。
また、愚直なまでに正直なゆえに、罪を犯してしまうというような人間の弱さを描き、あまた、周りの人間の愚直なまでの親切心で、人々が救われる。
庶民であろうが、武士階級であろうが、人間が本来持っているであろうという心性を周五郎は信じ、自分がこうだと信じたテーマを長年温め、小説 -
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対談の形で進行するが、整理されているのと、注釈が細かくつけられているため、非常に読みやすくわかりやすい。
本書の最後に、各人が書いた文章があり、その主題で、それぞれがどこに主眼を置いているのかがわかる。それを前提としてもう一度読み直すのも興味深いと思う。
「永遠の0」で、本当にこんな戦争だったのだろうかという疑問がわいた。小説は史実ではない。
そしてこの本を読んだのだが、戦争というものがはじまり、継続していくということが、こういう形で行われていたのか、という再確認でもあった。国を存続させるために、やむなく開戦に至ったのだという認識を改めざるを得なかった。
日本人とはどういう民族なんだろう、 -
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6名のそうそうたる面々が大東亜戦争を討議。討議のかたちだが文章がうまく補足されてるので、戦史全体像と事件経緯もよく分かる。注釈も見開きごとにあるし。
日本の戦略性ゼロというか「エイ、ヤー」の勢いってのはこんなにもヒドかったのか。かなりコキ下ろす一方で、昭和天皇の評価は高い。天皇と大元帥の二役で苦しいなか最大限の情報発信をしてきたと。
それにしても「バスに乗り遅れるな」の勢いって、いまのTPPで騒いでんのといっしょだろ。日本人ってホントに歴史から学ばない民族なんだなあとつくづく思った。逆に外国からみればそれが不思議以上に得体の知れない恐怖を感じるのかもしれない。
あの戦争で日本人は「攻勢の -
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「情報と文章は違う」と福田氏。文章の行間から情景がありありと浮かび、読み手の感情がゆさぶられる。そんな文章力を高める参考例として、これでもか、というくらい多様な作品と特定の文に込められた著者の意図を解説していく。小説というものの魅力。その読み方。あらためて日本語の奥深さを教えていただいたような書籍。
【メモ】言葉に対して意識的にならねば、自分の伝えたいことは他人には伝わらないと思っていただきたい / 文章のカギは「虚構(うそ)のつき方」にある / 雑多な現実のなかから、どこを取り、どこを捨てるのか。編集という作業自体が、ひとつの物語=虚構を作るということ / 真実は虚実皮膜にあり(近松門左衛