ときに悲しいほどに小さく、ときに仰ぐように巨きい。さびしき「彼(か)の人」と、彼の人と同時代を生きた人々の相貌を通して激動の歴史全体を高密度で描く傑作評伝。これぞ福田和也のライフワーク!
明治34年4月29日、迪宮(みちのみや)裕仁親王は誕生した。チャーチル、スターリン、ルーズベルトら後の敵手よりも20も若く。日露戦争、第一次大戦を背景に少年は乃木希典による厳格な教育を受けて成長。しかし、その結婚をめぐって「宮中某重大事件」が起きる――。
Posted by ブクログ 2017年12月24日
非常に上質な、芳醇たる日本酒を飲んだ気分。
渋江抽斎のごとく、一人の人間から、彼を取り巻く人間模様が、鮮やかに描写される。渋江抽斎と違うのは、それが昭和天皇であり、周囲の人間は、乃木希典であり、山縣有朋であり、ヒットラーであるということ。
本著は天皇の客観的分析ではなく、天皇の生きた時代と人を緻密...続きを読む
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