福田和也のレビュー一覧
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現代の日本人を”小粒”と表現し、近代日本の礎を築いた”器の大きい”偉人のエピソードを紹介し対比することで、「人間の器量とは何か」が綴られている。確かに、いまもてはやされている起業家や政治家に対し(おこがましくも)評価してみた場合、本書で挙げられている偉人との、そのスケールの違いは私のような人間でもぼんやり理解できた。バカはバカなりにイメージできたのは、現代には「英雄」とか「偉人」、「豪傑」のようなニックネームがつけられそうな人はいない、ということであった。「知的」「スマート」「商売上手」「どじょう(関係ないか)」なんていうイメージの人はたくさんいるが。
おそらく著者は、若い人に読んでもらうこと -
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人間の器量
器量とはつまりどういうことなのでしょうか?
様々な歴史上の人物を引き合いに、その解答例を紹介しているのがこの本です。
人の器量、それは水平なモノであるとこの筆者は述べています。偏差値や点数みたいな垂直的なモノではなく、広いかちっちゃいか。
器量とは実力だけではありません。白と黒の世界ではなく、1か0のデジタルな世界でもなく。清濁併せ呑むことが器量であり、器量を評価できる唯一の方法だといいます。
例えば高橋是清の例。彼は政治家としての能力は皆無でした。総理大臣になってもすぐ追い出されますし、女にもだらしない。
だけど、庶民からはダルマ、ダルマと慕われていました。彼が -
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[ 内容 ]
日本の近代は焼け野原となって幕を閉じた。
しかし、敗戦も一つの達成であった―。
第一次大戦の戦勝から大東亜戦争の敗戦までの約三十年間、日本は何を成し遂げたのか。
五大国として列強と肩を並べた日本は、帝国主義の終焉と相次ぐ大不況に方向性を見失う。
国家が迷走するなか、主導権を握った軍部は、次第に最強国アメリカとの対立を深めていく。
たった二冊で黒船から敗戦までの九十年がわかる特別講義の完結編。
[ 目次 ]
第1章 五大国になったが、日本は時代に取り残されてしまった
第2章 都市のサラリーマンという生き方
第3章 いつも戦争の遠因には不況があった
第4章 昭和デモクラシーを担った -
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[ 内容 ]
近代化の原動力となった江戸の実力、アジア初の立憲国家として憲法を守り通した意義、韓国から近代化という「青春」を奪った日清・日露の二度の対外戦争―。
アジアの小国から世界標準の国家を作り上げた苦闘の道程をたどりながら、著者の卓越した歴史観を通して、「日本にとっての近代とは何であったのか」を大胆に整理する。
単なる知識ではない教養としての日本近代史入門。
[ 目次 ]
第1章 近代を前に、江戸は運動神経を研ぎ澄ましていた
第2章 近代国家へのスタートダッシュが成功したわけ
第3章 なぜ、憲法は必要だったのか
第4章 独立を維持するための戦争だった日清・日露
第5章 「義」の時代から -
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[ 内容 ]
優れた人はいる。
感じのいい人もいる。
しかし、善悪、良否の敷居を超える、全人的な魅力、迫力、実力を備えた人がいない。
戦後、日本人は勉強のできる人、平和を愛する人は育てようとしてきたが、人格を陶冶し、心魂を鍛える事を怠ってきた。
なぜ日本人はかくも小粒になったのか-。
その理由と本質に迫ることこそが、日本人が忘れたものを再認識させ、人生を豊かにしてくれるのである。
[ 目次 ]
序章 器量を問う事(人物観の平板さは、自らを縛りかねない 人を見る事は、自分の器を測る事 器は何歳になっても大きくできる)
第1章 なぜ日本人はかくも小粒になったのか(戦後、わが国は人物を育てようとし -
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日本人が小粒になった。
昔は、死が身近だったからもっと一生懸命生きた。
とのたまう本。
松永安左衛門が、資本主義を信奉したとか、他を搾取して自分を富ました
とか、それは他人の命名する標題に過ぎません。て言ってたとか、
(松永安左衛門「勇気ある自由」)
山本周五郎は、原稿料は読者が自分に本を書いてほしいからくれるもので
あって、私財ではない。と言ってたとか、
偉い人(福田さんのいう大粒な人)の生き方が色々書いてある。
死ぬことが天秤の片側にあって、自分の信念を貫いて生きぬかなくちゃいけ
ないのがつらいから、今の世の中になった訳で、今、誰もが頑張る理由を探
しているところに、死を感じろってのは -
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【感想】
いささか偏った表現もあるが、器を大ききすることは何のためなのかについて、考えさせられた。
* 人を評価する物差しが乏しい。
* 人というのは、複雑で多面的な存在で、そうそう簡単に切り捨てられるものではない、という当たり前のことが、いまの世間から、完全に抜け落ちている
* 自分をきちんと知ることは、とても大事なこと。昔の人が、剣術の修行をしたり、座禅をしたりしたのも、己を知るため。厳しい体験を経ることで、己の弱さと強さを認識していく
* でも今日では、体験から自分を発見する、自分がどんな人間なのかを見極める努力をしないで、基準を外に求めていく。偏 -
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人間の器量とはなにかな。
器量とは、
1 ある事をするのにふさわしい能力や人徳。「指導者としての―に乏しい」
2 その人の才徳に対して世間が与える評価。面目。多く、男性についていう。「―を上げる」
3 顔だち。容貌(ようぼう)。多く、女性についていう。「―のよい娘」
4 もののじょうず。名人。
Yahoo辞書より
仕事が出来る人より、人間として、器量がある人を目指したね。
心が広い、度量がある人
能力ある、役に立つというだけでなく、個人の枠、背丈を越えて、人のため働ける人
何の得にもならないことに命をかけられる、尋常の算盤では、動かない人間
かっこいいじゃないですか。
最近、日本人の器 -
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大正から昭和にへと、関東大震災を境に世界的な大不況下で
日本の政治はどのように変質し、日中戦争へと突き進んで行ったのか。
自由選挙が行われ、平民出身の宰相、リベラルな政治家が出現し、
民主主義としては進化したはずの日本で、なぜ外交上の失策や
軍部の独走が続いたのか。
筆者はあとがきで、自由選挙による、
軍事や政治のエリートの不在を招いた事を理由に挙げる。
いわゆる衆愚政治に陥ったという事だろう。
日本人が初めて手に入れた自由を使いこなすまでには
習熟していなかったという事か。
また当時のヨーロッパ諸国、ソ連、アメリカの状況にも翻弄された。
明治の先達が日英同盟を結んで日露戦争に勝利したような