Posted by ブクログ
2010年01月10日
大正から昭和にへと、関東大震災を境に世界的な大不況下で
日本の政治はどのように変質し、日中戦争へと突き進んで行ったのか。
自由選挙が行われ、平民出身の宰相、リベラルな政治家が出現し、
民主主義としては進化したはずの日本で、なぜ外交上の失策や
軍部の独走が続いたのか。
筆者はあとがきで、自由選挙による...続きを読む、
軍事や政治のエリートの不在を招いた事を理由に挙げる。
いわゆる衆愚政治に陥ったという事だろう。
日本人が初めて手に入れた自由を使いこなすまでには
習熟していなかったという事か。
また当時のヨーロッパ諸国、ソ連、アメリカの状況にも翻弄された。
明治の先達が日英同盟を結んで日露戦争に勝利したような
外交センスが失われていたのが大きな敗因であろう。
残念ながら現在の日本人もあまりそこから進歩していないように
思えてならない。
現在の政権も外交センスの無さ、経済政策のビジョンの無さに
関しては当時より下なのではないだろうか。
少なくとも高橋是清のような財政のプロは見当たらない。
歴史は常に勝者の手によって記されるものだという。
敗戦国である日本は東京裁判で一方的に裁かれ、
アメリカによる原爆投下やソ連による満州での蛮行が
国際的に裁かれる事は無かった。
日本人による第二次大戦の記録はしっかりと
残しておかなければならないと思う。