深町秋生のレビュー一覧
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葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子『警官の道』角川文庫。
7人の作家の短編を収録した警察小説アンソロジー。7人の作家全員が自分の好みというのはなかなかあり得ないことだ。読んでみれば、柚月裕子の『聖』がピカイチで後は平凡な短編ばかりで、少しがっかりした。
葉真中顕『上級国民』。本作に描かれる刑事事件とされなかった交通死亡事故は、2018年に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故を思い出す。実際にこういうことはありそうだ。90歳の佐々木嘉一が交通事故で亡くなった。しかし、車を運転していた谷田部洋は逮捕されなかった。その裏には驚愕の事実が隠されて -
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ネタバレヘルドッグスシリーズの完結編。
いよいよ出月があの後どうなったかが分かるのだと、期待と不安のなか読み進めていった。
真里亜という良心が登場したことで、話は希望に向かっているのだろうと思ったけれど、この真里亜と行動することで出月が警官に戻っていく感覚を得たところでどうしようもなく泣けてしまった。納見じゃないけど「出月を頼みます」と心から思った。
それと、マッサージ師の典子が登場して嬉しかった。ずっと果敢だった彼女に相応しい最期だった。
シリーズを読んできて騙され慣れてきたはずだったのに、町本の演技には驚いた。そういえば、一筋縄ではいかない組織なのだった。
みんな満身創痍で、自分のためじゃなく誰か -
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ネタバレ感想
この手の小説にはいつも飛び切り美人な女性キャリア上司が出てくる気がする。自分にもそんな上司がいたらなぁ。
ドック・メーカー黒滝はダークヒーロー。最後で逆転が起き、裏切り者は抹殺されたが、真相は闇の中。というか仲間と思っていた人が絵図を描いていた可能性を匂わせる最後に戦慄した。続きが気になる。
あらすじ
警視庁人事一課は警察のための警察、いわゆる警官の不正を暴く監察官だ。刑事・公安畑を歩んできた黒滝は、非合法なやり方でエスをしたて上げて情報を独り占めし、これまで手柄を上げてきた。ドッグ・メーカーと呼ばれていた。しかし、そのやり方をよく思わない上層部によって閑職に追いやられていたところを -
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ネタバレ感想
神宮との最後の対決は、ハリウッド映画さながらのアクションのようだった。
ターゲットが分からない中での潜入はスリルがあり、楽しく読めた。
あらすじ
興奮作用が強い麻薬クールジュピター、通称CJ。神宮が販路を開拓し、日本に卸していた。その組織で苅田は弟と一緒に殺し屋をやっていた。
ある日、弟がCJに手を出していたことが発覚し、元恋人の家に連れ込んで、日本から逃げることを画策するも、苅田に捕まり、二人を失い、自分も大怪我を追う。
救い出された苅田は組対の課長の手伝いもあり、顔を変えて再び神宮の組織に潜入する。
組織に潜入した苅田は佐伯と名乗り、以前と同じところに席を置く。日本最大の華 -
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深町秋生さん初読みの『新装版ジャックナイフ・ガール』の概要と感想になります。
本作は装画に惹かれて購入し、あらすじからハードボイルドな内容だと身構えていましたが、面白くて一気読みしてしまいました。
※注意事項※
本作は過激な描写や卑猥な言葉が多いため、抵抗ある方はお気を付け下さい。
概要です。
20XX年の荒廃した仙台市に拠点を置く桐崎マヤは率いる仲間のリーダーとしてヤクザ、マフィア、警察を相手に、シースナイフを始めとした様々な刃物を巧みに操りながら「切り裂きマヤ」の異名を轟かせていく。その勇姿は弱者の希望であり、世直しに心血を注ぐジャンヌ・ダルクかの如く。
洋画「マッドマックス」や漫 -
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ネタバレ感想
八神瑛子シリーズ第二弾。美人の割にえげつない。目的のために手段は選ばず。かっこいい。
今回も署長から差し向けられた辞め刑事のマークを簡単にくぐり抜け、対するはメキシコの殺し屋。到底勝てそうにない死戦をくぐり抜け、夫の死に関する情報を手に入れる。これは次の巻も見逃せない。
それにしてもこの巻は警察はほとんど何もしなかったな。警察こんなアマゾネスみたいな人がいたら頼もしいけど。
あらすじ
物語は八神が、覚醒剤の売人夫婦を捕まえるところから始まる。メキシコ産の安い覚醒剤が大量に出回り、警察も対応に追われていた。
瑛子は前回の事件で千波組の組長の娘が殺害されたつながりで、組長の有嶋に会い -
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ネタバレヘルドッグスシリーズ第二作目で『地獄の犬たち』の前日譚に当たる。
兼高が出てこないので物語に入り込めるか心配だったが、それは杞憂だった。また新たな魅力的なキャラクターが登場して、読者を極道の世界に引き摺り込んでいく。
ヤクザを憎む危ういマル暴・我妻の最期、すごく悲しかった。もう一人の主人公、ヤクザの織内も悲しい道を歩んでおり、この似たもの同士の二人が死ぬところは見たくないとさえ思った。二人それぞれの地獄を見て追っていて、知らず知らずのうちに情が移ってきてしまう。
闇を抱えた・抱えさせられた人々の絶望は計り知れないけれど、暴力でしか解決できない世界もあるのだろうと思う。
誰が一番怖いのか、考えた -
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ネタバレ感想
アマゾネス降臨。男もので立ち回りをする警察関係の小説はよく見るが、女性で、豪快かつ、狩猟犬のようにたち回るものに出会ったことがなかったので、読んでいて、ドキドキするが、スカッともする。
夫の死の真相に迫るという十字架を背負っているのも今後の鍵になりそう。二作目に期待。
あらすじ
警視庁上野署組対課の八神瑛子は、夫の死に不審な点を抱き、組対に転属し、高い検挙率を誇るエースだ。しかし、手段を選ばず、中国マフィアとも関わる彼女は、警察だけでなく、黒社会からも疎まれていた。特に、上野署署長の冨永は違法捜査を暴いて、八神を警察から追い出そうとしていた。
ある日、女子大生の殺人事件が起こる。殺