深町秋生のレビュー一覧
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深町秋生『鬼哭の銃弾』双葉文庫。
未解決事件の呪縛に囚われた元刑事の父親と、父親を憎みながらも父親と同じ刑事の道を歩む息子の物語と警察ミステリーが展開していくという非常に面白い小説であった。
久し振りに男臭い小説を読んだような気がする。刑事であり続けるために家庭をも犠牲にした男の執念と最後に見せた男なりの息子への罪滅ぼし。
プロローグに描かれ、物語の中核となる『スーパーいちまつ強盗殺人事件』は『スーパーナンペイ強盗殺人事件』をモデルにしたものと思われる。被害者の人数や使用された拳銃、事件の状況などが似ている。
捜査一課の刑事である日向直幸は幼児の虐待殺人事件の捜査を終え、一段落したのも -
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ネタバレ最近、精神的な不安定さから読書から遠ざかってしまってる中で出会った一冊。ヤクザ物という刺激が強すぎて受け入れられないと思いきやあっという間に読み切った笑。
某漫画サイトでヘルドッグスの漫画版を何気なく読んだ。数話を読んでヤクザの残虐さを知った。タッチに迫力があり、面白くて圧倒された。待てば0円…続きが待てない笑。
さぞ人気のある有名な漫画なんだろうと検索すると、まず岡田准一・坂口健太郎の映画が表示された。あらすじを読んで、ヤクザの世界への潜入捜査と知る…漫画の数話読んだだけだと警察官というのはまだ明かされてなかった為、ストーリーに違和感を感じた。純粋なヤクザの話ではないのか?あれ、別の作品 -
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ヘルドックスシリーズの最終章。
圧倒的なバイオレンスで、何人も死んで何人も悲惨な目にあい、狂気と暴力の渦巻く作品だったが、前ニ作品共に最高に面白い作品だった。
今作は気になっていた兼高のその後が明かされていく物語。
時系列的に今作品は兼高が失踪して1年後が舞台。物語は捜査一課の神野真理亜が中心人物。別件の記者殺しの捜査から兼高ファイルの存在を知り、後戻りのできないパンドラの箱を開けてしまう。
例によってまた暴力と殺戮の連続。
前2作品が大きく関わっている為、内容と世界観は凄く濃い。
最後、刑務所内で兼高(出月)の描く絵の描写がある。皆が敵味方なく笑って酒を酌み交わす絵。
自分の命以上に威 -
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「ヘルドックス」シリーズの2作品目。
前回の続きかと思っていたが、時系列では前作「ヘルドックス」の前日譚にあたる。
前作同様、出てくる人物が非道で外道でバイオレンスのオンパレード。だが奥深さがあり凄く面白い作品だった。
「ヘルドックス」同様、複雑に周到された罠や策略やら陰謀がはりめぐらされている。
「ヘルドックス」と今作品をセットで考えて捉えてみると全体の流れが全てが府に落ちてくる。
特に阿内、勝一の前作で影になっていた部分が明らかになってきて、なるほどと納得、解釈する事ができた。
そして勝一の実体がそんなだったとは。
前作では想像もしない展開で自分の創見の上を行く内容だった。
次作「天 -
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久し振りの本格派の極道物の作品。
主人公は関東最大のヤクザ組織の内部に潜り込んだ警察官、兼高。
映画「インファナルアフェア」を彷彿させる物語でとても面白い作品だった。
グロすぎる描写や悲痛が伝わってくる場面や状況が凄く多く、読んでいるだけなのに自分まで呻き声をあげそうになる。
途轍もない殺人や拷問が繰り広げられ、そのバイオレンスが凄すぎる。
この作品の凄い所は警察もヤクザも両方を外道として描いている所。どちらか一方からの作品は数多く読んできたが、両者が外道で非道な作品はあまりないのでは?と思う。それを圧倒的なバイオレンスで描ききっている。
主人公兼高のどの道も外道になっていくその過程もとて -
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ネタバレ感想
面白かった。瑛子を警察から追い出そうとする署長の青臭さに嫌気がさしていたが、その署長が最後は助けに入るなんてびっくり。裏で操っていた五條を最後にやっつけられたのはスカッとした。
警察モノの読みすぎで、真相がいつも警察官僚の汚職に繋がるのですっかり信用できなくなってしまった。
あらすじ
八神瑛子は夫の死の真相に迫るべく調査を着々と進めていた。不審に自殺をした新宿のヤクザの組長を調べるうちに、金庫番をしていた投資家に行き着くが、彼も謎の死を遂げていることが分かる。
組長が可愛がっていた設楽という男がフィリピンから帰ってきているという噂を聞きつけ、捜査をするうちに新宿署の組対刑事が、組を -
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文庫本書き下ろし「天国の修羅たち」は、単行本で読みたい作品でした。
「ヘルドック」シリーズは「地獄の犬たち」で始まり、忽ち深町先生の筆力の虜となった。「煉獄の獅子たち」を挟み今回の作品で完結となりました。
一週間前の深夜、新大久保のコリアンタウンの中層マンションで老ジャーナリストの 宮口暁彦が殺害され事務所の書斎で床に倒れた状態で発見された。
警視庁の調べによると、単なるヤクザ者の仕業とは考えられないプロ集団であることがわかったのだ。鑑識の指紋鑑定係によると来訪者の物と思しき指紋を湯呑から採取された。
神野真理亜(主人公)は捜査会議に出席したが、指紋のことは特に問題になっていな -
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ネタバレヤクザにも物怖じしない、恐れ知らずの老ジャーナリストが殺害された。犯人を追う警視庁捜査一課の神野真里亜は、元同僚の鑑識官から、信じられない人物が捜査線に上がったことを知らされる。真実を明らかにするべく独自に捜査を進める真里亜は、気がつけば警視庁を揺るがす陰謀に巻き込まれていた……。読む者すべてを圧倒する、映画原作「ヘルドッグス」慟哭の完結編!
完結編という通り、数々の伏線や前作たちでどうなったの?と言った人々に決着がつく回。真里亜の立ち位置が最後までよくわからなかったが、兼孝の最後を見守る役目ってところなのかな。
黒幕たちが次々と逮捕されたり、過去に登場した極道たちも殺害や逮捕されていく。三 -
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ネタバレ関東最大の暴力団・東鞘会の跡目争いは熾烈を極めていた。現会長の実子・氏家勝一は、子分の織内に台頭著しい会長代理の暗殺を命じる。一方、ヤクザを憎む警視庁の我妻は東鞘会壊滅に乗り出していた……。
前作『ヘルズ・ドッグ』の前日譚に当たる今作。前作以上に業が深い登場人物ばっかりであった。煉獄の獅子と題名にあるように、己の信念や正義を貫くために、生きていく彼らや彼女ら、輝いているが、その輝きが失われたり霞んだりする瞬間に死んでいく様は鮮やかであった。
前作に出てこない人や、死亡が伝えられていた登場人物たちも、壮絶な死に方をしており読み応えがあった。ソトクの我妻への対応は苛烈ではあったが、脇が甘い警察 -
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ネタバレ東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。その夜、一人になった兼高は激しく嘔吐する。実は兼高は警視庁組対部に所属する潜入捜査官だったのだ。後継者問題をめぐり、東鞘会では血で血を洗う抗争が続いており、喜納殺害はその一環だった。兼高の最終任務は東鞘会会長である十朱の殺害。十朱は警視庁を揺るがす、ある“秘密”を握っていた。ボディガード役に抜擢された兼高は、身分が明かされた瞬間に死が迫る中、十朱への接近を図るが……。
ターゲットである十朱の秘密。それは、彼自身も潜入捜査官であったことだった。開始早々に語られるその真相に続きの展開がどうなるの -
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著書(前日譚)からヘルドッグスへの繋がり方が良かった。「なるほど」と唸る奇抜な発想、展開には驚かされヘルドッグスを再読したくなる。ハラハラドキドキが勝るとも劣らない(ヘルドッグス)どちらかと言うと個人的には著書の方が好みの展開であった。個性豊かな登場人物それぞれの物語(ストーリー)もしつかり描かれ、感情移入というより客観的に臨場感(暴力・陰謀・裏切・緊張等)を堪能し物語に夢中となる。後半ここで終わらないで欲しい、もっとこの物語を読んでいたいという気持ちでいっぱいになる。読後別の本を読むつもりでいたが、即書店へと走り「天国の修羅たち」購入 読み始める。