今尾恵介のレビュー一覧
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ネタバレ地名崩壊
著者:今尾恵介
発行:2019年11月10日
角川新書
大阪市でも1980年代に住居表示が変わり、例えばミナミの畳屋町が東心斎橋となるなど、雰囲気のある町名が消えていった。北区でも、梅ヶ枝町、老松町、空心町などが、みんな西天満や東天満になった。
この本によると、「心斎橋」という地名はもともとなかったらしい。ブランド地名として行政がグルになって増やしていったということになる。
1923年の関東大震災による復興事業、1962年に実施された住居表示法、平成の大合併により、歴史を感じる地名がどんどん抹殺された、とくに1962年の住居表示法は「地名ジェノサイド」を招いたと著者は嘆いている。
また、最近、続々と誕生している政令指定都市の区名についても、元々ある地名」は候補から外すという「民主主義」が横行していると嘆く。
地名は、馴染んでいればどうということはないものだけど、昔を知っている者にとって、単純なブランド化や安直な「平等化」による地名変更はなんとも嘆かわしいに違いない。
思惑が入り乱れて、結局、意味不明の長いものになる鉄道の新駅名にやるせなさを感じている身として、同感する部分がある。
****(メモ)******
(冗談みたいな地名)
・福岡県宗像(むなかた)市に「くりえいと」という地名がある。愛称とかではなく正式地名。
・山形県酒田市の旧市街地東側にある「こあら」という地名は、「古荒(こあら)新田」にちなむ。廃田を意味する古荒を復旧させて新田とした土地だったが、新しい住宅地として動物をイメージする「こあら」としているのだろう。これも正式地名。
・札幌市の北に隣接する当別町に「スウェーデンヒルズ」という地名がある(愛称でなく正式地名)。スウェーデン住宅が並ぶ新興住宅地。
・東京にあった八重洲町(今は丸の内2)は、オランダ人ヤン・ヨーステンの屋敷にちなんだというのが有力説。
(ブランド地名)
・駅名でワンランク上の住宅地の響きを持つのが「○○ケ丘」だが、元祖はおそらく大阪の夕陽丘駅あたりだろう。
・不動産が高く売れる地名、すなわちブランド地名。商業地なら銀座、住宅地なら田園調布や成城、芦屋など。そのエリアは広がっていっている。銀座のエリアが広がったのは、関東大震災の復興事業が始まり。
・品川区の戸越銀座商店街は、全国にある繁華街における「銀座」命名とは事情が違う。関東大震災で壊滅的な被害を受けた銀座での大量がれきを引き取って水はけの悪かった地面に敷き詰めたという縁があったので、「戸越銀座」と命名した。ただし町名は「戸越」だった。
・成城にある8棟からなる大規模マンションは、1棟だけ狛江市内にほぼ入っているのに、住居表示を「世田谷区成城」とするのに成功した。「一体とした建物」との解釈で代表地番表示にできたのだろう。この棟の住民は世田谷区民として世田谷区に住民税を納めるが、固定資産税は狛江市にも納めているという珍現象が起きている。
(駅名)
・地名階層とは、地球>アジア>日本>関東地方>東京都>千代田区>丸の内、というようなこと。新幹線の駅名は地名階層が上である必要。ターミナル駅の大阪駅は「梅田駅」だと地方の人にわかりにくい。
・関東での最初に営業運転した電車は大師電気鉄道の六郷橋付近から大師までの間。川崎駅を起点としなかったのは、人力車組合の激しい反対があったから。
・「浦和」駅は全部で8つある。浦和駅、北浦和駅、南浦和駅、西浦和駅、東浦和駅、中浦和駅、武蔵浦和駅、浦和美園駅。乗り換えの間違いを防ぐため、それぞれの地名を採用せず、機能一本槍の地名ばかりになったと著者は嘆く。
・八戸駅は元々支線の八戸線上にあったが、幹線を走る列車の乗客にわかりやすいよう、東北本線の乗換駅であった尻内駅を1971年に八戸と改称し、旧八戸駅を本八戸(ほんはちのへ)駅とした。
・ニュータウンの駅は「中央」がつく駅が多い。千里中央駅、日生中央駅など。
・新大阪など「新」がつく駅名のうち、現存する最も古い駅は京急の新子安駅、1910年開業。今はない駅名では、名鉄の新一宮駅で、1900年ごろに一ノ宮駅から新一宮駅に(尾西鉄道)。そして、2005年に名鉄一宮に変わった。
(合併後の地名)
・中国の武漢市は、1949年に武昌市、漢口市、漢陽県が合併してできた。
・1874年、筑摩県時代の安曇郡で、上鳥羽村、下鳥羽村、吉野村、本村、成相町村、成相新田町村が合併。鳥羽(と)、吉野(よ)、新田(し)、成相(な)の頭文字をつなげ、豊科村(長野県安曇野市)になった。そして、更科や埴科(はにしな)、明科といったシナのつく地名の多い信州らしい地名を創出した高等テクニックには舌を巻く。
(珍現象、雑学)
・世田谷区の自由が丘駅前はかつての水田地帯で、自由が丘という谷から南へ歩けば、奥沢という大地に上がっていくという逆転現象が起きている。
・かつて東京に存在した「淀橋区」は、1947年の統合で23区となったときに新宿区となったが、淀橋という町名は残った。ここに1967年に創業したのがヨドバシカメラ。 -
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由緒ある地名が簡単に消滅する時勢に警鐘を鳴らす一冊。
キラキラネームと同様に地名にもひらがなとカタカナが流行。特に平成の大合併で激変している。難読地名をひらがなにした「こあら(小荒)」はよいとして、あるかぽーと(下関市)、メルヘンランド(小矢部市)、豊幌はみんぐ町(江別市)など。
合成地名も今ではそうと気づかないほど定着していることも。谷津・久々田・鷺沼で津田沼とか鳥羽(と)、吉野(よ)、新田(し)、成相(な)で豊科。
最近では災害地名が有名だが本書は具体的な場所がはっきりしない災害地名は当てにならないことを指摘している。
土地のイメージが地価に影響することもあるので、部外者があまり言うべきでひないが、せっかくの由緒ある地名、大切にしてほしいものだ。 -
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帝国書院からの出版です。
小学校の時に誰もが目を通したであろう
地図帳も帝国書院です。
その帝国書院から地図研究家として名高
い今尾氏の執筆とくれば、読まずには
いられません。
あらゆる情報が詰まった地図帳でありま
すが、充分にそれを使いこなしていると
は言いがたいと思える人こそ読むべき
一冊です。
例えば最近は県境マニアが注目を浴びて
います。アメリカにも同様のマニアがい
て、4つの州が出会う場所があるらしい
のです。
ユタ州、コロラド州、アリゾナ州、ニュ
ーメキシコ州の州境が集まっているそう
です。そんな場所も地図から読み取るこ
とができます。 -
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日本全国、いや世界の駅名の名付け方、改称の傾向や歴史を丹念にまとめた、まさに「学」を極める1冊。著者の調査の徹底ぶりは、巻末の付表のボリュームを見ただけでも分かります。
土地の名をイメージだけで変えてしまった「五月台」や、逆に地名が整理されても駅名として残ったゆえに世間に定着した「原宿」など、地名と駅名の着かず離れずな関係がうかがい知れるのも興味深い所。
著者は高輪ゲートウェイのネーミングセンスに疑問を提示していますが、あれだけの騒ぎもあっという間に忘れ去られ(流行語大賞にノミネートすらされませんでしたね)、数年後には駅名としてもエリア名としても完全に定着してしまうのでしょうね。かくも駅名の影響力は偉大な訳です。
京葉線の幕張新駅、高輪に懲りて公募はしないようですがどんな名前になるのでしょう。「イオンモール前」とか嫌だなあ。 -
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キラキラ地名に警鐘を鳴らす。高輪ゲートウェイ駅の開業を機に駅名とその元となる地名について体系的にまとめた画期的な本。
駅名をどうするか、鉄道開通からの問題、自治体名だったり広域地名、大字や名所旧跡など。全国、手荷物の誤配を防ぐためにあえて地名に方角をつけたり旧国名を冠したり。
戦争の進展とともに軍施設を表す駅名や観光地の駅名は改称を余儀なくされ、戦後は住宅開発により○○ヶ丘(実は戦前からあるというが)や〇〇台の駅名、地名。
キラキラネームと同様に駅名、地名もひらがな、カタカナが増えるのが最近の傾向のようである。
戻元は高輪ゲートウェイ駅のネーミングに違和感を感じたことが本書執筆のきっかけとのこと。
普段何気なく接する駅名の実はディープな世界を胆嚢できる作品。 -
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普段誰も気に止めるとこのない踏切。実はその名称は隠れた歴史の証拠。日本全国の珍名踏切を実際に訪れる贅沢な旅の記録。
地名や駅名と異なり、踏切名を変更することはほとんどないようである。そのため小字名だったり、ランドマークとなる建物名や今は使われない通りの通名などが踏切の名に遺されている。
パーマ踏切、爆発踏切、勝手踏切など。
実際に踏切を訪れ、通りがかった人に取材をしている。多くの人に不審がられる様子が面白い。また10年ぐらい前と言っても実際には30年以上経っている例が経験上多いというのも良く分かる気がする。
減少傾向の踏切。また私鉄では駅名と通し番号のみのことも多いという。旧国鉄の踏切名、筆者の調査、取材力の高さに圧倒される一冊でした。 -
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ネタバレ<目次>
まえがき
第1章 駅とは何か
第2章 駅名に採用される地名とその階層
第3章 在来線の駅名
第4章 路面電車の停留場
第5章 新幹線の駅名
第6章 寺社仏閣の駅名
第7章 数多い「前の駅」
第8章 東西南北と中、そして新
第9章 駅名が変わるとき
第10章 観光のための改称
第11章 防諜のための改称
第12章 住宅地系の駅名はブランド化する
第13章 これからの駅名はどうあるべきか
<内容>
山手線に50年ぶりに生まれた新駅「高輪ゲートウェイ」。能町みね子さんが駅名の反対署名をしていたが、著者もこの駅名に大反対。そのあたりにインスパイアされたか、かなり真面目に「駅名学」を論じている。私は基本的に著者の考え方に賛成。地名は歴史であり、文化財なのだから、ヘンな改変や新しい珍名を作るなら、その地の大字名や古くからの通称名を使えばいい。京急も今年6つの駅名を変えたが、いま一つの気がする。ぜひ、みんなに考えてほしい問題である。 -
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私は地図マニアではないが、本屋でたまたま手に取った本書がなかなか愉しくて紐解いた。世界と日本の地図が全頁カラーで載っているけれども、私の興味関心から日本の「深イイネ!」と思った部分をメモする。
⚫︎四万十川が太平洋を目前にして内陸へ向きを変えているのは、南海トラフ地震が何度もあって、海岸線に山ができたから。
⚫︎この前広島県三次もののけミュージアムに行ったのだが、そこを流れる江(ごう)の川は、そのあと広島港まであと25キロまで来て、八千代から島根県方面に流れて江津にたどり着く。これは、中国山地の隆起量に対し江の川の浸食量が根性で凌駕した結果らしい。
⚫︎私がパラパラめくって面白いと思った所。まるで盲腸の突起のように、境界線が入り組んでいるところがある。最もわかりやすいのが、大阪市が松原市内に細長く飛び出した部分(長さ620m、幅2mほど)がある。地図の赤色点線の市境の記号がとてつもなく異様だ。これは阿麻美許曽神社の参道のためです。この規模の大きいのが、山形、福島、新潟の県境にある飯豊山神社の参道で約8.3キロに及んでいる。地図で、こういうのを見つけれたら、楽しいだろうなぁ。
⚫︎知らなかったが、和歌山県は「飛地」を持っている。新宮市の東北に三重県と奈良県の間に新宮市が2カ所ある。練馬区には、埼玉県新座市の中に練馬区飛地がある。13軒の家があり、ゴミの収集や学区問題では55m離れているだけなので困っていないが、東京ブランドのお陰で隣の土地より2割も地価が高いらしい。他に神奈川県相模原市の東京都町田市飛地、大阪府池田市の兵庫県伊丹市飛地がある。
⚫︎地名の読み方にも一章を設けている。原音に忠実に書くのは難しいらしい。コラムで、岡山は地元民間では「おきゃーま」と言っている、と書いているが、地元民として言うが何十年前の話をしているのやら。
⚫︎わざとなのか?表紙に使われた地図の説明が一切ない。よく見ると、東京都日本武道館の隣に史跡(?)として「ヒカリゴケ生育地」とある。また、大分県、熊本県、福岡県の県境に酒呑童子山がある。九州に何故?そのすぐ側には、カメルーン選手たちの練習場になった中津江があり、鯛生という閉山した鉱山があった。ちょっと調べたら金山で70年代まで掘っていたらしい。いろいろ気になるー!
地図って、楽しそう! -
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 都心・山の手編
第2章 都心・下町編
第3章 山の手・西北編
第4章 武蔵野・郊外編
<内容>
平凡社『太陽の地図帖』のシリーズ「東京凸凹地形案内」の解説をベースに加筆、再編したもの。「デジタル標高地形図」をカラーでしっかりと載せているため、とても分かりやすい。近年流行りの地図読み&街歩きに最適な本である。そもそも著書は地図オタクで有名。
しかし、「はじめに」にあるように、近年のマニアは「地図ナイト」と称してマニアが集っているらしい。まあ、若者は少ないと思うが(本校でも地理を受講する生徒はとても少ないし、地理担当教師が「地図が読めない」とボヤているので。教師仲間では、小学校の女性教師たちが地図が読めないので、小学校の社会科での地理の授業の手を抜いているのではないか⁈と想像している)、オジサンたち団塊の世代は、教養を持て余しているのですね。
内容に触れませんが、地形を基に都内散歩をするには、ぜひこの本を持っていくか予習してもらうと楽しい散歩ができると思います。