【感想・ネタバレ】地名崩壊のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2021年04月07日

地名にもキラキラネームの波は押し寄せて
います。

市町村の合併などで新しい名前の地名が生
まれます。その名称はまさしくキラキラネ
ームのオンパレードです。

ひらがなだけで表現する⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎市、地名と
は全く関係なくイメージだけで選ばれた
⚪︎⚪︎ヶ丘など、もはやその地名がどこの県
にあるの...続きを読むか判別できなくなっています。

なぜそうなるのか。

誰からも文句が出ない名前に落ち着いた感
があるキラキラ地名が決定されるプロセス
や、そもそも以前の地名は何だったのか。

今となっては以前の地名のままの方が良か
ったのでは?と思わせるくらい過去の歴史
を紐解いて、地名にこだわりぬき、キラキ
ラ地名の幼稚さを知らしめる一冊です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月30日

地名崩壊

著者:今尾恵介
発行:2019年11月10日
角川新書

大阪市でも1980年代に住居表示が変わり、例えばミナミの畳屋町が東心斎橋となるなど、雰囲気のある町名が消えていった。北区でも、梅ヶ枝町、老松町、空心町などが、みんな西天満や東天満になった。
この本によると、「心斎橋」という地名はも...続きを読むともとなかったらしい。ブランド地名として行政がグルになって増やしていったということになる。

1923年の関東大震災による復興事業、1962年に実施された住居表示法、平成の大合併により、歴史を感じる地名がどんどん抹殺された、とくに1962年の住居表示法は「地名ジェノサイド」を招いたと著者は嘆いている。
また、最近、続々と誕生している政令指定都市の区名についても、元々ある地名」は候補から外すという「民主主義」が横行していると嘆く。

地名は、馴染んでいればどうということはないものだけど、昔を知っている者にとって、単純なブランド化や安直な「平等化」による地名変更はなんとも嘆かわしいに違いない。
思惑が入り乱れて、結局、意味不明の長いものになる鉄道の新駅名にやるせなさを感じている身として、同感する部分がある。

****(メモ)******

(冗談みたいな地名)
・福岡県宗像(むなかた)市に「くりえいと」という地名がある。愛称とかではなく正式地名。
・山形県酒田市の旧市街地東側にある「こあら」という地名は、「古荒(こあら)新田」にちなむ。廃田を意味する古荒を復旧させて新田とした土地だったが、新しい住宅地として動物をイメージする「こあら」としているのだろう。これも正式地名。
・札幌市の北に隣接する当別町に「スウェーデンヒルズ」という地名がある(愛称でなく正式地名)。スウェーデン住宅が並ぶ新興住宅地。
・東京にあった八重洲町(今は丸の内2)は、オランダ人ヤン・ヨーステンの屋敷にちなんだというのが有力説。

(ブランド地名)
・駅名でワンランク上の住宅地の響きを持つのが「○○ケ丘」だが、元祖はおそらく大阪の夕陽丘駅あたりだろう。
・不動産が高く売れる地名、すなわちブランド地名。商業地なら銀座、住宅地なら田園調布や成城、芦屋など。そのエリアは広がっていっている。銀座のエリアが広がったのは、関東大震災の復興事業が始まり。
・品川区の戸越銀座商店街は、全国にある繁華街における「銀座」命名とは事情が違う。関東大震災で壊滅的な被害を受けた銀座での大量がれきを引き取って水はけの悪かった地面に敷き詰めたという縁があったので、「戸越銀座」と命名した。ただし町名は「戸越」だった。
・成城にある8棟からなる大規模マンションは、1棟だけ狛江市内にほぼ入っているのに、住居表示を「世田谷区成城」とするのに成功した。「一体とした建物」との解釈で代表地番表示にできたのだろう。この棟の住民は世田谷区民として世田谷区に住民税を納めるが、固定資産税は狛江市にも納めているという珍現象が起きている。

(駅名)
・地名階層とは、地球>アジア>日本>関東地方>東京都>千代田区>丸の内、というようなこと。新幹線の駅名は地名階層が上である必要。ターミナル駅の大阪駅は「梅田駅」だと地方の人にわかりにくい。
・関東での最初に営業運転した電車は大師電気鉄道の六郷橋付近から大師までの間。川崎駅を起点としなかったのは、人力車組合の激しい反対があったから。
・「浦和」駅は全部で8つある。浦和駅、北浦和駅、南浦和駅、西浦和駅、東浦和駅、中浦和駅、武蔵浦和駅、浦和美園駅。乗り換えの間違いを防ぐため、それぞれの地名を採用せず、機能一本槍の地名ばかりになったと著者は嘆く。
・八戸駅は元々支線の八戸線上にあったが、幹線を走る列車の乗客にわかりやすいよう、東北本線の乗換駅であった尻内駅を1971年に八戸と改称し、旧八戸駅を本八戸(ほんはちのへ)駅とした。
・ニュータウンの駅は「中央」がつく駅が多い。千里中央駅、日生中央駅など。
・新大阪など「新」がつく駅名のうち、現存する最も古い駅は京急の新子安駅、1910年開業。今はない駅名では、名鉄の新一宮駅で、1900年ごろに一ノ宮駅から新一宮駅に(尾西鉄道)。そして、2005年に名鉄一宮に変わった。

(合併後の地名)
・中国の武漢市は、1949年に武昌市、漢口市、漢陽県が合併してできた。
・1874年、筑摩県時代の安曇郡で、上鳥羽村、下鳥羽村、吉野村、本村、成相町村、成相新田町村が合併。鳥羽(と)、吉野(よ)、新田(し)、成相(な)の頭文字をつなげ、豊科村(長野県安曇野市)になった。そして、更科や埴科(はにしな)、明科といったシナのつく地名の多い信州らしい地名を創出した高等テクニックには舌を巻く。

(珍現象、雑学)
・世田谷区の自由が丘駅前はかつての水田地帯で、自由が丘という谷から南へ歩けば、奥沢という大地に上がっていくという逆転現象が起きている。
・かつて東京に存在した「淀橋区」は、1947年の統合で23区となったときに新宿区となったが、淀橋という町名は残った。ここに1967年に創業したのがヨドバシカメラ。

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Posted by ブクログ 2021年02月17日

由緒ある地名が簡単に消滅する時勢に警鐘を鳴らす一冊。

キラキラネームと同様に地名にもひらがなとカタカナが流行。特に平成の大合併で激変している。難読地名をひらがなにした「こあら(小荒)」はよいとして、あるかぽーと(下関市)、メルヘンランド(小矢部市)、豊幌はみんぐ町(江別市)など。

合成地名も今で...続きを読むはそうと気づかないほど定着していることも。谷津・久々田・鷺沼で津田沼とか鳥羽(と)、吉野(よ)、新田(し)、成相(な)で豊科。

最近では災害地名が有名だが本書は具体的な場所がはっきりしない災害地名は当てにならないことを指摘している。

土地のイメージが地価に影響することもあるので、部外者があまり言うべきでひないが、せっかくの由緒ある地名、大切にしてほしいものだ。

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Posted by ブクログ 2020年02月18日

高輪ゲートウェイ駅のことを書いたネット記事で紹介されているのを見て手にした新書。
地名の由来から、駅名との関係、合併だとか住居表示法とかでどんどん崩壊させられてきた地名について。
実家は平成の大合併を免れて、生まれた時から変更なし。川の上流下流で上下の地名が残ったまま。田舎っぽい名前ではあるものの、...続きを読む残さないといけないんだろうなと思った。

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Posted by ブクログ 2024年02月12日

 偶然筆者のトピックと自分が通り過ぎた場所が、似ていたなと思う。

 地名の由来はなるほどと思ったが、この本はさらに予想外の効果をある一定の読者にもたらす。

 本の趣旨とは異なるが、地名は現在に至るまでの思い出と連動している。この本を読むことで、すっぱい記憶など悲喜交々を思い出すことができる。

...続きを読む 

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Posted by ブクログ 2022年11月08日

えー、面白くなかった。。
途中で読むの止めようかと思ったゎ。
途中まで、☆2つにする気満々。最後の方だけ「本」っぽくなったから、辛うじて総合3に上げた感じ。

なんてか、ただ脈絡もない事実を前半は羅列してるし、あまり大した事実でもないし、(もちろん、史実を調べること自体が大変だったりプロの技なんだろ...続きを読むうということを置いといて。一般向けに出しといて、だから何だ、て感じ。)
しかもそもそも、「事実」がわからないことが多すぎる地名の論争のなかで、特段環境証拠や客観的理論にのっとることなく、僕はこう思うんだよね、ていう一言が載っているだけ。
これは...ブログ感すごくて。
本、なのか?!ていう。

最後の方だけは、やっと若干だけそういう論調になってきてホッとしたけど、まだ足りない。
そもそも、昔の地名が失われて、、てひたすら強調してるけど、その論拠は???
考えようによっては、桶屋町、とか、単純に桶屋街があったからそう名前つけた、とかいうレベルのもので、由緒云々の話でないとも言えるなかで、保存の意義は???とちょっと思ってしまいました。保存したくなるようなやつなら保存すればいいし。もうちょっと、真面目な本かと思ったし、それらの論調に根拠が得られるのかなと思って読んでみただけに、残念。

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Posted by ブクログ 2021年05月13日

知人が持っていたものをたまたま借りることになり読んだ一冊。
わかりやすさ、管理のしやすさを追及することによって、大事な歴史や文化、伝承が失われていくことを憂えている。

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Posted by ブクログ 2020年05月19日

久しぶりの新書。タイトルに興味をもち本屋で衝動買い。自分の知ってる地域の地名の由来などは読んでて面白かった。歴史的価値のある地名が消えてただの整理番号のような住居表示になってしまった事が残念って言う本だった。

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Posted by ブクログ 2020年03月29日

なるほど、と思ったのは地名はどの範囲に限定するかによって命名の視点が異なる、という話。例えば、鬱蒼たる松林の中では「松の木」のような地名は特徴にならないため、「一本松」といった地名は見渡す限りの原っぱに命名されることが多いとか、平らな台地にはクボの地名が多いとか。

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Posted by ブクログ 2020年03月22日

地名には古来からの遺産的な要素があり、現代の価値観で軽々に帰るべきではないという論旨。

この地名にはこういう由来がある、という実例が豊富に紹介されており、知識が深められて楽しかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年03月19日

確かに昭和平成令和で地名が大きく変わった。社会システムが農業系から初めて離れたのだから仕方ない、と個人的には思うのだが。

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Posted by ブクログ 2019年11月28日

タイトルに惹かれて購入。

普段、電車で通り過ぎる駅名やニュースで聞く地名など改めて由来について着目すると、「地名にも歴史あり」というのを実感しました。
本書では、様々な地名・駅名を挙げて、分析をしています。比較的、関東の地名や駅名が多く載せられているので、関東の人には親しみがあるかと思います。
...続きを読むうして、由来について改めて見ると、「あーたしかに」と思ってしまった地名が続々とありました。
合併されて消滅してしまった地名や新たな地名が誕生したりと何かのきっかけでないと、あまり意識しません。

近年では、漢字とカタカナ、漢字とひらがなの組み合わせも目立ちます。なんとなく漢字のみだった硬いイメージから丸みを帯びた柔らかいイメージへと変化することは、時代の流れでもありますが、なんとなく違和感もあります。その例が「高輪ゲートウェイ」駅。何年か経ったら、慣れるかもしれませんが、これで良いのかなぁと思ってしまうこともあります。近い将来、このような組み合わせが当たり前になるかもしれません。
地名で考えると、色々と合併されて覚えやすくなる反面、消えた地名が寂しくなります。何十年か経ったら、多くの人の記憶から忘れ去られるかもしれません。

自分自身としましては、生まれた故郷・今まで育った場所の地名・駅名だけでも記憶の片隅に残していけたらなと思います。
世間としましては、何かの商品や店名などに昔の地名を加えて、未来へと残してほしいなと思いました。

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Posted by ブクログ 2019年11月26日

<目次>
第1章  地名の成り立ちと由来
第2章  駅名と地名の関係
第3章  キラキラ地名が生まれる事情
第4章  土地の安全性が地名でわかるのか
第5章  地名を崩壊させないために

<内容>
平成の市町村合併が終わり、多くの市町村が消えていった。また地名も激減している。地名そのものの危機とその...続きを読む状況を丁寧に書いたもの。
「高輪ゲートウェイ」がきっかけのようだが、著者の言う通り、手遅れの可能性も…。どの時代の地名ならいいのか?というラインもないが、昔からそう呼ばれているわけと使用頻度が、地名を使うかどうかのラインではないか?誰もが「ああ」というものが地名だろう!

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