今尾恵介のレビュー一覧
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「地図」というメディアをこれほど楽しんでいる人は他にはいないのではない
でしょうか。
二次元の地図が表している情報を、たとえば珍地名を探すなどという楽しさを
求めるだけでなく、過去の同位置の地図との比較により、その土地がどのよう
な歴史的経緯を辿ってきたかことに着目します。
最近でも江戸時代の街並みの地図を確認しながら、現代を歩こうという企画が
花盛りです。
それはデジタルによる恩恵が大きいことは否定できません。一方で、デジタル
時代により、紙の地図は消えつつあるかもしれないです。
しかし、いつでもどこでもデジタルで地図を見ることができる現代こそ、いつ
でもどこでも最高のエンターテイメ -
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100年以上わたる地図の内容の変化に着目する本
です。これは鉄道路線の変化を取り上げています。
鉄道マニアでもあることを公言する今尾氏ですが
彼は著作の中では、それほどマニアックなところ
を見せないのが好感が持てます。
本書でも日本以外に、欧州の鉄道路線も紹介して
その路線変更の目的が航空機からのシフトを促す
ためである、という鋭い分析をしています。
また路面電車でも同様です。
日本でもようやく議論が始まったLRTの効用は、
欧州ではとっくに先を見越して取り入れています。
こういったグローバルは視点で書かれているのが
特徴です。
「古きをたずねて新しきを知る」の温故知新を体
現でき -
Posted by ブクログ
星を付けるかどうしようか大変に悩みました。何故ならば、面白くてもっと読みたいのに絶妙に物足りない分量でもっとちょうだいよ!とお預け状態を引きずった読後感を覚えたからです。が、自分ルールの縛りで評価を付けないと平均点が下がってしまうのもアレなのでやっぱり星を付けることとしました。
実際、自分の街歩きにも影響を与えまくるだろう、言わずと知れた地図・地名界隈のレジェンド研究者・今尾恵介先生による金言の数々と変態的とも言えるムーブがたまらなくたまりませんぜ。
ただダラダラと地名の由来の答えのみを記すだけなんてそんな甘っちょろい事は致しません。まず事前にたんと妄想を繰り広げたのちに現地へ入り、地形図・ -
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今尾恵介さんが書かれた、帝国書院の地図本。
前作『地図帳の深読み』に引き続き、帝国書院が今まで発行してきた地図をもとに地理的なことからわかる国土、交通、産業などについてかかれています。
今作は特に、100年の間に帝国書院で出版してきた地図帳からわかる歴史を、詳しく書かれています。
パナマ運河ができていく過程など、世界的な開発を地図から読み取る。
時代で変わる国境を地図から見る。時の政権に翻弄されて名前が変わっていく都市を見る。
明治以降、日本の国境が、樺太、千島列島、台湾、南方の様々な島、朝鮮半島など拡大していくのを地図でも描かれているのを複雑な思いで読みました。
場 -
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地名にもキラキラネームの波は押し寄せて
います。
市町村の合併などで新しい名前の地名が生
まれます。その名称はまさしくキラキラネ
ームのオンパレードです。
ひらがなだけで表現する⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎市、地名と
は全く関係なくイメージだけで選ばれた
⚪︎⚪︎ヶ丘など、もはやその地名がどこの県
にあるのか判別できなくなっています。
なぜそうなるのか。
誰からも文句が出ない名前に落ち着いた感
があるキラキラ地名が決定されるプロセス
や、そもそも以前の地名は何だったのか。
今となっては以前の地名のままの方が良か
ったのでは?と思わせるくらい過去の歴史
を紐解いて、地名にこだわりぬき、キラキ
ラ地 -
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地図研究家として多くの著作のある筆者。
今回テーマに選んだのは懐かしい帝国書院の地図。学校でお馴染みのカラー版の地図帳から見えてくる奥深い地理の世界。
日本人なら誰もが手に取っただろう帝国書院の地図帳。標高、国境から各地の名産地や宗教、言語まで。地図から浮かび上がる蘊蓄の数々。
本書を読み地図帳から広い世界を想像したこと子供の頃を思い出した。まだ見ぬ異国。単にテストのためでなく大好きな学科だった。クリスマス島やエロマンガ島。
本書は地図をそれこそ穴のあくほど眺めて筆者でなければ気づかなかったトリビアの連続。四万十川の蛇行や、山越えをする吉野川ら江の川など。
本書はベストセラーになってい -
Posted by ブクログ
今尾さんの地名本は、本当に人柄のよさが溢れんばかりだ。すでに何冊も地名本を出しているので、 おそらく今回新書にしたのは、気軽に知って欲しい、でも基本は押さえて欲しい、という双方の折り合いを懸命に探し当てた、今尾さんの誠意なのだろうと私は想像した。
まず、地名本ではあまり見かけない、地形形成から始まるのがいい。たいていは、県別や地域別にばっさり切られ、ひどいものだと印象の良くない漢字別にいたずらに列挙されているだけで、由来すら浅いままに放置されているものまである。
私が地名に興味を持ち始めた時も、地形形成から水源や土地利用、漢字伝来、神仏信仰、時代や文化などの人の生業、そしてその地名に根ざす