大山淳子のレビュー一覧
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ネタバレ帯は、
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前向きになれる通夜通いのススメ!?
さよならから
はじまる人生がある。
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就職活動に失敗し、
ひきこもりになった小夜子24歳。
ずっと下に見ていた弟の結婚。
中学受験に不合格だった友人のイギリス留学。
周囲と比較し、卑屈になる。
現実逃避したくなる。
思えば幼少期から、祖母に何かと言われ、
良い思い出もない。
そんな小夜子が偶然参加した他人の葬式。
読経とお香。
誰かの死に怒って、悲しんで、憔悴して。
他人とその周りの死を、傍観(同席)することで癒される小夜子。
自分を客観視できず、責任転嫁する。
傷つきたくないから自分から動きたくない。
ちょっと性格悪そうな小夜子なんですが、
気持ちはわかる。
通夜通いをやめられない小夜子の前にあらわれた老婆。
「通夜女」と出会う。
正直、お通夜に知らない人が紛れ込むって、
普通に考えると怖いし、不謹慎すぎて。
だけど、人の死を悼んで偲む空間というのは、
厳かで人間らしい場所なのかもと思いました。
葬儀社に関わる人達と、通夜女、友人、弟、両親、
登場人物全員が少しずつ苦しんでいたり、
その人たちなりの物語と背景があることに気づいて、
少しずつ視野を広げ、
取り戻して立ち直る小夜子の姿が良かったです。
24歳なんて自分のことで必死過ぎて良い。
視野が狭くても仕方ない。
両親への感謝とか、家族への無償の愛とか、
正直私が24歳だったときもわからなかったし。
だけど、通夜通いは多分私はしない。苦笑
「喪失を受け入れ、世界を再構築すること。」
小夜子が求めていたのは、逃避ではなく再生だったのかも。 -
Posted by ブクログ
表示の絵を見た時ティーンエイジャーの読む本かと思って一瞬ためらいましたが、読んでみて全然違ったので、もっと早く知れば良かったと思いました。シリーズの4作目。私はこのシリーズから読み始めましたが充分おもしろい!シリーズになるくらいだからその人気の高さに頷けます。
100円で何でも預かるなんて、どういうことだろう?という興味で読み進めました。5つの短編のどのお話もホロッとさせられる所があって涙腺が緩みます。「まぼろしチャーハン」は3ページしかないのに、タイトルの副題になっているし、表紙絵にもなっていますね。これは後に続く何か仕掛けがあるのかな?とも思わせます。
どのお話も“歳月”が流れています。“歳月が短所を長所に変える”というフレーズがとても胸に沁みました。シリーズ全部読んでみたいです。 -
Posted by ブクログ
大山淳子さんのドラマ原作(TBS・講談社ドラマ原作大賞受賞!)によるハートフル・ミステリー。今回初読でした。遅きに失しました。すでにシリーズ化され、2011〜第1シーズン全5作品、2020〜第2シーズン3作品刊行されているようです。
なるほど、シリーズ化に納得です。素直に面白かったです。ストーリーとキャラが、完成度高く両立できている印象で、読後のホッコリ感・温かさが、とーっても心地よいですねー。
お見合い30連敗中の弁護士・百瀬太郎。東大法学部主席卒業だが冴えない容貌とお人好しで、天才とボンクラが同居?
事務所は、トラブルやら訴訟の果て引き取った猫だらけで、「猫弁」と揶揄される始末‥。
こんな百瀬ですが、不器用だけど真っ直ぐな魅力がじわじわと伝わってきて、応援したり元気付けられたりするんです。
プロット作成が入念で、5W1Hが明確でよく練られ、諸々のエピソードが見事につながり収束していく様は、感動的ですらあります。
また、キャラクター設定も秀逸です。登場人物の性格、ビジュアルがイメージしやすく、生い立ちや境遇がうまく行動動機につながり、各キャラクターが抱えている問題、処理方法も物語の終着点に上手く帰着していると思います。
なぜか百瀬が引き寄せている厄介な出来事も、人柄で収まるべきところに収まります。
笑って泣ける、もう、カッコ悪いけど最高にカッコいいヒーローです! -
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このシリーズは三作品、これまでに読んでいる。
「桐島君の青春」を読んだとき、とても楽しんだのだけれど、自分の中である程度この物語に対する思いが一段落した感覚があった。
だから、続編が出たと知っても、読むのをやめようかとも思ったりした。
が、この巻も、しっかり面白い。
桐島君は相変わらず物静かで思慮深い。
語り手も相変わらず意表を突いた設定だし。
特に、「ツキノワグマ」がよかった。
アルツハイマーで妻との記憶をなくしていく夫。
ヘルパーの「ふみこさん」を慕い続ける年老いた男性。
そうした人たちとのかかわりの中で、桐島君自身の淡い恋がすれ違ってしまう物語だ。
ちょっとほろ苦い味わいがいい。 -
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母親は20年前に事故で亡くなっている。
父親は妻の突然の死を受け止められずに、父親を放棄し家出。
それ以来、母親の兄妹である叔父伯母に育てられた5人兄弟の長男がこれまた突然病死した。
その通夜に長男の婚約者を名乗るおばさん妊婦が現れた。
そこから始まる物語。
末っ子の伊代太は、どんなことにも「いいよ」と引き受けてしまうボンヤリさんで「イーヨくん」と呼ばれており、叔父も手を焼き「この女に伊代太を押し付ける」ために妊婦と伊代太を結婚させることに。それにも「いいよ」と受け入れてしまう。
20年前に死んだ母親が、伊代太を心配するあまりにあの世からこの世に戻って見ている視点。
叔父・伯母の視点。
伊代太の兄弟の嫁や彼女からの視点。
幼馴染の女性からの視点。
そして問題の妊婦からの視点。
それらが交差してお話が進んでいく。
終盤に驚きの展開もあり、イーヨくんが「いいよ」と言い続ける理由も、母親が急死した喪失感を埋めきれないそれぞれの心の中もほんわりと出てきて、悲しいけれど優しい。 -
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ネタバレ就活で言われたたった一言が主人公をひきこもりにしてしまう。たった一言なのにと思うようだけど今まで否定されずに生きた環境が彼女の精神面では受け止めれなかったのはなんだかよく分かる。
叱られたことが極端に少ないと叱られることを受け止める力がすごく弱くなる。褒められてるのにたった一つの叱られることによってそれが勝ってしまう。唯一幼い頃に亡くなった祖母だけが彼女を厳しく育てようとしていた。だからって主人公の親が悪いわけじゃなく、彼女を想う気持ちも伝わってきた。
そういう弱ってる時に偶然他人の通夜に行ってしまいそこから通夜に癒しを求めて通うようになる主人公。そこでは亡き祖母を思わす通夜女がいて、この人幽霊なのかなと思ったけど結局はホームレスのお婆さんだったことがわかる。
最初はわりと笑いもあるけど後半からは通夜に癒しを求めた代償が返ってくるし、切ない場面が結構ある。
最終的にはちゃんと主人公は就職できるし、ちゃんと歩いていけてる。
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二宮光二郎(75)は、元理科教師で趣味は分解。最近少し記憶があやしい。そんな光二郎が、草刈り中の老人を刺したという話家族のもとに飛び込んできた。冤罪を晴らすため、孫であり浪人生のかけるは家族と、周囲のじいさんばあさんも巻き込んで光二郎と奔走する。
大山さんのお話は、どれもキャラクターが魅力的です。
この本の主人公の光二郎とかけるもそうですが、世間ずれしていなくて、皆どこか生き辛そうに見えるのに、不思議とするすると世の中を渡っていて、優しく希望があって。読んでいるほうまで優しい気持ちになれます。
光二郎は自分の興味に正直で奇矯なふるまいをする自由人ですし、かけるはいまいち覇気のないふわふわした浪人生ですし、その他の登場人物もそれぞれ欠点もあるのですが、根本はみんな善人なんだろうなと思え、突出した悪がいないのが癒されます。
私はかけるの母(光二郎の息子の嫁)の雪絵が好きでした。おおらかで素敵なお母さんです。
キャラクターの話ばかりになってしまいましたが、ストーリーもパズルのピースがすっきりはまったようにあるべき所に収まって気持ちがいいです。
序盤はスローペースでしたが、終盤にかけて、絡まったひもが解けていくような爽快感が魅力的でした。
祖父と孫のコンビのミステリはこんなのも。安楽椅子探偵ものです。
→『交換殺人はいかが?』(光文社文庫)/深木章子 -
Posted by ブクログ
順調に人生の駒を進めていると思ったら、就職活動でデカい壁にぶつかってしまった小夜子。
自分を有利にしてくれていた弟も、冴えなかった同級生も、いつの間にか“求めるモノ”や“求められるモノ”になっていた。
自分だけが立ち止まってしまっている。
……彷徨する彼女が呼ばれたのは、見知らぬ故人の通夜だった。
結婚式は、招待された人だけが来る場所であるのに対し、通夜は、その意味で不思議と開いている気さえする。
一緒に悼んでくれること、泣いてくれること。
それは確かに、生きている人にとっての慰めになることのように思う。
最初は、小夜子の、自分だけが置いていかれてしまった寂しさと、時間が止まってしまったような余白の今を、ただただ悲しむための、通夜女だった。
自分に向けられていた感情が、やがて他者を哀しむことへ向けられていく。
小夜子と、通夜女の婆ちゃんのやり取りについては、もっと深めて欲しかった部分もある。
けれど小夜子が抱えたものを、どう表現するかという点で、この『通夜女』という作品は、すごく面白かった。