大山淳子のレビュー一覧
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ネタバレ自分は人の話を聞くのが好きだし、人に話すのも好きだ。
つまり雑談というコミュニケーションが好きだ。新聞記者のインターンをしたのも、きっとそれが関わってると思う。
人に何か聞くときは大体にして好奇心と興味が理由なので、「自分はあなたの話を聞きたがってますよ!」と伝える為に相槌をうつのだけど、主人公の原之内 菊子に相槌は必要ない。ただ、「はあ、へえ」と言ってるだけで一方的に相手が話してくる特殊な体質だ。
作中に根っからの悪い人ってのは出てこなくて、みんなどこかにユーモラスが備わってる。
自分が練馬在住なので練馬のにんじん畑の話には笑ってしまった。作品中に優しさが溢れてるから安心して読み進んでし -
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これも大阪で買ってきた一冊。
以前から読みたいと思っていた本です。
スカイツリーを見上げる下町のかたすみに、
ひっそりと息づく商店街がありました。
それがー『明日町こんぺいとう商店街』。
明日町こんぺいとう商店街を舞台にした7つの物語。
七人の作家さんのアンソロジー。
大島真寿美 『カフェスルス』
大山敦子 『あずかりやさん』
彩瀬まる 『伊藤米店』
千早茜 『チンドン屋』
松村栄子 『三波呉服店ー2005-』
吉川トリコ 『キッチン田中』
中島京子 『砂糖屋綿貫』
読んだことのある作家さんは、彩瀬まるさん、中島京子さんの二人だけ。
どの物語も心がほんわかします。 -
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無類のお人好し、心優しき猫専門弁護士「猫弁」こと百瀬太郎が受けた依頼は、
鍵のかかった部屋で妊娠していた猫のお相手探し。
7歳の誕生日、施設に太郎を預け失踪した母の教えを守って、猫弁は今日も空を見上げる。
サスペンスやハードボイルドを立て続けに読んだ後は、
優しく癒してくれるミステリーを読みたくなる。
サスペンスものは、スピーディーでギョッとするような
展開の連続で、どうしても心が緊張してしまうから。
リハビリめいた時間を過ごすのにぴったりの作品。
「猫弁」シリーズの3作目。
1作目から心をわしづかみにされた。いや、「わしづかみ」という
表現では乱暴すぎる。
ふんわりと柔らか -
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いままでのシリーズで一番面白かった!!!本当に星5まであと一歩!
今回は三毛猫のエリザベス・アイザッハ・メアリーちゃんの謎がメイン。前出てきたときはちょっと嫌な感じだった野口美里が再び登場して、いい味を出してた。お金持ちすぎて感覚が違うだけで、根はいい人。なんか憎めない。
ふたりの子供たちもかわいい。特に百瀬と京子の絡みが微笑ましかった。
百瀬と亜子がいつも行く喫茶店のウェイターもいい。特に百瀬のアイスコーヒーも三杯目から無料にしてくれるのがくすっとした。登場人物それぞれが本当に魅力的。
百瀬が亜子との付き合いによってどんどん人間らしくなっていく様子がじーんとする。まわりの人の「壁紙」じゃなく -
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いままでスポットライトが当たってこなかった人物についても描かれた今作。野呂さんやまことの魅力がさらに増した。
引き続き百瀬と亜子の恋模様が本当にピュアでかわいい。「朝ご飯を食べる仲」ってそういうことじゃない!と思わず心の中でツッコミを入れてしまった(笑)
百瀬の母についても言及され、2人が無事再会できるように祈ってしまう。
今回も起こった事件が全て繋がっていく。構成はシリーズのどの本も同じではあるけれど、だんだんとひとつの作品の中でメインとなる謎が洗練され読みやすくなってきた。登場人物たちへの思い入れもどんどん深くなっていく。
5まではいかないんだけど、シリーズが進むほど面白くなるから限りなく -
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前作から更にパワーアップ!!
百瀬を始め、大福さんも、野呂も、アパートの大家さんである梅園などなど登場人物が掘り下げられて、より愛着が湧くようになった。
新しく登場した法律王子や透明人間も魅力的。この作品には悪人が本当に出てこない。
前作よりしっちゃかめっちゃか感が減って、ひとつの話として読みやすくなった。
百瀬と大福さんのゆっくり進んでいく恋の様子にもほっこりする。
指輪を買いに行ったのにエンゲージシューズを買うことに決めてしまったり七重のキャットタワーを巡る騒動があったりと、笑えるシーンもたくさんありつつ、人情味あふれる展開に心が温まった。 -
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街。
大山淳子氏の「あずかりやさん」がとても良かったので、"出身地"である、こんぺいとう商店街のことをもっと知りたくなりました。
個人商店が立ち並ぶ商店街は、現代では衰退の傾向にあるけれど、こんぺいとう商店街は、たたむ店あり、新しくできる店ありで細々と続いている。
家業を継いだ若者や、出て行ってまた戻ってきた者、新しい商売の形、幼なじみと小さな恋の話など、懐かしい雰囲気の中で語られる。
後に行くにしたがって、他の商店の名前が登場するようになって、箱庭世界が充実していくのが面白い。
一軒目『カフェ スルス』 大島真寿美
ほ -
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理科や数学の先生で、良い意味で変った人を何人か思い出す。
頭の中に独特の回路を持っているのだろう。
二宮光二郎・75歳は、元中学校の理科の先生で、なんでも分解して直してしまう。
無口だが、たまにしゃべると何言ってるのか解らないし、突然猛ダッシュしたりする。
行動は奇矯だが、一本筋の通った人間で、そしてとても優しい。
いいなあ、好きだなあ、大山さんの描く、こういう“変わり者”キャラ。
いろいろ秘密を抱えている、シルバー人材センターの老人たちも個性的。
“老人の勝ち組”って、あまり考えたことがなかったが、自分は負け組みだと思う人からは、勝ち組はまぶしく見えるのだろう。
当たり前に受け取っている -
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コミカルでハートウォーミングなミステリ第二弾。相変わらず楽しいなあ。「猫弁」シリーズとのリンクも若干あって、それもまたファンには嬉しいところ。たしかに事件はささっと解決しませんが、イライラはしなかったなあ。のんびりと物語を楽しみたい一冊です。
西郷さんの犬の銅像盗難事件、振り込め詐欺、ドッグショーを巡る疑惑、などなど、個々の事件はさほど大きくないけれど盛りだくさんな内容。それがラストに向けてすべてきれいにつながっていく過程も圧巻だし、なんといっても光二郎をはじめとするキャラクターの魅力がとても良いのです。セリフの数々にも笑わされたり、はっとさせられたり、ほんわかさせられたり。あたたかい気持ちに -
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「相棒は浪人生」に続く、「光二郎分解日記」シリーズの2作目。
大山淳子さんは、解決まで時間がかかりイライラするミステリーを「イラミス」と呼んでいる。
イライラするのは光二郎さんの言動ではない。前作を読んで、光二郎さんはブレない人だとわかったから。今回は、むしろ、孫のかける。
あれ、前作のかけるは、こんなにポンコツだったっけ。
ポンコツなのだが憎み切れない。やっぱり、「いい子だ」と思わされる、そこがイライラするのだ。
さて、今作では、「おぼっちゃま」刑事の頭野の素性が明かされる。このシリーズのゆるやかな雰囲気に、どこか剣呑な空気が入り込む。
上野の西郷さんの銅像から、愛犬の姿が消えた -
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七十五歳で、元理科教師の二宮光二郎。趣味は分解。
近頃、短期記憶があやしくなってきており、本人もそれを自覚している。
そんな光二郎が、傷害事件の容疑者に…。
人の優しい目線があふれている。
年のせいか、やさしさに触れると、すぐにウルウルしてしまう。
人、生きものは究極の孤独な存在だ。
「ワタシ」は「アナタ」に、「アナタ」は「ワタシ」になれない。
「ワタシ」の中に誰かが入り込んで、「ワタシ」の思考を読み取ってくれたとしても、
「アナタ」の思考にはならない。
そんな、限界のない孤独の中にいる生き物たち。
昔、「ウサギは寂しいと死ぬ」という話があった。
これは、間違いなのだそうだ。でも、人は