大山淳子のレビュー一覧
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七十五歳で、元理科教師の二宮光二郎。趣味は分解。
近頃、短期記憶があやしくなってきており、本人もそれを自覚している。
そんな光二郎が、傷害事件の容疑者に…。
人の優しい目線があふれている。
年のせいか、やさしさに触れると、すぐにウルウルしてしまう。
人、生きものは究極の孤独な存在だ。
「ワタシ」は「アナタ」に、「アナタ」は「ワタシ」になれない。
「ワタシ」の中に誰かが入り込んで、「ワタシ」の思考を読み取ってくれたとしても、
「アナタ」の思考にはならない。
そんな、限界のない孤独の中にいる生き物たち。
昔、「ウサギは寂しいと死ぬ」という話があった。
これは、間違いなのだそうだ。でも、人は寂しすぎると死ぬ、と思う。
孤独の中で生き延びていくには、その孤独を受け入れる強さを持つか、
少しでも、人とつながって、そのやさしさに触れて、孤独を薄めていくしかないと思うのだ。 -
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ふらりと寄った書店で猫弁を探したところ見つからず、代わりに置いてあった本。
「頼まれごとを断らない」主人公の本と帯に書いてあり、先日上司からなにげなく放たれた、『人がいい』という私の性格とだぶってしまい、購入。
結論。
なんだよ、イーヨくん人がいいわけじゃないじゃん。ぜんぶこなせるんじゃん。
私とちがうんじゃん。
学んだ。
できることにしか、いいよって言っちゃダメなんだ。
もっと自由に、好きなことだけに、いいよって言わなきゃいけないんだ。
自分の気持ちに正直にならなきゃいけないんだ。
あてはまらないときは、いやだよって、言わなきゃいけないんだ。
いやだよ、を言うことが
幸せにつながると分かれば、
何もかもを、いいよ、に
することはできないんだよね。 -
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ネタバレ天才弁護士・百瀬太郎が主人公のシリーズ第4弾。このシリーズは,シリーズを通して脇役の使い方がうまく,今回は,1作目に登場した野口美里が再登場。隣に住む少女が拾った猫,エリザベス・アイザッハ・メアリーが誘拐されたという事件の依頼をする。
今作の主たる事件は,この猫の誘拐事件。サブとして描かれるエピソードは,大福亜子のことを好きな,赤坂隼人という好青年が現れるという話,寿春美がナイス結婚相談所をクビになるという話,自分が,百瀬太郎の弟だという,百瀬次郎という男が現れる話など。
今回は,メインとなる猫の誘拐事件が,ミステリというほどのものでもなく,さらっと描かれている。エリザベスは猫弁にあこがれる小学生,石森完太の飼い猫だったというオチ。サブとなるエピソードも,そもそも今回は,百瀬と大福があまり出会わないので,メインのエピソードの流れを遮らない。中盤は,大福が百瀬より赤坂を選んだかのように見える描写があったり,寿春美がナイス結婚相談所をクビになるエピソードがあったり,百瀬太郎の弟だと称し,偽物が百瀬太郎の家に泊まるなど,やや暗めのエピソードが多い。最後は,赤坂と寿春美がお見合いをし,結婚するなど,読後感のよい終わり方をするが,3作目までとはやや違う印象がある。
百瀬の弟の伏線は回収されず,シリーズ最終作に引っ張られる。
キャラクターの魅力は,これまで以上に見事に描かれている。ヒロイン的位置づけの少女,滝之上京子,石森完太,野口美里,赤坂隼人,上安里先生…といずれもいきいきとして描かれている。
ストーリーは,もはやミステリ的な要素はほとんどないが,すっきりしていて読みやすい。トータルでは★4を挙げたい。1作目から4作目まで,徐々に完成度が上がっている印象。ラストが楽しみだ。 -
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ネタバレ天才弁護士,百瀬太郎が主人公の「猫弁」シリーズ第3弾。第1弾,第2弾は,キャラクターは非常に魅力的だったが,話の構成がもうひとつで,惜しいと感じていたが,「猫弁と指輪物語」は,前作,前々作に比べると話がすっきりしていて読みやすかった。今回,中心となる話は完全密室飼育のセレブ猫の妊娠事件。いつものように,この事件だけでなく,百瀬太郎と大福亜子が,エンゲージシューズを買うために秋田旅行に行くというエピソード,獣医,柳まことのもとに,美形のトラック運転手が猫を持ち込む事件,柳まことがニシキヘビ関係で訴えられそうになる事件などが描かれている。
今回の話がすっきりしているのは,主となるセレブ猫の密室妊娠事件のエピソードがしっかりしており,かつ,結構魅力的な謎で集中して読める点にある。
サブのエピソードが完全にサブとして描かれており,メインのストーリーの理解を阻害しない。いつもどおり,キャラクターは生き生きと描かれており,今回は野呂法男の過去の恋愛エピソードがなかなかいい味だしている。このときの恋愛相手が,白川ルウルウ(土田とめ子)であったこと,土田帆巣が拾ってきた猫がルウルウ・ぺぺだったことという真相は,ミスディレクションらしいミスディレクションがなく,見え見えではあるが,よくできた話という印象だった。
メインストーリーとサブストーリーの切り分けがうまくなり,キャラクターの魅力を損なわず,話全体が見えやすくなった秀作。★4で。