大山淳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ドラマ原作大賞受賞だけあって、シーンの切り替えがドラマっぽいです。
ドラマっぽいゆえに、第三者的目線ですべてが書かれていて、人物の人となりが掘り下げられていない。
ふだんであれば、登場人物の誰かしらに感情移入、あるいは共感しながら読み進めるのですが、これはそうではなかった。ですが、つまんないと感じることがなかったです。
おそらく枠が決まっているからでしょうか。ピースがぱちんぱちんとはまっていくラストにかけての駆け足感と詰め込み感が少し目立ちましたが大団円。
登場人物のほぼ全員が幸せになるラストって、やっぱりいいなぁ。
(鈍感なわたしにも)わかりやすいミステリーでした。
続編も出ているという -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
七歳の誕生日の夜、葵は母親を目の前で惨殺された。誰が何のために母を殺したのか―。奇跡的に生き延びた葵がたどり着いたのは、超然とした佇まいの老人と犬が支配する人跡未踏の山中だった。隔絶された世界で成長した葵は、ある出来事の後、復讐の念を魂に刻んで下山する。「死ぬってどういうことだとあなたは思う?」生と死の狭間で交錯する欲望。葵が最後に見たのは、希望か絶望か―。驚愕のラストまで一気読み必至の傑作長編!!
全ての殺人に何らかの理由があった・・・。とは言え7歳でこれほど過酷な生活を強いられる謂われはないわ。人は次々死んじゃうがその死に真摯に向きあってい -
Posted by ブクログ
最終巻にしてついに文句なしの星5!!
いままでは弁護活動というよりは謎解きがメインだったけど、今作は裁判のシーンに焦点が当てられている。
その裁判とはアメリカ人の女スパイを日本の法で逮捕できるのかというものだった。百瀬はそのシュガー・ベネットを起訴する立場となり、前作で「弟」と偽って百瀬に近づいたユリ・ボーンと対決する。
この最終巻ではついに百瀬の母親がどのような人物だったのかが明かされる。ラストの親子のシーンには感動。
さらに赤井玉男や二見純、沢村などいままで出てきた登場人物たちも再結集。大団円といっていい終わり方だ。
百瀬と亜子が迎える結末も予想の斜め上だった。一瞬バットエンドで終わるかと -
Posted by ブクログ
元理科教師で分解修理の名人、二宮光二郎75歳と、大学受験に2回失敗して美術系予備校に通う孫のかける20歳は、二人で一人前の迷コンビ。
時間だけはたっぷりあります。
暇人は世の中になくてはならない助っ人なのです。
シリーズ第2弾は、軌道に乗ったというか、面白さに加速度が付きました!
タイトルには西郷さんの犬、とありますが、銅像の犬だけでなく、元警察犬で使命感の強い老犬や、輝くばかりのゴールデンレトリバー、そして「猫弁」シリーズに登場した獣医さんも出てきてにぎやか。
振り込め詐欺には哀愁漂い(?)、犯人はちょっとお間抜け、元やくざも何となくハートウォーミングで、大山節炸裂です。
光二郎の台詞は -
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Posted by ブクログ
猫弁シリーズの最終作。
これまでの4冊は、色々なストーリーが重層的に絡み合って最後に纏まって事件解決、あちこちに張り巡らされた伏線が収斂していく過程を楽しむタイプだったが、本作は人の優しさや人生観に焦点を当てており、幾分毛並みが異なっているように感じられた。
猫弁シリーズの軽快な読み口を期待していると、少し重たく、物語の展開としては作り込みが浅いと感じるかも知れない。むしろ、ここまで深化させることの出来る作家さんだということ。元々脚本家が本職だったとのことだが、本編は克明で深みのある内面描写が多く、ドラマ向きではなさそう。
全5作読む間に湧いた登場人物への思い入れとともに読み進めると、一層感無 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったです。
前作で少しイラっとさせられた大福さんも可愛くなったし、猫もオウムも可愛いし、透明人間もせつなくて格好良かったです。他の登場人物も好感の持てる人ばかりでした。
この作者さんにかかれば、不倫中の大学教授も、見た目と口ばかりのエセ弁護士も、人間味がある可愛らしい人物に見えるのが不思議です。
私にとって番狂わせだったのが野呂さんです。この人は常識人かと思っていたのに……。60超えて、よくわからない理由で既婚者のふり。そんなに面白い人だったとは。
最後のひまわりのシーンは泣きそうになりました。小説っぽく出来過ぎの気もしますが、でも救いのある、いい終わりだと思います。
続刊も