岡崎琢磨のレビュー一覧
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日常の謎ミステリーですね。
青春と成長の物語でもあります。
福岡の中央の山寺が舞台で起きる謎解きの4話、短編連作です。
道然寺の次期住職の一海と書いて《かずみ》が語り部として物語を進めていく。
一海が十六歳の時に寺に双子の赤ちゃんが捨てられた。寺の子として育てると住職の真海(一海の父)が決めて十四年の月日がたった。住職一家として成長した双子の活躍と家族のふれあい、成長の心温まる物語。
岡崎さんは寺院勤務の経験があり、それをもととして物語を紡いだそうです。
岡崎さんの文章はとてものびやかで、まったりとした味わいのあるものなので、私は好きですね。
仕事で忙しい思いをしたときなどは、変な話、癒されて -
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気が付けば、シリーズものとして長く続いている。
正直言うと、このシリーズは短編物の方が好きかな。ああ、長編かと思ったが、読み始めるとすらすら読めるし、引き込まれる。
過去のシリーズにあった登場人物や事件に触れる箇所もあるのだけど、きれいさっぱり忘れている。なにしろ、アオャマ君の本名までもすっかり忘れていた程。まあ、たとえ初めて読む人でも問題ないと思う。
ミステリー以外の部分でも、ええ、と驚く展開があったりして、作家さんというのは凄いものだなと感心するばかり。
難癖をつける箇所が全くないかと云えば、否定できないけれど、チョッとの苦味と全体的にホンワカした空気感を楽しめた。 -
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ネタバレ狭心症を発症し、突然倒れてしまった珈琲店“タレーラン”のオーナー・藻川又次。すっかり弱気になった彼は、バリスタである又姪の切間美星にとある依頼をする。四年前に亡くなった愛する妻・千恵が、生前一週間も家出するほど激怒した理由を突き止めてほしいと。美星は常連客のアオヤマとともに、大叔父の願いを聞き届けるべく調査を開始したが…。千恵の行動を追い、舞台は天橋立に!
ついに!美星さんとアオヤマくんの関係が大きく進展!又次さんの意外な愛妻家の一面が見れたり、喫茶店タレーランの始まりの物語が判明したりと、このシリーズを追ってきた者としては読み応えがあって、大満足の一冊でした。最後にやっと結ばれた美星さんと -
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「夏を取り戻す」の「夏」とは……。
子供のころ、夏休みが始まるときは「自由で可能性に満ちて、冒険や新たな体験が待っている」と、わくわくしていた。
秋になったとき味わう「やりきれなかった悔しさ、夏の名残の愛おしさ」は、これから何度も味わう、厳しい現実と挫折の始まり。
でも、また夏は来るという希望があれば、まだ少年時代は残っている。
1996年8月、高度成長期は終焉を迎えバブルが崩壊し始める。
世界を揺るがす大事件(オウム事件)や大災害(阪神淡路震災)が身近で起き、本当に「恐怖の大王」が空からやってくることにおびえた時代。
右肩上がりの象徴である高層アパート群(団地)に入ってくるのは、初期の希 -
購入済み
穏やかな読後感
ストーリー展開に新鮮味を特に感じなかったが、穏やかな読後感があった。人物の心のうつろい、嫉妬の感情。その複雑さや重さが軽妙に表現されているからかもしれない。