藤田宜永のレビュー一覧
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作者の自伝? 田舎から東京に出て下宿して、ひたすら飲んでナンパして…という自堕落な高校3年生。あるとき出会った由美子という女の子にのめり込み、一緒に暮らすようになるが…
さすがに高3でこれはすごいなあ。60年代くらいの青春だろうか。
作者も由美子も別々の形で気持ちが欠損しているようで、互いの気持ちを埋めあっている間はよかったんだけど、やがてたがいに傷つけ合うようになる。どちらかというと由美子の方がエキセントリックな感じ。
かなりの長編のなか、ほとんどが由美子との世界。これが2年足らずの出来事? と考えると濃密な日々だなあ。
文庫、778ページ。 -
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ネタバレ20年くらい前に担当編集者にいただいて、中年の恋愛小説はちょっとなあと気が重くて読まずにいたのだけど、自分自身が立派な中年どころか初老に至り、ようやく読み始めるととてもよかった。その編集者さんには3冊の本をいただいて、これまで読んだ2冊もすごく面白くて、これも素晴らしかったので、いただいた直後に読んで感想を伝えたらきっともっといい関係が築けただろうに、本当に失礼した。しかし、やっぱりこの小説だけは若い時に読んでもピンとこなかったかもしれない。主人公と大体同じ年になっているのだけど、全然インポじゃなく、精力があってすごい。今更、ちんちんが元気でもしょうがないのだけど羨ましい。サスペンス調のところはドキドキした。若いころの回想シーンは、胸がつまる思いがする。
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65歳ぐらいの男性が主人公の短編集。
コンサートに行くと、昔交際していた女性が隣の席に。しかも失明していた・・・「わかって下さい」
妻に先立たれた。残されたのは彼女の連れ子。ずっと一人で血のつながらない娘を育てた。彼女が結婚すると言う・・・「白いシャクナゲ」
たまたま困った老女を助けた。昔好きだたった男性を探してると言う。一緒に探しているうちに、偶然が・・・「恋ものがたり」
マンションに突然知らない女が来て、困ったらここに来るように、安田先咲に言われたそうだ。安田のことは知らないが、女は有名女優らしい。そして安田は昔付き合った女性の娘だと言う・・・「観覧車」
画家は描く気力がなくなくなった。家庭菜園で出逢った男は70代のギタリスト。妙に気が合った。軽井沢に別荘を持ってると言う。自分も軽井沢別荘を持ってるので再会しようと言い合うと・・・「エアギターを抱いた男」
昔好きだった人と再会する喜びと悲しみと・・・「土産話」
うーーむ。素晴らしく良かった面白かった。ほとんど65歳の「男性」目線で描かれてるので女性にはサッパリ受けないのかも知れない。65歳とか、中高年男性の心理を知りたい女性は読んだ方がいい。
男として、「こんな風に女性を好きになってしまうのさ」が溢れ出てる。 -
購入済み
久し振りです
久し振りに読み終えて余韻を楽しめました。高橋治の「風の盆恋」は今も心に残る一冊ですが、きっとこの本も心に残る一冊にプラスされるでしょう。主人公の花材屋という職業も興味深く生き方にも心引かれるが、思われる相手の女性の身になると「言ってくれれば人生変わったかも知れません」ということなのでしょう。
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購入済み
蘇る昭和の世界、味わいある七編
東京オリンピックを背景に、著名なミステリー作家七人によるアンソロジー。あの頃は今よりもみんなが前向きで、街にも活気があふれていたような気がする。初めて読む作家もいて、それぞれの持ち味が楽しめてよかった。個人的には月村さんが面白かったかな。
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大沢在昌、藤田宜永、堂場瞬一、井上夢人 今野敏、月村了衛、東山彰良『激動 東京五輪 1964』講談社文庫。
昭和39年。東京オリンピック開催に沸く東京を舞台にした7人の作家によるミステリー・アンソロジー。古き善き時代の香りの中に描かれる様々な形のミステリーとピカレスクはいずれも秀逸。
2020年の東京オリンピック開催を記念しての刊行かと思うが、新型コロナウイルス感染拡大の非常事態により東京オリンピックは2021年に延期されてしまった。延期ならまだしも、2021年に開催できるかどうかすら怪しい状況である。自分は中止になると見ているが……『アンダーコントロール』『復興五輪』という日本の総理大臣の大嘘に、さすがに閻魔大王も黙ってはいられなかったのだろう。
大沢在昌『不適切な排除』。昭和39年東京オリンピック開催の年に8ミリフィルムの技術者が交通事故を装いCIAに殺された……何十年か後にアメリカのライターを名乗る男が事件の調査のために来日する。スッキリせず、違和感が残る結末は計算なのか。
藤田宜永『あなたについてゆく』。酒場とブルース……古い時代の日本を感じる短編。かつては犯罪者もヤクザも素人も悪さの加減を知っていた。現代では素人さえその加減を知らない。
堂場瞬一『号外』。草加次郎事件の犯人とおぼしき人物の単独インタビューという特ダネを手にした記者は何とか1面トップを狙うが、東京オリンピックの開会式とが重なり、号外発行で妥協するのだが……人生はなかなかサヨナラ満塁ホームランとはいかないのだ。
井上夢人『予行演習(リハーサル)』。東京オリンピックの行進の予行演習の最中に友人から聞いた工事現場の幽霊屋敷の死体騒動。オチがあるとは思わなんだ。
今野敏『アリバイ』。まさかのSFミステリー。ブルーインパルスが空に描いた五輪の輪が四つしかなかった。パラレルワールドから来た被告の死刑求刑は一転して無罪に……
月村了衛『連環』。黒澤明が降りたオリンピック記録映画を狙い、ヤクザが一攫千金を企てる。あの花形敬も登場するピカレスク。なかなか味のある小気味の良い短編。
東山彰良『陽のあたる場所』。東京オリンピックで沸く華やいだ街の片隅で死の淵に立つ男。ジャズと酒と暴力と女が渦巻く、時代を感じるピカレスク。
本体価格680円
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Posted by ブクログ
いやあ好きでした、面白かった。中弛みしなかった、長さを感じなかった。藤田宜永氏は恋愛ものも書かれているのでそこら辺が凄く上手いですね...本当に上手くミックスされていて高度な技術だなと...解説を読んで改めて凄さを実感しました。それと、登場人物全員が興味深く良い味出してたなあ。
でもとにかく私は榎波、最高に好きにですね。なんだろうなあ、多分藤田氏の世界観が自分にはツボなんだと。
最初描写が細かくてうお...と思いましたが、それが良いんですね。読んでいると当然ですけど気にならなくなる、でもそれがこれの面白さに繋がっていますねうん。本当に面白かったです。
まあまあなハードボイルドなので、好みは分かれます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物凄く生々しく、グロテスクに感じる小説でした。いや、別にそういう内容でもそういう表現が出てくる訳でもないです。
ただ、人間の純真と諦念、男女の必然と打算、生きる希望と惰性、そういったものがまるで匂ってくるかのような。
勿論、舞台についてさしたる知識もないからこそフィクションを素直に楽しめただけってのも大きいんでしょうけど。
登場人物に嫌な奴がいなかったんですよ。かといって善人って事でもない。「ああ、人間らしいな」と感じたのは大きいです。
男と女の関係についてもそう。惹かれあうのは偶然なのかもしれませんけど、どこかで結末は分かってたりするもんですよね。
無理をしたり駆け引きをするんじゃなくさも当然のように関係が築かれていく。それが流れだからそうするような感覚。
それが恋だの愛だのは後から付け足す、単なる言い訳や自己満足のようなもんじゃないのかな、と。
春恋だって本当に中里を想う心情になったのはもしかしたら最後の方なのかもしれないですよね。
しかもそこには相手に対する情念よりも自分にとって必要か否かが大きく絡んでいるものだと思いますし。
老猿の足掻く姿が格好良かったです。扉から戻ってきたかったんでしょうか。
過去を話す際、すごく辛そうな描写が入るんですよね。いや、そりゃ辛い過去であるのは間違いないんですけど。
自らを他人から遠ざけるのも必要以上に皮肉めいた言動を取るのも、自分を守りたいが故だと思うんです。
それはマフィアもそうですが、何よりも自分の中のドロドロが再稼働する事への恐怖とでも言いましょうか。
恐れるから、抜け出したいから、老猿は老猿であり続けたのだろうな、と感じました。
本文に出てくるように、御伽話のような世界でした。スポットがお姫様や少年ではなく、壮年を迎えた男性ですが。