藤田宜永のレビュー一覧

  • 燃ゆる樹影

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    藤田宜永さんの小説はどれも読むと心が穏やかになる。どんな結末を迎えようとも。非常に優しい言葉で溢れかえっていて、誰一人として傷つけない。まだまだ彼の小説を読んでいくだろう。彼の人生観が詰まっていて、本当に人生訓を読んでいるかのようだ。

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    2025年08月12日
  • 女系の総督

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    ▼藤田宜永さん、という小説家さんの本を初めて読みます。「ふじたよしなが」さんなんだそうです。ちょっと人に薦められて気軽に読みました。この「女系の総督」は、執筆当時(2000年くらいか)の現代劇。大家族と東京で暮らす超エリート&資産家の50台後半と思しき男性(数年前に妻を病で亡くした)が、家族(姉・母・娘など)や知人(恋人っぽくなる女性)などとにかく女性たちを相手に翻弄されたり恋したりする四季折々の日々を軽いタッチでつづった、<都会風俗恋愛&ホームドラマ、軽いコメディ>というところ。

    もうちょっと踏み込んで備忘録的に書くと、

    ・超一流大手じゃないけど多分それなりの知名度のある出版社の文芸部門

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    2025年08月11日
  • 愛さずにはいられない(新潮文庫)

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    めっっっちゃ分厚くて、こんなに自分の経験書けてすご!って感じ。ただこいつ嫌いやな〜こんな人絶対好きにならんな〜と思いながら読んでて最後まで嫌いだった笑 女も女。笑

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    2024年11月17日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

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    性的な描写が多いのがちょっと...だったけど、物語の展開やキャラクターが個性的なところが読み物として面白かった。

    過去の経験や家族関係の複雑さから、普通とされている感覚が薄い登場人物の心情や考え方が新鮮だった。そういう不安定な感覚を現実に抱えている人もいるんだろうなと思った。

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    2024年10月26日
  • 大雪物語

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    避暑地K町の大雪が見舞われた時の人々の物語。巻末の解説が分かりやすい。短編それぞれに繋がりがある箇所もあり面白い。実際にあった話のようでもある。第一話の『転落』ではちょっと嫌な気持ちになったけれど老婆の優しさが伝わってホッとした。その他の話もしみじみといい話だった。

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    2023年02月14日
  • 樹下の想い

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    ネタバレ

    しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
    ものや思ふと 人の問ふまで

     美しい題名の『樹下の想い』を読み終え、最初に心に浮かんだうた(百人一首)です。
    そして、愛する・浮気はしないと、心に決めて貫いた、三浦友和さんを想った。
    格好いい男性はいつの世もいらっしゃいます。
    嬉しいことに!


     華道家元の娘・絹子を愛する、花材職人の平賀誠吉の儚い恋。
     あれから二十六年の月日を経ても、忍ぶ想いは、くすぶり続ける。 忍ぶには、あまりに一途で、甘く、苦く、誠吉にまとわり付く。
     それは過去のこと、秘めたはずなのに・・・絹子の夫や誠吉の妻さえも苦しめる。

     誠吉の娘・百合子と良介の若い恋とは、対照的に、

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    2022年05月18日
  • 女系の教科書

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    父親の居場所
    「女系の家族」で父親として一番いいのはここにある「余計な口はできるだけ挟まない」ことかも知れない。家族で会話の仲間はずれになっていても気にする事なく人生を楽しむことかも知れない。だが、退職後の余生を楽しむ(旅、趣味など)のはずっと先なのだ。親の心配は子供たちの幸せだ。結婚、出産、孫の成長など親の心配事は止まる事もなく、年々増えるばかりなのだ。年取っても目まぐるしいほどの忙しさはいいものだ。 ただ、最後に思うことは自分が死と対面した時・・・家族はどう選択すだろうか。

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    2022年03月26日
  • わかって下さい(新潮文庫)

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    若さは無いが枯れてしまってもいない、ごく普通の六十代の男性の恋の物語、短編集です。

    どの物語の男性も優しく愛おしくなります。
    文章が優しいんです。

    藤田宜永さんはハードボイルドのイメージが強かったので、こんなに優しくまるい物語だったとは。
    嬉しい誤算です。

    物語に出てくる懐かしい音楽の数々。俳優のロバート・ボーンは、昔々わたしも大好きでした。
    因幡晃さんの「わかってください」のノスタルジーな世界に、胸がいっぱいになります。涙しながら物語の世界に浸ったわたしです。

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    2022年01月23日
  • 血の弔旗

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    犯罪を犯した者が昭和を駆け抜ける

    警察と裏組織に追われていくが...



    最後までとても面白く読めた作品

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    2021年12月02日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

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    タイトルと合っているような合っていないようなストーリー。明らかに嫌なヤツもいるが、主人公自身や彼が慕う人たちもそんなに良いヤツではないのが良い。読んでいて飽きなかったし、結構オススメ。

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    2021年07月14日
  • 奈緒と私の楽園

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    ネタバレ

    村山由佳さんが解説していたように、読み初めと読後では印象の違う物語になっていました。
    作中に出てくる、女性は男性の持つ少年と言うか子供の部分を感覚として理解してしまう。というのはよくわかります。
    男性というのはどこかしら母性を求めている部分があるようで、心を許している、または許してもいいと思える相手に対して、内側を素直に晒してしまった時、その少年が現れるのだと思います。
    奈緒という女性は、現代において本当に居るのかどうかわからない感覚を持っていますが。
    全てにおいて理解できないというわけでもありません。
    自分の中にある母性を相手に対して現すことで、自らの存在意義を見出しているのでしょう。
    ただ

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    2021年05月12日
  • 影の探偵 〈新装版〉

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    藤田宜永『影の探偵』徳間文庫。

    新装版で再読。藤田宜永の初期のハードボイルド作品。1988年の作品。

    時代を感じる描写とハードボイルドらしい雰囲気。バーボンとジャズ、美貌の女探偵……最初に読んだ時は良さが解らなかったが、作品の書かれた背景を知った上で読むとまあまあ面白い。

    美貌の女探偵・唐渡美知子が原宿の自宅マンションに帰ると、いきなり何者かにサイレンサー付きの拳銃で狙撃される。狙撃された理由が思い当たらない美知子は過去に命を助けられた匿名の探偵・影乃に助けを請い、事件の真相を追い始める。やがて狙撃事件と関連の有りそうな女子大生・光成真澄と父親の会社社長が立て続けに殺される。

    本体価格

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    2021年02月05日
  • 奈緒と私の楽園

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    音楽プロデューサーのバツイチ50男と
    突然訪ねてきた29歳の女のお話でした
    女をわがものにしようとする男だが
    導入部からなんとなくありがちな話かなって
    いう感じはしましたが楽しく読めました

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    2020年10月12日
  • 愛の領分

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    ネタバレ

     藤田宜永(ふじた・よしなが)は1950年、福井県生まれ。先の1月30日に亡くなった。
     この「愛の領分」で、第125回直木賞・受賞。
     主人公の淳藏(50歳代、妻を亡くしている)と恋人の佳世(39歳、独身)、ほか様々な男女の情の絡み合いが描かれる。
     淳藏の昔の恋人・美保子が不治の病となって、また淳藏を恋うのも哀れである。
     ハッピイエンドの結末は流し読みした。幸せな恋人たちは放っておいて好い。
     作者は「愛の領分」としているが、欲情絡みの男の見方に思えてならない。

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    2020年03月03日
  • 愛の領分

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    上田と東京の中年の逢引。

    「寂しい人生を送ってきた人は、他人がよく見えるんだと思う。鋭さや頭の良さとは関係ない」


    独身の2人なのにどこか 人目につかないようにしないといけないような淳蔵と佳世。

    「ヒトリシズカ」の花は確か 小池真理子さんの著書にもあったような。

    息子の信也の存在も この年齢ならではで大人を見ている目を意識させる。

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    2020年03月01日
  • 大雪物語

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    藤田宜永『大雪物語』講談社文庫。

    記録的な豪雪に見舞われた長野県のK町を舞台に繰り広げられる様々な人間模様を描いた同時進行短編集。『転落』『墓掘り』『雪男』『雪の華』『わだかまり』『雨だれのプレリュード』の6編を収録。

    事情を抱えた人びとが豪雪という非日常的な状況下で体験する奇跡のような時間……なかなか読ませてくれる。

    派遣切りで行き場を失った挙げ句ひったくり強盗を犯し、K町に逃げ込んだ若者、遺族と共に遺体をK町に運ぶ途中に豪雪に見舞われた男、豪雪でバイバスで身動きが取れなくなった人びとに店を開放した花屋の店主、豪雪対応でK町に派遣される自衛官……

    本体価格660円
    ★★★★★

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    2020年01月19日
  • 血の弔旗

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    このミス2016年版9位。面白かった。自分的にはツボにはいった小説で、久々にのめり込んで一気に読んだ。強盗殺人犯が主人公で事件の真相をあばこうと暗躍する裏世界の人や刑事と対峙しながら、まっとうな事業を成功させ幸せな家庭を築いていく話。主役視点での緊迫した話が進んでいく。本人の立身物語や共犯者や女性との絡み、家庭を築いていく話はそれ自体面白く、周りの人たちが事件の真相に迫ってくるところはとてもドキドキする。リアリティがハンパなくアンモラルだけど主人公に感情移入してしてしまい、逃げ切って欲しいと思いながら読んでた。結末が予想できなくて息苦しさが続き、サスペンスとしての意外性はあるものの、比較的あっ

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    2019年08月21日
  • 樹下の想い

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    恋愛小説。普段は余り読まないのですがね。まあ、中年男女と言うことで。。。
    物語は若い頃の二人と今の二人の話が交互に進められます。その間に娘の恋物語が挟まれたりするのですが。
    身分違いの考え方や、家元制度など、古臭さを感じさせられる部分はありますが、全体としてはなかなか読ませてくれます。☆4つ。ただ、何か一つ足りないような。あと一つ何かの調味料が入れば、素晴らしい後味になるのにと思わせるところがあります。それが何なのかは判らないのですが。
    ところで、著者の藤田宜永さん、元々は犯罪小説や冒険小説の人なのですね。まったくそんな雰囲気のない、純粋な恋愛小説でした。

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    2017年10月30日
  • 悪徒

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    ネタバレ

    主人公ではないけれど、榎波の存在がとても印象的な作品でした。途中、榎波がもしかしたら人間性を取り戻すのではないか?って思われるような件もあったけど結局・・・。
    有隣堂小田急店の覆面文庫として、手に取った一冊でしたが想像を越える面白さで得した気分です。

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    2017年09月16日
  • 女系の総督

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    家族小説をなぜか続けて読んでしまう。

    女系家族の家長。
    女性に囲まれて育っただけあり、娘たちの対抗心なども上手に対処しながら問題事を解決していく。
    男の人から見た女の人ってこんな感じかぁと、時々モヤモヤしながら読み進めた。

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    2017年09月13日