藤田宜永のレビュー一覧
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▼藤田宜永さん、という小説家さんの本を初めて読みます。「ふじたよしなが」さんなんだそうです。ちょっと人に薦められて気軽に読みました。この「女系の総督」は、執筆当時(2000年くらいか)の現代劇。大家族と東京で暮らす超エリート&資産家の50台後半と思しき男性(数年前に妻を病で亡くした)が、家族(姉・母・娘など)や知人(恋人っぽくなる女性)などとにかく女性たちを相手に翻弄されたり恋したりする四季折々の日々を軽いタッチでつづった、<都会風俗恋愛&ホームドラマ、軽いコメディ>というところ。
もうちょっと踏み込んで備忘録的に書くと、
・超一流大手じゃないけど多分それなりの知名度のある出版社の文芸部門 -
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ネタバレしのぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで
美しい題名の『樹下の想い』を読み終え、最初に心に浮かんだうた(百人一首)です。
そして、愛する・浮気はしないと、心に決めて貫いた、三浦友和さんを想った。
格好いい男性はいつの世もいらっしゃいます。
嬉しいことに!
華道家元の娘・絹子を愛する、花材職人の平賀誠吉の儚い恋。
あれから二十六年の月日を経ても、忍ぶ想いは、くすぶり続ける。 忍ぶには、あまりに一途で、甘く、苦く、誠吉にまとわり付く。
それは過去のこと、秘めたはずなのに・・・絹子の夫や誠吉の妻さえも苦しめる。
誠吉の娘・百合子と良介の若い恋とは、対照的に、 -
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ネタバレ村山由佳さんが解説していたように、読み初めと読後では印象の違う物語になっていました。
作中に出てくる、女性は男性の持つ少年と言うか子供の部分を感覚として理解してしまう。というのはよくわかります。
男性というのはどこかしら母性を求めている部分があるようで、心を許している、または許してもいいと思える相手に対して、内側を素直に晒してしまった時、その少年が現れるのだと思います。
奈緒という女性は、現代において本当に居るのかどうかわからない感覚を持っていますが。
全てにおいて理解できないというわけでもありません。
自分の中にある母性を相手に対して現すことで、自らの存在意義を見出しているのでしょう。
ただ -
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藤田宜永『影の探偵』徳間文庫。
新装版で再読。藤田宜永の初期のハードボイルド作品。1988年の作品。
時代を感じる描写とハードボイルドらしい雰囲気。バーボンとジャズ、美貌の女探偵……最初に読んだ時は良さが解らなかったが、作品の書かれた背景を知った上で読むとまあまあ面白い。
美貌の女探偵・唐渡美知子が原宿の自宅マンションに帰ると、いきなり何者かにサイレンサー付きの拳銃で狙撃される。狙撃された理由が思い当たらない美知子は過去に命を助けられた匿名の探偵・影乃に助けを請い、事件の真相を追い始める。やがて狙撃事件と関連の有りそうな女子大生・光成真澄と父親の会社社長が立て続けに殺される。
本体価格 -
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藤田宜永『大雪物語』講談社文庫。
記録的な豪雪に見舞われた長野県のK町を舞台に繰り広げられる様々な人間模様を描いた同時進行短編集。『転落』『墓掘り』『雪男』『雪の華』『わだかまり』『雨だれのプレリュード』の6編を収録。
事情を抱えた人びとが豪雪という非日常的な状況下で体験する奇跡のような時間……なかなか読ませてくれる。
派遣切りで行き場を失った挙げ句ひったくり強盗を犯し、K町に逃げ込んだ若者、遺族と共に遺体をK町に運ぶ途中に豪雪に見舞われた男、豪雪でバイバスで身動きが取れなくなった人びとに店を開放した花屋の店主、豪雪対応でK町に派遣される自衛官……
本体価格660円
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このミス2016年版9位。面白かった。自分的にはツボにはいった小説で、久々にのめり込んで一気に読んだ。強盗殺人犯が主人公で事件の真相をあばこうと暗躍する裏世界の人や刑事と対峙しながら、まっとうな事業を成功させ幸せな家庭を築いていく話。主役視点での緊迫した話が進んでいく。本人の立身物語や共犯者や女性との絡み、家庭を築いていく話はそれ自体面白く、周りの人たちが事件の真相に迫ってくるところはとてもドキドキする。リアリティがハンパなくアンモラルだけど主人公に感情移入してしてしまい、逃げ切って欲しいと思いながら読んでた。結末が予想できなくて息苦しさが続き、サスペンスとしての意外性はあるものの、比較的あっ
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恋愛小説。普段は余り読まないのですがね。まあ、中年男女と言うことで。。。
物語は若い頃の二人と今の二人の話が交互に進められます。その間に娘の恋物語が挟まれたりするのですが。
身分違いの考え方や、家元制度など、古臭さを感じさせられる部分はありますが、全体としてはなかなか読ませてくれます。☆4つ。ただ、何か一つ足りないような。あと一つ何かの調味料が入れば、素晴らしい後味になるのにと思わせるところがあります。それが何なのかは判らないのですが。
ところで、著者の藤田宜永さん、元々は犯罪小説や冒険小説の人なのですね。まったくそんな雰囲気のない、純粋な恋愛小説でした。