藤田宜永のレビュー一覧

  • 女系の総督

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     女が強い家族、という点で似ているためか、妙に感情移入して読む。設定が悉く類似し、かつ舞台も門仲あたりと土地勘あるところで、驚く。
     このおっさんは、なんか妙に細かいなぁというのが第1の感想・・。後、大事件でなく、よくある光景を淡々と記述していくのが良い。

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    2017年07月30日
  • 銀座千と一の物語

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    私は大阪の生まれだから銀座は知らない。
    だが似ていた。亡くなった父に連れられて
    何度も歩いた…大阪のキタ。梅田や北新地。
    荘重なビルヂングやダンスホール。
    百貨店や老舗の書店。銀行。

    今では失われた街並だが
    キタはそのままキタとして息づいている。

    上質の大人の物語が、どれも心地よかった。
    男たちも女たちも、がっついていない。

    齢を重ねてこその
    後ろを振り返り懐かしむ余裕と
    さばさばした諦念が
    一人ひとりを美しく映えさせて
    いまの銀座も昔の銀座もあるべき姿で
    そこに確かに在り続けている。

    「夜のサクランボ」と「ありがとう」
    この二編をお薦めします。

    変わっても変わらない銀座というところ

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    2017年04月16日
  • 喝采

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    新宿で私立探偵でハードボイルドです。わたくしが愛してやまない「探偵沢崎シリーズ」が寡作すぎて作者に死亡説が流れるレベルなのでしょんぼりしていたら「よかったらこれ」と紹介してもらいました。
    なるほど、たしかにハードボイルド。個人的には自身の女性関係に思いをはせないで探偵はもっと超然としていて欲しいんですが、これはまあ好みの問題ですかね。
    舞台が70年代ということで・・・微妙に読んでて違和感。そうか、携帯がないからか。たしかに私立探偵ものというかハードボイルドと携帯は相容れないかもな。その不在がハードボイルドを成立させてるのかもしれない。なるほどなあ。そのうち携帯もってるハードボイルド探偵の名作も

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    2015年06月29日
  • 喝采

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    藤田宜永の探偵物って久々ではないだろうか。かつてのばりばりの探偵物や冒険物の時代を思わせるような内容で、往年のファンとしては嬉しい限りなのだが、文体がちょっと原寮に似すぎている、というか、チャンドラーの翻訳というか。時代背景も含めてあえて意識して書いているのだろうか。
    ミステリーっぽい謎解きもちりばめられているのだけれど、ちょっと強引な感じ。ラストは何となく読めてしまうけれど、賛否両論分かれるのではないだろうか。個人的には余り好きではない流れだった。

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    2015年04月07日
  • 愛の領分

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    中年になってからの恋愛は過去のしがらみやら、現在の自分の立場やら何かと絡んできて、感情のまま突っ走ることができない大人の恋愛を楽しませて貰いました。
    主人公の淳蔵は友人である昌平の妻美保子とも関係を持ち、二十年ぶりに再会。
    淳蔵を探し出したのは夫である昌平だけど、その理由がラストの方で明かされる。
    美保子の淳蔵に対する執着は重い病気を患った故なのか、結局夫の方を選んでしまった後悔なのか、どちらにしても哀れでした。
    巻末に書かれていた小池真理子さんとの出会いのエピソードも興味深かった。

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    2015年04月03日
  • 愛の領分

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    この人は同じ世界の人だ、違う世界の人だ、そう考える私にとって頷ける部分が大いにあった。人間関係において偏見はいけないけど、愛についてはやはり愛の領分、大事だと思う。

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    2015年03月16日
  • 喝采

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    1972年を舞台にした私立探偵小説

    やっぱ結末はこうなるしかないのだなあ。

    とまあラストはなかなかに切ないとはいえ、読んでる間は古きよきハードボイルドって感じで楽しく読めたことであるよ。

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    2015年01月30日
  • 過去を殺せ

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    この作家のフランス舞台の小説はいいね。骨太過ぎない程度にハードボイルドっぽい主人公もいい。ラストもいい。『最後で主人公はこうであって欲しい』と思う僕の期待に応えてくれてます。
    女に惚れ込みすぎると他が上手くいかんもんやね。破滅するかもって感じても、やっぱり止まらないもんね…

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    2014年10月02日
  • 敗者復活

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    ボクが二十代前半頃の夢は、古本屋とバッティングセンターの経営でしたが、当時、ボクが理想のモデルとしたバッティングセンターには既にマンションが建って久しくなりました。

    結局、古本屋にしてもバッティングセンターにしても、そこが当時のボクの好きな場所でしかなく、代わりの場所は今でもありません。

    本書のバッティングセンターはボクが好きかもしれないバッティングセンターでした。

    バッティングセンターでのバッティングの極意は、当たるか当たらないかとか、機械に勝ったとかという次元ではなく、バッティングそのものの感触を味わい、自分自身の最高のスイングを追求する修練でもあり、また、その時代遅れな建物や雰囲気

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    2014年06月04日
  • 壁画修復師

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    タイトルに惹かれてブクオフで購入。
    ミステリではないけど、しみじみと味のあるいい小説でした。
    フランス在住の日本人修復師アベと、彼とつかの間の接点を持つ人々のお話。
    アベの落ち着いたキャラクターや、登場する人々の心のうち、その土地の風景などを繊細な表現で情緒豊かに描写していて、いつのまにか世界に入り込んでいました。
    どの作品にも余韻があり、大人の小説だなぁと思いました。
    フランスが舞台ということで、ワイン好きな私としてはそこかしこに知っている地名や美味しそうお酒やお料理の名前がでてきて、そこも魅力の一つでした。
    この作者の他の本も読んでみたくなりました。

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    2014年04月29日
  • 愛の領分

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    125回 2001年(平成13)上直木賞受賞作。東京、長野が舞台の恋愛小説。洋服の仕立て屋を営む主人公は、旧友から背広のオーダを受けて家を訪ねる。しかし、その友人の妻とはかつて不倫関係にあったのだ。そして新たな出会いと熱愛の始まり。これは本物のオトナ小説なので、中学生以下は読んではいけません。青年以上におすすめ。

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    2013年05月30日
  • 燃ゆる樹影

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     八ヶ岳の麓にあるアカマツの診察を終えた樹木医の沢村は、自身のホームページを通して知り合った陽子という若い娘を見舞うため、諏訪湖畔にある病院へ向かった。和やかな面会の最中、陽子の母親が病室に入ってきたが、彼女は、二十数年前、愛し合い、片時も離れたくないと思っていた美枝子だった。運命の再会を果たしてしまった55歳の樹木医と46歳の画廊喫茶の女店主。情趣豊かな風景の中で燃えあがる恋情を描く、珠玉の恋愛小説。

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    2013年01月06日
  • 燃ゆる樹影

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    大人の恋愛は激しくもせつないものだと思いました。
    静かに流れる時間に浸りながら物語に引き込まれていきました。決してハッピーエンドではないが、悲しすぎるわけではなく、登場人物の幸せを願わずにはいられませんでした。

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    2012年10月03日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

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    映画をさきに見てから原作読みました。記憶にないはずのことにずっとこだわる主人公。愛子の複雑な生き方など、深いなと。親子は血ではないんだな。

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    2012年05月25日
  • 愛の領分

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    直木賞受賞作品ってことで、すごく楽しみにして読みました。
    情景をものすごく緻密に思い浮かべることができるので、私は藤田さんがとても好きです。
    息子のその後がちょっと気になります。

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    2012年01月26日
  • 敗者復活

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    粉飾決済をした先代社長から会社を引継ぎ、発覚後
    投獄された57歳の主人公「崎見邦彦」。
    会社は倒産したが出所後,残った場末のバッティングセンターの経営者になる。

    妻に離婚され一人なるがバッティングセンターを悪徳不動産業者から守りながら自分なりの生き方を貫く。

    藤田氏の作品は年齢がちかいせいか共感できるものが多い。

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    2011年09月03日
  • 地獄までドリブル

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    今、藤田宜永作品が私のマイブーム。直木賞受賞作のような恋愛ものではなく、ハードボイルド、探偵小説にはまっている。昔読んだ『鋼鉄の騎士』が大好きだったのに、未読作品がたくさんある。試しにデビュー作から読んでみたら、やはり好みにぴったり。この夏は藤田宜永にどっぷりと浸かってみよう。

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    2011年11月05日
  • 標的の向こう側

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    フランス国籍でパリ在住の私立探偵・鈴切信吾が活躍するハードボイルド小説。『野望のラビりンス』に次ぐ、鈴切信吾ものの第二弾。

    主人公・鈴切信吾がフランス人という設定が面白い。私が大好きなタイプの小説だ。古典的といえる作風。だから、レイモンド・チャンドラーが好きな読者にはいいんじゃないだろうか。
    今回の事件の舞台はパリからスペインへ、そしてまたパリに戻る。日本のやくざまでもが絡んでくるという、丹念にしかも複雑に練り上げられた本格ハードボイルド作品だ。よい作品を見つけたと思ったが、鈴切ものはこの2冊だけのようだ。残念。

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    2011年11月05日
  • 野望のラビリンス

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    藤田宜永さんの描くハードボイルド小説は昔から気に入っている。フランスを舞台にしているところもいいし、古典の匂いさえする本格的なハードボイルドなところもいい。ただ、私は乱読派。どれを読みどれを読んでいないかがわからない。それで藤田さんのデビュー作である本書を読んだ。デビュー作とはいえ、安定感がある。好感を持った。

    本書の主人公・鈴切信吾は、『標的の向こう側』にふたたび登場するとある。こちらの舞台は、パリからスペインだという。パリで旧型のアルピーヌ・ルノーを駆る私立探偵・鈴切信吾は、とても魅力的だ。

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    2011年11月05日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

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    借本。
    著者の本はこれが初めて。
    真人の目線で読むと、面白い。
    途中で出てくる真人と対なす女の子が苦手だったけど、
    後々でなるほどと唸ってしまった。
    ただ、親目線で読むと、微妙な気分になるかもしれない。

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    2012年12月29日