藤田宜永のレビュー一覧
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藤田宜永『大雪物語』講談社文庫。
記録的な豪雪に見舞われた長野県のK町を舞台に繰り広げられる様々な人間模様を描いた同時進行短編集。『転落』『墓掘り』『雪男』『雪の華』『わだかまり』『雨だれのプレリュード』の6編を収録。
事情を抱えた人びとが豪雪という非日常的な状況下で体験する奇跡のような時間……なかなか読ませてくれる。
派遣切りで行き場を失った挙げ句ひったくり強盗を犯し、K町に逃げ込んだ若者、遺族と共に遺体をK町に運ぶ途中に豪雪に見舞われた男、豪雪でバイバスで身動きが取れなくなった人びとに店を開放した花屋の店主、豪雪対応でK町に派遣される自衛官……
本体価格660円
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Posted by ブクログ
このミス2016年版9位。面白かった。自分的にはツボにはいった小説で、久々にのめり込んで一気に読んだ。強盗殺人犯が主人公で事件の真相をあばこうと暗躍する裏世界の人や刑事と対峙しながら、まっとうな事業を成功させ幸せな家庭を築いていく話。主役視点での緊迫した話が進んでいく。本人の立身物語や共犯者や女性との絡み、家庭を築いていく話はそれ自体面白く、周りの人たちが事件の真相に迫ってくるところはとてもドキドキする。リアリティがハンパなくアンモラルだけど主人公に感情移入してしてしまい、逃げ切って欲しいと思いながら読んでた。結末が予想できなくて息苦しさが続き、サスペンスとしての意外性はあるものの、比較的あっさりと終わる。やっぱりそうなのねと若干物足りないがとても現実的な結末だと思う。小説の進行とともに1966年ごろから1980年ごろまでの実際の事件や東京の歓楽街の状況など時代背景が克明に記されれて自分自身の記憶と重なり興味が継続する。自分はもう少し後の世代だけど、この時代の話は若いころ大藪春彦や黒岩重吾などの本を読み漁ったのでとても懐かしかった。
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Posted by ブクログ
恋愛小説。普段は余り読まないのですがね。まあ、中年男女と言うことで。。。
物語は若い頃の二人と今の二人の話が交互に進められます。その間に娘の恋物語が挟まれたりするのですが。
身分違いの考え方や、家元制度など、古臭さを感じさせられる部分はありますが、全体としてはなかなか読ませてくれます。☆4つ。ただ、何か一つ足りないような。あと一つ何かの調味料が入れば、素晴らしい後味になるのにと思わせるところがあります。それが何なのかは判らないのですが。
ところで、著者の藤田宜永さん、元々は犯罪小説や冒険小説の人なのですね。まったくそんな雰囲気のない、純粋な恋愛小説でした。
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Posted by ブクログ
私は大阪の生まれだから銀座は知らない。
だが似ていた。亡くなった父に連れられて
何度も歩いた…大阪のキタ。梅田や北新地。
荘重なビルヂングやダンスホール。
百貨店や老舗の書店。銀行。
今では失われた街並だが
キタはそのままキタとして息づいている。
上質の大人の物語が、どれも心地よかった。
男たちも女たちも、がっついていない。
齢を重ねてこその
後ろを振り返り懐かしむ余裕と
さばさばした諦念が
一人ひとりを美しく映えさせて
いまの銀座も昔の銀座もあるべき姿で
そこに確かに在り続けている。
「夜のサクランボ」と「ありがとう」
この二編をお薦めします。
変わっても変わらない銀座というところと
長い歳月だけが可能にする偶然の物語。
いいタイミングで読めたような気がします。 -
Posted by ブクログ
新宿で私立探偵でハードボイルドです。わたくしが愛してやまない「探偵沢崎シリーズ」が寡作すぎて作者に死亡説が流れるレベルなのでしょんぼりしていたら「よかったらこれ」と紹介してもらいました。
なるほど、たしかにハードボイルド。個人的には自身の女性関係に思いをはせないで探偵はもっと超然としていて欲しいんですが、これはまあ好みの問題ですかね。
舞台が70年代ということで・・・微妙に読んでて違和感。そうか、携帯がないからか。たしかに私立探偵ものというかハードボイルドと携帯は相容れないかもな。その不在がハードボイルドを成立させてるのかもしれない。なるほどなあ。そのうち携帯もってるハードボイルド探偵の名作も生まれるのかもしれませんが、なんとなくイメージ的にしっくりこないのはわかる。
古き良き王道ハードボイルドなストーリーで読みごたえもあってなかなかに楽しめました。 -
Posted by ブクログ
ボクが二十代前半頃の夢は、古本屋とバッティングセンターの経営でしたが、当時、ボクが理想のモデルとしたバッティングセンターには既にマンションが建って久しくなりました。
結局、古本屋にしてもバッティングセンターにしても、そこが当時のボクの好きな場所でしかなく、代わりの場所は今でもありません。
本書のバッティングセンターはボクが好きかもしれないバッティングセンターでした。
バッティングセンターでのバッティングの極意は、当たるか当たらないかとか、機械に勝ったとかという次元ではなく、バッティングそのものの感触を味わい、自分自身の最高のスイングを追求する修練でもあり、また、その時代遅れな建物や雰囲気のわびさびを楽しみ、それを理解する紳士達との交流の場で、本来は大人のスポーツですので、暴走族や打席を占領する奴らには出入りして欲しくないと思いました。 -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれてブクオフで購入。
ミステリではないけど、しみじみと味のあるいい小説でした。
フランス在住の日本人修復師アベと、彼とつかの間の接点を持つ人々のお話。
アベの落ち着いたキャラクターや、登場する人々の心のうち、その土地の風景などを繊細な表現で情緒豊かに描写していて、いつのまにか世界に入り込んでいました。
どの作品にも余韻があり、大人の小説だなぁと思いました。
フランスが舞台ということで、ワイン好きな私としてはそこかしこに知っている地名や美味しそうお酒やお料理の名前がでてきて、そこも魅力の一つでした。
この作者の他の本も読んでみたくなりました。