【感想・ネタバレ】愛の領分のレビュー

あらすじ

妻に先立たれ、一人息子を育てながら静かに仕立て屋を営む中年の男。28年ぶりに突然現れた、かつての親友。その妻で、むかし男が恋焦がれた女。そして35年ぶりに訪れた故郷で出会い、男が年齢差を超えて魅かれる絵描きの女。度重なる再会が、互いのあやうい過去を明らかにしていく。許したいけど許せない、忘れたくても忘れられないことが4人には多すぎた……。大人の男女の愛憎、心の陰影を妖しく描いた直木賞受賞作。母親への想いを綴った、自伝エッセイも収録。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

直木賞の本を読んだなぁと思える素晴らしい作品だと思った。終盤にかけて物語が展開していく中で紡がれる愛についての視点、そしてそれがもたらすクライマックスが途轍もないなという印象だ。恋愛小説は「ほかならぬ人」が一番だったが、それに近づいてくるような素晴らしく重厚で、濃厚な昨比だった。重厚とは言いつつも、言葉がすっと入ってくるので読んでいられる。書き手の技術には舌を巻く。

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2025年10月27日

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ネタバレ

 20年くらい前に担当編集者にいただいて、中年の恋愛小説はちょっとなあと気が重くて読まずにいたのだけど、自分自身が立派な中年どころか初老に至り、ようやく読み始めるととてもよかった。その編集者さんには3冊の本をいただいて、これまで読んだ2冊もすごく面白くて、これも素晴らしかったので、いただいた直後に読んで感想を伝えたらきっともっといい関係が築けただろうに、本当に失礼した。しかし、やっぱりこの小説だけは若い時に読んでもピンとこなかったかもしれない。主人公と大体同じ年になっているのだけど、全然インポじゃなく、精力があってすごい。今更、ちんちんが元気でもしょうがないのだけど羨ましい。サスペンス調のところはドキドキした。若いころの回想シーンは、胸がつまる思いがする。

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2021年04月28日

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年代が全然違うのにー。
これでハマってしまい、他の作品もたくさん読みました。
他のも同じ雰囲気で期待を裏切らないです。

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2011年08月01日

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ネタバレ

 藤田宜永(ふじた・よしなが)は1950年、福井県生まれ。先の1月30日に亡くなった。
 この「愛の領分」で、第125回直木賞・受賞。
 主人公の淳藏(50歳代、妻を亡くしている)と恋人の佳世(39歳、独身)、ほか様々な男女の情の絡み合いが描かれる。
 淳藏の昔の恋人・美保子が不治の病となって、また淳藏を恋うのも哀れである。
 ハッピイエンドの結末は流し読みした。幸せな恋人たちは放っておいて好い。
 作者は「愛の領分」としているが、欲情絡みの男の見方に思えてならない。

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2020年03月03日

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上田と東京の中年の逢引。

「寂しい人生を送ってきた人は、他人がよく見えるんだと思う。鋭さや頭の良さとは関係ない」


独身の2人なのにどこか 人目につかないようにしないといけないような淳蔵と佳世。

「ヒトリシズカ」の花は確か 小池真理子さんの著書にもあったような。

息子の信也の存在も この年齢ならではで大人を見ている目を意識させる。

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2020年03月01日

Posted by ブクログ

中年になってからの恋愛は過去のしがらみやら、現在の自分の立場やら何かと絡んできて、感情のまま突っ走ることができない大人の恋愛を楽しませて貰いました。
主人公の淳蔵は友人である昌平の妻美保子とも関係を持ち、二十年ぶりに再会。
淳蔵を探し出したのは夫である昌平だけど、その理由がラストの方で明かされる。
美保子の淳蔵に対する執着は重い病気を患った故なのか、結局夫の方を選んでしまった後悔なのか、どちらにしても哀れでした。
巻末に書かれていた小池真理子さんとの出会いのエピソードも興味深かった。

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2015年04月03日

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この人は同じ世界の人だ、違う世界の人だ、そう考える私にとって頷ける部分が大いにあった。人間関係において偏見はいけないけど、愛についてはやはり愛の領分、大事だと思う。

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2015年03月16日

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125回 2001年(平成13)上直木賞受賞作。東京、長野が舞台の恋愛小説。洋服の仕立て屋を営む主人公は、旧友から背広のオーダを受けて家を訪ねる。しかし、その友人の妻とはかつて不倫関係にあったのだ。そして新たな出会いと熱愛の始まり。これは本物のオトナ小説なので、中学生以下は読んではいけません。青年以上におすすめ。

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2013年05月30日

Posted by ブクログ

直木賞受賞作品ってことで、すごく楽しみにして読みました。
情景をものすごく緻密に思い浮かべることができるので、私は藤田さんがとても好きです。
息子のその後がちょっと気になります。

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2012年01月26日

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第125回直木賞作品。渡辺淳一が文庫の背表紙にミニ解説をしている。仕立て屋の淳三が昔の親友とその妻に会いに信州に行く。そこで知り合ったもうひとりの女性、佳世との新しい恋。雰囲気が渡辺淳一に似ていなくもない・・。男と女だけに留まらない、長い人生にわたる心理描写が評価のポイントでしょうか。

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2009年10月04日

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“静思果敢”な恋愛
ご本人が、「愛の領域」のあとがきに代えて、にて
そんなふうに表現している。友人の言葉とのこと。
人生の半ばを過ぎた50歳仕立て屋の男。
若い頃、友人の妻を好きになり、駆け落ちしようとした過去がある。その夫婦とは、疎遠としてきたが、妻の病気をきっかけに再び親交が始まる。
昔の恋にすがる女、浮気が治らない夫、すでに全てが過去となっている男。
この主人公の男の過去の恋愛と結婚、今、惹かれる奔放な女性との恋愛。
男に絡まる女性達の奔放さが、男の静思をきわだたせる。
大人というより、多々乗り越えた中年の静かだけど、確実な恋だなぁ。少し羨ましい。

「愛にも領分がある」
自分の愛情が伝わる領域というところか。
そのあたりは、納得できたわけでない。

藤田さんの奥様は、小池真理子さん。
夫婦で恋愛小説作家だったね。

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2024年01月30日

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あまりピンとこなかった
複雑な恋愛だし、心理描写も情景描写も繊細だったんだけど、何かいまいちピンとこなかった
大きな感動もないし、いい作品ではあるんだけれど…
自分がピンとくるものとピンとこないものの差が知りたい

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2022年11月30日

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お亡くなりになられたということで再読。
そうですねぇ、まぁ可もなく不可もなくでしょうか。
こんな狭い空間でそんなふうにコトが起きますかのぅ?と若干の疑問もありますが、まぁまぁそれは置いといて、ということかも。
また、タイトルとその説明に無理矢理感は否めない、触れないとあかんですか?という気はする。
最後に美保子の扱いの冷酷さに人間描写の深淵を見るか、雑過ぎると見るか、極端な意見に振れそうです。

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2020年03月08日

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50歳を越えての恋愛ながら、それまでの遍歴がスゴい。友達の妻から、同じ女性に向かうところまで、ここまで行きますか。という感じ。女性の執着心というか、嫉妬心というかその辺りも全面にだし、普通の恋愛小説ではないがやっぱりある意味の恋愛小説ということなんだろうと思う。

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2016年09月29日

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心地よい文体でスラスラと読み進むことができた。長く生きれば過去を背負う。相手の背負ったものを意識すまいと思えど、そのこだわりを払拭することは難しい。経験を重ねた恋愛であればこそ相手を思いやれる反面、相手の恋愛経験をも受け入れなければならない。過去への嫉妬、燃え上がる中でも理性を保った想い、大人の恋慕が綴られる。

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2014年05月08日

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ネタバレ

中年ビバリーヒルズ高校白書。
なんていうと身も蓋もないけど、 ドロドロ恋愛劇場。

深い内容があるのかもしれないけど。

愛には、周波数がある。

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2011年12月19日

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ネタバレ

熟年の愛。

個人メモ
宮武淳蔵・・・仕立て人。若いころ、昌平とつるみ遊びまわる。美保子に恋する。
佐智子・・・淳蔵の妻
信也・・・淳蔵の息子。歪んだ性格?淳蔵に愛されていないせい?
高瀬昌平・・・事業に失敗し若かりしことのパワーを失う。急に淳蔵を探しだし会いに行く。
美保子・・・昌平の妻。いっとき淳蔵と関係をもつ。不治の病に冒される。
太一・・・淳蔵の父に救われる?
佳世・・・太一の娘。絵描き。昌平の愛人。淳蔵に惹かれる。

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2011年11月02日

匿名

ネタバレ

直木賞?

中年の男性の恋愛願望とはこんなものだろう。主人公の淳蔵は、昔横恋慕した美保子と若い佳世に想われるがあくまで受け身。中年になってもモテちゃうオレ。しかし男性目線の狭い視野が過ぎる。これが直木賞受賞作品?直木賞受賞を目安にして読む本を選ぶ人の期待を裏切る。
佳世は昔不倫した相手が自殺し,その後もまた不倫し妊娠して安産祈願までした相手があり、その後その友人である淳蔵と付き合っちゃう。佳世、世間狭過ぎだし凝りなさ過ぎ。まぁ男にとっては都合の良い女性。
そして息子の存在を描きながら関係性は薄っぺら。父親のせいで母親が苦しんで死んでいったという息子の疑念も、ボランティアの事も、ストーカー行為も、息子との関係をどう解決するかよりも息子への鬱陶しさが優位であるかの様ですね。親子関係を描ききれないのなら息子はいない設定で良い。
淳蔵と佳世の世界が一致してラッキーでしたね。

#ドロドロ

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2024年11月07日

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