あらすじ
妻に先立たれ、一人息子を育てながら静かに仕立て屋を営む中年の男。28年ぶりに突然現れた、かつての親友。その妻で、むかし男が恋焦がれた女。そして35年ぶりに訪れた故郷で出会い、男が年齢差を超えて魅かれる絵描きの女。度重なる再会が、互いのあやうい過去を明らかにしていく。許したいけど許せない、忘れたくても忘れられないことが4人には多すぎた……。大人の男女の愛憎、心の陰影を妖しく描いた直木賞受賞作。母親への想いを綴った、自伝エッセイも収録。
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Posted by ブクログ
20年くらい前に担当編集者にいただいて、中年の恋愛小説はちょっとなあと気が重くて読まずにいたのだけど、自分自身が立派な中年どころか初老に至り、ようやく読み始めるととてもよかった。その編集者さんには3冊の本をいただいて、これまで読んだ2冊もすごく面白くて、これも素晴らしかったので、いただいた直後に読んで感想を伝えたらきっともっといい関係が築けただろうに、本当に失礼した。しかし、やっぱりこの小説だけは若い時に読んでもピンとこなかったかもしれない。主人公と大体同じ年になっているのだけど、全然インポじゃなく、精力があってすごい。今更、ちんちんが元気でもしょうがないのだけど羨ましい。サスペンス調のところはドキドキした。若いころの回想シーンは、胸がつまる思いがする。
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藤田宜永(ふじた・よしなが)は1950年、福井県生まれ。先の1月30日に亡くなった。
この「愛の領分」で、第125回直木賞・受賞。
主人公の淳藏(50歳代、妻を亡くしている)と恋人の佳世(39歳、独身)、ほか様々な男女の情の絡み合いが描かれる。
淳藏の昔の恋人・美保子が不治の病となって、また淳藏を恋うのも哀れである。
ハッピイエンドの結末は流し読みした。幸せな恋人たちは放っておいて好い。
作者は「愛の領分」としているが、欲情絡みの男の見方に思えてならない。
Posted by ブクログ
中年ビバリーヒルズ高校白書。
なんていうと身も蓋もないけど、 ドロドロ恋愛劇場。
深い内容があるのかもしれないけど。
愛には、周波数がある。
Posted by ブクログ
熟年の愛。
個人メモ
宮武淳蔵・・・仕立て人。若いころ、昌平とつるみ遊びまわる。美保子に恋する。
佐智子・・・淳蔵の妻
信也・・・淳蔵の息子。歪んだ性格?淳蔵に愛されていないせい?
高瀬昌平・・・事業に失敗し若かりしことのパワーを失う。急に淳蔵を探しだし会いに行く。
美保子・・・昌平の妻。いっとき淳蔵と関係をもつ。不治の病に冒される。
太一・・・淳蔵の父に救われる?
佳世・・・太一の娘。絵描き。昌平の愛人。淳蔵に惹かれる。
匿名
直木賞?
中年の男性の恋愛願望とはこんなものだろう。主人公の淳蔵は、昔横恋慕した美保子と若い佳世に想われるがあくまで受け身。中年になってもモテちゃうオレ。しかし男性目線の狭い視野が過ぎる。これが直木賞受賞作品?直木賞受賞を目安にして読む本を選ぶ人の期待を裏切る。
佳世は昔不倫した相手が自殺し,その後もまた不倫し妊娠して安産祈願までした相手があり、その後その友人である淳蔵と付き合っちゃう。佳世、世間狭過ぎだし凝りなさ過ぎ。まぁ男にとっては都合の良い女性。
そして息子の存在を描きながら関係性は薄っぺら。父親のせいで母親が苦しんで死んでいったという息子の疑念も、ボランティアの事も、ストーカー行為も、息子との関係をどう解決するかよりも息子への鬱陶しさが優位であるかの様ですね。親子関係を描ききれないのなら息子はいない設定で良い。
淳蔵と佳世の世界が一致してラッキーでしたね。