藤田宜永のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
長いっ(笑)。でもこの長さを苦にさせないところが
筆者の上手さですよね。主人公の強さと弱さとが
織り交じって描かれる中年男性像は、もう既に
自分の年齢と変わらなくなってきており、いちいち身に染みる。
主人公が必死になってしがみ付いて守ろうとした古ぼけた
バッティングセンターのようなものを果たして自分は持っているんだろうか?
自分にとって守るべきものは何なのか...。音楽だったはずなんだが
この数年その自信がなくなってきた。流行になるでもなく、
一般に受け入れられるでもない環境の音楽に対して
ここまで闘えるのか...。歳をとるってのは臆病風に吹かれ弱く
なるって事がこんなに切実に身に染みるとは -
Posted by ブクログ
“静思果敢”な恋愛
ご本人が、「愛の領域」のあとがきに代えて、にて
そんなふうに表現している。友人の言葉とのこと。
人生の半ばを過ぎた50歳仕立て屋の男。
若い頃、友人の妻を好きになり、駆け落ちしようとした過去がある。その夫婦とは、疎遠としてきたが、妻の病気をきっかけに再び親交が始まる。
昔の恋にすがる女、浮気が治らない夫、すでに全てが過去となっている男。
この主人公の男の過去の恋愛と結婚、今、惹かれる奔放な女性との恋愛。
男に絡まる女性達の奔放さが、男の静思をきわだたせる。
大人というより、多々乗り越えた中年の静かだけど、確実な恋だなぁ。少し羨ましい。
「愛にも領分がある」
自分の愛情が伝 -
Posted by ブクログ
本棚を整理したときに出てきた20年ぐらい前に読んだ本の再読。
中身はほぼ忘れていたが、読み終わって、あぁこんなんだったなぁと少しだけ思い出す。
ただ当時は、藤田宜永は結構好きで何冊も読んでいた。
推理物は好きではないが、これは推理というよりもハードボイルド系。
パリで暮らす主人公が、息子を警察に誤射され結局は死んでしまい、その仇を打つために色々動いたらフランスのサッカー界の裏の事情に通じてしまい、結局はそれを暴くことにより、恨みを晴らすことができたというお話。
話の展開や根回しはかなりよく出来ていて、そこらのちょこちょこっと書き上げたストーリーとは訳が違う。
昔はこんなのが好きだったなぁ