藤田宜永のレビュー一覧

  • 敗者復活

    Posted by ブクログ

    舞台は昭和の遺跡のようなバッティングセンター。そこを経営する男は過去も妻子も財産も捨て、陽の当たらない道を歩むことを選んだ男。

    しかし、老朽バッティングセンターを中心にわき起こる様々なドラマと蠢く人々に背中を押され、男はかつてのギラギラした自分へ「復活」する。

    バッティングセンターという独特の閉ざされた施設をうまく使ったハードボイルド・ミステリー。しかし、終わり方はちょっと唐突すぎる。もうちょっと説明がほしかった。

    0
    2010年09月17日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

    Posted by ブクログ

    自分が赤ん坊の頃、一時、誘拐されていた主人公。
    今の生活、家庭、自分に不満を覚え、「自分を誘拐した女に会ってみようか」と なんとなく、本当になんとなく 探し訪ねる。と まぁ そんな話。
    ストーリー的には大した事ないと思うんですが、主人公の感情の描写がいいですねぇ。それでどんどん引き込まれちゃう。「女」の容姿、暮らし様などの設定も面白いし、主人公の友達らも なかなかいい味を出してる。
    明るい内容じゃないのに重苦しさはない。
    全体的にテンポがいいですね(^-^)

    0
    2010年04月26日
  • 敗者復活

    Posted by ブクログ

    長いっ(笑)。でもこの長さを苦にさせないところが
    筆者の上手さですよね。主人公の強さと弱さとが
    織り交じって描かれる中年男性像は、もう既に
    自分の年齢と変わらなくなってきており、いちいち身に染みる。

    主人公が必死になってしがみ付いて守ろうとした古ぼけた
    バッティングセンターのようなものを果たして自分は持っているんだろうか?
    自分にとって守るべきものは何なのか...。音楽だったはずなんだが
    この数年その自信がなくなってきた。流行になるでもなく、
    一般に受け入れられるでもない環境の音楽に対して
    ここまで闘えるのか...。歳をとるってのは臆病風に吹かれ弱く
    なるって事がこんなに切実に身に染みるとは

    0
    2009年12月18日
  • セカンドライフ

    Posted by ブクログ

    さあ余生をどうすごそうか・・・

    団塊の世代の退職という時代にある現代。
    それぞれがそれぞれの生きたい余生と現実との狭間で葛藤しているのではないだろうか。

    正直人生なんてどう転ぶか分からない。
    70になって初めて燃えるような恋愛をするようなひともいるかもしれないし、文化的だった人が突然スポーツに打ち込むようになるかもしれない。そして多くの社会経験を積んできた大人たちはそうした自分を客観視し、それをあるがままに受け入れていく。

    「これも私のじんせいなのだ」と。

    そこが面白い。

    0
    2009年11月26日
  • 壁画修復師

    Posted by ブクログ

    連作短編集
    文章がしっかりしていて読みごこちがいい。アラ50向け?
    日本人がフランスでフレスコ壁画の修復師をしている…今風の甘くて軽い設定かと思って読んだが、きちんと必然性のある設定だった。
    男女・親子・友人、形は違っても、人を許し想い愛するっていいことだね。そしてせつないね。

    0
    2009年10月04日
  • さかしま

    Posted by ブクログ

    一気に読めた。泥臭くて等身大な感じのミステリー。ミステリーというには弱いか。読んでる最中は楽しかったのでおk。

    0
    2009年10月04日
  • 愛の領分

    Posted by ブクログ

    第125回直木賞作品。渡辺淳一が文庫の背表紙にミニ解説をしている。仕立て屋の淳三が昔の親友とその妻に会いに信州に行く。そこで知り合ったもうひとりの女性、佳世との新しい恋。雰囲気が渡辺淳一に似ていなくもない・・。男と女だけに留まらない、長い人生にわたる心理描写が評価のポイントでしょうか。

    0
    2009年10月04日
  • 樹下の想い

    Posted by ブクログ

    華道家元の娘と花材職人の26年間の恋を綴った作品。身分の違いから、家元に恋をしていても積極的になれなかった22歳の頃と、48歳の自分が交互に描かれ話が進んでいきます。何十年も想い続けられる人がいるというのは、現実的には非常に迷惑なことだと思いますが、小説で読む分にはありかなと。華道の勉強にもなる良い作品だと思います。

    0
    2009年10月04日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

    Posted by ブクログ

    主人公が気に入ってしまい、それだけで楽しめた。
    短いわけでもないけれど、一気に読んでしまって、満足感もあった。
    海のイメージが浮かんできそうな描写もよかったです。

    0
    2009年10月07日
  • 子宮の記憶 ここにあなたがいる

    Posted by ブクログ

    分厚いわりにはアッという間に読み終えました。何もかもがたんたんとしたまま終わってしまった・・・って感じです。この続きが気になる。

    0
    2009年10月04日
  • 樹下の想い

    Posted by ブクログ

    家元と花材屋という表裏をなす二人の、青春時代から中年の長きに亘る純愛という切ない物語。本書を読んでからホテルのロビーなどにある見事に活けられた花を見ると、活ける人を支える花材屋の方の苦労まで想像するようになった。

    0
    2009年10月04日
  • 愛さずにはいられない(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    60年代を生きた著者の青年時代の私小説。一人の女性を愛し、その裏にある母親との葛藤というのも絡み合って物語を複雑にする。
    私の好みではないけれど面白くないわけではない。

    0
    2025年09月06日
  • 大雪物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    達雄は目を閉じた。千裕の姿が瞼に浮かんだ。
    雪の華が突然舞い込んできて消えていった。ただそれだけの話ではないか。
    達雄は少し躰を起こし、俊美を゙盗み見た。
    小暗い中に、俊美の横顔が影となって浮かび上がっていた。
    俺はこの女が好きだ。
    達雄は、しみじみとした気持ちで、いつまでも俊美の横顔を見つめていた。

    0
    2025年07月18日
  • わかって下さい(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    65歳の男性の短編。最初のわかって下さい。が1番良かった!この時代の因幡晃って人が歌う「わかって下さい」っていう歌が小説に出てきたりするから、この世代の人たちにはすごい懐かしくて面白い作品なんじゃないかな。自分は聞いたことがなかったから読み終わったあとに聞いてみた。へぇ〜って感じで特に だったけど笑 「エアギターを抱いた男」も良かったな。

    0
    2025年02月18日
  • 大雪物語

    Posted by ブクログ

    一つの町で様々な人の立場から、大雪に見舞われた人々が織りなす様々なストーリー
    一つ一つの話が長くなく読みやすかったです。
    大掛かりなどんでん返しがあったり何か特別な出来事があるわけではないのですが、日常の中での災害に対して色々な人の思い、考え、行動が示されている本だと感じました。

    0
    2024年12月26日
  • 奈緒と私の楽園

    Posted by ブクログ

    中年のバツイチ男性が、かなり変わったタイプの若い女性に身体の関係を持たずして溺れてゆく話、と言ってしまえば身も蓋もないか。
    母性に対する憧れは多かれ少なかれ多くの男性にあると思いますが、自分としては共感に欠ける話だった。

    0
    2024年09月26日
  • 愛の領分

    Posted by ブクログ

    “静思果敢”な恋愛
    ご本人が、「愛の領域」のあとがきに代えて、にて
    そんなふうに表現している。友人の言葉とのこと。
    人生の半ばを過ぎた50歳仕立て屋の男。
    若い頃、友人の妻を好きになり、駆け落ちしようとした過去がある。その夫婦とは、疎遠としてきたが、妻の病気をきっかけに再び親交が始まる。
    昔の恋にすがる女、浮気が治らない夫、すでに全てが過去となっている男。
    この主人公の男の過去の恋愛と結婚、今、惹かれる奔放な女性との恋愛。
    男に絡まる女性達の奔放さが、男の静思をきわだたせる。
    大人というより、多々乗り越えた中年の静かだけど、確実な恋だなぁ。少し羨ましい。

    「愛にも領分がある」
    自分の愛情が伝

    0
    2024年01月30日
  • 愛さずにはいられない(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    小池真理子さんの亡き夫との日々を綴った月夜の森の梟を読み、ご主人藤田宜永さんの作品に興味持ちました。自伝的小説とされるこの作品をまず手にとり読みました。福井から16歳で上京し下宿生活。学校は二の次でお酒、タバコ、女遊びとご自身も自覚していたようですが依存症。実母との確執、同郷の年上の女性との恋が描かれていました。おませな高校生がその後フランスに渡り、フランス人女性と結婚を経て、小池真理子さんをパートナーに選び落ち着くまでも知りたいと思いました。

    0
    2023年11月13日
  • わかって下さい(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    人生の秋に差し掛かった男性の短編6遍。どの主人公にもそれぞれの人生があり、誰もが過去を背負い現在を受け入れて静かに暮らしている。個人的には第一条の「わかってください」がお気に入りです。お互いを思いやる優しさが切なくて、感情を表に出し過ぎることをあまり好ましく思っていない私には心地良かったです。

    0
    2023年08月07日
  • 地獄までドリブル

    Posted by ブクログ

    本棚を整理したときに出てきた20年ぐらい前に読んだ本の再読。

    中身はほぼ忘れていたが、読み終わって、あぁこんなんだったなぁと少しだけ思い出す。

    ただ当時は、藤田宜永は結構好きで何冊も読んでいた。
    推理物は好きではないが、これは推理というよりもハードボイルド系。
    パリで暮らす主人公が、息子を警察に誤射され結局は死んでしまい、その仇を打つために色々動いたらフランスのサッカー界の裏の事情に通じてしまい、結局はそれを暴くことにより、恨みを晴らすことができたというお話。

    話の展開や根回しはかなりよく出来ていて、そこらのちょこちょこっと書き上げたストーリーとは訳が違う。
    昔はこんなのが好きだったなぁ

    0
    2023年03月30日