藤田宜永のレビュー一覧
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乱調とは、調子が乱れていること。乱れた調子やそのさまを表す言葉。
日本に帰国する機会を利用して息子の自殺の原因を探ろうとする父親。
離れて暮らしていたからこそ、「なぜ死ななければならなかったのか?」という疑問をそのままには出来なかったのだ。
大人の男性の自制心と、それを壊すほどの強いエネルギーを放つ女子高生。
世間的にはアンバランスな二人も、当事者にとっては何の障害もないかもしれない。
深雪のしたたかさも個性のひとつなのか、それとも若さゆえの思いあがりと思慮の浅さに支えられたものなのか。
村井にはきっと理解できないだろう。
ただ、目の前にいる少女と向きあうことしか彼には出来ない。
それにしても -
Posted by ブクログ
こどもにとって母親とはどういう存在なのか。どのように接していたとしても母親は母親であって、かけがえのない寄るべき存在なのか?そうじゃないケースもきっとある、そのケースを赤ちゃんを誘拐して母親になろうとした当時の犯人に会いに行き、もしかしたらその犯人のこどもとして育っていったなら、もっと違った母親との関係になったんじゃないか?というストーリー展開で本書は進んでいく。
その犯人の女は、再婚して相手の連れ子との関係が最悪だったり、田舎町のよくわる閉鎖的な環境に身を置くなど複雑な関係があったり、主人公も家の金をもちだして家出するなど破天荒な背景設定であるが、紗に構えつつ、本気になれない青年の困った気持 -
Posted by ブクログ
ハードボイルドかなあ(2回め)。フランス在住の私立探偵鈴切信吾が、持ち込まれた些細な依頼を片付けようとして、殺人事件に巻き込まれていくシリーズ。
個人的に酷評した「標的の向こう側」では、日本のヤクザとその娘と恋人だったけど、今度は芸術家ネットワークと銃器密輸ルートの話。ヤクザよりは人間性が描かれているので、それなりに読みやすい。
相変わらず、私立探偵が動けば動くだけ、人が殺されていくのだが、何でほぼすべて日本人なのよ?という違和感は相変わらず。フランスで話を拡げる意味がわからない。
しかし本作では、鈴切さん(そもそも生涯ほぼフランスにいるのに、漢字の名前って不思議だが)には、幸いにしてキ