あらすじ
銀座は、すべてを教えてくれる――
だれもが憧れる街、銀座。そこには恋も、挫折も、野心も、生きがいもある。
なにかを期待するから、この街に男も女も引き寄せられ、なにかが起きるから、人生は彩られていく。
銀座は、何気ない日常の中の特別な舞台――。
「銀座百点」で好評連載された33のショートストーリーに、撮り下ろしの写真を多数収録。
宝石箱のような一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私は大阪の生まれだから銀座は知らない。
だが似ていた。亡くなった父に連れられて
何度も歩いた…大阪のキタ。梅田や北新地。
荘重なビルヂングやダンスホール。
百貨店や老舗の書店。銀行。
今では失われた街並だが
キタはそのままキタとして息づいている。
上質の大人の物語が、どれも心地よかった。
男たちも女たちも、がっついていない。
齢を重ねてこその
後ろを振り返り懐かしむ余裕と
さばさばした諦念が
一人ひとりを美しく映えさせて
いまの銀座も昔の銀座もあるべき姿で
そこに確かに在り続けている。
「夜のサクランボ」と「ありがとう」
この二編をお薦めします。
変わっても変わらない銀座というところと
長い歳月だけが可能にする偶然の物語。
いいタイミングで読めたような気がします。