あらすじ
1966年8月15日。根津謙治は、仲間たちと豪邸の前にトラックを止めた。戦後の混乱期に財を成した実業家から現金11億円を奪うためだ。その際、根津は不本意ながら一人の女性を射殺してしまう。それから14年。時効が近づいた頃、彼らの身の周りに新たな事件が続発する。首尾よく離散したはずの男たちの軌跡が再び交差する時、人間の業と事件の真相が明らかになる。昭和の時代と風俗を克明に描写した熱き犯罪小説。
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Posted by ブクログ
このミス2016年版9位。面白かった。自分的にはツボにはいった小説で、久々にのめり込んで一気に読んだ。強盗殺人犯が主人公で事件の真相をあばこうと暗躍する裏世界の人や刑事と対峙しながら、まっとうな事業を成功させ幸せな家庭を築いていく話。主役視点での緊迫した話が進んでいく。本人の立身物語や共犯者や女性との絡み、家庭を築いていく話はそれ自体面白く、周りの人たちが事件の真相に迫ってくるところはとてもドキドキする。リアリティがハンパなくアンモラルだけど主人公に感情移入してしてしまい、逃げ切って欲しいと思いながら読んでた。結末が予想できなくて息苦しさが続き、サスペンスとしての意外性はあるものの、比較的あっさりと終わる。やっぱりそうなのねと若干物足りないがとても現実的な結末だと思う。小説の進行とともに1966年ごろから1980年ごろまでの実際の事件や東京の歓楽街の状況など時代背景が克明に記されれて自分自身の記憶と重なり興味が継続する。自分はもう少し後の世代だけど、この時代の話は若いころ大藪春彦や黒岩重吾などの本を読み漁ったのでとても懐かしかった。