三秋縋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ三秋縋さんの出版処女作。三秋さんらしい、特殊な設定の元で、主人公の内面を丁寧に描写することで、心の移り変わりを読者に届けているので面白かった。今でこそ、タイムリープものが流行っているから、既視感を抱いてしまいそうだが、10年も前だと新鮮だったのかな?
内容的には、森絵都の『カラフル』を感じさせる内容で、ありきたりではあったものの、それを感じさせないくらいの表現と、読後感の良さが印象的。ちょっと中盤の内容が長すぎてだれそうではあったけど、全体的に面白かった。
最近自分の読書の傾向を見ていると、どんでん返しや、オチがハッキリしていないものを読むと、飽きてしまうようなところがあるのかもしれない。ミステリーに手を出してみるかな。 -
Posted by ブクログ
孤独と不安だらけの二人が
少しずつ心ひらいていくお話。
前半はめっちゃ暗くて
読んでるとこっちまでしんどくなるくらい。
でもその暗さがあるから
後半の変化がちゃんと心に響くし
二人の成長がまぶしく見える。
恋愛小説というよりは
「人とつながる怖さ」とか
「自分を認めるむずかしさ」を
じっくり描いた作品って感じ。
だから甘々な展開を期待すると
ちょっと物足りないかも。
心理描写がリアルで
キャラの気持ちがちゃんと伝わるし
共感できる人は多いはず。
展開は少し王道だけど
それでもページをめくる手が止まらない。
読後は切ないのにどこかあったかくて
考えさせられる余韻が残る。
暗めの物語や人間ドラマが好きな人には
ぜひ読んでほしい一冊。 -
Posted by ブクログ
うーん、怖い。ただただ怖い。『サクラ』は出会い系であったり、普通に存在するけど、このシステムがこのようなカタチで根付いていると、人間不信に陥ってしまうだろうなと思う。
尾上の元に一本の電話が入る。『高砂澄香が自殺しました』。高砂澄香とは、尾上がかつて一番愛した女性で、一番憎んだ女性だった。
高砂澄香が本当に死んだのかを確認するために昔住んでいた『さくらのまち』に戻り、澄香の家の前に行くと、そこに澄香と同じ顔をした女性が立っていた。
澄香の妹の霞だ。やがて、尾上は霞のプロンプターに指名される。プロンプターとは、自殺志願者に寄り添い、自殺をさせないようにする友だちのフリをする『サクラ』だ。
中学生の頃、尾上には2人の友人がいた。澄香と鯨井という男子だ。その2人には心を許していた尾上だったが、2人とも自分のプロンプターではないかという疑問が生まれる。2人に疑問をぶつけたところ、あっさりと肯定され、以後、2人とは決別し、特に澄香への愛情は恨みとなり、澄香に果たせなかった恨みを霞で果たそうとする。
それにしても、あまりに辛い結末。ただ、この世がこの物語と同じシステムで動いているなら、私もきっと尾上と同じ行動をしていたように思えてならない。この世の中で良かったとホッとする。とか思っていたら、周りの人たちが『サクラ』だったりして。 -
Posted by ブクログ
今をときめく作家による、15ページずつの短編集。斜線堂有紀の作品で本文最後に「仕掛けが分かった?」と聞かれ、うむむわからん、一番気になりました。わかったことといえば前半の世界狭いうちは使う文字に制限かけてあること、だから、「私」はなくて、「I」。「難しいかもよ」じゃなくて、「むずいかもだよ」。彼の名前は「 」。これは10文字、または空白入れて9文字なのかなぁとかなり考えたけど、思いつかなかった。「しゅうとう」「ねんどう」「ごとう」「うとう」/「しゅうじ」「しゅうと」「しゅんご」「しゅうご」とか?でも適当な名前じゃ意味はないしなぁ…。
されど世界の終わり 三秋 縋
わたしたちの教室 佐野徹夜
息継ぎもできない夜に 松村涼哉
じゅうごしゅうねん、おめでとう 斜線堂有紀
穴があったら入りたい 一条岬
十五年後もお互い独身だったら結婚しようねと約束した二人の物語 綾崎隼
いざ、さらば 村瀬健
超能力者じゃなくたって こがらし輪音
星空に叫ぶラブソング 青海野灰
余白の隠れ家 古宮九時
初恋灯籠 遠野海人
世界が十五になる前に。天沢夏月
見花 入間人間
前略 十五の僕へ 時雨沢恵一
朝の読書だ nyan 高畑京一郎 -
Posted by ブクログ
★3.7
咲いていたと思っていた桜は、咲いていなかったのかもしれない。
――そんな記憶と、信頼の崩れた痕がこの物語には残っている。
人間関係なんてのはそもそも不安定で、システムはそれを可視化させたに過ぎない。
政府が導入した「プロンプター」制度、通称"サクラ"。自殺リスクが高いと判断された人に、見守る役割が市民に割り振られる。
善意のようで欺瞞か。
救いのようで監視か。
この制度は単なる物語装置にとどまらず、「信頼とは何か」を問う刃でもある。
かつて裏切られた少女の死をきっかけに、故郷に戻った主人公・尾上。そこで出会ったのは、その少女の妹・霞だった。
欺くつもりで接していた彼の心は、いつしか少しずつ浸食されていく。
信じさせていたはずが、気づけば信じたい側にまわっていた――
その構造的逆転こそが、この物語の本当の怖さかもしれない。
たとえそれが"サクラ"だったとしても、心が本物だった瞬間は、確かにそこにあった。
傷つくとわかっていても、孤独の底で誰かとつながりたくなる。
その想いに理由はいらない。
静けさに支配された、優しくて残酷な物語。
嘘のようで、本当のようで、曖昧な輪郭の物語は、「つながり」の形だけはっきり残していく。
喪失の中に、まだ咲くはずのなかった桜が、ほんの少しだけ風に揺れているように感じた。
「さくらのまち」なんて、どこにもない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一年に一回づつ、夏は訪れる。そんな書き出しで始めるこの小説。
三秋縋さんの『君が電話をかけてきた場所』
主人公・深町陽介は、顔の右半分に大きな痣を持つ高校生。その外見から自信を持てず、また他人にも避けられてきた。そのため、中学生時代は不良として過ごしてきた。
ある日、道を歩いている時に近くにある公衆電話が鳴る。受話器を取ると、謎の女性から「賭けをしませんか?」と持ちかけられる。その内容は、痣を消す代わりに、初恋の相手・初鹿野唯と恋人になってみせよ、というもの。賭けに乗った陽介の痣は消える。
高校に進学した陽介は、痣がないこともあり、クラスに溶け込んでいく。隣の席の少女、荻上千草やサッカー部員永洞とも仲良くなる。そして、ある日初鹿野唯とも再会する。
しかし、彼女は…
夏と海辺の街を舞台とした三秋さんの作品、下巻に続きます。