あらすじ
「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」 失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを――。
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自由意志など、本当に存在するのかということ。
私があの人を好きなのは、何かがそうさせていただけで、ある日きゅうにその人のことがどうでもよくなってしまったとしたら。
互いの傷を癒しあう二人は恋に落ち、永遠などないと知って、一瞬のきらめきに身を委ねる。
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こんなユーザーネームを使っていると時々、「虫の息さんは虫が好きなんですか?」と聞かれることがあります。
実はそんなことは1ミリもなく、私は大の虫嫌いなのですが……そんな自分が読んでいて"こんな美しくて残酷な虫なら悪くないなあ"と思ってしまった本作品。
寄生虫に関する情報が面白すぎるのも凄いのですが、高坂さんと佐薙ちゃんのあやふやだけど確かな愛がたまらなく美しかったです。
自分の脳にももし寄生虫がいたら、考えるだけでゾッとしてしまいます。
でも作中にも描写がありましたが自分が受けた不条理や悲しみの根本的理由が自身の問題ではなく虫のせいだと分かったときの不思議な安堵感は自分にも似たような経験があり、リアリティある心理描写が更に不気味さを増長していました。
読み応え満載の面白いラブストーリーでした!
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なるほどね〜
なるほどそうか〜
なるほど〜
なるほどそういうことか〜
なるほどそうくるか〜
いや何回なるほど言うねん!( ゚д゚ )クワッ!!
ドナルホド・ダックか!
三秋縋さんです
ちょっと不思議な設定の恋愛小説の人なんですな
今回は寄生虫です
新種の寄生虫が脳に寄生すると宿主同士が恋に落ちるっていうトンデモ設定の中で儚い恋の物語が展開されます。゚(゚´Д`゚)゚。
いや〜ほんとよく考えられてるわ〜
凄いわ〜
そして実際に宿主の性格を変えてしまう(と考えられている)寄生虫が実在するのよ!
知ってた?
トキソプラズマっていう主に猫に寄生する原虫らしいんだけどね
凄いのよ
まぁ、まずね
こいつは猫が終宿主なんで猫を目指すんだけど、こいつに寄生されたネズミは猫を怖がらなくなるんだって、トキソプラズマがネズミの脳を操って猫に食べられやすくしてるんではないかってことなの
怖っ!
で、猫から人にも感染するんだけど、人に寄生すると「男性は教育水準が落ち、注意力に欠け、規則を破り、危険を冒し、より個人主義に、反社会的に、懐疑的に、嫉妬深く、気難しく、そして女性にモテなくなるという悲惨な変化であり、女性は外交的、親しみやすく、浮気っぽく、セクシーになるそうです。(ウェブからコピペ)」
つまり一Qさんがモテないのはトキソプラズマのせいだったんよ!
怖っ!
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本当に面白かった。
三秋さんの作品の結末を読むのは初めてだったけれど、大きな出来事があった後にゆっくりエンディングを迎えて、その後の展開も暗示するスタイル(今回でいえば、佐薙が人生を終わらせることを仄めかしつつも、高坂は次第に忘れて、自分のために人生を送るであろうということ)がとても好きだった。
そして、最後の桜の描写がとても綺麗だったのが印象に残っている。
素晴らしい作品だった。
もし、こういった症例が実在して拡大することになったら、心療内科や臨床心理士の持つ役割は大きく変わらざるを得ないんだろうな…と。
大病院の診察科でもない限り、この虫を見つけられる様な医療設備を持っていないでしょうし…。
その上、寄生虫を見つけたとして、駆除が治療として正しいとも限らないってのも…。
佐薙ひじりのその後は描かれないストーリーでしたが、生きていて欲しいと、勝手ながら思ってしまいます。
Posted by ブクログ
ふたつの愛が本物であって欲しいってずっと思ってました。
自分が愛していると思っているものをほんとに愛しているのか、命をかけて相手を助けることが愛なら、心がそこになかったらそれも愛と呼べるのか。不思議な感覚になりながら物語を読んでいました。
この物語では2人は愛し合っていますが、そうじゃない場合どうなっていたのかなと考えました。それと同時に自由についても考えさせられました。ただ、私は脳が操られて誰かを愛してると錯覚してしまったとしても、その瞬間幸せならそれに身を委ねるだろうなと考えます。この物語に出てくる人はきっと、その錯覚に身を委ねず、意志を持って行動していると感じました。
この物語が苦手な人はほんとにいないと思う!
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高坂賢吾と佐薙ひじりの恋が寄生虫によってもたらされたものであると思っていたが、佐薙の寄生虫が死ぬことによって佐薙の恋心が本当だったということを知ることができた。しかし、寄生虫が死ぬということは寄生虫によって生かされていた宿主の自殺願望の再発と同義であるためやるせない。高坂が佐薙に本当に恋をしているのかは、高坂の寄生虫が生き残っているためわからないが、寄生虫によってもたらされた恋だとしても、それは間違いなく高坂の恋であると考える。
このまま佐薙が死ぬことなく幸せに暮らしてほしい
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読後の切ない気持ちが強く残った。
体の中に異物があることが悪ではなく、世界は共存していて、相互に影響を与え合っているんだなと。
自分の意志で考えて行動しているように思い込んでいるけど、実は自分の実体はしてないんじゃないかってたまに考える。
だから寄生虫の話も面白いなと感じた。
潔癖症の青年と視線恐怖症の少女が恋に落ちる。二人の脳内には寄生虫が巣食っていた。恋は寄生虫の仕業か?寄生虫退治されたらその恋は終わるか?三秋市氏は寄生虫の知識は持ち合わせてなかったという。よくこんなストーリーを考えたなと、感心した。他人を受け付けないふたりが、互いに惹かれ合っていき、ぎこちなく愛し合う姿が好き。個人的には、フタゴムシとナナホシクドアの美しさに感動してしまい、興味がそちらにもっていかれた。
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潔癖症の男性と不登校の少女の恋の物語。2人は徐々に距離を詰めていき、お互いの症状は回復していくが...
最初から最後まで最高に面白い作品だった。寄生虫、潔癖症、恋、全ての描き方が素晴らしかった。はじめて読んだ作家さんだったが、今後も読んでいこうと思う。
初の三秋作品
時間をつぶすために本屋さんでウロウロしていたら、表紙が気になり購入しました
ラストの展開がわりと衝撃的だったので、すぐに処女作である「スターティング・オーヴァー」を購入して三秋縋さんにハマりました
色々ツッコみたいところとかはあるんですが、それを踏まえても好きな作品です
衝撃
普段コメントはしないのですが残しておきたいと思いました
読み進めていてとても引き込まれていき
気づいたら読み終わっていました
中盤僕には少し難しいことなどがあり何度か読み返したりもしました
そして僕が望んでいた(予想していた)ラストではありませんでした
ですがこの終わり方も僕は好きです
感想を書くのは苦手ですが多くの人に知ってもらいたいと思える作品できた
Posted by ブクログ
孤独と不安だらけの二人が
少しずつ心ひらいていくお話。
前半はめっちゃ暗くて
読んでるとこっちまでしんどくなるくらい。
でもその暗さがあるから
後半の変化がちゃんと心に響くし
二人の成長がまぶしく見える。
恋愛小説というよりは
「人とつながる怖さ」とか
「自分を認めるむずかしさ」を
じっくり描いた作品って感じ。
だから甘々な展開を期待すると
ちょっと物足りないかも。
心理描写がリアルで
キャラの気持ちがちゃんと伝わるし
共感できる人は多いはず。
展開は少し王道だけど
それでもページをめくる手が止まらない。
読後は切ないのにどこかあったかくて
考えさせられる余韻が残る。
暗めの物語や人間ドラマが好きな人には
ぜひ読んでほしい一冊。
Posted by ブクログ
潔癖症で引きこもりの青年と不登校の女子高生の恋愛ものがたり。
一見、恋愛に発展しなさそうな社会不適合の二人の出会いには、本作タイトルにある「寄生虫」が絡んでいた。果たして、二人の関係はどうなっていくのか・・・
「恋」と「寄生虫」。なかなか無い発想をベースにストーリーが構築されていて、新鮮な驚き・興味に誘われるままに惹きこまれました。
異色の世界観かと思いきや、甘酸っぱく切ない要素もしっかり押さえられていて、二人が出会ってからの展開も程よく上がったり下がったりして読者の心理を上手に乱されます。
Posted by ブクログ
三秋縋 恋する寄生虫
高坂賢吾は強迫神経症だった。何かに触ったら手を洗わないと気が済まないし、外出したらシャワーを1時間は浴びないと落ち着かない。健全な社会生活は諦めていた。ではあるが優秀なプログラマーの才能があった彼は、クリスマスに発動するコンピュータウイルスをインターネットにばら撒く。
そんなところに、和泉という男が現れる。コンピュータウイルスの件を知っていると脅迫してくる和泉。高坂への要求はひとつ。不登校の高校生、佐薙ひじりと友人になれ、と。謝礼は払うといく。
ひじりに会いに行く高坂。金髪で大きなヘッドフォンをつけた娘であった。そして、そっけないひじり。しかし、彼女は、泉からの謝礼の半分を要求し、高坂との付き合いを容認する。2人の付き合いはやがて…。
精神的に明らかに健康とは言えない欠陥を抱えた2人のお話です。2人の恋は、寄生虫によるものでしょうか?操られた2人の感情は愛とは言えないのでしょうか?そんなことはどうでもいいのです。悲しみの涙の中で眠りにつくひじりは、それでもとても幸せそうでした。
幸せかどうかはその人が決めることなのだから。
Posted by ブクログ
似たようなテーマ(本当の恋、自発性)の小説をあの手この手で書き続けている三秋さんだが、他の作品に比べると、これはそこまでこなかったけれど、好きになると殺したくなってしまう・・・というジレンマの設定はなかなか良かった。
Posted by ブクログ
面白かった!!
初めの方は、寄生虫に関する詳細知識について
不快に思ったり、
強迫性障害を持つ主人公たちの背景などの暗い話に
とっつきにくかったりしたけど、
読み進めるうちに、その寄生虫の生態や仕組みが面白く感じたり、登場人物たちの心情が読み取れるようになった!
「操り人形でいることを操り人形自身が肯定したとき、それを自由意志による決断と呼べるか?そんなことは誰にもわからない。」
このフレーズを一例とする哲学的な問いかけもたくさんあって、それらに対しては大変興味を持つことができた!
そこからは物語に入り込むことができて
続きが気になって楽しみながら
どんどん読み進めることができた!
ただ、終わり方が自分の中では
しっくりこなかったのもあって、☆は4つ。
Posted by ブクログ
寄生虫に翻弄される佐薙と高坂の幸せでありつつも悲しい話。その幸せの価値の基準はやはり二人で違ってしまう。
虫に侵された状態を冷静で大人の判断をする高坂、本能で感情に任せる佐薙。好きな感情はどこから湧いてくるのか?決断材料ってなんなんだろう。
自分の過去の選択もどうだったんだ、後悔が戻ってきそうな気持ちにもなる。
最後の佐薙の決断は本人いわく、勝ち逃げと勝手に感じてしまうが、そんだけ愛情をもっているのに絶望に抗えないのが、やりきれない。
Posted by ブクログ
人への依存先って1つだと脆いからいくつかあった方が心の余裕に繋がりそうと思った。
もちろん、依存せず1人でも生きていけるぞ!っていうマインドが大事なのだろうけど
寄生虫だって恋してるんだから、私も恋がしたくなった
恋する人間 になりたい
Posted by ブクログ
安定の三秋縋版ボーイミーツガール。読んだ時期が冬の寒い時期なので、表紙の雰囲気も合っていて良かった。寄生虫が宿主(主人公たち)の思考・感情を操っているという設定は、どこまでが自由意志なのかという哲学的な問いに通じるが、物語はそこまで壮大な話ではなく、あくまでも恋愛に絡め、主人公とヒロインのすれ違いや割り切れなさを生む要因として機能している。中盤までは二人のミステリアスさ(明かされていない何か)が気になりつつ、徐々に縮まる距離感にうずうずするのだが、「恋する寄生虫」の存在が終盤に明かされると、展開は二転三転し、一気に読まされた。最後の余韻は流石の一言で、ヒロインの視点から明かされる真実は残酷でありながらも、二人にとっては幸せな形となっており、じんわりとした読後感が味わえる。
Posted by ブクログ
恋に落ちる時って
寄生虫がいるからとかいないからとかきっと関係ない
出会うべきして出会って恋に落ちたんだと思う
最後は結局どうなったの?!ってなったけど
私はハッピーエンドで終わっていることを願いたい
でも私もきっと寄生虫のせいだと言われても、この好きだという気持ちに偽りなんてないって思いたいしずっと好きな人を好きな人のままで終わりたいと思う
私もそっち側の人間かもしれないなと思った
これが最高の幸せこの時間がずっとつづけばいいって思ったらその思いのままの方が1番幸せかもしれない
Posted by ブクログ
寄生虫をテーマとした切なさの残る恋愛小説。
切なさと少しの希望を残した終わり方にグッときました。
普通の恋ではなく、少し変わった恋愛小説が読みたい人にはオススメです。
Posted by ブクログ
虫がいることで苦悩が軽減されていたという事実が面白かった。
人を嫌うも好くも本当に自分の意志なのか?
高坂も甘露寺も虫の存在がほのめかされるだけで揺らいでしまうほど意志という概念は曖昧なんだと思う。だから虫にによって意志は簡単に曲げられてしまうし、曲げられたことに気づかない。
高坂への好意が虫の役割を果たすことを願います。
Posted by ブクログ
タイトル通り、脳に巣食った"虫"によってもたらされた恋のお話。
一見 とてもまともではなくて不毛に思えるけど、
これまでまともではない人生を歩んできた二人には
またとない経験で、かけがえのない贈り物のようで。
まるで操り人形。だけど、それがなんだというのか。
真実を知ったときには色んな葛藤や抵抗はあったけど
すべてを分かってた上で、操られるのを"受け入れる"
それはすなわち自分の意思だと胸を張って愛し合う二人は素敵だなぁと感じた
寄生虫の生態だけでも興味深い内容で、
なかなか感慨深い作品でした
Posted by ブクログ
(学生時代は星5を付けていたと思う)何度目かの再読。学生時代はそんなことなかったんだが、今回読んでいて1番思ったのは『女子高生と恋愛するおっさん気持ち悪いな』だった。ストーリーが面白かろうとこれはどうあがいても変わらない。そしてこういった気持ち悪い話から脱却を図ったのが『君の話』なのでは?と邪推している。たぶん著者は『君の話』以前の作品がもはや社会的に好ましくないのを自覚している気がする。で本題だけど、どうあがいても死へと突き進んでしまう人は実際にいて、本書ではそういった人が寄生虫によって救われているというのが面白かった。佐薙が話す寄生虫の話も面白い。ただ前述したように根幹が気持ち悪いのでこの本を読むことは二度とないんだろうなと思う。ただ過去作は見返していきたい。もしかしたら本書と同じ感想を抱くかもしれないし、自分が好きだった作品の思い出を汚すことになるかもしれないけど当時面白いと感じたのは事実だからそれを確かめに行きたい。そして三秋縋は大好きな作家だから次の作品も楽しみに待ってる。
Posted by ブクログ
頭の中の寄生虫によって振り回される男女の物語。
途中までは引き込まれるように読んでいたのだか、最後は2人が幸せに暮らしましたとさ!ってハッピーエンドで終わって欲しかった、、。
Posted by ブクログ
設定として、寄生虫が恋愛物語にどのように組み込まれるかがユニークだった。寄生虫は登場人物の行動や感情に直接的な影響を与え、二人の恋が虫によって操られているかのように描かれている。テーマは愛と自由意志。寄生虫が介在することで、「自分の意志で愛しているのか、それとも何かに操られているのか」という問題が投げかけられていた。人間関係の本質を考えせられる。
Posted by ブクログ
文章も雰囲気もストーリーも不思議。恋愛ものだけど性的な接触はなし。なんかこの、違う世界を当然として現実感薄めなキャラたちが進んでいく感覚、不思議な高揚感、ライトノベル。要するに厨二心をくすぐられるのかな。厨二心は自分にとっては綺麗なものへのロマン、幻想、夢、だから大切なものだ。
淡々として無機質な文章。だからか、事実が色々と明かされても「そうなのね」と静かな反応になる。
私は虫の存在がはっきりして恋が治療が云々と加速していく後半より、灰色の景色のなか金髪で白鳥みたいな佐薙と過ごす前半が好きだなあ。静かにワクワクした。高坂の無感動さにも合ってる。
後半、主に男性側はえっそんなに好きだったんかい?ってなり、ウィルスは期待したほど物語に影響を与えなかった。高坂の人物像がボヤけてる印象。いや虫のせいか。この人だからこの行動をしたんだな、というよりお話の道筋があってそこにキャラを置いた感じ。感情と行動が場当たり的と思う。
10代で読みたかった。もっと何かを感じられた気がする。