【感想・ネタバレ】恋する寄生虫のレビュー

あらすじ

「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」 失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなユーザーネームを使っていると時々、「虫の息さんは虫が好きなんですか?」と聞かれることがあります。
実はそんなことは1ミリもなく、私は大の虫嫌いなのですが……そんな自分が読んでいて"こんな美しくて残酷な虫なら悪くないなあ"と思ってしまった本作品。
寄生虫に関する情報が面白すぎるのも凄いのですが、高坂さんと佐薙ちゃんのあやふやだけど確かな愛がたまらなく美しかったです。
自分の脳にももし寄生虫がいたら、考えるだけでゾッとしてしまいます。
でも作中にも描写がありましたが自分が受けた不条理や悲しみの根本的理由が自身の問題ではなく虫のせいだと分かったときの不思議な安堵感は自分にも似たような経験があり、リアリティある心理描写が更に不気味さを増長していました。
読み応え満載の面白いラブストーリーでした!

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2025年03月26日

ネタバレ

もし、こういった症例が実在して拡大することになったら、心療内科や臨床心理士の持つ役割は大きく変わらざるを得ないんだろうな…と。
大病院の診察科でもない限り、この虫を見つけられる様な医療設備を持っていないでしょうし…。
その上、寄生虫を見つけたとして、駆除が治療として正しいとも限らないってのも…。

佐薙ひじりのその後は描かれないストーリーでしたが、生きていて欲しいと、勝手ながら思ってしまいます。

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2024年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高坂賢吾と佐薙ひじりの恋が寄生虫によってもたらされたものであると思っていたが、佐薙の寄生虫が死ぬことによって佐薙の恋心が本当だったということを知ることができた。しかし、寄生虫が死ぬということは寄生虫によって生かされていた宿主の自殺願望の再発と同義であるためやるせない。高坂が佐薙に本当に恋をしているのかは、高坂の寄生虫が生き残っているためわからないが、寄生虫によってもたらされた恋だとしても、それは間違いなく高坂の恋であると考える。

このまま佐薙が死ぬことなく幸せに暮らしてほしい

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2024年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

三秋縋 恋する寄生虫

高坂賢吾は強迫神経症だった。何かに触ったら手を洗わないと気が済まないし、外出したらシャワーを1時間は浴びないと落ち着かない。健全な社会生活は諦めていた。ではあるが優秀なプログラマーの才能があった彼は、クリスマスに発動するコンピュータウイルスをインターネットにばら撒く。
そんなところに、和泉という男が現れる。コンピュータウイルスの件を知っていると脅迫してくる和泉。高坂への要求はひとつ。不登校の高校生、佐薙ひじりと友人になれ、と。謝礼は払うといく。
ひじりに会いに行く高坂。金髪で大きなヘッドフォンをつけた娘であった。そして、そっけないひじり。しかし、彼女は、泉からの謝礼の半分を要求し、高坂との付き合いを容認する。2人の付き合いはやがて…。

精神的に明らかに健康とは言えない欠陥を抱えた2人のお話です。2人の恋は、寄生虫によるものでしょうか?操られた2人の感情は愛とは言えないのでしょうか?そんなことはどうでもいいのです。悲しみの涙の中で眠りにつくひじりは、それでもとても幸せそうでした。
幸せかどうかはその人が決めることなのだから。

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

安定の三秋縋版ボーイミーツガール。読んだ時期が冬の寒い時期なので、表紙の雰囲気も合っていて良かった。寄生虫が宿主(主人公たち)の思考・感情を操っているという設定は、どこまでが自由意志なのかという哲学的な問いに通じるが、物語はそこまで壮大な話ではなく、あくまでも恋愛に絡め、主人公とヒロインのすれ違いや割り切れなさを生む要因として機能している。中盤までは二人のミステリアスさ(明かされていない何か)が気になりつつ、徐々に縮まる距離感にうずうずするのだが、「恋する寄生虫」の存在が終盤に明かされると、展開は二転三転し、一気に読まされた。最後の余韻は流石の一言で、ヒロインの視点から明かされる真実は残酷でありながらも、二人にとっては幸せな形となっており、じんわりとした読後感が味わえる。

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2025年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

虫がいることで苦悩が軽減されていたという事実が面白かった。
人を嫌うも好くも本当に自分の意志なのか?
高坂も甘露寺も虫の存在がほのめかされるだけで揺らいでしまうほど意志という概念は曖昧なんだと思う。だから虫にによって意志は簡単に曲げられてしまうし、曲げられたことに気づかない。

高坂への好意が虫の役割を果たすことを願います。

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2024年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

頭の中の寄生虫によって振り回される男女の物語。
途中までは引き込まれるように読んでいたのだか、最後は2人が幸せに暮らしましたとさ!ってハッピーエンドで終わって欲しかった、、。

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2024年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章も雰囲気もストーリーも不思議。恋愛ものだけど性的な接触はなし。なんかこの、違う世界を当然として現実感薄めなキャラたちが進んでいく感覚、不思議な高揚感、ライトノベル。要するに厨二心をくすぐられるのかな。厨二心は自分にとっては綺麗なものへのロマン、幻想、夢、だから大切なものだ。

淡々として無機質な文章。だからか、事実が色々と明かされても「そうなのね」と静かな反応になる。

私は虫の存在がはっきりして恋が治療が云々と加速していく後半より、灰色の景色のなか金髪で白鳥みたいな佐薙と過ごす前半が好きだなあ。静かにワクワクした。高坂の無感動さにも合ってる。

後半、主に男性側はえっそんなに好きだったんかい?ってなり、ウィルスは期待したほど物語に影響を与えなかった。高坂の人物像がボヤけてる印象。いや虫のせいか。この人だからこの行動をしたんだな、というよりお話の道筋があってそこにキャラを置いた感じ。感情と行動が場当たり的と思う。

10代で読みたかった。もっと何かを感じられた気がする。

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2025年11月02日

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