三秋縋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
登場人物の暗い部分と明るい部分それぞれの温度感がとてもはっきりしていて本当に気持ちよく読めました。心から冷えてしまうような背景や復讐、心温まる2人の関係性。登場人物の温度感の違いは明確なのに世界がどこまでも寒色で彩度の低くみえる。高3あたりで三秋縋さんの作品にはじめて触れて以来、この温度感が自分にはとても心地よいものとして感じられて救いとなっています。
読んでいて想像したのは映画レオンでした。マチルダの最後を思うと本作の結末後の登場人物はこうかもしれないとか考えてしまいます。ただ、2人は2人だけの人生の落とし穴に落ちているのでそこを勝手に脚色するのは野暮だなとすぐ思考を止めてしまいます笑。 -
Posted by ブクログ
一本の映画を観終え、観客席で吐息をもらして立ち上がるのが緩慢になるような読後感でした。
エターナルサンシャインのような雰囲気を感じて余計にそう思えてしまったのかもしれません。
今作も他の三秋さんの作品同様に落とし穴の中で安寧を見出してしまう退廃的な人間に刺さる内容でした。
最近物語ばかり読んでる自分に対して「こんなことしてて意味あるのか?」と疑問を感じていました。そんな疑問のなか本作を読んで自分の人生で欠落しているものを補うために読んでいることに気付き、さらに物語の終わりに疑問へのひとつの解答を得たように感じました。本当に三秋さんの作品は自分にとって劇薬であり、定期的に接種しないと現実 -
Posted by ブクログ
この物語で私が好きな点は、死に際に近づく度に世界の美しさを知っていくことです。
寿命を売る話と聞いて、大半の人が命の価値に関する話を思い浮かべるでしょう。しかし、この物語はそんなに安い物ではありません。
実際寿命を売ってしまったらこうなってしまうだろう、というのが序盤で描かれています。きっと私もこうなってしまうのだろう、と思いながら読みました。
この物語の中盤に差し掛かる頃に、主人公が少しだけ変わるきっかけができるのです。そこから少しずつ変わっていく主人公が、読んでいて嬉しかったです。変わってくれたか、という感じです。序盤に出てくる何気ない話が伏線になって回収されるのが、本当に面白かった -
Posted by ブクログ
ネタバレ二度と抜け出せない穴に落ちた人の物語、美しくて溜息が出る。湯上と日隅だけでなく出てくる他の人たちもそうで、他人からみて不幸に思えるような状況も彼らにとっては幸福なんだろうな。自分もそちら側の人間なんて言うのは烏滸がましいけど、彼らの思想には共感するところばかりで、結末も彼らにとっては救済で、優しい物語だなと思った。一つ一つの場面が印象的だけど、やっぱり一番好きなのは湯上の「本当に何もかもが嫌になったら、そのときはいってくれ。僕が、君を殺してあげよう。」かな
兵藤の、人に助言を与えたり悩みを聞いてやったりすることは巨大な責任を伴う行為であって、確実に問題に対処できる確信があると言うのでもない限 -
ネタバレ 購入済み
私はミステリー小説が苦手で読めなかったのですが、この人の作品は一瞬で読めてしまいました。 この作品の前に同じ著者の『恋する寄生虫』を読んでいるのですが、それとはまた違ったような作品で読者を退屈にさせないいい作品だと思いました。 読み返したい作品です。
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購入済み
楽しませてもらつた
なんとなく暇つぶしで2ch漁っててそこで知ったくちやけど思わずコミカライズ買ってしまった、内容は既にしってるのに。それくらい良い話やったわ。
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Posted by ブクログ
ナノマシンにより人の記憶を自由に変える事ができるようになった近未来。
人は現実に起きた嫌な記憶を消去したり、こうであった欲しかったという疑似的な記憶を脳に取り入れたりしている。
本書の主人公も家庭でも学校にも居場所や理解者のいない環境で育ち、現実と自分への嫌悪感から自暴自棄となり、過去の記憶を消去しようと決意する。
ナノマシンを飲んで記憶が消したはずが、業者の手違いで疑似の記憶を植え付けてしまった。
それはある少女との物語だった。
そしてそれは「過去」にのみ存在するはずだったが。。
前半はよくありがちな御都合主義で、こういう話かー。
くらいでふーんと読んでいたが、
中盤から後半の展開