あらすじ
二周目の人生は、十歳のクリスマスから始まった。全てをやり直す機会を与えられた僕だったけど、いくら考えても、やり直したいことなんて、何一つなかった。僕の望みは、「一周目の人生を、そっくりそのまま再現すること」だったんだ。 しかし、どんなに正確を期したつもりでも、物事は徐々にずれていく。幸せ過ぎた一周目の付けを払わされるかのように、僕は急速に落ちぶれていく。――そして十八歳の春、僕は「代役」と出会うんだ。変わり果てた二周目の僕の代わりに、一周目の僕を忠実に再現している「代役」と。 ウェブで話題の新人作家、ついにデビュー。
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Posted by ブクログ
starting over.
やり直しという意味。
書店で美麗な表紙から思わずまさにジャケ買い。
これが当たりで、一気に読み終えました。
よくある2回目の人生やりなおしものなんですが、1回目の人生が最高であったことからそれを繰り返そうとしたら失敗して、最低な人生を送ることになってしまうという話し。
1回目に付き合えた素敵な彼女ツグミとの交際にも失敗し、通っている学校でも引きこもってしまう。また、同様に順調な生活を送っていた妹も暗いインキャになってしまう。
主人公の代わりに学校で華々しい地位を手に入れたのは、トキワだった。彼がいた人気者のポジションにトキワが収まり、ツグミとも付き合っていく。主人公はトキワの殺害計画を立て、彼を尾行することでチャンスを伺っていく。その生活の中で暗い生活を送っている同級生ヒイラギに出会う。主人公がツグミを追うように、彼女はトキワを好きになっていた。
主人公はある時気づく。
彼女もまた2回目の人生を送っている存在であると。また、そもそも1回目の人生で主人公がつきあっていたのは、ツグミではなく、ヒイラギであったと。主人公がそれを忘れ交際を申し込む相手をまちがえたために、全てが変わってしまった。
1周目の人生において、主役的なポジションを務めていた主人公とヒイラギは、それを務められなった代わりに、トキワとツグミのペアがそれをこなすようになっていた。
クリスマスの夜になぜか同じサンタのバイトを選んだ主人公とヒイラギ。そのバイトの最中、主人公は思いだす。クリスマスの夜のドライブで主人公とヒイラギはstrating overの曲を聴きながらドライブをしていた。その最中事故で死んでしまう。このままではトキワとツグミが死んでしまう、と。
ヒイラギの手を取り、バイトを脱走し、雪の中に2人を助けにいく主人公。
「自分が自分らしくないことをするってのはさ、多分人生に起こることの中で1番面白いんだよ。人が自分自身からも自由になれるんだってことを証明することで、何かに対して一矢報いたような気になれて、気持ちがよかったね。」
2人を救った主人公とヒイラギは抱き合う。
もう一度ここからやり直そうと…
ブルーライト文芸にあるようなキラキラした話ではないです。人の妬みや影のある人生の辛さ、それとひたすら向き合ってきた2人が、人生を肯定するまでの過程を描く青春小説ではないかと。
ジョンレノンの『starting over』
I know time flies so quickly
月日は瞬く間に過ぎていく
But when I see you darling
だけど愛しい君を見ていると
It's like we both are falling in love again
僕らはまた恋に落ちていくようで
It'll be just like starting over - starting over
まるで最初からやり直すみたいだ
幸せって。
いま手に持っているものをなんども繰り返して味わえるか、確認できるかってことなんじゃないかなって。
Posted by ブクログ
大体2週目の人生を描くものは転生系のイメージだが、よくなるように描かれていくものが多いと思う。しかしこの物語の主人公は1周目とそっくり再現しようとした結果少しのズレで堕ちていく。そして目の前に1周目の「代役」が現れる。人間は何かを失わないと得ることができないものがある。それをこの歪んだ美しい物語は教えてくれる。
Posted by ブクログ
もしも、10歳のときに戻れたら。
大人になってから、あの頃に戻れたらなぁと思うことは誰にでもあると思う。
その、もしもが叶ったとき、私ならどうするんだろう、と考えながら読んだ。
何が起こるのかがわかる過去に戻れたとしても、主人公が思い描いていた結果にはならなかった。
日常は、偶然と偶然の重なり合いで生まれていると思う。
楽しかったあの時に戻れたら、と〈過去〉に縋るのではなく、〈今〉に目を向けてみようと思える作品だった。
Posted by ブクログ
自分が10歳に戻ったなら
なんにもしないなぁと感じました
だってこんだけ馴染んでしまった世界を変えれるとは思わないから
たぶん今より暗い人間になってるかも笑
貸してくれた友達ありがとう
Posted by ブクログ
もし、今の年齢の知恵を持って20才(主人公の年齢)から10才に戻れたら友人に質問されたり
自分で考える事あります。
小学校から大学生位ですね。
現実ではありえないけど‥
皆が考えてそうな事を小説にしてくれて
ありがとうて感じ(╹◡╹)
ページ数も少なく読みやすかった。
Posted by ブクログ
やっぱり三秋さんの作品好きだなあ。
三秋さんの描く【恋人×雪】が妙に好きだ。
それはいつも冷たくて、静かで幻想的で。
とても落ち着く。読後は深い満足感に包まれている。
とても好きだ!
Posted by ブクログ
自分は恋する寄生虫などの他作品を読んだ上でこの作品を読ませて頂きました。ほんとに最後は驚きでした。大どんでん返しって言われると少しニュアンスが変わる気もするんですが、メッセージ性はもちろんですが、ストーリーとしての作りであったり、引き立て方が素敵だなと思いました。三秋先生の作品をもっと読みたくなりました。
Posted by ブクログ
著者のひねくれ具合が本当に本当に好きです!
タイムリープものという事で王道に「より良く」をテーマにしたものかと思いきや、初っ端からそれを否定されてて笑ってしまいました。
そしてそんな王道から外れた物語だからこそ描かれる繊細な心の動きが綺麗で愛おしくて非常に面白かったです!
三秋縋の処女作
「恋する寄生虫」から三秋さんの作品が気になりだしましたが、「スターティング・オーヴァー」でハッキリとファンになりました
この絶望というかなんというか、マイナスな感情・経験を経た上での幸せを書かせたら、日本でも上位に入るのではないでしょうか?(個人的意見)
とくに「三日間の幸福」とか最高なので、「スターティング・オーヴァー」が気に入ったら、そちらもどうぞ
Posted by ブクログ
最高の10代を過ごした主人公はある日、記憶を持ったまま10歳に戻った。2周目の10代は1周目の再現を試みたが少しずつ歯車が狂っていく。やがて、落ちぶれた主人公は1周目の自分のポジションにいる人物と出会い、歪んだ感情が増幅していく。
語りかけてくるような独特の進行で、読みやすかった。過去の記憶に囚われ、今を上手に生きれない主人公が切ない。でも物語の結末はとても素敵で大好き。
Posted by ブクログ
三秋縋の処女作である本作、少し変わった転生ストーリーといった感じでしょうか。
少し先の読める展開ではあるものの、この作品でも心地よい読後感を与えてくれました。
Posted by ブクログ
幸せな人生を送ってきた一週目の僕、二週目をやり直すことになったが、かつての恋人に振られたことをきっかけに落ちぶれていく。この本にはこんな言葉があります。(こんな感じだった)
最初から一番を目指していたから三番になった。でも、最初から三番を目指すと九番ぐらいになってしまう。
すごく考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
「微妙な違いで人は変わってしまうし、変われるんだってことを。」確かにそうだとは思うけど、それが難しいんよなと思う。
何故かはわからないが最初から最後まで主人公の感情がそっくりそのまま自分に伝わってくるような、同じ感情の起伏を進行形で味わっているような、そんな物語だった気がする。特にラスト。僕まで見える世界が一変した気がした。
この独特の読後感はやっぱり好きだな。僕は今後も三秋さんの物語を読んでいくんだろう。
気になっていたんだけど妹さんが最後登場してくれて少しホッとした。
Posted by ブクログ
珍しく、うまくいった人生をやり直す話。
それってどうなるの?と思ったけど見事に上手くいかず……
でも、最後の方からだんだん、もしや?と思ってる人と間違えてたことが判明し。人生やり直せてもやり直すのも難しいんだなーなんて思ったり。
2人で一生懸命自分たちを救うのが良かった。
時間の巻き戻し系は、死んじゃった時に起こりやすいからそれはありきたりだったけど、自分たちの身代わりが存在してるのは面白い。しかもその人たちを助けて自分たちは違う人生をやり直すっていうのも面白い。でもほんとに一つ歯車が違うだけで全く違う人生になったり、周りの人にも影響すると思うと、なんだか自分の人生で考えてみると不思議な気持ち。面白かったと思う。
これが処女作!?
2周目の人生が繰り返される時に1周目と同じ行動を取ろうとする時点で新鮮に感じた。1周目について明らかになるとき自然と声が出てしまった。とても素敵な作品でした。
Posted by ブクログ
私の好きな三秋縋さんのデビュー作
一週目がうまくいったから二週目も、、なんて訳は無く、、
約束された成功なんてやっぱりない。そう思いました。昨日上手くいったことが今日上手くいかないなんてざらにある。
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おそらく読むのは3回目。ベッドで妹に話しかけるくだりは最高に好きなんだけどそれ以外は微妙というか語り口調なのがどうも邪魔くさいし単調でいまいちだった。
Posted by ブクログ
数年振りに読んだ。
やっぱり三秋さんの切ない描写がたまらなく好きだな、と思った。
けど、三日間の幸福に比べて色がないシーンが長すぎて、最後の最後に急に色がつき出す感じ。
急すぎてなんかこう、追いつけない感じがあった。
一度読んだから途中で色々思い出してしまったのも良くなかったかな。
Posted by ブクログ
口語体の文章は苦手だ。
作者の若さ、癖みたいなものが文章から滲み出ているようで、ちょっと苦手だった。
ただ、
「今までそうだったから、これからもそうだろう」なんて考えは、捨てちまえばいい。そろそろ、反撃開始といこうじゃないか。
それは、そうだ。間違いない。
Posted by ブクログ
誰もが一度は思ったことがあるであろう過去に戻れたらと。主人公は過去に戻ったのがそこでやり直すのではなくあえて過去と同じ生き方をする。途中の
ダラダラとした文が気になったが、最後の終わり方は個人的には好きだった。
Posted by ブクログ
幸せだった主人公が人生をやり直して、いろいろ苦労する話。
こちらに話しかけるような文体でストーリーが進んでいくので、本を読んでいるというよりは話を聞くような感覚でした。
途中でいくつかの曲が出てくるのですが、その曲を知っていれば、もう少し世界観を共有できたのかな、と感じました。
少し歯車が狂うことで、人間関係が絶望的に悪くなる。そんなパラレルワールドを描いた作品でした。
Posted by ブクログ
恋する寄生虫という本を読んで好きになった作家の三秋縋さんのデビュー作。
20歳から10歳に戻ってしまったが、元の人生と同じ様に生きようとするぐらい後悔のない人生というところにまず驚いた。
主人公が落ちぶれていき、それが家族全体が悪い方向へ行くのが、読んでいてなんか辛かったな。
Posted by ブクログ
恋愛の描写を読むのはあまり得意ではないけれど、小説全体を通して少し不思議な雰囲気と語り口調で物語が進む感じが読みやすかった。
こんな喋り方をする人はいないだろうなーと思ってそこだけ気になったけど、すらすら読めた。
Posted by ブクログ
僕
二十歳の記憶を持ったまま、十歳に戻って人生をやり直す。
ホノカ
僕の妹。
ツグミ
中学二年の時、将来的に僕の恋人となる人物と目星をつけて告白したが振られた。
トキワ
ツグミの彼氏。
ヒイラギ
高校で友達が一人もいない女の子。
ウスミズ
中学時代に僕をいじめていた。
ハシバミ
コンビニの店員。
Posted by ブクログ
文体が話し口調で可愛かった
SFで、ちょっと、『名前探しの放課後』に似てた
最初の方の、僕の考え方に、共感できるところがたくさんあって面白かった
Posted by ブクログ
『ライ麦畑でつかまえて』が自分にとってそこまで響く作品ではなかったため、似た語り口の本作は読み進めるのに苦労した。
ラストに急展開を迎え一気に読んでしまった。最後まで読んでよかった。
Posted by ブクログ
三秋縋氏の小説デビュー作。2013年初版。主人公が20歳の誕生日に10歳前の自分にタイムスリップし、そこからの10年を描いています。最初、一周目の10年は素敵な彼女を持ち、誰もが羨む理想の人生。ところが2周目は誰からも相手にされない悲惨な人生。途中、ダラダラ、グデグデで面白くなかったけど、最後はヒイラギとの仲が進展してハッピーエンド。