三秋縋のレビュー一覧
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三秋ワールドの素晴らしさを言葉で表すのは難しい。
強いていえば、「100パーの彼女」を描くのが抜群に上手く、またそれをどこまでも自覚的に書いているのが良い。 さらにそれが胸を打つ巧みな情景描写によって美しく飾られているのが素敵。
今回のヒロイン達にしても悶えてしまうほどのキラーフレーズの数々がたまらなかった。
孤独な生を送る2人が、寄生虫のはたらきによって運命的で作為的な恋に落ちる話。
思考も恋情も脳内物質の働きにすぎないのであれば、それが虫やウイルスによるものであろうと本質に変わりはないのだと思う。主観こそが世界を構成する全て。
終わり方は心残りがあるが、あえてあのエピローグを書くことにこ -
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自分の人生、命について深く考えさせてくれた。
「こんなにも素晴らしい世界に住んでいたのに」なんて死ぬ間際に思うことがないように、後悔がないように生きていきたい。
どんなに自分は不幸だと思っていても、それはただの自分の思い込みにすぎないわけで。どんな人間にも愛してくれる人は必ずいるし、チャンスはいくらでもある。何かをきっかけに人は必ず変わることが出来る、そんなことを思わせてくれる作品だった。
クスノキとミヤギ、2人の心情の変化が非常に上手く書かれていたし、作品にすごく入り込みやすかった。伏線回収も完璧。自分が上手くいっていない時はもちろん、逆に上手くいっている時にも読んでみたいと思った。人はい -
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【自分自身の残りの人生について考えさせられた】
残りの人生を売ってしまった。その彼は、絵を書くことが好きだったが、全員に好かれる絵を書こうと思うと、絵を嫌いになってしまった。自分が好きな絵を書くこと。
そして、何か特別な事をしようとするのではなく、目の前の事に対して「堅実に行う」。これが人生をよりよくしてくれる。
身近な人のSOSを感じ取ることもできる。特別な事をしてやろうと思うのではなく、堅実な事を行う。
【活かせる事】
・生きれる日数が決まっている→必死に生きようとするし、人生に意味を見出そうとする。
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・作業の締切を決めている→その時間までに必死に終わらせようとする。
・目の前 -
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ネタバレあらすじを知らずに読んでみたら、お勧めする人が多いのも納得の、すごい作品だった。読み終えてもぐるぐると登場人物たちの未来や、自分だったらどうしたか、考えてしまった。まず設定に驚いた。でも監視社会がもっと進んだらこんな世界もありえないとは言えず恐ろしい。
知らない番号から主人公のもとに、過去のトラウマに関係のある女性が自殺したと告げる電話がかかってくるところからストーリーが進み始めるので、彼女に何があったのか、そもそも主人公とどんな関係にあったのか、どう展開していくのか予想がつかずどんどん読み進められる。だんだんとこの世界の仕組みが明らかになっていき、いくつも衝撃の事実が浮かびあがる。とにかく悲 -
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ネタバレ胸が苦しくなる作品だった。
孤独な2人の愛の物語,
後半、灯花がいなくなってしまった所から、
千尋と灯花ふたりの視点での物語を読んで、胸がギューっと苦しくなった。
言葉にするのは難しいけれど、
孤独の苦しみと記憶の儚さ大切さ偉大さを感じた。
自分の身に記憶が無くなることなんてないし、
友人も彼氏も両親もいて人間関係も良い
些細な出来事を心に刻むことは特になく、
ただ、毎日を過ごしている。うーん、なんというか
この本を読んで日記をつけようと思った。
最後の灯花に記憶を話すシーンでは大号泣。
この作品の色々な方の感想を読んでいたら、
1つの映画を読み終わったようなと書いてあった
ほんとにその -
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ネタバレ夏の終わりに読み返そうと決めていた一冊です。
〈百パーセントの相手と出会えていないなら、その相手をつくってしまえばいい〉
ということで、孤独な少女と孤独な少年の、出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた、恋の話。
すべてを読み終えてから冒頭の引用に戻ると、すごくしっくりくる。若き天才義憶技工士の灯花による、どこまでも切実で独りよがりで愛おしい最初で最後のたくらみに胸が苦しくなった。
最後から二つの章がそれぞれ「君の話」「僕の話」と題されているのだけど、ここで物語がひっくりかえる感じは、悲しくもあり救いでもある。
真相を明かさずに閉じてしまったとしても、それはそれでメリーバッドエンドの余 -
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表紙の絵が全てを物語っているような気がします。
雪降る町の中で微笑む少女。後ろには踏切が見えています。あの時の踏切か‥‥。
一冊まるまる、こんな雪の降る灰色の空のような、どんよりとした雰囲気です。文章一つ一つが、開けっぴろげではなく抑えられていて、主人公達が中学生とは思えない重さ、灰色感を演出しているのです。
中学生の頃の親友と好きな人。どちらも唯一無二の存在で、出逢えたことが奇跡で、いなくなるなんてことは想像することさえ辛い。
自分にとってのそんな存在が、偽りのものだったとしたら‥‥中学生じゃなくたって、大人だって気が狂ってしまうほど苦しい。
なんて残酷な設定なんだ、と思いつつ読んでいたので