あらすじ
「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。 「十二歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。……ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです。初鹿野さんの気持ちに変化が起きなければ、賭けは私の勝ちです」
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病んでる時に読むと続きが気になってどんどん読んでしまう本。
自分は小説を読むのが苦手だがこの人が書く本なら読む気に慣れるし、読みやすくて助かる。この本の続きの僕が電話〜も読みたくなった。
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道端の公衆電話がいきなり鳴る。電話口の女から持ちかけられた「賭け」で、深町の頬の醜い痣はきれいに消えた。痣のせいで今まで得られなかった普通の人間関係を手に入れた深町、しかし、賭けには代償があって… 三秋作品上下巻の上巻。まだ明らかにされない初鹿野の闇の理由のせいで、初鹿野がただのつんつんさんに見える。下巻読んだから理由はわかるんだけど、深町の初鹿野への気持ちの深さすごいなあ。
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これさえなければ…という自分の欠点を消してもらう代わりに恋を成就させる賭けなんて、どこからどう見ても人魚というよりも悪魔。
でも、確かに“~さえなければ、~であればもう少し~になれるのに”とは何度も考えたことがある。
大事だからこそ自分は彼女に恋をする資格がないと考えるなんて、健気だがもどかしい。
それにしても痣さえなければ、イケメンで頭もよくて美少女クラスメイトと仲がいいなんて、もうそれだけで泡になってくれと願うレベルのスペック。羨ましい。
もう、賭けなんて考えないで高校生活満喫すればいいのに。
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のっぺりと進む物語ながらほんのりと心に残るものがある良作。この人の作品はいつも序盤は結構きついストーリーだから(そして後半はまるで違う物語みたいに暖かくなるんだけど)今作はそこまででもなくてよかった。
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生まれた時から頬にある痣が原因でふさぎ込んだ小学生時代、荒れた中学生時代を深町陽介は過ごした。
そして中学に見切りをつけ、ワンランク上の高校に入学した矢先に事故で入院して夏休みまでを病院で過ごした。
この痣のせいで高校も棒に振ることになったら。そんな陽介は退院後、奇妙な電話を受ける。
「賭けをしませんか?」
それは小学生の時に恋心を抱いた初鹿野唯と両想いになれたら、賭けは勝ち。
賭けに乗るならば、その痣を消すというものだった。
そして、陽介は賭けに乗った。そして、生まれた時から諦めていた痣が顔から消えた。
夏休み前に初登校を済ませた陽介はクラスに溶け込んだ。
そのクラスの空席は初鹿野唯のものであり、彼女が不登校になっていることを知る。
小学生のころ、何度も行った彼女の家へ行き、そして六年ぶりの再会を果たすと、彼女の頬には陽介から消えた痣があった。
さて、最近は三秋縋の物語の雰囲気が好きで、これで著作は全部読み終わってしまう。
題材は人魚姫、自分の醜さを消す代償に賭けたのは自分の命。
彼女が自分を必要とさえしてくれれば、それが自分の存在証明になる。例え嫌われる必要があっても。
下巻へ続く。
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三秋さんの作人には毎回,人としての生を考えさせられるものがあります.この作品では,人の心の醜さを思い知りましたし,逆に心の綺麗さを思い知りもしました.私たちなんて外見だけで,本当は中身は同じなのに,その外見によって大きく生き方は左右され,その人の一生は決まってしまいます.『人は見た目が9割』て本もあるくらいですから,私たちが如何に偏見というフィルターを変えて判断をしているのかと思い知らされます.そんな問題と真っ向から向き合い,時に目を逸らし,迷いながらも一途な思いを貫く主人公には頭が上がりません.
描かれている描写は,現実離れしたようなところもあります.しかし,それが美しい.夜空を見上げるところには心を奪われ,うっとりしてしまいます.
三秋さんで続編があるのは初めてなので期待が膨らみます.
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一年に一回づつ、夏は訪れる。そんな書き出しで始めるこの小説。
三秋縋さんの『君が電話をかけてきた場所』
主人公・深町陽介は、顔の右半分に大きな痣を持つ高校生。その外見から自信を持てず、また他人にも避けられてきた。そのため、中学生時代は不良として過ごしてきた。
ある日、道を歩いている時に近くにある公衆電話が鳴る。受話器を取ると、謎の女性から「賭けをしませんか?」と持ちかけられる。その内容は、痣を消す代わりに、初恋の相手・初鹿野唯と恋人になってみせよ、というもの。賭けに乗った陽介の痣は消える。
高校に進学した陽介は、痣がないこともあり、クラスに溶け込んでいく。隣の席の少女、荻上千草やサッカー部員永洞とも仲良くなる。そして、ある日初鹿野唯とも再会する。
しかし、彼女は…
夏と海辺の街を舞台とした三秋さんの作品、下巻に続きます。
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コンプレックスを取り除いたら様々なことが好転するのにな、、と思うことは僕もあるが結局そこだけが要因ではないし、それが良いところでもあったりして、どう向き合うかが大切なのかなと感じた。
主要人物それぞれが辛い日々を送っていて、考え方や会話がさっぱりしているのに暖かみがあるその雰囲気がとても好み。
続きが気になります!
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読みやすくてサクサク進んだ1冊。
千草の存在が苦しかった、、
青春と言ってしまえばそれまでだけど
なんだかんだ千草が一番怖い存在に感じてしまった。
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きたきたキター!!
三秋ワールド此処に有り!
これは後半に期待しかない!
この雰囲気好きだなあ。閉塞的で仄暗い感じ。
これまでの作品もその感じをまとっているし。
やるなら貫き通してもらいたいですね。
急な路線変更は、筆者には似合わない気がします。
そんなこんなで後半に期待!
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少年深町陽介と彼の幼なじみ初鹿野唯が、小学校から高校までの互いの時間軸の中、顔の痣に関する出来事の中で動くストーリー。
受話器の謎の女の賭けに乗るかたちで新生活をスタートさせた深町。不良だった中学時代の過去を捨て、平凡な高校生になるはずが…。
彼を取り巻く環境、関わる人物、そして変わってしまった初鹿野。
非現実な出来事と、よくある10代の若者の日常。スムーズの物語を読む事が出来ました。千草さんは健気ですね。
前編という扱いなので終わり方も唐突。
最終的な感想は後編読んだ後ですね。
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続刊『僕が電話をかけていた場所』と合わせて一つのお話となる物語。
三秋縋さんによる、あるひと夏の不思議なお話だ。
現実に根ざしているのに不思議要素もある三秋さんの、どこか痛みや陰を伴う話は、読んでいて独特の納得を感じさせる。続刊にも期待。
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凄く痛寂しい話。
確かに自業自得なところもあるが…
伏線が色々見え隠れしてるけど、それにしたって…
ちと辛い。
けど、先がとても気になる話。
これ、同結末つけるのだろうか…
そもそも電話の女は一体何が目的なのだろうか?
痣はどこへ?
色々、気になってしょうがない
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公衆電話が鳴っている…
その受話器を取ってから不思議な出来事が始まる。
すごく続きが気になる終わり方
早く『僕が電話をかけていた場所』が見たい
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あらすじ(背表紙より)
「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。「十歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。…ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです」。
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たまに、こんなピュアな話を読んでみたい気持ちにらなる事がある。誰にも、そんな時があっから。
顔に大きな痣がある16才の深町陽介は、ある賭けをする。痣を消すので、十歳の時、初めて恋をした初鹿野唯の心を射止める事ができれは、賭けは勝ちだというもの。
自分の顔から痣が消えた代わりに、久しぶりに会う唯の顔には痣があり、以前とは全く別の人になり、陽介を拒むのであった。
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ふいに公衆電話にかかってきた電話に出て、謎の女と「顔から痣を消すから、初鹿野をお落とさなきゃいけない」って賭けをして翌朝実際顔から痣が消え、その痣が初鹿野に移動しなきゃならないんだ?後半が気になります。
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突然鳴り出した公衆電話にでると、知らない女から賭けを持ちかけられる。小学校の同級生・初鹿野唯と恋人になれば顔の痣を消すが、恋人になれなければ泡となって消える。何故か顔の痣は消え、初鹿野の顔に痣ができていた。さらに荻上千草と仲良くなり、さあどうなるかと思ったら、唐突に終わり。『君が電話をかけていた場所』に続く。
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深町陽介
美渚第一高校に進学。入学前に全治十四週間の大怪我を負う。顔に痣がある。
初鹿野唯
小学四年生から六年性まで深町と同じ教室で過ごした。完璧な容姿と能力を持ち合わせている。私立中学に進学。高校は深町と同じ美渚第一高校。
羽柴
病院で深町と同室になった元教師。
笠井
フラワーショップ深町の担任。
荻上千草
深町の隣席の女子。
永洞
深町の前の席の男子。
初鹿野綾
唯の姉。
戸塚雅史
二十三歳の大学院生。綾と同じ研究室。
宿村
居酒屋で戸塚が知り合う。妹が唯と同じ中学校。
遠藤
美渚第一高校の生活指導主任。
檜原裕也
陽介の中学時代の友人。美渚南高校。
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最近日本ではライト文芸というジャンルが流行っていると聞いていますが、三秋縋という作家はそのカテゴリーに入る作家の中で個人的に一番好きな作家です。 乙女作である3日間の幸福が2013年に発売した作品だから、ライト文芸の先駆資格とも言えまかすね。
三秋縋の長所であり短所と言えば、自己複製が非常に多いという点です。 彼の作品のプロットは大体似ています。 イケメンだけど陰キャで、どこか欠陥がある高校生あるいは大学生の男性主人公、子供の頃からの幼なじみだった可愛い女の子、超現実的な現象がシナリオの核心になり、ヒロインとは大体にsad endingで終わる点などなど。 なので殆どの作品が似たような感じですが、逆に言えばそれが好みの人だと彼のすべての作品を楽しむことができます。
本作は三晶スガルとしては珍しく単巻ではなく上下巻に分けた作品ですが、今回もやはり安定したプロットから安定した味わいを引き出しました。 下巻で今までと違う変奏があるかどうかはわかりませんが、今のところはかなり満足して読みました。
購入順に注意
三秋作品では珍しく、2冊に分けて物語が進みます
なので、1冊目の「君が電話をかけていた場所」を読んでから、2冊目の「僕が電話をかけていた場所」を読むようにしてください
私は買う順番を間違えたので、「???」でした
基本的に三秋信者ですが、この作品ではあまり没頭できなかったので、☆3を
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作風が大好きな三秋縋さん。初期のものはあまり読んだことがなかったので、ちょうど8月が終わるまさに今だ!と思い手に取りました。
もし自分の顔にこんな痣がなかったら……本当なら"叶うはずだった恋"を捨てられない深町陽介のもとに、一本の電話がかかってくる。「賭けをしませんか?」と。
叶うはずだった恋は、本当に叶うはずだったのか?じゃあどうぞ試してみてください、と半ば挑発的でとても興味をそそられる話だ。
まだまだこれから何かひっくり返るような展開を予期させる上巻。下巻もはやく読みたい。
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前から気になっていた作家さんだったので、評価の高かったこちらに手を出した。
ライトノベルだと思っていたが、思っていた以上に重い。しんどい。
そしてちょっと癖のある、かっこつけたような文体が引っかかった。
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オイラはコンプレクスが多い。物心ついたときから。まわりの人より自信を持てるものがなかった。それさえあれば、クラスの中でもメジャーな人たちの輪に入れると思っていたな。「ホントの自分はこんなんじゃない」となんとも他責だった(笑) 痣の消えた陽介はいままでの不遇を取り戻すかのような高校生活を得るけど、ホントに望んでいたものかはわからないな。ありのままの自分を愛し大切にできなければ、身のまわりにあるホントにかけがえのないものや大切なものは見えないのかもしれない。
Posted by ブクログ
この作者特有の雰囲気が漂った作品だった。人魚姫の話にリンクしているところがいいと思った。見た目が大切なのか、中身なのか、深く考えさせられる。特に千草のキャラがしっかりしていて読んでいて楽しかった。なぜ初鹿野の顔に同じ痣ができたのか?電話の向こうの女は誰なのか?色々と謎が残っているので、後編に期待したい。