内藤了のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレわずか、800文字以内で書かれた数々の怖い話達。それは、両の手のひらに収まるほどの小さな話ですが、途方も無く怖い話達なのです。あっという間に終わってしまう、短い話だからと油断していると、痛い目をみますよ。
***
発売前から気になっていた一冊。ポプラ文庫、MFダウィンチ文庫を経て、ポプラキミノベルへと様々な本を渡り歩いているこちらの人気シリーズ。現在も第一線で活躍しているホラー小説作家、怪談作家が集まり織りなしていく。800文字以内、原稿用紙に換算してわずか2枚という短い物語たちであるが、流石、そうそうたるメンバーである。何とも恐ろしい物語がつづられていた。
純粋に怖い話、不思議な話、意味が分かると怖い話の様な話があり、怪談と一言にいっても様々なジャンルが楽しめる。
お気に入りの話は、「ミズノくんを返して」、「へどろんなの秘密」、「波の音」、「あの家のこと」。
「日記代行屋」も怖かったな。
どの話も、読んでいて鳥肌が立つほど怖かった。特に、家物の怖い話が好きなので「あの家のこと」は非常に良かった。謎めいた家は、もともとそういう存在だったのか、あるいは、語ることによって本当になってしまったのか、それとも、語り手が何か秘密を握っているのか。
いろいろな想像の余地があるが、どの結末でも恐ろしい。怪奇現象の燐片が見えるだけだったり、自分の知らないところで変なことが起こっているという怖い話はやはりいい。この本は様々な作家の手によって、50編も話がつづられた楽しい本だった。
自分の好きな作家の話を楽しむのもよし、新たな作家を開拓するもよしという一冊でだった。 -
Posted by ブクログ
藤堂比奈子シリーズ第四弾、「LEAK リーク」
今作もまた猟奇的な殺人者と比奈子と愉快な仲間達が大活躍だ。過去の事件にて繋がれた環境が崩れないのと、脇役が存在しない事がこのシリーズが愛される理由だろう。
....."地味系代表清水の声 {僕もいるよ(小声)
今回の死体は超重量級だ。物理的な意味で超重たい死体の原因は、体内に大量の小銭が詰め込まれている為だった。ただでさえ異質なこの事件は後に同様の手口を使った連続殺人、通称「リッチマン殺人事件」としてガンさん率いる比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」の頭を悩ませる事となる。
同時に、太鼓屋の絹おばあちゃんと跡取りの佐和、その息子遥人のサイドストーリーも進行するが勿論こちらも目が離せない。絹さんの気高く、しかし孤独で切ない過去が少しだけ垣間見れる。家族の様な固い絆で結ばれた彼女達を見ていると、何故か私も人に優しくなれるような気がする。優しさは伝染するのだろう。
大好きな解剖医の死神女史は相変わらず検死後にホルモンを食べに行くハードボイルドさだ。
と、愛を語るが、何度も言うが愉快な仲間たちの緩さに釣られると凄惨でグロテスクな描写に打ちひしがれるのでお気を付けて...んふっむふふ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
今回はかなり凝ったプロットだったように感じた。「リッチマン」の正体もだが、背景がやや複雑だ。ネタバレ防止で詳しく語れないのがもどかしいが、名前と続柄はしっかり認識しておきたい所だろう。
限られた新規人物達に着目してしまうのは仕方ないので共に推理を楽しむーーなんて比奈子と読者の愛の共同作業は残念ながら見込めないが、今作もしっかり絶望と憎悪を同時に背負う悲しき業に囚われた犯人に心をキュッとさせられて欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
今回は警視庁 合同捜査本部にて資料係に徹する厚田(ガンさん)班だったが、やはり最後は比奈子の「思い遣り」の人柄がバラけたピースを集結させる。
比奈子は確実に通った道で欠片に糸を通しているんだよなぁ。最後に糸をピンッと張ると欠片が集結して大きな塊に変貌する。まるで磁力だ。
最初は好きになれなかった比奈子が気付けば今は大好きだ。野比先生との安いラブストーリーにアンチ精神働かせていたのに今回はそれが無かったので余計に悶々している。やれやれ、つくづく私という生物は身勝手な生命体だなと痛感した。
しかし、規模の割に盛り上がりの沸点には至らなかった微妙な不完全燃焼に苛まれている。どうやら今作は次作への大きな通過点なのだろうか...、エピローグにあたる謎の人物と前作「CUT カット」の犯人との文通に心がざわめき立ち、既に意識はそちらに向いてしまっている。
最後に、東海林ぱいせんのくしゃみが「へべちっ」では無くなり、シンプルなおっさんのくしゃみだったのが地味に悲しい。
〜「へべちっ」よ永遠に〜
私の心の中で生き続けるだろう。