内藤了のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ前巻の『蠱峯神』と合わせてシリーズの最後を飾るお話。
個人的には前巻が『隠温羅』、本巻が『蠱峯神』といった内容の気もしている。もちろんそれではタイトルとして締まらなくなるので今のままが収まりが良いのだろうが。
冒頭から棟梁が死んでしまう。前巻の末からの急転。先代から順々に古い年代の導師が呼びにやってくると思っていたので、まだ一月くらいは猶予があると気を抜いていてショックが大きかった。
主要人物の棟梁が死ぬのならば、他の誰かも死んでもおかしくないという緊張感を持って話を読み進めた。
棟梁の出棺の場面はシリーズの振り返り、総決算でもある。これまで解決してきた事件の関係者から塩が送られてくる。皆が悲しんでいる様子にもらい泣きしそうになるのを堪えた。
メタ的には、導師の葬式(;42歳で連れていかれる様子)は物語を通してのハイライトで描写したいが、仙龍でその場面をやるわけにはいかないので代わりに棟梁がその任を負ったのだなと思った。
告別式の仙龍の言葉にあるように棟梁は隠温羅流の因縁を解くことに文字通り生涯を捧げた人物なのだなと思った。最後はこの世のことは次代の職人や春奈らに任せ、あの世の側から手助けをする役目に回った。これはご先祖とも相談の上だったのだろう。彼岸にいる隠温羅流のご先祖と此岸の仙龍たちの強力な橋渡しになったと思うと心強く感じた。
読み終わってみれば、棟梁はあの世の理による手助けだけではなく、告別式では隠温羅流に関係する業者、浄化された因縁の力を一つに合わせる機会を整え、浄化に苦戦する最後の場面では歴代の導師、職人達と現れて隠温羅流の職人に活を入れている。彼岸、此岸どちらでも背中を押す役割を果たしている。また、どの場面でも現世の人間に声をかけるのも彼だけである。登場シーンは少なくても最終巻の影の主役は棟梁だったんじゃないかなと思えた。
シリーズの最終盤に際して春奈のサニワも極まっている。棟梁の力添えもあるのだろうが、本作では当たり前のようにこの世ならざる現象が見え、感じている。
物語の所々で因縁に対するレーダーの役割を果たしており、吉郎の家を訪れるシーンは描写の端々が怪談めいているのに『怨毒草紙』のときのような怖さは全くない。
シリーズのクライマックスということもあって、春奈(= サニワ)の目を通して過去の因縁の描写や記憶(『鬼の首』、『憑き御料』、『魍魎桜』、『堕天使堂』)も各所で細かく描かれる。
謎解きの部分はこのシリーズには珍しく、大きな裏がある展開。
仙龍の言葉で「次々に明らかになる情報のつながりはミスリードである可能性」が示唆されていたが、春奈のサニワまで含めて金屋子神の企みの内だったとは・・。
今回の敵は金屋子神のミスリードもあり姿がコロコロと変わる印象で、なかなか正体が掴めない。蠱峯神の文字や被害者の様子から最初は蟲の怪異と思われたが、穴だらけの状態は『鉧』であり金屋子神の仕業だと明らかになる。この金屋子神は飛龍と混ざり合って蠱峯神となっていると思わせて、実際は朽ちることもできず苛まれる飛龍とそれにとり憑きながら根無草で弱っていく金屋子神という構図のままであり、蠱峯神として祀られる事で本当に合わさり二神一体の神となる事を目論んでいた。邪な者を呪い殺すのも金屋子神がその悪意を吸って力を蓄えるためであり、ずっと封印だと思われていた屋根裏の鏡も産床という忌まわしさだ。
本作では、浄化が段取り通りにいかないのも特徴的だった。
これまでの作品は浄化を段取りすればあとは粛々と進み、仙龍らが頼もしく安心して見ていられたが、本作は隠温羅流の呪いを解くという大仕事で一筋縄ではいかずハラハラとさせられた。
終盤まで登場せず、現れないのかと思っていた昇龍だが、一番良いところで登場する。
絶体絶命の仙龍を前になすすべがなく絶叫する春奈。その肩に手をかけて登場する謎の導師、というのが実にかっこいい。彼が息子を支えた(これは春菜が棟梁に語った『導師を引き込む鎖を奈落の底から支えてやれば・・』を行っているようにも見えた)のを皮切りに先人達がワッと現れ現役の者達と共に家を曳く。その大舞台で音頭を取って皆を仕切るのは彼此の要となった棟梁である。隠温羅流の総力をもって一族、縁者にかけられた呪いを解く様は物語のクライマックスにふさわしい盛り上がりだった。
先人達の引き際もこのシリーズらしいものだと思った。隠温羅流最大の浄化であっても、コトが終わると跡形も無く消え去っている。宿願を遂げた棟梁ですらなんらの余韻も残さず、昇龍が仙龍と言葉を交わすこともついに無かった。思いを遂げた彼岸の者は此岸にグズグズと居残ったりはしないということだろうか。
エピローグはいつもの通りサラリとしたハッピーエンドになっている。
そこは今を生きる者達の物語で、今とこの先の未来を見ている。しかし、過去の者達は忘れられたわけではなく、写真や各人の胸の中で見守っている。という終わり。
「流派にかけられた因縁を断ち切ってしまったが今後の浄化に影響はないのか?」とか、「導師に霊感が戻りサニワがいらなくなるのでは?」のような疑問は残るが、『導師が本当に42歳を越えられるようになっているのかはまだ分からない』と春菜が言っているように、ハッピーエンドでも万事解決ではなく、多少の疑問や問題が残っていてそれを頑張って乗り越えていこう、という終わり方はこのシリーズらしくて良いかなとも思う。
物語の終わりでページも尽きる。
本作でよろず建物因縁帳のシリーズは終わりとなるのだが、あとがきのようなものは無く、著者自身の言葉は一切無かった。作品を作っている際の裏話や着想、悩みなどを読むのは好きなので少し残念なのだが、この著者は余計な自我を出さないスタイルなのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
2024 10/19
面白かったです!
劇中で起こっていることがコロナと重なって、そこら辺が妙にリアリティがあって怖かったし、
実際に武漢で秘密裏に作られていたコロナウィルスが本当に流出してしまぅて世界にばら撒かれて、それが変異し続けていて、人間を殺す、っていうならば、
この小説で書かれていたゾンビウイルスがやはり人の悪意でそれがばら撒かれたらどうなるかなんてわかりきってるのに、こんな風になるのだろうな、とか思いながら読んでました。
うさぎ小屋あたりの辺は本当に読んでて怖かったし、どうなるのだろう?と読んでて面白かったし、緊張もしました。
だから、ちょっと最後の方の事件の失速具合が残念だったかな?な感じがします。
あのままウイルステロみたいな感じで行って欲しかった。
それが唯一の残念ポイントで、他は登場人物も世界観も私好みで読んでて楽しかったです。
ケルベロスと、ほかのシリーズになるけど、三婆ズとは気が合いそうだな、と読んでで思いました。笑
それにしても続く、とあったけど、この物語続くのか!
次はどんな事件が起こるのか楽しみです! -
Posted by ブクログ
ネタバレ定年を過ぎた男性が主人公とは珍しい。
大学の研究所に残されてたウイルスを発見して、それが盗まれてしまうというお話。お話の題材的には、珍しくもなんともないですが、何時そのウイルスが世に出てしまうのか、何度もその危機が訪れて、その度に、緊張して読みました。
心理描写から、坂口先生の焦りとか不安がダイレクトに伝わってきて、読んでるこちらも、一緒にハラハラして、おかげで最後の安堵感は半端なかったです。
そして、やっぱり登場人物がいいですよね~。ケロベロスも子供もどっちも安定の3人組でした。お米はいつになったら上手に炊けるようになるのでしょう。最後まで、洗剤を使わないということに気付かせてもらえないのが、なんとも気の毒でした(笑)。 -
購入済み
面白かった!!
清花さんの仕事に対する姿勢、家庭との両立、、経験あるのでよくわかります。役職ついてたりすると、オンナだからなめられる。。と言うのが常に頭の何処かにあったりします。目つきが変わると言うのもよくわかる!でも仕事が変わると今までの自分を俯瞰で見られるようになったりして、自分の中で反省したりするんですよね。。内藤先生は男性なのにどうしてここまで女性のキモチがわかるのでしょうか。。物語の設定もドキドキしました。でも結果的に誰も不幸にならなくて良かったです。続編もすぐ読みます!
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Posted by ブクログ
5巻読み終わってしまった!
どんどん謎が深まるミカヅチにある扉がなんなのか気になって仕方ない。
呪物に反応した感じ、扉自体も生きてるんちゃう?って思った。
どら焼き坊っちゃんがパワーアップしてみんなを助ける感じが嬉しい。
怜ちゃんは光る。
それってまりあが言うように天使なのかもと思う。
悪魔憑きになった赤バッジを助ける天使。
それにしても黒仏はヤバい呪物すぎた。
削がれた耳を革袋にいれて上から漆を塗ったもの。
呪物にも寿命があるとかの設定も、その呪物を使って二階堂の家が何をしていたか、何故滅びたのか。
全てが次巻へ続いていくんやなー。楽しみ。
もう秋。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ永久くんがZEROからONEになり、自分の過去と向き合って成長し始める物語。
永久くんが「人の命を奪う」事の意味に気付けたのが良かった…彼の罪は無くならないけど、罪の意識すら無かったこれまでに比べたら大きな違いです。
保先生や周りの大人のサポートはあれど、自ら思い至ったというところにグッときました。
ミクくんとの関係も良かった。彼はコミュニケーション取れないからわからなかったけれど、永久くんよりかなり内面は大人なんだな。ミクくんの気遣いが凄い。
事件は恵平ちゃんシリーズを思わせる、主犯格と殺人請負みたいな闇が凄かった。カタログ……
猟奇犯罪捜査班に入った恵平ちゃんは新人というのもあって、サービス出演では…とは思いました。
恵平ちゃんの「自分はその人の一部で出来てる部分もある」を永久くんは永久くんなりに受け取ってた。恵平ちゃんは平野先輩のことを言ってたんだろうけど、これは共有できないから……
比奈ちゃんと息子さん・一栞くんも登場して嬉しかったです。懐かしい面々も。