千野隆司のレビュー一覧
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不器用な武士、大事業を為す
高岡藩主井上正国の後継ぎとして正国の娘と結婚した竹越正紀であった。
新婚であるにも拘わらず、正紀は藩の内情が厳しいことに考えを巡らせるのである。米の不作で藩財政逼迫の状況を何とか助けたいと考えた。とは言え、17歳の若さはどう見ても未だ半人前だ。また、以前利根川堤防の補強のため領地の小浮村を訪れたものの、正紀は高岡藩について詳しくない。正紀が想い描いたのは、利根川を利用する弁財船の中継地として河岸場と納屋の建設であった。
ただ、事業を始めるには段取りが必要だ。見積もり費用や施工者の選定、工事期間、施設の規模と図面、需要の確保など、予想しなければいけない事が山とあるだろう。しかし、正紀は元より江 -
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不思議な魅力を持つ弐吉
江戸時代中期以降、侍の生活は困窮し、幕府の俸禄だけでは生活がままならなくなっていた。侍たちは俸禄として支給される米を札差で金に換え、江戸での生活を支えていたが、幕府からの俸禄が増えない中、物価は上昇し、借金漬けになる侍が増加していた。笠倉屋では、五年先までの俸禄を担保にして貸金を行っていたが、新しい札差仕法の噂が流れ、その対応に追われていた。
笠倉屋の手代、弐吉は金利を下げて借金の借り換えを札旦那に勧め、返済の負担を軽減しようと試みたが、様々な妨害に遭遇した。特に同じ店の手代である猪作からの恨みを買い、命を狙われることもあった。最終的に幕府より棄損令が出され、弐吉の対策が功を奏し、笠倉屋は被 -
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札差弐吉の勇敢な働き
札差・笠倉屋では、後継ぎの若旦那が相変わらずお店に迷惑になることばかりしている。
今回は、外で女を孕ませる事態を引き起こし、主人・金左衛門が息子貞太郎を連れて女宅を訪れて、金で事態を収めるのだった。貞太郎の軽率な行動は、一つ間違えればお店の暖簾に傷を付けるような事ばかりである。
手代の弐吉は、大得意先の御納戸組頭黒崎が連れてきた御納戸衆能美彦兵衛の金談の対応をした。本来能美の借金には応じられないところ、黒崎の要請を汲んで弐吉は能美に5両を貸し出して金談を済ませた。
だが、弐吉は無理を押す能美の要求を不審に思い、番頭・清蔵に相談した。そして清蔵は弐吉に黒崎の周辺を調べるように指図した。
弐吉は、 -
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札差屋小僧のお手柄
浅草森田町にある札差、笠倉屋の小僧、弐吉は将軍直参の侍に支給される切米を侍の自宅に配達した帰り道に、魚油屋上総屋五平が侍と思しき二人連れに殺されて、集金したばかりの金子、十数両を盗られた事件を目撃した。遠くからであり、日が暮れて辺りは暗かったため、顔や姿までははっきりとは解らない。目撃者は複数人いて、犯人は一人だ証言する者もいた。
魚油屋五平殺しと金子十数両の窃盗事件を調べるため町廻り方が探索に動いた。
事件の容疑者が聞き込みから3人が浮かんだ。旗本の梶谷と塚本、そして御大身の宇根崎将監とその用人阿部である。
町方の調べで梶谷が下手人の可能性が濃厚になったのだが、弐吉の証言どおりなら下手人が一 -
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わぉ!
朝比奈家では、嫁姑の仲が良くない。母親と妻の間で、飄々と鳥籠作りに精を出す隠居した父。祖母と母との揉め事に、首を突っ込まない様に、気をつける息子。何とも不甲斐ない、朝比奈家の男達だが、犯人を追い詰めていく手腕は、中々の物。つい、犯人が捕まる迄を、一気に読んでしまった。