千野隆司のレビュー一覧
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おれは一万石シリーズもはや20巻。
今回は先先代の藩主正森がからむ。
市中を歩いていた時に、30年仇を追っている高岡藩の下士と出会う。30年もの間の生活が偲ばれる男に事情を聞き、幾らかを渡して、ひとまず江戸屋敷に。
30年前とあり、詳しく知るものが少なかったが、同情できる内容だった。
そして時代は隠居の直前の正森が関わっていた。
正森に話すと覚えており手を貸してやれと言われる。
正紀の親友、同心の山野辺は、恋人を借金の方に連れ去られるのを防ごうとする若侍に出会う。
たった1万石だが、藩を守ろうとする次世代藩主の奔走と家臣たちの連帯がいい感じ! -
Posted by ブクログ
江戸の経済に詳しい作者のシリーズの一つ。
結婚が決まっていた許嫁を五千石の旗本に襲われて自死に追いやられた主人公。
その仇とも言える旗本が後ろから何かと策を弄される。
それが嫌で家を飛び出す次男、冷や飯食い。
偶然知り合った岡っ引きが営む湯屋に住み込みで働くことになる。常連客たちからもすっかり親しまれたおり、無銭飲食の浪人が新しく入った。
瀬古という名前以外には何も教えてくれないものの、働きぶりが陰日向なく実に好ましい。子供たちにもすぐに慕われた。
ところがその瀬古の命を付け狙われた。
知るうちに、どうやら次の嫡子争いと、収賄に絡む事件があり、瀬古は冤罪のために上意討ちを仕掛けられてた。
すっかり好きになった湯屋のメンバーや苦手な大身の娘たちにも協力を願い無実を晴らすのだが。
登場人物たちの関係が気持ち良く、感情の機微もうまく書かれて毎回楽しい読み心地。 -
Posted by ブクログ
壱石でも削られれば大名ではなくなる、関東の小藩、高岡藩に婿入りした正紀は
格上でもある大藩、尾張藩から婿入りした。
高岡藩は何がおこるにしても、
まず資金を集めなくてはならないという貧乏藩だ。
義父でもある同じ尾張藩から婿に入った正国が
お国入りする経費もやっと用立てたが、
半年先の江戸入りの経費の工面に頭が痛い。
小金の両替商の息子房太郎が相変わらずひょろりとした風貌で
帳面片手に市場を調査中。
聞けば、銚子沖でのイワシの漁が不漁ではないか?
と疑問を持っているという。
市民の明かりである魚油や、
百姓にとって人糞よりも効果がある干鰯や〆粕が
高騰する予測があるという。
ここで、正紀も値上がりを見込んで、上京費用の幾らかをと考えるが。
先立つものがない。
今回、正紀からは先先代の藩主であった
隠居した正森に初めて出会う。
正森は81歳となるが今でも剣の腕もかなりのかくしゃくなる風格。
しかも藩とは一切関係なく生計を立てているのか?
暮らしぶりは困っては見えなかった。
住まいはなど誰も知ってはいなかった。
そんな正森が牢人二人からの襲撃を受けながらも、
返り討ちにする現場を見てしまう。
興味深い元藩主の登場。キャラクターも謎が多く面白い展開。
このシリーズは、小さな藩で、貧しい高岡藩に
尾張藩という大きな徳川家の家からの婿入り、
しかもあの白川と川柳にもなる松平定信が老中として腕を振るっていた時代。
江戸の経済が物語の主軸を担う面白いシリーズなのだ!