千野隆司のレビュー一覧
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直心影流の次の師範代と噂される大曽根三樹之助は旗本の次男坊。俗にいう部屋住。
三樹之助の通う団野源之進道場ではある日、道場破りが来て怪我人が。
ある時、格上の旗本の娘(再婚)との縁談が起こるが、実は、相思相愛の前回の縁談で相手の娘を大身旗本の跡取りが手籠にされ、自裁し、亡くすという悲劇があった。
その痛手からなかなか心は救われていなかった。
いつか仇をと心に刻んでいた。
その再婚の娘との縁談が、大曽根家を黙らそうとする陰謀と知り家出を企てる。
そこで偶然事件に出会し、岡っ引きの湯屋に居候となった。
江戸時代の湯屋という商売、内容も仕組みもとてもよくわかる。さすがは江戸時代の経済を熟知し -
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〈出世商人〉シリーズ第三作。
亡き養父の店〈三川屋〉を継ぐと共に多額の借金も背負うことになった文吉。医師・手塚良庵が調剤した『元気丸』を売ることで借金返済への道筋が出来たかと思われたが、大店の薬問屋〈福江屋〉と〈越前屋〉による営業妨害で度々売上は落ち込んでいく。
今回は樽をいくつも重ねながら乗っていく樽芸をやる娘ナオと助手役の祖父・作造が何者かに襲われることから始まる。
ナオと作造が樽芸を行っていた場所の元締めは文吉がかつて借金していた〈相馬屋〉。〈相馬屋〉は借金の取り立ては厳しいが、借金している者の窮地を救ったり情報屋の熊を通じて様々な事情を教えてくれたりと義侠心もある。
ナオと作造が襲わ -
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初めて読む作家さん。タイトルから安心して読める。
とはいえシリーズ第一作ということで成功とは言えない段階で終了。
薬種問屋〈遠州屋〉の小僧として奉公していた文吉は養父の突然の死により〈遠州屋〉を辞め養父が営んでいた艾屋〈三川屋〉を継ぐことにした。
だが〈三川屋〉の扱う艾は安物で利益は殆どなし。最近は商いが上手く行ってなかったようであちこちから合計十三両もの借金をしていた。
そんな折、〈遠州屋〉時代に知り合った蘭方医・手塚良庵から自分が作った滋養強壮薬を売って稼がないかと誘われる。
テンポが良い。
小僧上がりで店の経営は全くの素人、多額の借金を背負っている文吉が、様々な人と出会い助けられてい