ヘレンハルメ美穂のレビュー一覧

  • 死刑囚

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    テーマ、設定に強烈に引き込まれ、満員電車内での細切れ読書が恨めしくなるほど。最初から最後まで一気に、でも丁寧に、読み進めた。

    特に執行までのカウントダウン描写は、まるで自分が執行されるかのように手に汗握り、心臓が痛くなった。

    「死をもって死を償う」「死刑やむなし」が多数を占める日本。冤罪の可能性があるからとの理由で、死刑制度廃止へは傾かないのではないかと思う。

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    2024年03月16日
  • 熊と踊れ 下

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    三兄弟と幼馴染が軍の武器を奪い銀行強盗を繰り返す。視点を切り替えながらテンポ良く進んで行くので、長くても全く飽きなかった。表現のセンスも抜群でストーリーに引き込まれました。

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    2024年02月25日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    「制裁」以上に、夢中になって読んだ。
    満員電車に乗るのが全く苦にならないほど。
    なんだったら、この本が読めるから電車に乗るのが待ち遠しかったほど。

    恋人(だったのか?本当に)に裏切られ、船内で殴られた瞬間に希望が粉々に打ち砕かれ、自分の身体が自分のものではないと思いながら、絶望の日々を過ごすリディアを思うと、胸が締め付けられる。
    リディアの命とプライドを賭けた立て篭もり、真実が白日の元に晒されて欲しかった。
    彼女の心が壊れることと引き換えに保持していた「ボックス21」、このタイトルにも胸打たれる。

    しかもこの売春斡旋はフィクションではない。
    こんなに辛すぎる思いをする女性は、この世にただの1人もいてほしくない。

    そしてラスト3行の衝撃。
    「だからコイツやって言ってたやん」と誰にともなく独り言。分かってはいたもののやはり衝撃。

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    2024年02月16日
  • 死刑囚

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    ネタバレ

    グレーンス警部シリーズ第三弾。
    今作も重く苦しく辛い。

    暴行で逮捕した男の身元を探ると、アメリカで6年前に死んだ死刑囚と同一人物の可能性が出てきた。大国との政治的な駆け引きの中、死んだと思われていた死刑囚と向き合うグレーンス警部。。。

    一作目、二作目と同じく、救いもなく、希望もなく。だけどこんなにも辛い話なのに読むのが止められない。今作ではグレーンス警部のプライベートな側面もちょっと見えてきて、いつもの取っ付きづらさは薄いか。政治的な要素もありつつ、この死刑囚が真実を語っているのかどうかを怪しませる構成となっている。

    刑事がスパッと事件を解決するわけではないのでカタルシスはないかもしれないが、社会問題と絡ませて他にない終わり方となる貴重なシリーズ。読み続けたい(と言いつつも重すぎて体力を使うので計画的に。。。)。

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    2024年01月26日
  • 1793

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    ネタバレ

    ニクラス・ナット・オ・ダーグの歴史ミステリ三部作。その第1作目。

    とんでもなく重厚な小説。一作目の1793はミステリというよりは、殺人事件を題材とした歴史風俗小説の感が強い。本当に、匂い立つくらい当時の情景の描き込みがすごい。

    4部から成り、1部は凄惨な死体が発見され、引っ立て屋のカルデルと病に侵された探偵セーシルが邂逅。2部はある青年が身を落とすまで、3部はありもしない罪を背負わされた少女、4部は1部の二人に戻る、という構成。
    2部、3部が1部から過去の時間軸となるため、どのようにクロスするのかが非常に楽しめた。

    ミステリとして読むと肩透かしかも。死体の状況と動機の繋がりが弱い気がした。ただそれを抜きにしても、重厚で、目を背けたくなるような凄惨な場面も多いが、読み応えはバッチリ。
    3部作ということもあってか、裏で暗躍する組織、フランス革命の余波などはそんなに。2作目以降、決着がつくのだろう。ただ、あまりに重いのでちょっと間に違う本を入れてかな。。。

    最後に、2部の青年、結構いい役回りだけど。後々思い出すと、妹に朝の快便具合を手紙で書く変態だったわ笑

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    2023年09月04日
  • 三分間の空隙【くうげき】 上

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    スウェーデンの作品の翻訳である。本作はストックホルム警察のエーヴェルト・グレーンス警部が活躍するシリーズの一冊ということになる。シリーズの途中から、凄腕の潜入捜査員であるピート・ホフマンが登場している。作品はグレーンス警部が主要視点人物になる部分、ホフマンが主要視点人物になる部分、その他の作中人物達が主要視点人物になる部分が織り交じって展開する。本作もその形が踏襲されており、ホフマンの部分とグレーンス警部の部分とが織り交じるようになって行く。
    本作の上巻ではこのグレーンス警部の出番は少し少ない。
    物語はコロンビアの様子から起こる。ストリートに生きる少年の様子が描かれる序章の後に本編が始まる。エル・メスティーゾと呼ばれる、コカインを方々に売るようなことをしているゲリラ組織の幹部の傍に、ボディーガードでもある側近の欧州人の姿が在る。「スウェーデン人」という意味のエル・スエコという通り名で知られ、北欧の何処かの国の出身らしいが詳しい素性は判らない。このエル・スエコという人物の正体がピート・ホフマンだ。
    スウェーデンを出国したホフマンは、ストックホルム警察の犯罪捜査部長であるエリック・ウィルソン警視正が国際研修で知り合った米国DEA(麻薬取締局)のスー・マスターソン長官の仕事を請けることになった。コロンビアの麻薬組織の情報を潜入捜査員として伝え、大規模な麻薬取引を阻み、コカインを精製するプラントを攻撃する手引きをしているのである。
    そういう他方、米国ではティモシー・クラウズ下院議長が、麻薬撲滅作戦を推し進めていた。クラウズ下院議長は麻薬に溺れてしまった娘を喪った経過が在る。他界した時に娘は24歳で、そういう悲劇の根を絶つべく、クラウズ下院議長は麻薬対策に努力し、コロンビアに展開した対策部隊の現場視察にも積極に出掛ける程に入れ込んでいた。
    そんな或る日、「問題」は生じた。現地視察をしていたクラウズ下院議長が誘拐されてしまい、生死不明になってしまった。米国政府は、トランプの13枚のカードに見立て、コカインを方々に売るようなことをしているゲリラ組織の幹部の名を挙げ、順次彼らを抹殺すると宣言した。その13枚のカードに見立てたリストに「エル・スエコ」が入っていた。

    米国のスー・マスターソン長官から報せを受けたエリック・ウィルソン警視正は驚き、何とかしたいと思う。そんな事案に取組もうとしていた時、酔っ払いとの揉め事が拗れて拘置所に入れられてしまったグレーンス警部を、上司として貰い受けるようにという妙な話しが生じる。グレーンス警部を貰い受けたウィルソン警視正は、グレーンス警部に頼むことにした。「エル・スエコ」ことホフマンの支援をである。

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    2023年09月04日
  • 三分間の空隙【くうげき】 下

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    グレーンス警部という人物は、ストックホルム警察の現役捜査員では最年長というような年代で、一緒に居て愉しいというタイプでもない偏屈な男であり、事故で植物状態になった妻が長く施設に在って、その妻が亡くなってという複雑な個人の事情も在るのだが、執念深く捜査に取組む非常に老練で辣腕の刑事である。少し不思議な人物という感じがしないでもない。現場に出る、私用で出るという以外は、自宅アパートか警察本部の自室に居ると言われているような変わり者なのだが、勘と“押し”で事件関係者に迫って、事件を解決に導く手腕はなかなかに見応えが在り、シリーズで描かれる「社会の闇」にも関わる、見た目以上に重大な真相に肉薄するのである。
    下巻は目が離せない展開が続く。
    グレーンス警部はコロンビア現地や米国を密かに訪ね、独特な“押し”で関係者と色々と話し合いながら、ウィルソン警視正が何とかしようとしているホフマンの事案に取組む。
    グレーンス警部はホフマンを間接的に知っていた。スウェーデンでの荒稼ぎを目論むポーランドのマフィアへの対策に係る潜入捜査作戦でホフマンが活動していて、刑務所内で事件が発生してしまった時、グレーンス警部は警官隊の指揮を命じられて現場に入ったのだった。ホフマンを射殺せよという話しになったのだが、射殺は果たせなかった。やがて、ホフマンが脱出したらしいということはグレーンス警部も把握はしていた。
    そういう縁が在るホフマンを、グレーンス警部は何とか支援しようとする。ホフマンの側は、「処刑リスト」から逃れるべく、独自にクラウズ下院議長の一件に尽力しながら、何とかグレーンス警部と共に脱出を図ろうとした。グレーンス警部は、スウェーデンでホフマンが積み残している問題の軟着陸を思案する。
    こういうようなことでダイナミックに展開する物語で夢中になってしまった。これまでのシリーズ作品とは、少し色合いが異なるかもしれない。が、凄く面白い!!

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    2023年09月04日
  • 世界の天変地異 本当にあった気象現象

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    気象現象と言うのは、地球上の種々のムラを平衡な状態にならすための現象である。ただ、それだけなのに、局所的には天変地異と言うべき過酷な現象があちこちで見られる。

    一般向けの本でありつつも、科学に素養があって、興味がある人でも楽しめる程度に、因果関係や定量的なデータとともに解説してくれていて事典的に読める。さらに非常に迫力のある写真もあり、楽しめる。

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    2023年08月12日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    グレーンス刑事シリーズ第二弾。
    相変わらず重く、苦しく、辛い、だけどずっと読んでいたい。そんなザ・北欧小説という感じ。

    売春斡旋業者から大怪我を負いながらも逃げ出した女が、病院の死体安置所に人質を取って立て篭もる。要求はグレーンス刑事の親友と話をすること。なぜ人身売買により他国から売られた女が、立てこもり事件を起こすのか。一方、グレーンス刑事の恋人が脳に障害を持つきっかけとなった事故。その事故を誘引した犯罪者が刑期を終え出所することに。。。

    今作も2部構成。売春婦リディアが起こした立て篭もり事件の顛末と、そのことで明らかとなったある真相をめぐる二人の刑事の苦悩が描かれる。

    真相については途中でなんとなく察することができる。ラストについても同様。ただ、物語の構成が素晴らしく、読んでいても全く飽きがこない。
    救いはなく。希望も叩き折られる。だけど、素晴らしい小説。

    ボックス21とは何か。題名もとても秀逸。

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    2023年06月08日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 下

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    スウェーデン作家「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」の共著の長篇ミステリ作品『犯罪心理捜査官セバスチャン(原題:Det fordolda、英題:Sebastian Bergman、米題:Dark Secrets)』を読みました。

    「ヨナス・ヨナソン」の『国を救った数学少女』に続き、スウェーデン作家の作品です… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    〈上〉
    「息子が帰ってこないんです」警察にかかってきた一本の電話。
    少年は心臓をえぐり取られた死体で発見された。
    センセーショナルな事件に、国家刑事警察の殺人捜査特別班に救援要請が出された。
    四人の腕利き刑事。
    そこにひとりの男が加わった。
    「セバスチャン・ベリマン」、かつてのトッププロファイラー。
    だがこの男、自信過剰で協調性ゼロ、アドレナリンとセックス中毒、捜査中でも関係者を口説いて寝てしまう、はた迷惑な奴だった。
    スウェーデンを代表する脚本家がタッグを組んだ、注目の北欧ミステリ。

    〈下〉
    殺された少年は以前に通っていた学校でいじめられ、裕福な子どもが通う高校に転校していた。
    母親、ガールフレンド、友人、担任と、証言を得るうちに変化していく少年の姿。
    一方、トラブルメーカーの「セバスチャン」が加わったことで、殺人捜査特別班には波紋が広がっていた。
    被害者も証人もそして捜査陣もみな秘密をかかえるなか、「セバスチャン」自身も実はある事情を隠して捜査に加わっていた。
    登場人物の強烈な個性が光るシリーズ開幕。
    訳者あとがき=「ヘレンハルメ美穂」

    *第3位『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
    -----------------------

    2010年(平成22年)に発表された「犯罪心理捜査官セバスチャン」シリーズの第1作… スウェーデンを代表する脚本家の二人「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」がタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、自信過剰で協調性ゼロ、女たらし(セックス中毒)の犯罪心理学者を主人公に据えて描かれた作品、、、

    主人公の「セバスチャン・ベリマン」だけでなく、他の登場人物も非常に魅力的だし、ストーリーも波乱に富んでいて、とても愉しめる、面白い作品でした。


    ストックホルムにほど近い静かな町ヴィステロース、「息子が帰ってこないんです」ヴェステルロース警察にかかってきた一本の電話、それがすべての始まりだった… 行方不明だった16歳の男子高校生「ローゲル・エリクソン」は心臓をえぐり取られた死体で発見された、、、

    地元ヴィステロース警察の刑事部長「シェスティン・ハンセル」要請を受けて、国家警察の殺人捜査特別班の「トルケル・ヘーグルンド」をリーダーとする、「ウルスラ・アンデション」、「ヴァニヤ・リトネル」、「ビリー・ロセーン」の4人の個性的で腕利き刑事が捜査に乗り出した… そこにひとりの男が加わった、男の名は「セバスチャン・ベリマン」、殺人捜査特別班のかつてのトッププロファイラーだが、この男、自信過剰で協調性ゼロ、アドレナリンとセックス中毒、捜査中でも関係者を口説いて寝てしまう、はた迷惑な奴だった。

    殺された「ローゲル」は家庭に恵まれず、以前の高校ではいじめに遭い、裕福な子どもたちが通うパルムレーフスカ高校に転校したという過去があったが、転校先でも友達が少なかったという… 母親の「レーナ」、ガールフレンドの「リサ・ハンソン」、友人の「ヨハン・ストランド」、校長の「ラグナル・グロート」、担任の「ベアトリス・ストランド」と、証言を得るうちに次第に浮かび上がり、変化していく少年の姿、、、

    捜査が進むにつれ、パルムレーフスカ高校には隠された問題があることが分かってきた… さらに、「ローゲル」の心理士「ペーテル・ヴェスティン」が殺害され、家が放火されるという新たな事件まで発生した。

    一方、相手かまわずトラブルを起こす嫌われ者の「セバスチャン」が加わったことにより、殺人捜査特別班には穏やかならぬ波紋が広がっていた… 被害者も証人たちも、そして捜査陣もみな、それぞれの秘密をかかえるなか、「セバスチャン」自身も実はある事情を隠して捜査に加わっていた、、、

    捜査が進むうちに少しずつ明らかになる被害者の少年「ローゲル」の姿と、ひととつひとつ暴かれていく周辺の人々が抱えるさまざまな秘密、そして意外な真相に至る事件の展開… いやぁ、面白くてラストまで集中力が途切れることなく読めましたね。

    事件捜査の主役は捜査特別班のメンバーなので、警察小説とも呼べるのでしょうが… そこに、邪な動機から捜査に加わることになった「セバスチャン」が、物語全体を引っかき回すところが、本作の特色ですかね、、、

    ねじれにねじれた人間性が影響して、「セバスチャン」は、他のメンバーからは総スカンを喰らいつつも、そんなことには一向にへこたれることなく、独自の解釈で捜査の方向性をリードして解決に導きます… 終盤、「セバスチャン」が「ヨハン」を無事に保護するシーンは印象的でしたね、、、

    そして、目的である、自身の子どもに関するプライベートな情報も入手しちゃうのも流石… でも、エンディングで明かされた事実は、「セバスチャン」にとっても、読者にとっても衝撃でしたね。

    本シリーズ… 是非とも次作以降も読みたいです!!



    以下、主な登場人物です。

    「セバスチャン・ベリマン」
     心理学者。元国家刑事警察の殺人捜査特別班のプロファイラー

    「リリー」
     セバスチャンの妻。故人

    「サビーネ」
     セバスチャンとリリーの娘。故人

    「シェスティン・ハンセル」
     ヴィステロース警察の刑事部長

    「トーマス・ハラルドソン」
     ヴィステロース警察の刑部

    「イェニ」
     トーマスの妻

    「トルケル・ヘーグルンド」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班のリーダー

    「ウルスラ・アンデション」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班の鑑識官

    「ヴァニヤ・リトネル」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班の刑事

    「ビリー・ロセーン」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班の刑事

    「ミカエル」
     ウルスラの夫

    「ヴァルデマル」
     ヴァニヤの父

    「ローゲル・エリクソン」
     十六歳の少年

    「レーナ」
     ローゲルの母

    「リサ・ハンソン」
     ローゲルのガールフレンド

    「アン=シャーロット」
     リサの母

    「ウルフ」
     リサの父

    「ヨハン・ストランド」
     ローゲルの親友

    「ウルフ」
     ヨハンの父

    「フレドリック・ハンマル」
     ローゲルの前の学校の上級生

    「レオナルド(レオ)・ルンディン」
     ローゲルの前の学校の同級生

    「クララ」
     レオの母

    「ラグナル・グロート」
     パルムレーフスカ高校の校長

    「ベアトリス・ストランド」
     ローゲルの担任。ヨハンの母

    「アクセル・ヨハンソン」
     パルムレーフスカ高校の元用務員

    「ペーテル・ヴェスティン」
     パルムレーフスカ高校と契約している心理士

    「アンナ・エリクソン」
     セバスチャンの子どもの母

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    2023年04月06日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 上

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    スウェーデン作家「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」の共著の長篇ミステリ作品『犯罪心理捜査官セバスチャン(原題:Det fordolda、英題:Sebastian Bergman、米題:Dark Secrets)』を読みました。

    「ヨナス・ヨナソン」の『国を救った数学少女』に続き、スウェーデン作家の作品です… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    〈上〉
    「息子が帰ってこないんです」警察にかかってきた一本の電話。
    少年は心臓をえぐり取られた死体で発見された。
    センセーショナルな事件に、国家刑事警察の殺人捜査特別班に救援要請が出された。
    四人の腕利き刑事。
    そこにひとりの男が加わった。
    「セバスチャン・ベリマン」、かつてのトッププロファイラー。
    だがこの男、自信過剰で協調性ゼロ、アドレナリンとセックス中毒、捜査中でも関係者を口説いて寝てしまう、はた迷惑な奴だった。
    スウェーデンを代表する脚本家がタッグを組んだ、注目の北欧ミステリ。

    〈下〉
    殺された少年は以前に通っていた学校でいじめられ、裕福な子どもが通う高校に転校していた。
    母親、ガールフレンド、友人、担任と、証言を得るうちに変化していく少年の姿。
    一方、トラブルメーカーの「セバスチャン」が加わったことで、殺人捜査特別班には波紋が広がっていた。
    被害者も証人もそして捜査陣もみな秘密をかかえるなか、「セバスチャン」自身も実はある事情を隠して捜査に加わっていた。
    登場人物の強烈な個性が光るシリーズ開幕。
    訳者あとがき=「ヘレンハルメ美穂」

    *第3位『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
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    2010年(平成22年)に発表された「犯罪心理捜査官セバスチャン」シリーズの第1作… スウェーデンを代表する脚本家の二人「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」がタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、自信過剰で協調性ゼロ、女たらし(セックス中毒)の犯罪心理学者を主人公に据えて描かれた作品、、、

    主人公の「セバスチャン・ベリマン」だけでなく、他の登場人物も非常に魅力的だし、ストーリーも波乱に富んでいて、とても愉しめる、面白い作品でした。


    ストックホルムにほど近い静かな町ヴィステロース、「息子が帰ってこないんです」ヴェステルロース警察にかかってきた一本の電話、それがすべての始まりだった… 行方不明だった16歳の男子高校生「ローゲル・エリクソン」は心臓をえぐり取られた死体で発見された、、、

    地元ヴィステロース警察の刑事部長「シェスティン・ハンセル」要請を受けて、国家警察の殺人捜査特別班の「トルケル・ヘーグルンド」をリーダーとする、「ウルスラ・アンデション」、「ヴァニヤ・リトネル」、「ビリー・ロセーン」の4人の個性的で腕利き刑事が捜査に乗り出した… そこにひとりの男が加わった、男の名は「セバスチャン・ベリマン」、殺人捜査特別班のかつてのトッププロファイラーだが、この男、自信過剰で協調性ゼロ、アドレナリンとセックス中毒、捜査中でも関係者を口説いて寝てしまう、はた迷惑な奴だった。

    殺された「ローゲル」は家庭に恵まれず、以前の高校ではいじめに遭い、裕福な子どもたちが通うパルムレーフスカ高校に転校したという過去があったが、転校先でも友達が少なかったという… 母親の「レーナ」、ガールフレンドの「リサ・ハンソン」、友人の「ヨハン・ストランド」、校長の「ラグナル・グロート」、担任の「ベアトリス・ストランド」と、証言を得るうちに次第に浮かび上がり、変化していく少年の姿、、、

    捜査が進むにつれ、パルムレーフスカ高校には隠された問題があることが分かってきた… さらに、「ローゲル」の心理士「ペーテル・ヴェスティン」が殺害され、家が放火されるという新たな事件まで発生した。

    一方、相手かまわずトラブルを起こす嫌われ者の「セバスチャン」が加わったことにより、殺人捜査特別班には穏やかならぬ波紋が広がっていた… 被害者も証人たちも、そして捜査陣もみな、それぞれの秘密をかかえるなか、「セバスチャン」自身も実はある事情を隠して捜査に加わっていた、、、

    捜査が進むうちに少しずつ明らかになる被害者の少年「ローゲル」の姿と、ひととつひとつ暴かれていく周辺の人々が抱えるさまざまな秘密、そして意外な真相に至る事件の展開… いやぁ、面白くてラストまで集中力が途切れることなく読めましたね。

    事件捜査の主役は捜査特別班のメンバーなので、警察小説とも呼べるのでしょうが… そこに、邪な動機から捜査に加わることになった「セバスチャン」が、物語全体を引っかき回すところが、本作の特色ですかね、、、

    ねじれにねじれた人間性が影響して、「セバスチャン」は、他のメンバーからは総スカンを喰らいつつも、そんなことには一向にへこたれることなく、独自の解釈で捜査の方向性をリードして解決に導きます… 終盤、「セバスチャン」が「ヨハン」を無事に保護するシーンは印象的でしたね、、、

    そして、目的である、自身の子どもに関するプライベートな情報も入手しちゃうのも流石… でも、エンディングで明かされた事実は、「セバスチャン」にとっても、読者にとっても衝撃でしたね。

    本シリーズ… 是非とも次作以降も読みたいです!!



    以下、主な登場人物です。

    「セバスチャン・ベリマン」
     心理学者。元国家刑事警察の殺人捜査特別班のプロファイラー

    「リリー」
     セバスチャンの妻。故人

    「サビーネ」
     セバスチャンとリリーの娘。故人

    「シェスティン・ハンセル」
     ヴィステロース警察の刑事部長

    「トーマス・ハラルドソン」
     ヴィステロース警察の刑部

    「イェニ」
     トーマスの妻

    「トルケル・ヘーグルンド」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班のリーダー

    「ウルスラ・アンデション」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班の鑑識官

    「ヴァニヤ・リトネル」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班の刑事

    「ビリー・ロセーン」
     国家刑事警察の殺人捜査特別班の刑事

    「ミカエル」
     ウルスラの夫

    「ヴァルデマル」
     ヴァニヤの父

    「ローゲル・エリクソン」
     十六歳の少年

    「レーナ」
     ローゲルの母

    「リサ・ハンソン」
     ローゲルのガールフレンド

    「アン=シャーロット」
     リサの母

    「ウルフ」
     リサの父

    「ヨハン・ストランド」
     ローゲルの親友

    「ウルフ」
     ヨハンの父

    「フレドリック・ハンマル」
     ローゲルの前の学校の上級生

    「レオナルド(レオ)・ルンディン」
     ローゲルの前の学校の同級生

    「クララ」
     レオの母

    「ラグナル・グロート」
     パルムレーフスカ高校の校長

    「ベアトリス・ストランド」
     ローゲルの担任。ヨハンの母

    「アクセル・ヨハンソン」
     パルムレーフスカ高校の元用務員

    「ペーテル・ヴェスティン」
     パルムレーフスカ高校と契約している心理士

    「アンナ・エリクソン」
     セバスチャンの子どもの母

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    2023年04月06日
  • 制裁

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    スウェーデン作家「アンデシュ・ルースルンド」と「ベリエ・ヘルストレム」の共著の長篇ミステリ作品『制裁(原題:Odjuret)』を読みました。

    「ステファン・トゥンベリ」との共著『熊と踊れ』に続き「アンデシュ・ルースルンド」作品です… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    北欧ミステリ最高の警察小説〈グレーンス警部〉シリーズ第一作

    凶悪な殺人犯が護送中に脱走した。
    市警のベテラン「グレーンス警部」は懸命にその行方を追う。
    一方テレビの報道を見た作家「フレドリック」は凄まじい衝撃を受けていた。
    見覚えがある。
    この犯人は今日、愛娘の通う保育園にいた。彼は祈るように我が子のもとへと急ぐが……。
    悲劇は繰り返されてしまうのか?
    北欧ミステリ最高の「ガラスの鍵」賞を受賞した人気シリーズ第1作。
    著者本人による改稿を反映した決定版。
    -----------------------

    本作品はストックホルム市警の「エーヴェルト・グレーンス警部」と「スヴェン・スンドクヴィスト警部補」が活躍するシリーズの第1作… 2004年(平成16年)に発表された作品で「アンデシュ・ルースルンド」と「ベリエ・ヘルストレム」のミステリ作家デビュー作です、、、

    フィクション作品なんですが、ノンフィクション作品だと言われても納得感のあるくらいの現実感と緊迫感を兼ね備えた作品で、しかも、単なるミステリ作品に留まらず、司法制度や刑務所の問題点を鋭くえぐり出す社会派小説に仕上がっており、特に中盤以降は胸を締めつけられるような感覚を覚えながら、ページを捲る指を止めれない… そんな印象深い作品でした。


    4年前に二人の女児を凄惨な手口で暴行・惨殺した罪で服役していた囚人「ベルント・ルンド」が護送中に逃走… 再び幼い少女が犠牲となる可能性があり、ストックホルム市警は総力を挙げて行方を追う、、、

    ベテランの「エーヴェルト・グレーンス警部」も相棒の「スヴェン・スンドクヴィスト警部補」とともに捜査に加わる… そんな中、五歳の娘「マリー」を保育園に送り届けた作家の「フレドリック・ステファンソン」は、保育園の門の前のベンチにどこかで見覚えがある男がじっと座っているのを目撃していた。

    その後、テレビで「ルンド」が逃走した報道を見た「フレドリック」は凄まじい衝撃を受ける… 愛娘の通う保育園の前にいたのは「ルンド」だったのだ、、、

    「フレドリック」は我が子のもとへ急ぐが、悲劇は繰り返されてしまう… 失意のどん底に放り込まれた「フレドリック」だったが、「ルンド」が更なる犯行に及ぶ可能性が高いことを知り、新たな犠牲者が出ることを防ぐため義父の遺品である狩猟用ライフルを手にして、「ルンド」が出没すると思われる保育園へ向かう。

    そして、「フレドリック」はターゲットの幼児を狙う「ルンド」を発見… 保育園を警備していた警察官には一言も声をかけないまま、「フレドリック」はライフルの引鉄を引く、、、

    「フレドリック」の行動は、マスコミによって大々的に喧伝され一部の人々からは英雄視され、世間から注目される、

    娘を失った悲しみをともにする人々、

    理由は何であれ、人殺しは人殺しでしかない、と考える人々、

    社会が始末できなかった人間を始末して、社会を守った、その勇気をたたえる人々、

    復讐を目的とした殺人であったことは明らかだ、だから見せしめのためにも長期刑にすべきだと考える人々、

    あらゆる人々の目が「フレドリック」に向けられる。

    さらに、地方裁判所で正当防衛による無罪判決が下されたことに刺激を受けた大衆は、画一的且つ曖昧な正義への使命感に昂揚・熱狂する。

    性犯罪者への強い憎しみが渦巻く地域で、それぞれが駆り立てられるようにして起こした行動が、思わぬ結果を招く… 国家体制・機能への不信と憤りをもった人々は、警察を無視した性犯罪者狩りを始め、私刑はエスカレート、制御不能となる、、、

    或る瞬間を堺に、異常へと変わる日常… 極めて粗暴な制裁が下層社会までまかり通り、悪夢のような憎しみの連鎖が展開される。

    そんな中、地方裁判所で一旦、無罪の判決を受けた「フレドリック」だったが、検察側の控訴により控訴裁判所で再審が行われ懲役十年の判決を受ける… そして、「フレドリック」は、入所したアスプソース刑務所で幼児性愛者と誤解され、そこにも悲劇が、、、

    犯人逮捕後の、殺人者をどう裁くかという罪と罰の命題に焦点があてられた作品でしたね… 犯人逮捕で一件落着ではなく、社会的な影響も含めて、罪に値する罰に何が相応しいかということを考えさせられた作品でした。

    原題の『Odjuret』って、直訳すると『怪物』 『野獣』という意味なんだそうです‥ 一見、怪物は凶悪犯で更生の見込みのない殺人者「ベルント・ルンド」であることは明らかなのですが、、、

    物語が進むにつれて、怪物は他の人々にもとりついているように見えるんですよね… 他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら、そうすべきなのか? 人の生命の価値を、同じ人間が決めてしまうことは、果たして許されるのか? それが許されるとき、怪物が生まれるのではないか? 考えても、考えても、答えの出ない難しい命題だと感じました。


    読んでいて苦しくなる… 胸を締めつけられるような感覚が離れない作品でしたが、、、

    それでも、「アンデシュ・ルースルンド」と「ベリエ・ヘルストレム」の作品を次も読みたいと思います。




    以下、主な登場人物です。

    「フレドリック・ステファンソン」
     作家

    「マリー」
     フレドリックの娘

    「アグネス」
     フレドリックの元妻。マリーの母親

    「ミカエラ・スヴァルツ」
     フレドリックの恋人。保育園職員

    「ダヴィッド・ルンドグレーン」
     マリーの友人

    「レベッカ」
     フレドリックの知人。牧師

    「ベルント・ルンド」
     アスプソース刑務所に服役中の連続殺人犯

    「レナート・オスカーション」
     アスプソース刑務所の性犯罪者専用区画長

    「スティーグ・リンドグレーン(リルマーセン)」
     アスプソース刑務所の一般区画の囚人

    「ヒルディング・オルデウス」
     アスプソース刑務所の一般区画の囚人

    「ヨッフム・ラング」
     アスプソース刑務所の一般区画の囚人

    「ドラガン」
     アスプソース刑務所の一般区画の囚人

    「スコーネ」
     アスプソース刑務所の一般区画の囚人

    「ホーカン・アクセルソン」
     性犯罪者

    「ラーシュ・オーゲスタム」
     検察官

    「クリスティーナ・ビヨルンソン」
     弁護士

    「シャーロット・ヴァン・バルヴァス」
     判事

    「ルードヴィッグ・エルフォシュ」
     法医学者

    「ベングト・セーデルルンド」
     タルバッカ村の建設業者

    「ヨーラン」
     ベングトの隣人

    「エーヴェルト・グレーンス」
     ストックホルム市警警部

    「スヴェン・スンドクヴィスト」
     ストックホルム市警警部補
     

    0
    2023年03月11日
  • 熊と踊れ 下

    Posted by ブクログ

    スウェーデン作家「アンデシュ・ルースルンド」と「ステファン・トゥンベリ」の共著の長篇ミステリ作品『熊と踊れ(原題:Bjorndansen、英題:The Father)』を読みました。
    「アーナルデュル・インドリダソン」、「ジョー・ネスボ」、「レイフ・GW・ペーション」の作品に続き、北欧ミステリです。

    -----story-------------
    ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品

    〈上〉
    凶暴な父によって崩壊した家庭で育った「レオ」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三人の兄弟。
    独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。
    その目的とは、史上例のない銀行強盗計画を決行することだった――。
    連続する容赦無い襲撃。
    市警の「ブロンクス警部」は、事件解決に執念を燃やすが……。
    はたして勝つのは兄弟か、警察か。
    スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。
    最高熱度の北欧ミステリ。

    〈下〉
    緻密かつ大胆な犯行で警察を翻弄し、次々と銀行を襲撃していく「レオ」たち。
    その暴力の扱い方は少年時代に父から学んだものだった。
    かつて彼らに何がおこったのか。
    そして今、父は何を思うのか――。
    過去と現在から語られる"家族"の物語は、轟く銃声と悲しみの叫びを伴って一気に結末へと突き進む。
    スウェーデン最高の人気を誇り、北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞した鬼才が、圧倒的なリアリティで描く渾身の大作
    -----------------------

    1990年代の初頭にスウェーデンを恐怖に陥れた正体不明の強盗団… まるで軍事作戦のような統率の取れた的確な動き、軍用銃を駆使し、ためらわずに発砲する手口は"軍人ギャング"と称された、、、

    彼らは1991年(平成11年)秋から、1993年(平成15年)末までに、軍の武器庫からの略奪を2件、現金輸送車の襲撃を1件(未遂3件)、銀行や郵便局の強盗を9件、さらにはストックホルム中央駅で爆弾事件まで起こした… 警察は、この強盗団の正体を全くつかめなかったが、犯行の計画性、周到性、狂暴性等から、初犯ではないと思われていた。

    ところが一段が逮捕されてみると、その中心となっていたのは20歳前後の三兄弟とその友人たちで、前科もなければ裏社会とのつながりもない若者たちであるとわかった… 前段が長くなりましたが、本作品は、当時スウェーデン公営テレビ記者として現場でこの事件を報道していた「アンデシュ・ルースルンド」と、犯行の中心人物だった三兄弟と実の兄弟である「ステファン・トゥンベリ」が、その一連の事件をモデルに描いたフィクション作品です、、、

    とはいえ、事件に関わっていた当事者たちが描き、事件のあった場所や手口等の大部分が事実に基づいていることから、ノンフィクション作品のようなリアリティや臨場感があり、読んでいるうちに、ぐいぐいと作品の中に惹きつけられていきました… 上下巻で1,100ページ程度の大作でしたが、長くは感じませんでしたね。


    暴力的な父親「イヴァン・ドゥヴニヤック」の影響下で育った「レオ(レオナルド)」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三兄弟… 長兄「レオ」が中心になり、「レオ」の恋人「アンネリー・エリクソン」や幼馴染の青年「ヤスベル」を巻きこんで、壮大な強盗計画を企てる、、、

    ストックホルム防衛管区の動員用武器庫に侵入し、二個中隊分の装備がまかなえるほどの銃や爆薬を盗み出し、これを使って彼らは現金輸送車や銀行を襲い始める… 彼らは20代から10代後半とまだ若いが、リーダーである長兄「レオ」が立てる緻密な計画と冷静な指揮により、強奪は順調に進む。

    事件を捜査し彼らを追う警部「ヨン・ブロンクス」も優秀だが、手を替え品を替える手口で翻弄し、尻尾を掴ませない… だが、首謀者たる「レオ」の欲望と目的は、なかなか満たされない、、、

    予定では、もっと早くに巨額の金を強奪して、人生をやり直すつもりだったのだが、毎回見込みよりも少ない額しか手に入らないのだ… そういうこともあって、犯行グループの中には次第に軋みが生じ、二人の弟が離反する。

    しかし最後の襲撃に執念を募らせる「レオ」は、とうとうある人物をグループに引き入れ、危険な賭けに出る… カリスマ的リーダーの「レオ」、一度決めたら譲らない「フェリックス」、まだ無邪気さが残る「ヴィンセント」、軍隊から抜けた後、尊敬する「レオ」に従い仲間になる「ヤスベル」、強盗や警察側だけでなく犯行現場に居合わせた被害者も含め、登場人物は全員、複雑で多面的な個性を持ち、それぞれに共感しながら読み進める感じでしたね、、、

    犯行に向けて周到に準備を整える場面や、突入し犯行に及ぶ一部始終などの、微に入り細を穿つ描写のリアリティには、ホントに関心しました… 四人の息づかいが感じられ、自分も共犯者のひとりとしてこれから強盗に行くのだと錯覚してしまうような気分に浸れるほどの巧みさでした。


    ミステリというよりは、家族・兄弟の愛憎や絆を描いたヒューマンドラマという印象ですね… 特に、家族を裏切ることの罪深さを説きつつ、妻を激しく暴行してしまう父親「イヴァン」の存在は強烈な印象が残りましたね、、、

    そんな粗暴な父親を憎み拒絶する兄弟ですが、その憎い父から学んだ暴力を有効な道具として使いこなすことで犯行を完璧なものにしようとする「レオ」… 冷静に気持ちをコントロールしようとしますが、他者を屈服させる快感と昂揚により、次第に自らの大きさを勘違いしてしまうんですよね。

    暴力により支配すること、コントロールされることの恐ろしさを改めて感じました、、、

    でも、本作品、次々と犯行を重ねるのですが、「暴力」はあっても「死」がないのは良かったかな… これで多くの命が奪われたら、救いがないですもんね。

    本作品は、続篇が『兄弟の血―熊と踊れⅡ』として刊行されているようです… こちらも読んでみたいですね。


    以下、主な登場人物です。

    「レオ(レオナルド)」
     ドゥヴニヤック家の三兄弟の長男

    「フェリックス」
     ドゥヴニヤック家の三兄弟の次男

    「ヴィンセント」
     ドゥヴニヤック家の三兄弟の三男

    「イヴァン・ドゥヴニヤック」
     三兄弟の父

    「ブリット=マリー・アクセルソン」
     三兄弟の母

    「ヤスベル」
     三兄弟の幼なじみ

    「アンネリー・エリクソン」
     レオの恋人。シングルマザー

    「セバスチャン」
     アンネリーの息子

    「ヨン・ブロンクス」
     ストックホルム市警警部

    「レナート・カールストレム」
     ストックホルム市警警視正

    「サンナ」
     ストックホルム市警鑑識官

    「ガッペ」
     建設業者

    「サム」
     ヨンの兄。服役囚

    0
    2023年03月11日
  • 熊と踊れ 上

    Posted by ブクログ

    スウェーデン作家「アンデシュ・ルースルンド」と「ステファン・トゥンベリ」の共著の長篇ミステリ作品『熊と踊れ(原題:Bjorndansen、英題:The Father)』を読みました。
    「アーナルデュル・インドリダソン」、「ジョー・ネスボ」、「レイフ・GW・ペーション」の作品に続き、北欧ミステリです。

    -----story-------------
    ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品

    〈上〉
    凶暴な父によって崩壊した家庭で育った「レオ」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三人の兄弟。
    独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。
    その目的とは、史上例のない銀行強盗計画を決行することだった――。
    連続する容赦無い襲撃。
    市警の「ブロンクス警部」は、事件解決に執念を燃やすが……。
    はたして勝つのは兄弟か、警察か。
    スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。
    最高熱度の北欧ミステリ。

    〈下〉
    緻密かつ大胆な犯行で警察を翻弄し、次々と銀行を襲撃していく「レオ」たち。
    その暴力の扱い方は少年時代に父から学んだものだった。
    かつて彼らに何がおこったのか。
    そして今、父は何を思うのか――。
    過去と現在から語られる"家族"の物語は、轟く銃声と悲しみの叫びを伴って一気に結末へと突き進む。
    スウェーデン最高の人気を誇り、北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞した鬼才が、圧倒的なリアリティで描く渾身の大作
    -----------------------

    1990年代の初頭にスウェーデンを恐怖に陥れた正体不明の強盗団… まるで軍事作戦のような統率の取れた的確な動き、軍用銃を駆使し、ためらわずに発砲する手口は"軍人ギャング"と称された、、、

    彼らは1991年(平成11年)秋から、1993年(平成15年)末までに、軍の武器庫からの略奪を2件、現金輸送車の襲撃を1件(未遂3件)、銀行や郵便局の強盗を9件、さらにはストックホルム中央駅で爆弾事件まで起こした… 警察は、この強盗団の正体を全くつかめなかったが、犯行の計画性、周到性、狂暴性等から、初犯ではないと思われていた。

    ところが一段が逮捕されてみると、その中心となっていたのは20歳前後の三兄弟とその友人たちで、前科もなければ裏社会とのつながりもない若者たちであるとわかった… 前段が長くなりましたが、本作品は、当時スウェーデン公営テレビ記者として現場でこの事件を報道していた「アンデシュ・ルースルンド」と、犯行の中心人物だった三兄弟と実の兄弟である「ステファン・トゥンベリ」が、その一連の事件をモデルに描いたフィクション作品です、、、

    とはいえ、事件に関わっていた当事者たちが描き、事件のあった場所や手口等の大部分が事実に基づいていることから、ノンフィクション作品のようなリアリティや臨場感があり、読んでいるうちに、ぐいぐいと作品の中に惹きつけられていきました… 上下巻で1,100ページ程度の大作でしたが、長くは感じませんでしたね。


    暴力的な父親「イヴァン・ドゥヴニヤック」の影響下で育った「レオ(レオナルド)」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三兄弟… 長兄「レオ」が中心になり、「レオ」の恋人「アンネリー・エリクソン」や幼馴染の青年「ヤスベル」を巻きこんで、壮大な強盗計画を企てる、、、

    ストックホルム防衛管区の動員用武器庫に侵入し、二個中隊分の装備がまかなえるほどの銃や爆薬を盗み出し、これを使って彼らは現金輸送車や銀行を襲い始める… 彼らは20代から10代後半とまだ若いが、リーダーである長兄「レオ」が立てる緻密な計画と冷静な指揮により、強奪は順調に進む。

    事件を捜査し彼らを追う警部「ヨン・ブロンクス」も優秀だが、手を替え品を替える手口で翻弄し、尻尾を掴ませない… だが、首謀者たる「レオ」の欲望と目的は、なかなか満たされない、、、

    予定では、もっと早くに巨額の金を強奪して、人生をやり直すつもりだったのだが、毎回見込みよりも少ない額しか手に入らないのだ… そういうこともあって、犯行グループの中には次第に軋みが生じ、二人の弟が離反する。

    しかし最後の襲撃に執念を募らせる「レオ」は、とうとうある人物をグループに引き入れ、危険な賭けに出る… カリスマ的リーダーの「レオ」、一度決めたら譲らない「フェリックス」、まだ無邪気さが残る「ヴィンセント」、軍隊から抜けた後、尊敬する「レオ」に従い仲間になる「ヤスベル」、強盗や警察側だけでなく犯行現場に居合わせた被害者も含め、登場人物は全員、複雑で多面的な個性を持ち、それぞれに共感しながら読み進める感じでしたね、、、

    犯行に向けて周到に準備を整える場面や、突入し犯行に及ぶ一部始終などの、微に入り細を穿つ描写のリアリティには、ホントに関心しました… 四人の息づかいが感じられ、自分も共犯者のひとりとしてこれから強盗に行くのだと錯覚してしまうような気分に浸れるほどの巧みさでした。


    ミステリというよりは、家族・兄弟の愛憎や絆を描いたヒューマンドラマという印象ですね… 特に、家族を裏切ることの罪深さを説きつつ、妻を激しく暴行してしまう父親「イヴァン」の存在は強烈な印象が残りましたね、、、

    そんな粗暴な父親を憎み拒絶する兄弟ですが、その憎い父から学んだ暴力を有効な道具として使いこなすことで犯行を完璧なものにしようとする「レオ」… 冷静に気持ちをコントロールしようとしますが、他者を屈服させる快感と昂揚により、次第に自らの大きさを勘違いしてしまうんですよね。

    暴力により支配すること、コントロールされることの恐ろしさを改めて感じました、、、

    でも、本作品、次々と犯行を重ねるのですが、「暴力」はあっても「死」がないのは良かったかな… これで多くの命が奪われたら、救いがないですもんね。

    本作品は、続篇が『兄弟の血―熊と踊れⅡ』として刊行されているようです… こちらも読んでみたいですね。


    以下、主な登場人物です。

    「レオ(レオナルド)」
     ドゥヴニヤック家の三兄弟の長男

    「フェリックス」
     ドゥヴニヤック家の三兄弟の次男

    「ヴィンセント」
     ドゥヴニヤック家の三兄弟の三男

    「イヴァン・ドゥヴニヤック」
     三兄弟の父

    「ブリット=マリー・アクセルソン」
     三兄弟の母

    「ヤスベル」
     三兄弟の幼なじみ

    「アンネリー・エリクソン」
     レオの恋人。シングルマザー

    「セバスチャン」
     アンネリーの息子

    「ヨン・ブロンクス」
     ストックホルム市警警部

    「レナート・カールストレム」
     ストックホルム市警警視正

    「サンナ」
     ストックホルム市警鑑識官

    「ガッペ」
     建設業者

    「サム」
     ヨンの兄。服役囚

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    2023年03月11日
  • 熊と踊れ 下

    Posted by ブクログ

    あとがきに一番びっくりした。
    知らずに読めたのは、幸せ。
    未読の方は、あとがきと解説は最後まで取っときましょう(普通か。)。

    0
    2023年03月03日
  • 制裁

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アンデシュ・ルースルンドのグレーンス警部シリーズ第1作。初読。

    冒頭の残酷描写から始まり、ただただ胸糞悪い展開が続く。読んでいて辛かった。。。鬱々としたストーリーではここ最近では一番かも。これぞ北欧小説だなぁと。

    冒頭に脱獄する犯罪者がとんでもない化け物(原題も「怪物」のようなニュアンスらしい)。あまりにも理解できない、意思の疎通もできない、どうしようもない怪物。その犯罪者に狙われた娘と、その父親の顛末が描かれる。。。と思いきや。中盤以降、全く予想もしていなかった展開に。憎しみの連鎖というか、悪い方向に転がり落ちていくってこういうことだよなと。読み終えて、邦題の「制裁」に納得。

    あまりの報われなさと意外な展開は非常に良かった。が、グレーンス警部が全く活躍しない笑。デビュー作らしいので、シリーズ化する考えがなかったのかも。ミステリ要素もほぼないため、その点だけ気になった。

    0
    2023年02月26日
  • 1794

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    3年前に読んだ1793も面白かった。
    3部作最後の1795がすごいらしいので、とりあえずこちらから読み始めたら、
    すでにドレッドノート超えです。

    0
    2023年01月23日
  • 1793

    Posted by ブクログ

    好みが分かれそうな作品ですが、私は面白かった。
    どこまで史実なのか?
    読んでて苦しいが、やめられなかった。

    0
    2022年12月11日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 少女 下

    Posted by ブクログ

    面白すぎて読み終わるのが勿体なかった!あとがきは2017年時点で次の5作目6作目がすでに出版されている、と書かれているけど英語版のwiki を見ると直近で2021年に新作が出ているみたい。早く続きを翻訳出版してほしい。それにしてもまさかこのシリーズで泣くはめになるとは。。さすがブリッジやヴァランダーの脚本家のタッグ。

    0
    2022年11月05日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 下

    Posted by ブクログ

    少年が心臓をえぐり取られ殺害された事件を追う。
    セバスチャンは自身の秘密を追うために昔一時期所属したことのあるチームに強引に復帰し、皆から疎まれる…

    人の心を読み解く技術に長ける主人公。
    普段は技術を女性を口説くためにフル活用する…(心の傷、欠落してるのはわかるが…コイツサイテーだな)

    事件自体も、登場人物のほとんどが抱える様々な秘密も最後まで二転三転読めない展開で読ませる。
    すぐ続編読みたい…(入手困難)

    0
    2022年09月23日