ヘレンハルメ美穂のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本当に……とんでもない傑作だ。
舞台は15世紀のスウェーデン。
ただでさえ、この時代、この土地を描いた物語はそう多くない。
けれど本書には、もう冒頭から読者を引きずり込んでしまう吸引力がある。
『運命と希望』ニクラス・ナット・オ・ダーグ
荒廃し、死に絶えた土地。
靴や背嚢に重たい砂利を入れて歩く一人の青年。
彼はなぜ、このような苦行を自らに課しているのか。
またある場面では、
若き反乱指導者と、彼に心酔する美しい青年が
静かに心を通わせている。
その傍らには、憎しみに燃えた目がある。
日本の小説ではなかなか味わえない、
壮大な歴史のうねりのようなものがどろりと押し寄せてくる。
『運命と希望』を読んでいるあいだ、
心は完全に中世スウェーデンへ飛んでいた。
✧
本書が特別なのは、
これが実際に北欧史に刻まれた
ある衝撃的な事件をベースにしているところだ。
圧政に苦しみ、民衆も貴族も疲弊しきっていたスウェーデン。
そこへ追い打ちをかけるように、
ペスト(黒死病)が猛威をふるう。
そんな腐敗した時代に、
民衆を束ねたのが
カリスマ性を持つ若き反乱指導者エンゲルブレクト。
そして彼を支えたのが、
貴族の息子モンス・ベンクトソンだった。
しかしこの美しい青年は、
心酔していたはずのエンゲルブレクトを
なぜか斧で殺害したという。
この歴史のミステリーを小説として紐解くのが、
なんと当事者モンスの子孫である著者、
ニクラス・ナット・オ・ダーグ氏だというのだから驚く。
✧
いつの時代も、どの国でも、
人間の営みはそう変わらない。
愛憎、自己顕示欲、自己犠牲、欺瞞、諦観。
人は、自分が生きることだけで精一杯だ。
本書では、さまざまな人間関係が描かれる。
モンスとエンゲルブレクトの、愛情にも似た依存関係。
モンスの親友であり、兄の代わりでもあるフィンとの主従関係。
クリスティーナが息子モンスに向ける異常ともいえる愛情。
その一方で、クリスティーナから見向きもされない娘ブリータ。
……あぁ、これ相関図を描いたらとんでもないことになるな。笑
きっと、いろんな矢印がモンスの方向へ伸びている。
ハードカバー600ページ弱という鈍器本ながら、
ヘレンハルメ美穂さんの翻訳は驚くほど読みやすく、
しかも文体がとても美しい。
中世スウェーデンの凍えるような冷たさを肌で感じ、
欲望と愛憎にまみれた生々しい熱を浴び、
最後には儚い喪失感と、
その先に見えるかすかな希望まで手渡される。
至福の読書体験でした。
そして、続編『Vargars lek(狼の戯れ)』が
2027年に刊行予定だと知って狂喜乱舞しています……!
この先の彼らの物語が紡がれる日が、
本当に待ち遠しい。 -
Posted by ブクログ
スウェーデンの作家アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムの共著の長篇ミステリ作品『ボックス21(原題:Box 21)』を読みました。
アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムの共著は6年前に読んだ『三秒間の死角』以来なので久し振りですね。
-----story-------------
暴行事件の「被害者」が取った不可解な行動。病院に立てこもった彼女の目的とは――?
〈このミステリーがすごい! 第一位〉の『熊と踊れ』著者が、大反響の『制裁』に続けて放つ、北欧警察小説の真骨頂!
リトアニア人娼婦のリディアは斡旋業者から激しい暴行を受け、病院へと搬送された。
意識を取り戻した彼女は突如思いがけない行動に出る。
医師を人質に取り、地階の遺体安置所に立てこもったのだ。
同院内で薬物依存患者の殺人事件を捜査していたグレーンス警部は、現場で指揮を執ることになるが……。
果たしてリディアの目的は? そして事件の深部に秘められた、あまりにも重い真相とは何か? 大反響の北欧ミステリ〈グレーンス警部〉シリーズ第二弾
-----------------------
本作品はストックホルム市警のエーヴェルト・グレーンス警部とスヴェン・スンドクヴィスト警部補が活躍するシリーズの第2
作……2005年(平成17年)に発表された作品です、、、
本シリーズを読むのは、第1作の『制裁』、第3作の『死刑囚』、第5作の『三秒間の死角』に続き4作品目……重いんですけど、本作も物語として愉しめました。
強制売春の被害者が起こした思いもよらぬ事件……グレーンス警部が直面する北欧の闇とは? スウェーデン警察小説シリーズ第2作。
冷夏のストックホルム、アパートの一室で鞭で打たれた意識を失った売春婦リディア・グラヤウスカスが発見される……同じ日、ヘロイン依存症の男ヒルディング・オルデウスが覚醒剤に洗剤を混ぜて売りマフィアの怒りを買うことに、、、
翌日、ふたりの軌跡がストックホルム南病院で交わる……恥辱を晴らそうとするリディア、恥辱で薬を忘れようとするヒルディング、そして残虐な暴行殺人事件と、医師を人質に取った立て籠もり事件が同時に起こる というサスペンスフルな展開なのですが、旧ソ連や東欧からの女性の人身売買・強制売春や麻薬中毒、目撃者の証言を覆い隠すための暴力や脅迫等の社会問題、社会の病理がリアルに描かれており、テーマとしてはとても重たい作品でしたね。
印象的だったのは衝撃的な結末……読みながら「もしかして」という予感はあったのですが、まさかと思っていた不幸な予感が的中しちゃいました、、、
ハッピーエンドで終わらないところにリアリズムを感じましたねー エーヴェルト・グレーンス警部やスヴェン・スンドクヴィスト警部補の決断については、賛否両論意見が分かれる部分だと思います……この展開に驚き、憤りを感じつつ、これが現実なのかなー とも感じました。
本シリーズ、他の作品もぜひぜひ読みたいです。 -
Posted by ブクログ
スウェーデン作家ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著の長篇ミステリ作品『白骨 犯罪心理捜査官セバスチャン〈上〉〈下〉(原題:Fjallgraven)』を読みました。
ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著は、先日読んだ『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン』以来ですね。
-----story-------------
〈上〉
トレッキング中の女性が偶然見つけたのは、山中に埋められた六人の遺体。
ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕が。早速トルケル率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。
トルケルは迷った挙げ句、有能だがトラブルメーカーのセバスチャンにも声をかける。
家に居座ってしまったストーカー女にうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場に同行する。
史上最強の迷惑男セバスチャン再び。
〈下〉
妻子を残して移民の男性が失踪した。
警察は強制送還を恐れて自ら姿を消したと結論づけたが、妻は納得しなかった。
夫が自分たちを残して逃げるはずがない。
TV番組の記者が妻の訴えに興味を持ち、事件の調査をはじめる。
一方山中の白骨事件を調べているトルケルたちは同じ頃、近くで運車の墜落炎上事故があったことをつきとめる。
車に乗っていたのは偽の身分証明書を持った身元不明の女だった。
人気脚本家コンビが放つ人気シリーズ。
訳者あとがき=ヘレンハルメ美穂
-----------------------
2012年(平成24年)に発表された犯罪心理捜査官セバスチャン・シリーズの第3作……スウェーデンを代表する脚本家の二人ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトがタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、自信過剰で協調性ゼロ、女たらし(セックス中毒)の犯罪心理学者を主人公に据えて描かれた作品、、、
主人公のセバスチャン・ベリマンだけでなく、他の登場人物も非常に魅力的だし、ストーリーも波乱に富んでいて、とても愉しめる、面白い作品でした。
仲のいい女友だちふたりのトレッキング……カーリンは親友のマリアの50歳の誕生日記念に自然のなかを歩く4泊5日のトッレキング旅行をプレゼントしたのだ、、、
だが、あいにくの雨の中、道を間違えてしまう……道に迷ったトレッキング中の女性が偶然見つけたのは、泥に埋まった人骨だった。
山中に埋められた6人の遺体……大人が4人、子どもが2人、、、
ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕があり、殺されたものと思われる……早速トルケル・ヘーグルンド率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。
その頃、殺人捜査特別班では、メンバーのひとりヴァニャ・リトネルがFBIの研修に応募していた……優秀な彼女は一次選考を突破し、最終審査を待っているところだった、、、
合格すればひと月後には捜査班からヴァニャが抜けてしまう……彼女の穴を埋めるのはちょっとやそっとの人材では無理だろう。
トルケルは迷ったあげく、有能だがトラブルメーカーのセバスチャン・ベリマンにも声をかける……家に居座ってしまったストーカー女エリノール・ベリクヴィストにうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場のイェムトランド県に同行する。
9年前に妻とふたりの子どもを残して、アフガニスタン移民の男性2人が失踪した……警察は強制送還を恐れて自ら姿を消したと結論づけたが、残された妻シベカ・ハーンは納得しなかった、、、
夫ハーミドが自分と子どもたちを残して逃げるはずがない……『徹底検証』という番組の記者レナート・ストリードがシベカの訴えに興味を惹かれ、事件の調査を始める。
一方イェムトランド県での殺害事件を調べているトルケルたちは、6人が殺されたのと同じころに、近くで自動車の炎上事故があったことを突き止める……その車に乗っていたのは、パトリシア・ウェルトンという偽の身分証明書を持った身元不明の女だった! それぞれにややこしい事情を抱えた、殺人捜査特別班の捜査の行方は? 有能すぎる迷惑男セバスチャン・ベリマン・シリーズ第3弾
トラブルメーカーの心理学者セバスチャンが本作でもやってくれましたねー 自分勝手で傲慢で横柄で傍若無人振りな態度はさらにパワーアップ! 表面上は打ち解けた雰囲気を醸し出しているだけに悪質ですよね……邪な動機からヴァニャの人生をひっかきまわし、そしてあっさり捨てたはずのエリノールの反逆に遭うという展開、、、
濃密に描かれる捜査陣の人間関係や私生活のドラマの展開が気になる作品でした……もちろん、本筋の事件の方も接点の見えない複数のエピソードが終盤に一気に繋がってきて、心地よくひとつに納まって解決する展開が愉しめました。
しかも、この後の展開ムッチャ気になるところで結末を迎えているので、続篇が読みたくて堪りません……古書店で探してみようと思います。 -
Posted by ブクログ
スウェーデン作家ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著の長篇ミステリ作品『白骨 犯罪心理捜査官セバスチャン〈上〉〈下〉(原題:Fjallgraven)』を読みました。
ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著は、先日読んだ『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン』以来ですね。
-----story-------------
〈上〉
トレッキング中の女性が偶然見つけたのは、山中に埋められた六人の遺体。
ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕が。早速トルケル率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。
トルケルは迷った挙げ句、有能だがトラブルメーカーのセバスチャンにも声をかける。
家に居座ってしまったストーカー女にうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場に同行する。
史上最強の迷惑男セバスチャン再び。
〈下〉
妻子を残して移民の男性が失踪した。
警察は強制送還を恐れて自ら姿を消したと結論づけたが、妻は納得しなかった。
夫が自分たちを残して逃げるはずがない。
TV番組の記者が妻の訴えに興味を持ち、事件の調査をはじめる。
一方山中の白骨事件を調べているトルケルたちは同じ頃、近くで運車の墜落炎上事故があったことをつきとめる。
車に乗っていたのは偽の身分証明書を持った身元不明の女だった。
人気脚本家コンビが放つ人気シリーズ。
訳者あとがき=ヘレンハルメ美穂
-----------------------
2012年(平成24年)に発表された犯罪心理捜査官セバスチャン・シリーズの第3作……スウェーデンを代表する脚本家の二人ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトがタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、自信過剰で協調性ゼロ、女たらし(セックス中毒)の犯罪心理学者を主人公に据えて描かれた作品、、、
主人公のセバスチャン・ベリマンだけでなく、他の登場人物も非常に魅力的だし、ストーリーも波乱に富んでいて、とても愉しめる、面白い作品でした。
仲のいい女友だちふたりのトレッキング……カーリンは親友のマリアの50歳の誕生日記念に自然のなかを歩く4泊5日のトッレキング旅行をプレゼントしたのだ、、、
だが、あいにくの雨の中、道を間違えてしまう……道に迷ったトレッキング中の女性が偶然見つけたのは、泥に埋まった人骨だった。
山中に埋められた6人の遺体……大人が4人、子どもが2人、、、
ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕があり、殺されたものと思われる……早速トルケル・ヘーグルンド率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。
その頃、殺人捜査特別班では、メンバーのひとりヴァニャ・リトネルがFBIの研修に応募していた……優秀な彼女は一次選考を突破し、最終審査を待っているところだった、、、
合格すればひと月後には捜査班からヴァニャが抜けてしまう……彼女の穴を埋めるのはちょっとやそっとの人材では無理だろう。
トルケルは迷ったあげく、有能だがトラブルメーカーのセバスチャン・ベリマンにも声をかける……家に居座ってしまったストーカー女エリノール・ベリクヴィストにうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場のイェムトランド県に同行する。
9年前に妻とふたりの子どもを残して、アフガニスタン移民の男性2人が失踪した……警察は強制送還を恐れて自ら姿を消したと結論づけたが、残された妻シベカ・ハーンは納得しなかった、、、
夫ハーミドが自分と子どもたちを残して逃げるはずがない……『徹底検証』という番組の記者レナート・ストリードがシベカの訴えに興味を惹かれ、事件の調査を始める。
一方イェムトランド県での殺害事件を調べているトルケルたちは、6人が殺されたのと同じころに、近くで自動車の炎上事故があったことを突き止める……その車に乗っていたのは、パトリシア・ウェルトンという偽の身分証明書を持った身元不明の女だった! それぞれにややこしい事情を抱えた、殺人捜査特別班の捜査の行方は? 有能すぎる迷惑男セバスチャン・ベリマン・シリーズ第3弾
トラブルメーカーの心理学者セバスチャンが本作でもやってくれましたねー 自分勝手で傲慢で横柄で傍若無人振りな態度はさらにパワーアップ! 表面上は打ち解けた雰囲気を醸し出しているだけに悪質ですよね……邪な動機からヴァニャの人生をひっかきまわし、そしてあっさり捨てたはずのエリノールの反逆に遭うという展開、、、
濃密に描かれる捜査陣の人間関係や私生活のドラマの展開が気になる作品でした……もちろん、本筋の事件の方も接点の見えない複数のエピソードが終盤に一気に繋がってきて、心地よくひとつに納まって解決する展開が愉しめました。
しかも、この後の展開ムッチャ気になるところで結末を迎えているので、続篇が読みたくて堪りません……古書店で探してみようと思います。 -
Posted by ブクログ
スウェーデン作家ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著の長篇ミステリ作品『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン〈上〉〈下〉(原題:Larjungen)』を読みました。
ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著を読むのは5年に読んだ『犯罪心理捜査官セバスチャン』以来ですね。
-----story-------------
〈上〉
出張帰りの夫の目に飛び込んできたのは、縛られて首をかき切られた妻の死体。
その状況は、かつてセバスチャンがつかまえた連続殺人犯ヒンデの手口に酷似していた。
だが、ヒンデは服役中のはず。
模倣犯の仕業なのか? ある動機で、ふたたび捜査チームに加わろうと企むセバスチャンは、渋るトルケルに売りこみをかけた。
凄腕だが、自信過剰の迷惑男セバスチャンの捜査が始まる!
〈下〉
ヒンデの手口を模倣した三件の事件。
だが四件目が起きるに至って、セバスチャンはあるとんでもない事実に気づいた。
すべての被害者が過去に自分と関係を持っていたのだ。
犯人の狙いは彼自身なのか? 一方刑務所の新所長は、服役中のヒンデから進行中の連続殺人事件解決のヒントを得て手柄にしようと密かに企んでいた。
スウェーデンで人気の脚本家コンビが放つ、シリーズ第二弾。
*第7位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」翻訳家&評論家部門
-----------------------
2010年(平成22年)に発表された犯罪心理捜査官セバスチャン・シリーズの第2作……スウェーデンを代表する脚本家の二人ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトがタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、自信過剰で協調性ゼロ、女たらし(セックス中毒)の犯罪心理学者を主人公に据えて描かれた作品、、、
主人公のセバスチャン・ベリマンだけでなく、他の登場人物も非常に魅力的だし、ストーリーも波乱に富んでいて、とても愉しめる、面白い作品でした。
トラブルに見舞われ、予定より大幅に遅れて出張から帰った夫の目に飛びこんできたのは妻の無惨な死体だった……とはいえこれがふつうの殺人事件であれば、わざわざトルケル・ヘーグルンド率いる殺人捜査特別班が呼ばれることはなかっただろう、、、
被害者が自宅の寝室で縛られ首をかき切られていたのでなければ……その状況は、かつてセバスチャン・ベリマンが捕まえた連続殺人犯エドヴァルド・ヒンデの手口に酷似していた。
だが、ヒンデは現在レーヴハーガ刑務所で服役中のはず……模倣犯の仕業なのか? セバスチャンがこのチャンスを見逃すわけはない、、、、
事件とは関係ないまったく自分の勝手な動機から殺人捜査班に加わろうともくろんでいたセバスチャンは、これ幸いと早速トルケルに売り込みをかける……連続殺人犯ヒンデの手口を模倣した事件は3件におよんでいた。
だが4件目が起きるに至ってセバスチャンはあるとんでもない事実に気づいた……すべての被害者が過去にセバスチャンと関係をもっていたのだ、、、
犯人の狙いはセバスチャン自身なのか? 慌てたセバスチャンは、とりあえず自分が関係した女性たちに警告しようとする……一方レーヴハーガ刑務所の所長トーマス・ハラルドソンは、服役中のヒンデから現在進行中の連続殺人事件解決のヒントを得て手柄にしようと密かに企んでいた。
凄腕だが自信過剰の迷惑男セバスチャンが帰ってきた! スウェーデンで人気の脚本家コンビが放つシリーズ第2弾。
相手かまわずトラブルを起こす嫌われ者の心理学者セバスチャンが捜査に加わりことにより、殺人捜査特別班には穏やかならぬ波紋が広がる……セバスチャンはプライベートな目的を隠して捜査に加わっていた、、、
登場人物たちのプライベートな部分と捜査に関する情報……それらが事件解決にも絡みつつ、バランス良く配置されていて、白くて結末まで集中力が途切れることなく読めました。
セバスチャンの傍若無人振りは前作以上かな……邪な動機から捜査に加わり物語全体を引っかき回すところは相変わらずでしたね、、、
前作のエンディングで明らかにされたセバスチャンの子どもに関する情報……これが本作では物語の中心になっていましたが、本作のエンディングも次作を示唆するようなエピソードで締めくくられており、次作が気になるところです。
セバスチャンという人物は好感度が低いし、実生活の中で身近にいてほしくない人物ですが……それでも読みたくなるんですよねー セバスチャンに限らず、登場人物のキャラクター造形が巧いところが本シリーズの魅力なんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
スウェーデン作家ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著の長篇ミステリ作品『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン〈上〉〈下〉(原題:Larjungen)』を読みました。
ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトの共著を読むのは5年に読んだ『犯罪心理捜査官セバスチャン』以来ですね。
-----story-------------
〈上〉
出張帰りの夫の目に飛び込んできたのは、縛られて首をかき切られた妻の死体。
その状況は、かつてセバスチャンがつかまえた連続殺人犯ヒンデの手口に酷似していた。
だが、ヒンデは服役中のはず。
模倣犯の仕業なのか? ある動機で、ふたたび捜査チームに加わろうと企むセバスチャンは、渋るトルケルに売りこみをかけた。
凄腕だが、自信過剰の迷惑男セバスチャンの捜査が始まる!
〈下〉
ヒンデの手口を模倣した三件の事件。
だが四件目が起きるに至って、セバスチャンはあるとんでもない事実に気づいた。
すべての被害者が過去に自分と関係を持っていたのだ。
犯人の狙いは彼自身なのか? 一方刑務所の新所長は、服役中のヒンデから進行中の連続殺人事件解決のヒントを得て手柄にしようと密かに企んでいた。
スウェーデンで人気の脚本家コンビが放つ、シリーズ第二弾。
*第7位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」翻訳家&評論家部門
-----------------------
2010年(平成22年)に発表された犯罪心理捜査官セバスチャン・シリーズの第2作……スウェーデンを代表する脚本家の二人ミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトがタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、自信過剰で協調性ゼロ、女たらし(セックス中毒)の犯罪心理学者を主人公に据えて描かれた作品、、、
主人公のセバスチャン・ベリマンだけでなく、他の登場人物も非常に魅力的だし、ストーリーも波乱に富んでいて、とても愉しめる、面白い作品でした。
トラブルに見舞われ、予定より大幅に遅れて出張から帰った夫の目に飛びこんできたのは妻の無惨な死体だった……とはいえこれがふつうの殺人事件であれば、わざわざトルケル・ヘーグルンド率いる殺人捜査特別班が呼ばれることはなかっただろう、、、
被害者が自宅の寝室で縛られ首をかき切られていたのでなければ……その状況は、かつてセバスチャン・ベリマンが捕まえた連続殺人犯エドヴァルド・ヒンデの手口に酷似していた。
だが、ヒンデは現在レーヴハーガ刑務所で服役中のはず……模倣犯の仕業なのか? セバスチャンがこのチャンスを見逃すわけはない、、、、
事件とは関係ないまったく自分の勝手な動機から殺人捜査班に加わろうともくろんでいたセバスチャンは、これ幸いと早速トルケルに売り込みをかける……連続殺人犯ヒンデの手口を模倣した事件は3件におよんでいた。
だが4件目が起きるに至ってセバスチャンはあるとんでもない事実に気づいた……すべての被害者が過去にセバスチャンと関係をもっていたのだ、、、
犯人の狙いはセバスチャン自身なのか? 慌てたセバスチャンは、とりあえず自分が関係した女性たちに警告しようとする……一方レーヴハーガ刑務所の所長トーマス・ハラルドソンは、服役中のヒンデから現在進行中の連続殺人事件解決のヒントを得て手柄にしようと密かに企んでいた。
凄腕だが自信過剰の迷惑男セバスチャンが帰ってきた! スウェーデンで人気の脚本家コンビが放つシリーズ第2弾。
相手かまわずトラブルを起こす嫌われ者の心理学者セバスチャンが捜査に加わりことにより、殺人捜査特別班には穏やかならぬ波紋が広がる……セバスチャンはプライベートな目的を隠して捜査に加わっていた、、、
登場人物たちのプライベートな部分と捜査に関する情報……それらが事件解決にも絡みつつ、バランス良く配置されていて、白くて結末まで集中力が途切れることなく読めました。
セバスチャンの傍若無人振りは前作以上かな……邪な動機から捜査に加わり物語全体を引っかき回すところは相変わらずでしたね、、、
前作のエンディングで明らかにされたセバスチャンの子どもに関する情報……これが本作では物語の中心になっていましたが、本作のエンディングも次作を示唆するようなエピソードで締めくくられており、次作が気になるところです。
セバスチャンという人物は好感度が低いし、実生活の中で身近にいてほしくない人物ですが……それでも読みたくなるんですよねー セバスチャンに限らず、登場人物のキャラクター造形が巧いところが本シリーズの魅力なんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
複数の少女を暴行・殺害した犯人が投獄された後に脱獄し、逃走中にさらに少女を殺害。
ところが、その少女の父親が犯人を射殺してしまう。
父親は殺人罪で逮捕されて裁判にかけられるが、その結末は…というクライムノベル。
ストックホルム市警のグレーンス警部が主人公というシリーズの第1作目ということだが、「名推理で犯人を追い詰める」というミステリ小説的な人物ではなく、悪態をついてばかりの頑固者で感情移入はしがたい。
むしろ本書の主人公は犯人を射殺した父親と服役囚たち。
父親は有罪か無罪か、有罪なら量刑はどれくらいか…ということを考えさせられる内容であり、やるせない結末も含めて非常に印象深い読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
物語は難民児童を保護する施設で働く、新人職員レベッカの視点から見た、アフガニスタンからの難民ザーヘル、アフメド、ハーミドについて描かれている。
レベッカの緻密な心情表現や、施設以外での生活の様子は省かれているため、特定の感情誘導(例えば、難民の子供たちに対する可哀想、哀れみ、同情)もなく、淡々と進んでいく。
余計なレベッカの心情表現に左右されず、世界情勢、難民政策などを考える必要もない。
私たちは、ただレベッカの目をとおして、自分の中に物語を落とし込んで咀嚼することができる。
読み終わったあと、どんなふうにこの感情を消化すればよいのか。石を飲まされたように胃が重くなった。
日本でも難民への扱いは問題になっているけれど、私たちは、この物語をどんなふうに自分ごとに落とし込めばよいのか。
温かいコーヒーを飲みながら、デザートを食べながら、わたしはこの物語を読むことができる。
それはただ、私がたまたま日本に生まれる幸運を手にできたから。ただ、それだけのことなのだ。