ヘレンハルメ美穂のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻になっても物語は疾走することなく、一気にラストに流れ込んだ。
この作者がオリジナルの小説が初めて、と言うのは驚異。
もちろん、4作目のプロットがある程度出来ていたのは知っているが、それにしてもここまで完成度を高めるのは至難の業。単に上手くかけてるだけではなく、それぞれのキャラも今までの物語を踏襲したうえで発展させているし、過去キャラや過去のエピソードも散りばめられている。しかも過去の作品を読んでいる読者には楽しめ、そうでない読者も戸惑わない程度に、という絶妙のバランス。
敢えて難癖をつけるなら、登場人物が多すぎて戸惑う点?
本筋に全く関係ないキャラまでしっかり肉付けされていて、そこまで過剰に描写しなくても、という事くらいか?
これで一応解決は見たものの、リスベットの最強のライバルが登場した以上、この作品がヒットすればこの作者での続編もありうる。次こそは作者の実力が試されるわけだが、この作品で十二分にその実力は分かったので、是非次回作もこの作者で出してほしい。 -
購入済み
上下巻一気読みして
続編を期待していなっかったから、上下巻一気読みしました。作者は違っても充分面白かった。1、2、3巻は何度も読み、映画(DVD)ハリウッド版もスエーデン版の1、2、3作も何度も観ました。4巻もハリウッド版で映画化して欲しいです。ルーニー マーラーの一人二役観てみたい。
原作者の構想は10巻迄あったそうですね。続きが出れば読みますが、余韻を残しつつこの辺りで終わらせる方が僕は好きですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3部作があまりにも良かったのに、作者ラーソン氏が急逝したため、もう読めないかと思っていたミレニアムシリーズ。別の作家が続編を書いたということで、楽しみに読んでみた。
結果、十分に面白いし、ミレニアムシリーズの魅力もしっかり引き継いでいると思えた、これなら、さらに続編があっても継続して追いかけようという気持になった。決着のついてないメインキャラもおるわけだし、先が楽しみである。
ただ、ラーソンが書こうとしていた続編とは違うだろうな、という印象は今否めない。
実際ラーソン原理主義者(笑)の本作批判は結構厳しいようだし。
ただ、原理主義者ってのはそういうもんで、ガンダムにせよ、ゴジラにせよ、スターウォーズにせよ「オリジナルの雰囲気をそこなった」って批判はどうしても避けられないもんなんだろうな。
個人的には、そんなん言うたって、ラーソン氏が亡くなっている以上、ない物ねだりしても時間と体力の無駄だと思うし、ここまでしっかりシリーズの意思を継ごうとする作者がいて、質の高い作品を提供してくれるなら、それを楽しめばいいのに、勿体ないなぁと思うのだが。 -
Posted by ブクログ
ミレニアム4が新聞広告に出ているのを見つけた時の驚き。
なんで?遺稿が出た?続編?誰が書いた?
え〜っ。
次の瞬間には読まなくては!と思いました。
スティーグラーソンが亡くなってからもう10年経つのですね。
で、感想ですが。期待を裏切らぬ出来だったと思います。皆様色々不平不満を書いていますが、それは欲張りと言うものです。
ラーソン本人が書いたと言っても、さして違和感も無い。10年振りに書いたら筆も多少はブレますよ。リスベットが以前より更にパワーアップしてます。殆ど超人です。男を一発でノックアウトするし、ガンさばきも見事です。この10年間鍛錬していたのでしょう。一方ミカエルは女たらしの面が随分弱くなっていますが、これも時の流れとともに、あちらが弱くなっていくのは致し方のない事。
つまり見事に時の流れが物語に反映されている、と考えましょう。
AIを物語の柱に置いているのは今風だし、絶対解読出来ない暗号も魅力的だし、映像記憶能力が要になっているのも嬉しい。
ミレニアムⅡ、Ⅲをすっ飛ばしてⅣを映画化するそうですし、こんなに目出度い事は有りません。トレントレズナーが音楽を担当してくれるのでしょうか、リスベットは勿論ルーニーマーラですよね。
ただ、本作を読むのはⅠ、Ⅱ、Ⅲを読んでミレニアムに飢えていた人々でしょう。新しい読者を開拓出来るのか?これからに掛かっていると思います。 -
Posted by ブクログ
下巻、読みおわった!
人物描写やカラクリが
なんと映像化しやすい小説なのだ!と思ったら
二人の作者はスウェーデンを代表する脚本家
なのであった。やっぱり。
同僚同士。
上司と部下。
夫と妻。
男と女。
友人同士。
教師と生徒。
そして、親と子。。。
あっ!と驚く結末も用意されており
上質の人間ドラマにできあがっている。
上巻で人物が人間臭く描かれていて良いと書いたが
下巻ではその魅力が一層際立っている。
主人公のセバスチャンの心の変遷と
事件解決へのラストスパートが
うまい具合に並走している。
実はセバスチャンはこの事件の捜査に
別の目的で参加していた。
それはある女性を探し当てることであったが
果たして、彼女に会うべきなのかどうか
彼は事件が解決してもまだ逡巡し続ける。
そして。。。
彼の人格破綻は
自分に手を差し伸べてくれなかった母親と
ふいに亡くなった妻と娘。
すべてそこから始まっていると言える。
喪失が彼の心に開けた穴はあまりに深く大きく
どんなに女性たちと肌を重ねても満たされず
一夜の情事をただ続けるしかない。
マザコン度が高い男ほど女を求める
というのはあまりにも定説だが
彼の場合、求めても得られなかったから憎む
というタイプで実に痛々しい。
だからこそ、彼がどんなに嫌な奴でも
母性ある女性は、その理由がわかるだけに
ひきつけられてしまうのである。
ドラマの主人公として、実に魅力的である。
犯罪そのものについては
特に真新しさはないが
全体のバランスがよく人物たちにも好感が持てて
十分に楽しめる小説であった。
おすすめします。 -
Posted by ブクログ
快調のシリーズ2作目、後半。
連続殺人犯ヒンデの模倣と思われる事件が起きる。
セバスチャンがかって心理捜査官として犯人を割り出したのがヒンデだった。
被害者の共通点を探していたセバスチャンは、とんでもないことに気づく‥
この事件はセバスチャンの関係者を狙っていたのだ!
もともと女性関係が多いというか、独り寝が苦手で次々女性を口説いては別れてきたセバスチャンだが、行きずりのつもりだった相手エリノールが何も求めない性格で、ふと安らぎを覚えます。
仕事と人生を立て直そうと、彼なりに真剣に考え始めていました。
ところが、自分のしでかした旧悪がしっぺ返しをするように、彼の前途に立ちふさがることに。
警察サイドの人間関係も濃厚。
ウルスラの夫婦関係や、ビリーの仕事意識の変化が起きたり。
セバスチャンは生真面目な若い女性刑事のヴァニヤに嫌われながら、何とか組んで仕事を続けていきます。
そして、囚人から事件解決のヒントを得ようとする刑務所所長は?
脚本家らしく、スリルと見ごたえのあるシーンで盛り上がります。
ひねくれ者セバスチャンがけなげな決心をすることに‥
満足な読後感でした。
問題解決と思いきや、さらなる火種が点火されるところで以下は次の作品!となります☆ -
Posted by ブクログ
「犯罪心理捜査官セバスチャン」のシリーズ2作目。
人間味溢れる警察小説です☆
1作目の終わりで、セバスチャンは人生が変わる事実に直面。
その後どうなったかというと‥珍妙なことに。
変人まっしぐらだけど、かえって1作目よりもセバスチャンの人間性がまとまって感じられます。
女性が殺される事件が起き、その手口はかってセバスチャンが犯人を挙げた連続殺人犯ヒンデのやり口にあまりにもそっくりだった。
ただし、ヒンデは獄中にある‥模倣犯か?
この事件には自分が不可欠と、殺人捜査特別班のリーダー、トルケルに掛け合い、チームに入るセバスチャン。
ヒンデが収容されている刑務所の所長は、なんと1作目に出てきた元刑事のハラルドソン。
人間が甘いダメ男だけど、なぜか憎めないキャラなんですよ。
1作目理解しきれないものがあった刑事ら登場人物がそれぞれ、さらに輪郭を濃くしていき、人間模様がなるほどこうなるのか‥と。
興味が尽きない内容です☆ -
Posted by ブクログ
面白く読み終われました☆
地方の町で少年の遺体が発見され、たまたま故郷に帰っていたセバスチャン・ベリマンが10年ぶりに捜査に加わる。
心理学者のセバスチャンは、かって国家刑事警察のプロファイラーだったのだ。
女と見れば口説きにかかるセックス依存症で、事件関係者にも手を出してしまうという困った奴。
見た目は意外に普通らしいけど、それが案外抵抗感をなくすのか‥? 上巻の表紙イラスト、内面をイラストにすればこっちだと思うよ。
心理学の知識と経験を生かして、口説きながら反応を見てやり方を変えていくという。とんでもない男だけど、どうやるのか知りたい人もいるかも?(笑)
少年ローゲルの発見に遅れをとった警察内部の事情もあり、特別班のチームの中にも人間臭い秘密がある。
上巻ではセバスチャンが捜査に加わるのが遅いのと、表紙イラストや題名、軽妙な裏表紙の説明と、内容に少しズレを感じていました。
後半にきて人間模様の展開がなかなか面白い濃さで、セバスチャンだけに頼らない展開、でも最後はさすがセバスチャンね、という満足感もあり。
犯人になりかねない性格だから犯罪が理解できるというとんでもない男が抱えている心の傷も、仕事が出来る程度には癒えてきたのか‥?
総合的な納得感と、傲岸なセバスチャンが最後に腰を抜かす一幕が笑えて、続きも知りたくなりますね☆ -
Posted by ブクログ
1作目よりも面白い。はるかに面白いと言っても良い。1作目の最後の一撃で明らかにした事実をこの2作目では発展させ、メインの事件(主人公セバスチャン・ベリマンが過去に逮捕したサイコキラーが登場する)に密接に関わらせて物語が進む。さらにセバスチャンと殺人捜査特別班の面々の人間関係とそのドラマが加わって、上巻はクスクス笑いながら読み、下巻は一気読みせざるを得ないサスペンスが盛り上がる。
作者のミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトは脚本家出身。今回も最後をさらに続きが気になるエピソードで締めくくっているのはテレビの連続ドラマを思わせる。テレビドラマ的というと、悪口にしかならないのが普通だけれど、この2人の作者はそのメリットを上手に取り入れて長い物語として構築していくつもりのようだ。だからこのシリーズ、必ず1作目から読まなくてはいけないし、2作目以降は物語の細部を紹介できない。3作目と4作目を早く読みたい。 -
Posted by ブクログ
最後の一撃にやられた。これは予想していなかった。
心臓をえぐり取られた被害者という設定はサイコスリラーの様相だが、実際には警察小説。スウェーデンの殺人捜査特別班の面々が地方で起きた殺人事件を捜査する。主人公のセバスチャン・ベリマンは自信過剰でセックス依存症の迷惑男。捜査に関わったのも個人的な目的がある。ユーモラスな半面、スマトラ島沖地震による津波で妻子をなくした過去にとらわれている。他のメンバーも個性豊かに描き分けられ、入り組んだ人間関係も読みどころだ。
事件が終わった後に描かれる最後の一撃が効果的なのは終盤に立ち上がってくる家族のテーマと密接に絡んでいるから。これはうまい。訳者あとがきによれば、シリーズは現在、第4作まで続いているとのこと。続きが読みたくなる。 -
Posted by ブクログ
北欧ミステリーが注目。デンマークの『特捜部Q』シリーズも凄いが、スウェーデンも『刑事マルティン・ベック』シリーズ以来くらい『ミレニアム』(未読)は大ヒットするし、ぼくの好きなところではカーリン・アルヴテーゲンの女性作家も外れがない。最近北欧ミステリが盛んに邦訳され人気を得ているのは日本のことであるが、ヨーロッパでは北欧、特にスウェーデンのミステリはそもそも人気があり、よく読まれているという。
社会批判や体制批判はミステリという形でなされるものが大変多く、日本のように純文学から隔てられ区分されず、純文学としてミステリはワンランク高い社会的文化的ポジションを確立しているのだと言う。貧富の差、権力の強さに対し、平凡な仕事に従事している人が対決してゆく姿勢が同感を呼ぶとも言う。
さて、本書であるが、そうした背景の中では異質であるかもしれない。何よりエンターテインメント色が強い。活劇によって綴られる大作であり、血と銃弾によって糾われる暗黒界の二大勢力の死闘に、巻き込まれるのがひとりの美人看護師であるところが風変わりではある。入院していたボスの息子がヒロインであるナースに恋をし、自分らの輪の中に引き入れてゆくのだ。必然性というよりも、そうした偶然の構図によって成される別世界の出会いによって、物語はさまざまな軋轢を起こし、多くの輩が、骨が軋むような激突を繰り広げる。一言で言えば派手な世界だ。
二大勢力だけが注目されるのかと思うと、ここに特殊な警察部隊が登場する。二大勢力の争いの現場を捜査の立場として仕切る特殊チームが、リアルさに欠けるくらいに、思うままに権力を奮う。暴力のプロを雇う警察なんて笑い話みたいだが、本書では、内部争いにも余念がない、まるでジェイムズ・エルロイの描いたLAPDみたいな悪徳警官たちの死闘が繰り広げられる。こいつが案外、物語に仕込まれた導火線みたいで、読む側には面白い。このくらいやってくれる小説ならば、それはそれでいい。
分厚い時間と空間を使って、個性的な人間を配置し、緊張感を緩めず、疾走感を持ってストーリーをテリングする。スウェーデンのミステリは、理屈ばかりではなく、<物語る>術においてとても優れているのだとは、最近北欧小説を読み漁ることに楽しみを見出しているぼくの総合的感覚である。三部作の一部だと言う。これだけ生死の境をくぐり抜けた看護師がまだまだ大きな試練に晒されるとは、やれやれ、先が思いやられる話である。