ヘレンハルメ美穂のレビュー一覧

  • 熊と踊れ 上

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    ネタバレ

    過去と現在から語られる家族の物語
    本筋は現代編の犯罪計画よりも過去編の親子の確執?葛藤?にぐいぐい。圧倒的に迷惑でしかない親父と三兄弟。しかしどうしようもなく親子なわけで。主人公は息子なのにどうしても迷惑な親父にシンパシー。セリフがかっちょいーから抜き出してPOPに。圧倒的な厚さのゲラの上に「頭の打ちどころが悪かった熊の話」の熊が。主人公レオも父親もそれぞれの「レディベア」を探していたのかもしれません。
    犯罪計画を追う刑事が捜査の過程で父親の下へ行った際の描写「拳の関節のうち、人差し指と中指の付け根が陥没して平らになっている。頻繁に人を殴る人間の手だ。」に震えた
    圧倒的ボリューム
    抑圧的父権支

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    2019年03月10日
  • 地下道の少女

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    ネタバレ

    表向きにはいないということになっているスウェーデンのストリートチルドレン。だけど現実に地下にたくさん存在している。誰からも探してもらえない人がいるということ。子どももいるということ。ひとつの殺人と43人の子どもが路上に置き去りにされる事件。このふたつの事件の捜査から地下へと続き、スウェーデンや近隣でのストリートチルドレンの問題が表面化していく。グレーンスの癇癪や独断で動く捜査や一匹狼なところは相変わらずで、でもシリーズのなかで重要な位置になりそうな今作。大きな社会問題とグレーンス個人の問題を抱え苛立ちが募る。このシリーズは重い問題を扱っていて読み心地がいいとは言えないけれど読むことをやめれない

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    2019年03月06日
  • 地下道の少女

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     現実に即して書こうと意図した作品には、すっきりした終わりはない。小説題材となる現実を、普遍的な形として世界の記憶に留めようと意図する作家は、読者が求める単純化に応えることは容易にはできない。何故なら現実が抱える問題は、今もなお解決を見ることなく、ずっとそこにあり続けるものであるからだ。だからこそ、この種の作品はどこかで必要とされ、そして誰かに読まれる時を待つ。

     これは子供たちの物語だ。家族に捨てられたり、家族から逃げ出したり。ストリート・チルドレン。北欧では冬を越すためにシェルターや施設に逃げ込む者、連れ戻される者もいる。しかし帰りたくない、逃げ続けたい子供たちの一部は、何と地下道に居住

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    2019年03月02日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 上

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     2016年海外小説部門圧勝の大作『熊と踊れ』に続編が用意されているとは全然知らなかった。あれほどの作品に続編を繋げる馬力をあるとは、この共著コンビ恐るべし。実は本作は二つの作品でセットした二部作との構想を初めから作者らは持っていたらしい。しかも一部は実際にあった事件を元にし、二部は完全なるフィクションで。そのフィクションの第二部は、実際には起こっていないが、起こったとしてもおかしくないくらい自然な筆力で描かれてゆく。

     前作を受けて兄弟も夫婦も親子もばらばらになったところから始まる本書。家族たちの不本意な再会。焼け跡の亡霊のように復活する長兄。彼の犯罪へのさらなる意志が周囲を揺り動かす。兄

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    2019年02月28日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下

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     2016年海外小説部門圧勝の大作『熊と踊れ』に続編が用意されているとは全然知らなかった。あれほどの作品に続編を繋げる馬力をあるとは、この共著コンビ恐るべし。実は本作は二つの作品でセットした二部作との構想を初めから作者らは持っていたらしい。しかも一部は実際にあった事件を元にし、二部は完全なるフィクションで。そのフィクションの第二部は、実際には起こっていないが、起こったとしてもおかしくないくらい自然な筆力で描かれてゆく。

     前作を受けて兄弟も夫婦も親子もばらばらになったところから始まる本書。家族たちの不本意な再会。焼け跡の亡霊のように復活する長兄。彼の犯罪へのさらなる意志が周囲を揺り動かす。兄

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    2019年02月28日
  • 熊と踊れ 上

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    題名:熊と踊れ (上・下)
    原題:Bjorndansen (2014)
    著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg
    訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由
    発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11.26 4刷
    価格:各¥1,800

     『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する

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    2019年02月28日
  • 熊と踊れ 下

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    題名:熊と踊れ (上・下)
    原題:Bjorndansen (2014)
    著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg
    訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由
    発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11.26 4刷
    価格:各¥1,800

     『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する

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    2019年02月28日
  • 熊と踊れ 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    軍の倉庫が国内に点在するスウェーデンならではの犯罪の発端や、
    盗難予防のインクに染まってしまった札束との格闘、
    暴力的な父親と兄弟たち、とくに長男との葛藤と
    今まで読んできた北欧ミステリーのなかでも、
    秀逸な面白さ。

    でも厳密に言うとミステリーとしての面白さというよりかは、
    結局は実際の事件を実際の兄弟とともに描いた、
    ノンフィクションとしての面白さなのであって、
    ミステリーとしては反則技なのかもしれない。

    それでも、ミステリー好きとしては読んだ方が良い作品だと思う。

    0
    2019年02月25日
  • 熊と踊れ 上

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    ネタバレ

    書架で見かけて。

    冒頭からすごく引き込まれた。
    暴力をふるう父親、殴られ血を流す母親と
    なんとか止めようとする長男とおびえる弟たち二人。
    何がはじまるのかと思いきや、
    次の瞬間には、その長男が銀行強盗になっていた。
    弟たちと一緒に。

    (下巻へ続く)

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    2019年02月25日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    今回も途中で読むのをやめられないくらい夢中になった…。とにかく夢中になった。
    角度を変えて目を凝らして見れば、全く関わりがないと思った人や物事のかすかな今にも切れそうな、けれど確かなつながりがある。そしてその影にある優しい絆も。
    とにかく面白かった!

    最後のリスベットを抱きしめたい!

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    2019年02月19日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    2019年のスタートもリスベット。

    やっぱりミレニアムは面白い。リスベットかっこいい。今回のリスベットはちょっとだけ怒り以外の感情を露わにしててまた素敵。

    ドラゴンタトゥーの意味も明らかになるし、これがまたすごくリスベットらしい。

    続きが楽しみ。わくわく。

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    2019年01月01日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上

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    相変わらず面白いいいいいいい。
    リスベットかっこいいいいいいいい。

    2018年をリスベットで終われるなんて幸せ。
    年始は下巻から読みます。

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    2018年12月31日
  • 制裁

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    ネタバレ

    娘を幼稚園まで送り届けた後、テレビを付けると見覚えのある男が映っていた。性犯罪者が脱走したというニュースだ。嫌な予感を抱きつつ、幼稚園まで引き返すが…。

    憎しみと悲しみ。喪失。虐待の暗い記憶。
    娘を殺した犯罪者を殺す父親。一度は無罪となるが、上告されて有罪となってしまう。投獄後、過去の虐待の記憶に悩まされる受刑者によって性犯罪者と勘違いされ、殺されてしまう。しかし、父親が殺した犯罪者の次のターゲットは、その受刑者の娘だった。彼は娘の命の恩人を殺してしまったのだ。

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    2018年10月30日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下

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    暴力と絆の物語。前作と違い今回は完全なフィクションだそう。
    合わせてサーガと呼びたくなる大作に、たまらなく惹かれてしまい、夢中で読んだ。途中何回も叫びたくなり、読後はいつまでも余韻が残る。おもしろかった。

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    2018年10月30日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 下

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    ネタバレ

    前作から数年後。レオが出所したところから始まる。前作同様に犯罪のにおいに満ちていてその世界観に圧倒される。レオの描く犯罪計画と巻き込まれていく弟たち。兄弟としての形。少年時代にあった絆と今の関係。レオから2人の弟への想いと、弟たちからのレオへの想いのズレ。犯罪計画やそれを追う刑事ヨンの背景もよく、ヨンとレオの犯罪で結びつき、犯罪によって大切なものを失っていくその姿はたくさんの感情がつきまとう。兄弟を求め、拒絶しながら生きていく家族、兄弟の絆の物語。

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    2018年10月10日
  • 兄弟の血―熊と踊れII 上

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    アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ『兄弟の血―熊と踊れII 上』ハヤカワ文庫。

    待望の続編の上巻。父親の暴力の呪縛から逃れるかのように銀行強盗を繰り返し、遂には刑務所に収監された3兄弟。長兄のレオも刑期を終えて塀の外に……傑作北欧犯罪小説『熊と踊れ』の続編である本書はこうしたシーンから始まり、一気に激しさを増していく。

    なかなか読ませてくれる。果たして、暴力と犯罪にまみれた家族の物語は下巻で完結するのか……

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    2018年10月03日
  • 制裁

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    アンデシュ・ルースルンドの本は、『熊と踊れ』から入り、『ボックス21』を読み、この『制裁』で3冊目。
    色んな立場の人の視点から物語が進められるが、それぞれの立場に、感情移入することができるのが不思議。

    今回も、犯罪を通して社会問題や倫理の問題を投げかけられた。
    自分の中で考えを纏めるのに時間がかかりそうだが、人が人を裁くって難しい。

    訳者あとがきより抜粋
    『他人の命を奪うことで、子どもの命を守れるとしたら、大人はそうすべきなのか。そうやって、人の生命の価値を、同じ人間が決めてしまうことは、果たして許されるのか。それが許されるとき、怪物が生まれるのではないか……。』
    しばらく考えてみる。

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    2018年09月16日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    これと似た現実が世界にはいくらでもあるんだと思うと、作者には、愚かな警官2人の代わりに現実を綴ってくれてありがとう、という気持ち。
    リディアとアレナの声を胸に刻む。二度とこんな事が起こらないように、とリディアが命をかけた翌日に新しい2人。あり得ないけどこういうことはきっと今も起こっている。有能な警部でもこういうことをし得る、ということも作者のメッセージの1つ。

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    2018年09月09日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 少女 下

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    セバスチャンシリーズ4作目。
    衝撃的な終わり方の前作からの今作。
    一家惨殺という凄惨な事件から作品ははじまり、物語がすすむ中で前作からのその後がみえてくる。
    非常にスマートなうまい流れ。

    すべての登場人物がシリアスな問題をかかえている。毎作少しずつスポットライトの当て先をずらし、それぞれの登場人物の問題を浮き彫りにする。
    その方法もうまい。

    この先も楽しみでならない。

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    2018年07月19日
  • ボックス21

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    ネタバレ

    いま流行りの?北欧の警察小説。北欧物の英米物との違いは、主人公がやたら泥臭い事。英米物にも泥臭い主人公はいるにはいるが、北欧物の場合、警察官と言う職業を感じさせないほど、ものすごく泥臭い。そしてもう一つ北欧物の特徴(?)は、なんとなく漂うその“暗さ”。暗いのは、北欧の気候を反映しているんですかね?そのの泥臭さと、暗さで、なんとも言えない全体的な雰囲気が形作られている。

    そしてこの作品、最後の2行が衝撃的。頭のどこかで、そうなることをうっすらと感じてはいたんですが、文字にして読んでみると、ものすごく衝撃的です。いやぁ、なんだかな。

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    2018年09月08日