ニクラス・ナット・オ・ダーグの歴史ミステリ三部作。その第1作目。
とんでもなく重厚な小説。一作目の1793はミステリというよりは、殺人事件を題材とした歴史風俗小説の感が強い。本当に、匂い立つくらい当時の情景の描き込みがすごい。
4部から成り、1部は凄惨な死体が発見され、引っ立て屋のカルデルと病に
...続きを読む侵された探偵セーシルが邂逅。2部はある青年が身を落とすまで、3部はありもしない罪を背負わされた少女、4部は1部の二人に戻る、という構成。
2部、3部が1部から過去の時間軸となるため、どのようにクロスするのかが非常に楽しめた。
ミステリとして読むと肩透かしかも。死体の状況と動機の繋がりが弱い気がした。ただそれを抜きにしても、重厚で、目を背けたくなるような凄惨な場面も多いが、読み応えはバッチリ。
3部作ということもあってか、裏で暗躍する組織、フランス革命の余波などはそんなに。2作目以降、決着がつくのだろう。ただ、あまりに重いのでちょっと間に違う本を入れてかな。。。
最後に、2部の青年、結構いい役回りだけど。後々思い出すと、妹に朝の快便具合を手紙で書く変態だったわ笑